マルチバースとカンフー、家族の問題を掛け合わせた異色のアクション映画で、何が起こっているかはよく分からないなりに、映像が圧倒的で愉しめる。少なくとも『TENET』とかよりは分かりやすかったし、『千年女>>続きを読む
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『ザ・メニュー』×『タイタニック』×『LOST』みたいな話。初っ端のレストランでの奢る/奢らない論争からグッと引き込まれた。同監督の作品は初鑑賞だが、ブラックジョークとして完成度の高い映画だと思う。け>>続きを読む
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個人の体験を照射するような--自分語りをさせたくなるような作品は、優れている。卒業という、だれしもが直接的にも間接的にも関わるようなイベント一筋に軸を絞ってエモーショナルな群像劇として仕上げた本作は、>>続きを読む
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めちゃくちゃ大好物の一作だった。
信仰によって結びついたコミュニティの歪さだとか、そこを利用して自己愛を充足させるために演出を続けたベネデッタの空虚さだとか、加害的な男性性だとか、ペストを取り巻く印象>>続きを読む
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原作の完成度が抜群に高い以上は、どう転んでも一定水準の作品にはなる。そして、音楽を題材にした作品として、やはりメディアミックスによって音が付与されることは大きいと思う。そういった面では及第点以上の映画>>続きを読む
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極論、刑事が容疑者に惚れちゃいましたってだけのプロットで、脚本に工夫はそこまで感じられなかった。これまでの作品のような暴力とセックスの描写は鳴りを潜め、サスペンスとロマンスに焦点を絞ったところは一種の>>続きを読む
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無差別銃乱射事件の加害者家族と被害者遺族との対話を限定された一室の空間内で完結させる、コンセプチュアルな一作。つまるところ、“汝の敵を愛せよ”というようなキリスト教的な“赦し”に帰着するわけだけれど、>>続きを読む
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原作は未読なので、『自伝的小説』である事実を差し引いて、一つの物語として鑑賞した場合の感想になる。
まず、浩輔と龍太の同性間の恋愛を描く前半と、龍太の母との擬似家族的な関係を後半でテーマ性がガラッと変>>続きを読む
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サイレント映画からトーキー映画へと移行していく時代に翻弄される映画人の栄光と挫折、そして狂気をパワフルに描く。ギャスパー・ノエの『CLIMAX』のような狂騒から幕を開け、暴力的なまでの熱量が持続してい>>続きを読む
何も知らされていない若人が戦場に投入され、現実に打ちのめされる感覚。塹壕に立て篭って迎撃を行う最中、毒ガス、戦車や火炎放射器などの現代兵器が送り込まれ、一方的に蹂躙される光景。そして、戦場の外で亡くな>>続きを読む
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長年連れ添った親友から唐突に絶縁を言い渡され、関係の溝が深まっていく様を内戦の勃発と終結の構図に重ねて描く一作。
絶縁を言い渡す側のコルムというキャラクターが身近に迫る戦争の気配から己の死を見つめ、主>>続きを読む
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原作は既読だけどほぼほぼ忘れてたので新鮮に楽しめた。いじめにおける悪意をちゃんと真っ向から描写したうえで魂の救済の物語を描くことで、不登校児童という弱者に向けられた温かい慈しみが感じられる。自分も学校>>続きを読む
展開がどうにもスローモーで、肝心の凶行の場面の処理の仕方も個人的にはあまり好きではないが、赤を基調とした映像と少年を演じるエズラ・ミラーの美しさは良かった。歪んだエディプスコンプレックスの行き着く先を>>続きを読む
A24作品らしい、凶暴なイマジネーションで紡がれた不条理ホラー。おそらく宗教的な意味合いが込められているだろうメタファーの内実は浅学ゆえに汲み取ることが出来なかったが、映像の美麗さと真綿で首を絞めるよ>>続きを読む
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『TITANE』から遡って鑑賞。とどのつまりイニシエーションの物語ではあるし、性欲とどう向き合っていくかっていう普遍的なテーマではあるので、カニバリズムを主軸に据えた奇抜なストーリー展開の割には良識的>>続きを読む
原作未読だけど最高に良かった。音響も映像も徹底されて力が入っていて、ガルパンやダンケルクのような、劇場で体験することに意義がある作品だと思う。実際にスポーツ観戦に臨んだかのようにスタミナを消費する、パ>>続きを読む
美しい映画だと思った。男性の加害性というテーマは後の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』にも受け継がれている。恋愛の過程には感情移入できないけれど、筋は至って明確で分かりやすい。雰囲気が好みの一作だった。
