むーんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

3.7

心霊系かと思ってたら違った。プロットは『マーターズ』と類似する部分もあり、やはり同じ監督の作品だなと思う。ただ、ゴシック調の館と人形で彩られた部屋という舞台が美しく、凄惨な暴力が一層に際立つ。90分と>>続きを読む

レミニセンス(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

海面上昇と戦争によって荒廃した街で住民は過去のみに救いを見出し、主人公は時間遡行の体験を売りつける--という世界観と設定は良い。ヴェネツィアを彷彿とさせるような水没した街並みの風景も美しく、地主は堤防>>続きを読む

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

アート系のアニメーション映画ではあるものの、ストーリーは意外と王道のSFだった。人類に代わって惑星を支配する種族のビジュアルが強烈で、作中の風景や生物、文化の描写まで、イマジネーションに溢れたアニメー>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

結婚後一度も夫と離れることのなかった主人公が夫の出張を機にひとりの日々を過ごすこととなり、旧友たちとの再会を経て感情が揺らぐ様を描く。会話、カメラワーク、人物造形、風景の全てにおいて凡庸で、取り立てて>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

いじめをうけている優等生の少女とチンピラの少年のボーイミーツガールもの。母親の借金を返済できない貧困な家庭環境から抜け出すために大学への入学を目指して勉強に打ち込む少女と、彼女を周りの迫害から守る少年>>続きを読む

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト(2021年製作の映画)

4.9

理屈を超えた面白さこそがエンターテイメント作品の極地だと、個人的には思っている。シナリオの構成が良いだとか、キャラクターの心理描写が良いだとか、そんな言葉に落とし込めないような、理性を超越して感情の核>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.6

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シャマラン監督作は設定の奇抜さが一番の魅力だと思う。それは今作の〝1日で50年分もの時間が経過するビーチに幽閉される〟という設定においても健在で、旅行客である主人公たちが子供たちの急速な成長を通じて事>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

原作は未読。序盤は頻出する性描写にお洒落な家屋風景、レコードにドライブ、謎めいた挿話、といかにもハルキ文学的な要素が詰め合わされてて苦笑すら漏れたが、やがて身近な存在の喪失という普遍的テーマと誠実に向>>続きを読む

砕け散るところを見せてあげる(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

竹宮ゆゆこ原作ということもあって、なんとなくゼロ年代のライトノベルの香りがするヒロイン造形と筋運び。虐待といじめというありがちな展開かと思いきや、ラストに一捻り加えてくるところは良かった。堤真一の好演>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園(2021年製作の映画)

4.6

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個人的には歴代のしんちゃん映画でも屈指の出来だと思う。まず、学園ミステリとして、本格ミステリのお約束を踏襲した演出に舌を巻かされる。一人一人のキャラクターや舞台設定、場面転換のテンポの良さまで、エンタ>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

 映像と音楽は暴力的なまでに圧倒されるので、劇場で観る価値はある。
 ただ脚本としての瑕疵は多い。まず、全体を通じて、動機と行為のつながりが薄く、なぜ登場人物がその行動に至るのかという意図が見えにくい
>>続きを読む

武器人間(2013年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ソ連軍がナチスドイツの占領地域に進軍したら武器と人間が合成されたやつらがワラワラ出てきて襲われるパニック映画。クリーチャーの造形は独創的だし、コテコテのB級感満載のノリも嫌いじゃない。あと普通にグロい>>続きを読む

オーディション(2000年製作の映画)

3.8

痛い。怖い。海外で高い評価を得ているだけ合って、ゴア描写は一見の価値がある。ただ、物語としては序盤から中盤がいささか退屈。不穏な空気を孕んでいるとはいえ、全体を通じてもあまり上手な構成とは思えない。痛>>続きを読む

マーターズ(2007年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

四大フレンチホラー(?)の一作らしい。目を覆いたくなるような痛々しい描写が多く、スプラッター的なグロさとはまた異なるエグさがある。『セルビアンフィルム』や『オールドボーイ』等の作品で耐性が付いていて良>>続きを読む

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

4.2

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痛みに寄り添ってくれる映画だと思った。どこまで現実に即しているかはわからないが、鬱というものをわかりやすく描いていたし、それを真正面から受け合うことがなかったからこそ二人の関係性が維持できていたという>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

