夢の世界をさまよう登場人物が、次々と変化する空間と人間、そして奇妙な出来事に翻弄されていく、といった筋の作品は、これまでにもあったと思う。が、それを認知症との取り合わせで見せていくさまは、斬新。ワン>>続きを読む
謎ズーム多用。何も起こらないといえば何も起こらないし、起こっているといえば起こっているのだが、それがホン・サンス節なのか。監視カメラの映像やスクリーンといった映像内映像は印象深い。いくつかある玄関前で>>続きを読む
収容体験のある脱北者に取材し、エンターテインメント性の高い物語として提示した本作は、そのような映画がつくられたことがなかった、という点で素晴らしいと思うし、実際かなりの熱量を感じる作品になっている。>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ガイ・リッチーはキャリア初期にクライムアクションをいくつか撮ってきた。そこで今回は、これまでの自身のクライム作品ならびに自分自身を対象化して、1本映画をつくってしまおう、みたいな試みだったんじゃない>>続きを読む
村上龍本人の監督・脚本による同名小説の映画化。原作は、米軍基地の近くに住む若者の退廃した生活、文化的な固有名詞の多さ、空虚な主人公像、文章のうまさなど、評するにあたって語ることがさまざまあった、とい>>続きを読む
1977年の同名芥川賞受賞作の作家本人による映画化……と思いきや、同作家の「テーブルの下の婚礼」という小説が主な下敷きになっていた。
小説と映画の相違点として、映画が全編ローマとギリシャでのロケ>>続きを読む
観ている間は、中本の血……という感じで、「路地」の世界に圧倒されるばかりだった。ここまで中上健次原作の映画化作品をいくつか見て、改めて思ったことがある。
中上が描こうとしていたのは、「血統」によ>>続きを読む
中上健次の同名小説の映画化。今、何本か中上原作の映画を観ているが、これは中上健次を神話化しないために必要な作業かな、と思えてくる。中上健次の死=近代小説の終わり、みたいに語られてしまう人なので。>>続きを読む
原作は中上健次「赫髪」。
ビシーッと決まった構図や色彩設計、そして卵の安さを執拗に気にするなどの印象的な会話、憂歌団による音楽など、素晴らしい、映画的だ、と思えるシーンは、たくさんある。しかし、>>続きを読む
若者の鬱屈した青春を描いた中上健次の同名小説の映画化作品。住み込みの新聞配達員として働く予備校生の吉岡(本間優二)は、気に入らない配達先を見つけては、ノートに住人の情報を記録し、手作りの地図にバツ印>>続きを読む
1992年8月12日、中上健次が亡くなった。DVD付属のブックレットによれば、そのニュースを知った青山真治は仕事を早く切り上げて、バスで新聞を読みながら泣いたという。中上がいなければ映画を撮ることは>>続きを読む
面白かった。後半、前半の反復と逆転で構成されたシーンの連続に見入った。追うものと追われるものの逆転。サスペンスが4時間ずっと持続する。忘れた頃に突然流れてくる音楽に驚きがある。
・まずは、この映画がいま公開されたことが素晴らしい。サン・ラがなぜ地球を旅立ってしまったのか、地球に残されたわたしたちは、そのことを考える必要がある。
・面白いのは、本作でサン・ラの最大の敵となるの>>続きを読む