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描かれるのは母から娘に向けられる感情ではなく、娘が母の愛を乞う姿。そして、母性は先天的に備わったものではなく、後天的に獲得される感情ではないか、というテーマに帰着する。自らの腹を痛めて産んだ子供と相対>>続きを読む
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原作は既読。作者の実体験がベースの作品だけあって女性心理の描写が仔細で、個人的には非常に苦手な作品ではある。ただ、堕胎の場面などは映像化されることによって俄然説得力を伴った感があり、人工中絶が違法であ>>続きを読む
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ある意味では安部公房的に、実存の在処を問う物語でもあるなと思った。簡単にまとめてしまえば、『その人を構成する過去がいかなるものであろうと、共に過ごした時間だけは確かなものである』という散文的な結末では>>続きを読む
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結構好みの映画だった。テンポの良いスリラーで、アトラクション的な趣のあるエンタメに仕上がってると思う。テーマになっている料理のアート性みたいなところも視覚的に楽しめたし、食事を味わうことなく単に消費す>>続きを読む
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舞台となる湿地の風景が美しく、孤独に暮らす少女という題材ともマッチしている。ただ、ストーリー的には特に捻りのない物語で、結末まで踏まえて、すべての出来事が予測の範疇に収まる。原作ならもう少し描写が細か>>続きを読む
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個人的に不倫という題材が根本的にあまり好きではないので、いささか辟易する登場人物もいながらも、『妻の不倫が判明した時にショックを受けなかった自分にショックを受けた』主人公の精神的な淡白さと、『それって>>続きを読む
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『君の名は。』から一貫して向き合い続けてきた震災というテーマに最も真正面から向き合った作品。その分エンタメとしてのストーリー性は前二作と比べると抑えめで、いかにも新海誠的な特徴的なモノローグやフェティ>>続きを読む
高橋悠也脚本ということもあって、どことなく特撮感のあるワザとらしいキャラクター造形とセリフ回しが目立った。この悪ノリの感覚が最早ポップなキャラクターとして消費されるようになった貞子というコンテンツとマ>>続きを読む
坂元裕二作品のような、人と人との会話が紡ぐ先にある銀河のようなものを魅せられた感覚。朴訥とした演技と戯曲的に制限された舞台が奏功して、日常のなかにある非日常的な瞬間を鋭利に切り取った短編作品として出色>>続きを読む
いやー面白かった。『バーフバリ』に引き続き、単純明快なストーリーとパワフルな活劇に引き込まれ、190分もの長さを全く感じさせない。『そんなことしちゃっていいんですか』的な、呆れを通り越した笑いが込み上>>続きを読む
スナック感覚で軽く観られる青春ホラー映画。ケータイ小説が原作ということもあって、フリーホラーゲーム的なデジタルの感性が強く感じられた。特に目新しい要素はなかったけれど、テンポ感は悪くないので、観ていて>>続きを読む
僕のリテラシーが低いだけかもしれないが、純粋に退屈な映画だった。冗長なシークエンスの連続に意味や面白さを見出すことはできず、寓話としての皮肉やテーマ性も汲み取れないままに唐突に訪れる理不尽なクライマッ>>続きを読む
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物語を描く筆致が典型的な型にハマっていないのも良いし、それなりに印象に残る場面もある。ただ、いささか冗長に感じるくだりも散見され、一貫したテーマ性といったものも曖昧に思えた。キャラクターも全体的に身勝>>続きを読む
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原作は既読だけど特に印象には残ってなかった一作。最初の事件における女性の描き方に、なんとなく湊かなえイズムを感じた。個人的な憶測だけど、おそらく東野圭吾が直木賞の選考委員で関わったのが一因としてあるん>>続きを読む
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『ゲットアウト』『アス』に引き続き、既に完成しつつある監督の作家性を感じさせられた。散りばめられているであろうメタファーの意図は十全には汲み取れなかったが、序盤の敵の正体がわからない不穏さから、ラスト>>続きを読む
最凶の現代版『エクソシスト』。憑依された娘が徐々に変貌していく様子もさることながら、終盤における怒涛の畳み掛けとPOVを利用した演出には心から震えた。アジアのホラー特有の民俗学的な雰囲気にはやはり強く>>続きを読む
原作は既読だけれど、印象が割と違った。黒沢清監督らしいアプローチで、不穏な雰囲気は凄くいい。ただ、主人公の刑事が犯罪心理学に精通しているという割には激情に駆られやすかったり犯人を煽るという二の轍を踏ん>>続きを読む
生真面目な弟と暴力的な兄、ノリが軽くて美人な妹と仕事にストイックな姉、と正反対の同性のきょうだい二組の関係性をコミカルかつリアルに描く一作。キャラクターの作りがうまく、場面の積み重ねから感情を蓄積して>>続きを読む
実写版は見たことあったけど全く覚えていなかったのでほぼ新規の気持ち。作画が繊細で美しく、ふたりの関係性の描写も丁寧に紡がれていて良かった。生きることの難しさもありつつ、それでも助けてくれる人はいて、と>>続きを読む