おてつさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

おてつ

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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

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ブラジルの辺鄙な村“バクラウ”の長老の死を境に村は地図から消され、上空には奇妙な飛行物体が現れる。序盤から奇々怪々で先行きが掴めないが、徐々に輪郭が浮き彫りになる。血で血を洗い、独自の共同体を形成して>>続きを読む

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

4.0

騒音おばさん、まさかの映画化。隣人同士の些細な諍いが徐々にマスコミやネット社会を巻き込んでいく。上辺だけでは判断できない人の温かさと真の強さ。無尽蔵に漲る明朗快活さと狂った社会に対する反骨精神が今日、>>続きを読む

ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

3.5

ミニマリストの女性の葛藤を描いた作品。断捨離という淡々とした行為に潜む繊細な人間模様と忘れ得ぬ思い出の形。捨ててしまいたい過去であっても他者からしたら捨て難い記憶。過去を振り返ることは足枷じゃなく新た>>続きを読む

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

4.3

アサド政権と反体制派。空爆止まぬシリア・アレッポで娘を出産した母は命懸けでカメラを回す。死と隣り合わせの修羅で際立つ命の尊厳と不可侵、そして愛と希望。罪なき人々が平然と失われる意味を為さぬ戦争に於いて>>続きを読む

AWAKE(2019年製作の映画)

3.0

棋士の道を挫折した清田英一はAI将棋のプログラミングに新たなる希望を見出だし、眠っていた力を呼び覚ます。人工知能に並々ならぬ熱い思いを込めた清田と一直線にプロ棋士の夢叶えた浅川陸の静かに闘志を燃やす対>>続きを読む

ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020年製作の映画)

3.0

前作、前々作未見。
ビルとテッドの大袈裟なコミカル演技も、突飛な設定・展開も全てが愛おしい映画でした。見通しの立たない現代にリンクする部分もあり、暗い世の中を明るく照らす力強いメッセージも込められてま
>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.7

 サッカーW杯優勝により人々の喧噪と雑踏に包まれ興奮の坩堝と化すフランス。それは、まさに平和の象徴だった。しかし、その背後では薄汚れた社会と政治に対する鬱屈とした負の感情が市井を蝕んでいた。ヴィクトル>>続きを読む

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

4.0

眠ると体外離脱し、狼に変貌するウルフウォーカーの話。自然と人間の苛烈な対峙を生々しく呈しつつ人間と狼という異種を共存する身体を持つ少女の苦悩と葛藤を描く。友情と愛情、そして種族を超えた融和をバイタリテ>>続きを読む

ホテルローヤル(2020年製作の映画)

2.5

北海道の釧路湿原を背景に佇む小さなラブホテルに僅かな非日常を求め、訪れる人々。波瑠扮するホテルの女将は彼等の悲喜交交の声を聴きながら、自身と家族に重ねて様々な思いを巡らせる。全ての人に存在する故郷にあ>>続きを読む

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

4.0

 デリヘル嬢と彼女達の世話係をするカノウ。鬱積した思いを何とかして消化するか、それともゴミのように捨てられるか…アンドロイドの様に世間の言いなりになってしまった彼女達は最低の人生を必死に踠きながら普通>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.7

 心の歪みを抱える男トラヴィスが嘗て心酔した女性ジェーンと再会を果たし、その別離までを描いた傑作ロードムービー。家族との失った時間を埋め合わせながら父親としての使命を全うする男の哀愁の美学とそれを際立>>続きを読む

スモーク(1995年製作の映画)

5.0

 ブルックリンの煙草屋を舞台に繰り広げられる群像劇。同じ場所の写真を毎日撮り続ける男、ある痛手から書けなくなった小説家、そして名前を偽る黒人少年。傍目からでは分からない彼等の人間描写と繊細な心情が煙の>>続きを読む

生きちゃった(2020年製作の映画)

3.0

 愛を伝えられない男と愛を渇望する女、そして愛を見守るもう一人の男。滾る感情を押し殺して自分を偽り生きることの難しさたるや。本音を言えないことで起こる負の連鎖や“生きちゃった”者達の物語を繊細かつ大胆>>続きを読む

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

4.1

 酸いも甘いも噛み締め人生のどん底から這い上がろうとする三匹の負け犬たち。彼等は己の矜恃を懸けて拳を交える。人々から“出来る訳が無い”と言われようと不屈の精神を持って何度も立ち上がる彼等の姿に感極まっ>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

車上生活を送るノマドの実像を描いた作品。“ホームレスでは無くハウスレス”と確固たる自我を持って先行き不透明でありながら同じ境遇の慈悲深き人々と共に生きる。過去を悔んで振り返らず、そして未来を憂えず、前>>続きを読む

アリス(1988年製作の映画)

4.0

ヤン・シュヴァンクマイエルの処女作。一般的に知られる『不思議の国のアリス』とは異なる奇々怪々で醜怪な世界。好奇心旺盛の少女アリスと凶暴なウサギの殺し合い。淡々な語り口に秘める底抜けの残虐性と映画として>>続きを読む

トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)

4.3

ペドロ・アルモドバル監督の感動作。植物状態になっても心寄せていた女性の側を離れない男性二人の愛の形。意識無くとも思い続ける男と自覚なく愛を一身に受けた女。合わせ鏡のように映る孤独な男二人に胸が張り裂け>>続きを読む

