DONさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

-

人間至上主義から再び相対主義を経て、ニヒリズムへの帰結。
一杯のお茶のためなら、世界など滅びてもよいというドストエフスキーの言葉。人間至上主義とニヒリズムは表裏一体。

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編 始まりの物語(2012年製作の映画)

-

人間至上主義=魔法による救済から相対主義への転回。
清浄を求める心が、汚れた心を生むという一休宗純の言葉。

地獄の警備員(1992年製作の映画)

-

「セザンヌを85億で落札した」という長谷川初範の決め台詞に託された、黒沢清監督作品における社会批評性。

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

-

好きなウサギを好奇心と目的のために躊躇なく解剖する=殺す。その冷酷さが持つ「力」。

「男らしさ」=力という構図を幾重にも撚り合わせ、そのすべてが矛盾という一本の強靭な革紐として形づくられている。ジョ
>>続きを読む

音楽(2019年製作の映画)

5.0

素晴らしい。
沈黙は休符であり、歩くことはリズムだ。すべては流れゆく音楽であるということ。二度と戻らぬ青春という時間もまた然り。

ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

-

犯人=マクガフィンはどうでもよくて、状況と心理でぐいぐい見せる。一作目を踏まえていることで生まれる、二次創作的な面白さ。

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

-

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『ゼイリブ』と『レポマン』のMONDEポスター。

柄本家のゴドー(2018年製作の映画)

-

改めて、ゴドーほど演じることが困難な演劇はないと感じる。「演じる」ことの不可能性を演じなければならないということ。言い換えるなら、小手先とうわべで取り繕う役者などよりも素人が演じたほうがよほど面白い。>>続きを読む

小悪魔はなぜモテる?!(2010年製作の映画)

-

やはりエマ・ストーン出演作品の中でも最高傑作ではないかと。
父母役のパトリシア・クラークソンとスタンリー・トゥッチ、教師役のトーマス・ヘイデン・チャーチに校長演じるマルコム・マクダウェルといった脇を固
>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

-

クレイグ版ボンドが初登場したのが、自身も出演している『ミュンヘン』の翌2006年。翌2007年に『ゾディアック』、『ノーカントリー』があり、2008年に『ダークナイト』。9.11以降、善悪の境界が融解>>続きを読む

グッド・アフタヌーン(2017年製作の映画)

-

人から離れれば離れるほど、人を優しく見つめられる。そんな矛盾を可笑しさと悲哀を交えて描出しつつ、その遠く離れた場所で軽やかに踊ってみせる山本英の作家性。
ふと『ヤンヤン 夏の想い出』を思い出す。

BNK48: Girls Don't Cry(2018年製作の映画)

-

思慮深く、誠実でユーモア溢れる少女たちの「素顔」が映し出されるほどに、彼女たちのいる世界が資本主義の縮図そのものであることが伝わってくる。大衆の欲望に合わせて自らを演じること、つまりは「商品価値」であ>>続きを読む

ラスト・デイズ・オブ・ディスコ(1998年製作の映画)

-

徹底して極められた俗は聖へと昇華されることを証明しているアメイジングな作品。
クロエ・セヴィニーの魅力はもちろんだが、単純そうに見えて複雑繊細なケイト・ベッキンセイルが良い。

プラットフォーム(2019年製作の映画)

-

面白い。
「トリクルダウン」という胡散臭い経済理論が、いかに嘘っぱちで強者=勝ち組の論理であるかを限定されたクレバーな設定とグロテスクな饗宴で描いてみせる。

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

-

吉田恵輔監督の新規軸であり、丁寧な演出と松山ケンイチの非凡な才能が生かされたボクシング映画(とりわけ劇中でささやかなオマージュが捧げられている『キッズ・リターン』以降)の佳作であることを前提にしていえ>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

いやもうほんと凄い。
誕生と死をあのようなイメージで描いてしまうとは。始まりと終わりでメインキャストがまったく違う映画なんてあるのか。それでいいのだ。シャマラン天才。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

-

演劇によるメタ構造と演出法への自己言及は、『親密さ』以降の濱口作品お決まりのテーマでありパターン。「声=語り」と「聴くこと」のもつ力を映画内外に響かせつつ、最後は『ワーニャ叔父さん』の名台詞=「沈黙」>>続きを読む

いさなとり(2015年製作の映画)

-

〈いま・ここ〉の瞬間を捉えながら、そこに堆積した時間や文化・習慣をも包括しようとする、稀有な時間感覚が流れている。なぜそのような感覚や眼差しが得られたのかといえば、作り手がその土地に生きる人々へ敬意を>>続きを読む

VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

-

記号化されたものへの恐怖と嫌悪。その裏側にある記号化への憧れと欲望。

記号化されなければ意味も価値観も生成しない。だが、人間は記号化からこぼれ落ちるものとして存在している。テーマ自体は攻殻機動隊やマ
>>続きを読む

トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

5.0

リアリズムを一回りさせてアメリカの神話=ホラ話を現代映画に再生させんとするS・クレイグ・ザラーの才気がほとばしる一本。

『ブルータル・ジャスティス』がアメリカの夢と可能性を金と欲望に置き換えたクライ
>>続きを読む

オキシジェン(2021年製作の映画)

-

映画=記憶=複製物という肉体の痛みや心理、恐怖と愛情を描き出すアレクサンドル・アジャの巧みな演出。その核心は密室という限定された空間からどこまで飛翔できるのか、その想像力に賭けているところにある。

映画館の恋(2005年製作の映画)

-

この現実からは逃れられないと映画は言い、男はこの現実から逃れるために思考し、映画をつくる。

「僕の希望は、この映画が生きている何かと似たものになってくれることです」。