4.0

ギャスパー・ノエ監督作品は初鑑賞。ダンスシーンの美しさ、そしてドラッグが効き始めたあとの第二幕の地獄のような光景に強く惹かれた。最高に不快な映画ではあるけれど、〝観る薬物〟とでもいうようなアトラクショ>>続きを読む

100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

原作の商法に関しては否定的だが、この作品に向けられる評価とは無関係だと思う。
タイトルのキャッチーさ、そしてSNSを利用したリアルタイム更新型のコンテンツだからこそウケたという側面はあるが、それ以上に
>>続きを読む

メランコリック(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

あらすじを一読した時、死体を清掃するアルバイトを任されるとう設定の大江健三郎の『死者の奢り』やテキストADVゲームの『肢体を洗う』を彷彿とさせられ、勝手にサイコサスペンスかと思っていた。しかし蓋を開け>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

殺人鬼役を演じるFukaseの存在感、そして彼自身がアートワークを手がける犯人宅の壁画は秀逸で、作品の雰囲気づくりの面において大きな役割を果たしていたと思う。
筋書きとしては王道のサイコサスペンスで、
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.5

原作は未読。まず、アニメーション作品として、独特な時間の処理やジャンプカットが多用されており、非常にテンポ良く心地よい。映像作品のクリエイターを題材としている作品だけあって、映像へのこだわりはひしひし>>続きを読む

殺し屋1(2001年製作の映画)

3.8

原作は未読だけれど、キャラクターのクレイジーさと拷問シーンの独創性に強く惹かれた。いじめられっ子が殺人者に変貌するといえば『ヒメアノ〜ル』だし、演出が過剰すぎてかえってグロテスクな感じがしないところは>>続きを読む

[リミット](2010年製作の映画)

3.0

イラクでテロリストに襲撃に遭って棺桶に生き埋めにされた男が方々と連絡を取って救出を要請する話。設定は悪くないし、終盤の畳み掛け方も嫌いではないけれど、いかんせん尺が長いせいで序盤のグダつきと中弛みが惜>>続きを読む

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

4.5

田舎に店舗を構えていたマクドナルドに目をつけ、全国へとフランチャイズ展開を繰り広げることに成功したレイ・クロックを描く伝記映画。目標に向けてあらゆるものを切り捨てる覚悟が残酷ながらも鮮やかで、成功者の>>続きを読む

名探偵コナン 緋色の弾丸(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

もはや謎解き要素を捨ててアクションに全振りしたコナン映画。それはともかくとして、リニアというシチュエーションを利用している割に、列車モノの特性(閉鎖空間の緊迫感、大勢の乗客を巻き込んだスリル)といった>>続きを読む

トランス・ワールド(2011年製作の映画)

3.5

低予算感バリバリの映像に対して、脚本はなかなか工夫が見られて面白かった。序盤の不穏な雰囲気や、事態の真相が徐々に明らかになっていく構成も良く、退屈はしなかった。

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

4.3

カンニングという題材にも関わらず、どこまでも緊張感に満ちたスリラーのようなつくりで、始終退屈することはなかった。スタイリッシュな演出は些か大袈裟で笑いを誘うようでもあるが、ちらりと顔を覗かせる貧富格差>>続きを読む

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー映画を鑑賞するのは『リメンバー・ミー』以来。王道が王道たる所以、というものを思い知らされたような気がする快作だった。設定、キャラクター、プロット、すべてにおいて高水準で万人に受ける作りをして>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.0

廃刊間際に追い込まれた雑誌を救うため--もとい、「面白いこと」を追求するため、編集長が謀略を巡らせる出版業界エンタテインメント。予告から期待していたような頭脳戦の要素は少し物足りなかったものの、大泉洋>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

静謐で美しい映画だと思う。
『Life Is Strange2』というゲームでは、主人公の母親が人生の桎梏から解放され、人里離れた地で生活を送っているという下りがあった。個人的には、「子供を捨てて自己
>>続きを読む

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

3.5

同監督の作品は初見。無宗教の日本人である自分ですら、多感な青年期に何か特定の思想を吹き込まれればそれを信奉してしまうかもしれない。それは過去の学生運動や、また、新興宗教団体の引き起こした事件を参照すれ>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 儒教思想とアメリカンドリームが通底する映画で、現代の日本人には我が事のようには受け入れ難い一面もあると思うけれど、小津安二郎監督作品的な家族の描き方は国境を超えて胸を打つものがある。決して起伏に富ん>>続きを読む