神々のたそがれ(2013年製作の映画)

4.4

地球から800年ほど進化が遅れている別の惑星では人間が神と崇められていた。知識を撥ね付け、泥沼に脚を取られた惑星人の醜悪さを息も付かせぬ緻密な退廃美で魅せる。全知全能であるが故の苦悶、そして愚陋を傍観>>続きを読む

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

2.5

 ジェントリフィケーションにより変化するサンフランシスコを舞台に思い出が宿る家とたった1人の親友を描く。貧困や格差、人種差別、そして唐突な無秩序を背景に祖父が建てた家を取り戻すという小さなゴールがいつ>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

3.0

 怪しげな宗教を信仰する両親が世間から奇異の目に晒される事で揺らぐ繊細な少女の胸間。今まで信じてきた物が正解か否かどうか、そして他人からどう見られ思われても根底にあるのは掛け替えの無い家族なんだと気付>>続きを読む

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

3.5

恋愛下手な恭一と彼に邂逅以来から思いを寄せる今ヶ瀬。偶然ではなく必然の再会が徐々に二人の関係性を成熟させる。“心底惚れるって全てに於いてその人だけが例外になる”、あらゆる恋の形はあれど今作では人間の性>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.5

 トランスジェンダーの凪沙と母親の愛情を知らずに育った一果の刹那にして宝物のような時間。今までアイドルの印象が強かった草彅剛を圧倒的演技で変えた作品。物語としては暗く重たいのだが二人の白鳥が本当の自分>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

3.5

 ガンで余命3ヶ月と宣告された祖母に会う為に中国へ帰郷する。死生観の相違を直接的に訴える優しい嘘と決して色褪せる事のない家族との真実の思い出。“人生は何を成し遂げたかじゃない、どう生きるか”一人の女性>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

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スペイン内戦が終結した翌年の1940年、フランケンシュタインを精霊と思い込んだ少女の虚実乱れる体験を描く。子供の視点で見る超越的な“死”という概念は静謐ながらも、何処か底抜けの奥深さを感じさせる。アナ>>続きを読む

ロード・オブ・ドッグタウン(2005年製作の映画)

4.5

全米にスケートボードブームを巻き起こした伝説のチーム“Z-BOYS”の内幕を描いた作品。貧困や毒親、子の成長を意図せず害す鬱憤を滑板で晴らす事の迸る活力たるや。時に栄光を掴み、時に挫折・別離を経験しな>>続きを読む

KIDS/キッズ(1995年製作の映画)

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自称処女を奪うプロのテリーとその相棒のキャスパー、テリーと一夜の関係にして捨てられたジェリーを中心に欲望溢れるNYのストリートキッズの実態を赤裸々に描く。容赦無い暴力と陵辱が生々しく、快楽に耽る男子の>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

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社会の繁栄から遅れた都市ロックフォードを舞台に苦しみもがく若者3人の12年間を映す。父の不在と確執、暴力と心の痛みの伝承、声を上げ逆境を乗り越える勇気…家庭と己の崩壊に個々人の心情を緻密に描きながら、>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

 『マネーボール』、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で2度のアカデミーノミネートを果たし、『21ジャンプストリート』や『スーパーバッド童貞ウォーズ』など多数の作品に出演しているジョナ・ヒルの初監督>>続きを読む

喜劇 愛妻物語(2020年製作の映画)

3.5

 年収50万の売れない脚本家でセックスレスの豪太と超毒舌恐妻チカの愛憎渦巻く夫婦道。徹頭徹尾、クズ男の豪太が1言うと10で論破するチカのマシンガントークが最高に痛快。“喧嘩している内が華”…倦怠期の夫>>続きを読む

ソワレ(2020年製作の映画)

3.0

役者で詐欺の共犯である男と父親にトラウマを抱える女の刹那的逃避行。

“消せない過去があるとしても、誰かの何かになりたい”、そう強く思う事で自分は変われる。村上虹郎のクズっぷり(パチンコうつ姿はクズす
>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

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映画体験の半分は音である…裏舞台で試行錯誤しながらも、見えない力を作り上げた偉大な映画人の話に震えた。ああ、やっぱり映像よりも音の方が重要だなと個人的に再認識した時間でもあった。映画好きならば一見の価>>続きを読む

ミラーズ(2008年製作の映画)

3.5

銃の誤射で停職となった刑事ベンは廃墟となった曰く付きのデパートで夜間警備をする事になるが…鏡の中の世界が現実を徐々に侵食するという主客転倒の設定を巧く使いつつ、『死霊館』のような超自然現象を織り込んだ>>続きを読む

ハイテンション(2003年製作の映画)

3.5

 勉強に専念する為に親友アレックスの家で週末を過ごす事になったマリーだが、前触れもなく現れた大男により事態は急変する…何よりも残虐描写が稀代な程に素晴らしく見惚れてしまうが突如、その恍惚状態から覚め衝>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

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武蔵野館で鑑賞。前の人の頭が邪魔で全く集中できなかった。こんど、また鑑賞する。

僕の好きな女の子(2019年製作の映画)

4.0

 脚本家の加藤は少し変わった美帆の事が好きだけど、その事を彼女にはどうしても言えない。直ぐに好きという本心を吐きたい気持ちと現状の関係を壊したくない胸間に生じる板挟みが友達以上恋人未満の淡く儚い物語を>>続きを読む