むーんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

むーん

むーん

映画(211)
ドラマ(0)
アニメ(0)

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

原作は既読だが、かなり前に読んだので記憶は曖昧。
字幕の演出や山荘の間取りの見せ方などは嫌いじゃなかった。トリックが重視される本格路線のミステリである以上、人間ドラマがペラッペラなのも別に構わない。た
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

自殺した女性が胎児の脳を移植されて蘇生し、手術を施した博士の手から離れて独立していくまでの行程を描く一作。
10歳の時に事故に遭ってから昏睡状態が続き、大人になってから目覚めるが精神年齢は当時のまま、
>>続きを読む

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)

4.0

お祭り映画としては最高に楽しい一作。TVシリーズがネットでどう受容されているかを踏まえてファンサービスに振り切ったという点では『復活のルルーシュ』を観た時のそれに近い感覚があった。個人的にはネタの方向>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

5.0

リバイバル上映で久しぶりに再見。今敏作品ではいちばん好きな映画です。

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.5

フィクションである以上、発生している状況に対しての違和感はあって良いし、ホラーというジャンルを選択しているなら効果的にさえ働くと思う。ただ、そこに立ち会う人間の心理の動きとして、主人公の行動がどうもぎ>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.8

『笑い』は一人では完成しない。絵や音楽、物語ならば、自分自身の満足のために作り上げることは可能だ。それこそヘンリー・ダーガーのように、誰にも見せることなく作品を描き続けても良い。しかし、笑いはそれを受>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.9

政治学者のカール・シュミットは、共通の『敵』を想定して『友』と連帯する動きこそが政治であると綴った。その意味合いで、この作中で行われている一連の動きは正に政治の縮図だ。しかし、『アパートの住民』という>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.3

頭を空っぽにして観れる、景気良く人が死ぬB級スプラッタ。最初のブラックフライデーの暴動シーンはかなり良かった。馬鹿げてるなーとは思うけど現実でも死人が出てるって話も聞くし、人間は愚かって感じ。ただ、肝>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

なぜホラー映画のキャラクターは倫理観が希薄で行動が軽率なのかということを考えながら観ていたが、むしろ、そういったキャラクターでないと霊に近づけないのかもしれないと、ひとつの結論に辿り着いた。あるいは、>>続きを読む

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)

4.0

原作もアニメ版も序盤だけ触れて最低限のキャラ設定だけ理解した状態で挑んだ。まあよく出来てるなというか、大河内一楼も最近はプリンセスプリンシパルとかルパンとかやってたしこの手のアクションはお手のものなん>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

5.0

オールタイムベストの一作になった。それ以上は言葉を続けたくない。

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.8

老老介護のドキュメンタリーのような映画だった。これまでの作品に見られるような露悪的な暴力の描写はなかったが、老夫婦の生活に綺麗事を持ち込まないところにはこの監督らしい視点がある。そして、これ単体で二時>>続きを読む

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

有色人種や移民によって自分たちの優位性が不当に奪われていると主張する白人至上主義コミュニティによるヘイトクライムを長回しで撮った一作。こういう撮り方をしている作品でパッと思い浮かぶのが、『バードマン』>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.8

史実に対して新しい解釈や批評的な視点が持ち込まれることはなく、ただ戦闘シーンのスケールを楽しむことが中心となる映画だった。ナポレオンの人間性としてはジョセフィーヌとの関係性の部分が面白かったが、この映>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

好きなものがすべて詰まっている映画だった。まず、純粋にエンタメとして面白い。横溝の空気感を正当に引き継ぐ村の描写は見事で、サスペンスとしてのスリルや登場人物の嫌さにはかなり高揚感を煽られる。更に、アク>>続きを読む

マイマザーズアイズ(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「どこに連れて行かれるんだ……?」と思いながら鑑賞して、「どこに連れてこられたんだ……?」と思いながら劇場を後にする映画だった。交通事故によって下半身不随となった娘がVRゴーグルを通じて母と視界を共有>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.3

時代物というジャンルは、史実という『原作』が存在する以上はどうしても二次創作的にしかなり得ず、それゆえに、キャラクターに対する解釈や事件に対する批評などの作家性が浮き彫りにされるとも言える。その点で、>>続きを読む

クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

3.9

かなり賛否が割れているようだけれど、僕は割と楽しめた。映画というよりはTVシリーズのドラマのスペシャル版とかに近いライトな感覚で、『花束〜』とも『怪物』とも違う味がするところに坂元裕二の引き出しの広さ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.1

『シン・ゴジラ』では意図的にオミットされていた、市井の生活や家族、個人の死生観といったものがピックアップされ、『永遠の0』で描かれた特攻への忌避や『ALWAYS 三丁目の夕日』で映し出されたような古き>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

4.5

原作は既読。社会に承認されないフェティシズムの存在を肯定する物語であり、普遍性やマイノリティにまつわる議論を統括する批評としても機能している秀作。朝井リョウの優れたところは、主人公たちを『水』に対して>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.7

スタイリッシュな画作りは流石のデヴィッド・フィンチャー監督。冒頭の主人公の語りにはグッと惹き込まれたが、そこから誤射した結果恋人が襲われて復讐に乗り出すというプロットに気持ちが全く乗らなかった。動機が>>続きを読む

さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

3.6

アフロ目当てで鑑賞。借金や家族、過去に囚われどこにも行けない島暮らしの兄弟の物語。映画としては荒削りな感じもしたが、良くも悪くもむき出しで表現されていることに好感は持てた。ほやが美味しそうだったな。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.6

実話をベースに、財産目当ての先住民殺しを撮った一作。カネに囚われたディカプリオというと、個人的にはリメイク版のグレート・ギャツビーを思い出したりもしたけれど、そこに描かれていた切実な空虚さとは異なり、>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まずアイナ・ジ・エンドの声が素晴らしい。それだけでこの映画の説得力が格段に上がっている。
岩井俊二監督作品は久しぶりに観たけれど、相変わらず画の撮り方と脚本の構成が巧くて、雰囲気映画としては最高に心地
>>続きを読む

小学校~それは小さな社会~(2023年製作の映画)

4.5

配膳や教室の清掃などを生徒に行わせ責任感を抱かせる日本の小学校における教育制度を海外に紹介するために撮影されたとのこと。カメラの立ち入りを許可してくれる学校を探すのに5年かかったとか、一年生の子たちは>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.6

生まれてきたことそれ自体が祝福されて、生きていることそれ自体が肯定されるような社会であることが本来の理想だと思う。だが、生産性のない弱者は排斥され、そこに蓋をして安寧を築くマジョリティの共犯関係によっ>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.9

 肥大した承認欲求ゆえの虚言癖が行き着く先を痛烈な皮肉として描く一作。正直、病気を装って周囲の気を惹こうとした経験は僕自身にもあって、この作品の主人公と自分との間には、一線を越えずに踏みとどまれたかど>>続きを読む

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.5

ドラマ版は完全に未見で原作は一巻だけ既読の状態で挑んだが、特に難なく観られた。〝ポリコレアフロ〟と一部で揶揄されているような、久能整がリベラルな言説を披露する場面に関しては、主張の内容自体に妥当性はあ>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

3.6

監督自身の置かれた立場、イランの国内情勢を予め頭に入れておかないと、全体像を捉え損ねる。村の因習や、その理不尽さへの抵抗といったものが乾いたタッチで撮られていて、それは他人事だと切り離せるほどに遠い出>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.8

最高のサイコスリラー映画の一作。『アイドル』という偶像に囚われた人々が織りなす悲劇。虚構と現実を反復する脚本と画面構成の妙が、テーマと抜群にマッチしている。

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 正直、シナリオ単体をとりあげるなら、破綻ぎみだと思う。描きたい場面とセリフはあるものの、そこの繋ぎ目部分が甘いせいでキャラクターの心理や行動の一貫性が見えづらく、全体としての構造もガタガタに見えてし>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

4.7

『福田村事件』等と同様に、差別意識に端を発するディスコミュニケーションがやがて殺人へと繋がる過程が描写されている。たった10年前の事件であることにも、だれも罰を受けなかったことにも行き場のないやるせな>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.7

陰惨でやりきれない事件だが、現代においても歪んだナショナリズムに基づいたヘイトクライムが発生していることを鑑みると、ヒトの本質は一世紀を経ても変わらないのだと思わされる。現代における〝推し〟の文化に象>>続きを読む

ローマの休日 4K レストア版(1953年製作の映画)

5.0

問答無用の傑作。最高にかわいくて切なくて美しい。大好きな映画です。