DONさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

逃げた女(2019年製作の映画)

5.0

我々は映画に逃げればいいのだ。ただそれだけ。

水を抱く女(2020年製作の映画)

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幻影と実存、東西ベルリンの歴史が背負った喪失と再生。我々の生と現実は、縫合されたその亀裂の上にかろうじて存えている。そしてその裂目こそが映画なのだ。

惚れ惚れするような厳密なショットと編集のリズム、
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わたしのハワイの歩きかた(2014年製作の映画)

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ラブコメをやりたいという設定がまずありきでの見切り発車感。

身分違いの恋愛という設定は、1930〜40年代ハリウッド黄金期のロマンティック・コメディの定石だが、それを日本映画においてどう描けるのか。
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婚前特急(2011年製作の映画)

5.0

傑作。俳優、アクション、タイミング。馬鹿馬鹿しくも寂しくていじらしいカリンバの音色とともに、すべてのリズムがグルーヴィな映画の魔法を奏でている。

旅行シリーズに代表される松竹喜劇のテイストを汲みとり
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

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これまでどうしても論理=台詞が先行していた感のある西川美和作品だが、初めてとなる原案小説と役所広司という俳優を得て、一段開けた視界に立っている。

言葉や台詞、答えや正しさではなく、ただ花を贈ること。
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ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)

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自縄自縛の罪と罰。自らが犯した罪を贖い、解き放つことができるのもまた自分しかいないという孤独と絶望の果てに、ニコール・キッドマンの瞳に映る光景が切なくも心憎い。叙述スタイルとテーマの見事な一致。内なる>>続きを読む

空に住む(2020年製作の映画)

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青山真治『空に住む』@丸ノ内ピカデリー。

相米慎二が亡くなってはや20年が過ぎようとしている今日、その遺志をもう一人の真治が継ぐことになろうとは思わなかった。

喪失と誕生。卵嫌いの岩田剛典と卵を宿
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ドリーマーズ(2003年製作の映画)

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初見はベルトルッチが甘っちょろい感傷とナルシシズムに塗れたぐだぐたな凡作という印象だったが、再見して少し見方が変わった。

これはベルトルッチなりの内省であり、富裕層で詩人である父親=大人世代への愛憎
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TENET テネット(2020年製作の映画)

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テープリールの順逆というリニア=アナログ感覚と、「終わりが始まり」でもあるノンリニア=デジタル感覚の融合。ノーランによる「レボリューション9」は、神であり悪魔である作り手の全能感と手練手管や差配、つま>>続きを読む

マーティン・エデン(2019年製作の映画)

4.5

ただただ素晴らしい。
あらゆるものを吸い込むルカ・マリネッリの眼差しと身体の何という官能。時折、挿入される(擬似)アーカイブ映像は、当初安直にすぎると感じていたが、カメラ目線でこちらに語
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シチリアーノ 裏切りの美学(2019年製作の映画)

5.0

圧巻の一言。

マフィアという組織とそこに生きる個人に同情するでも批判するでもなく、ベロッキオは彼らを檻や監視モニターの中にいる動物の生態を観察するように見つめている。だが、そのようなひとつ
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博士と狂人(2018年製作の映画)

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決して出来のいい映画とはいえないし、メルギブが撮っていたらこの50倍は残酷で歪んだ異形作になっていたのは間違いないが、それでも愛や贖罪、罪と罰といったメルギブ作品特有のテーマは通底している。

辞書は
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ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)

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骨組みや状況説明的な台詞が透けている粗拙さはあるが、ラストシーンの素晴らしさがすべてを吹き飛ばしてくれた。永遠は遠すぎるし、今ここは近すぎる。その両極を内包し、見渡すことのできるシント>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

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生と死。架橋と断絶。そのあいだを隔てる薄い皮膜の感覚。思春期とは皮膚の下にある異物の感覚を知ることであり、日々と世界が薄氷の上に建っているにすぎないことを理解すること。

だから互いの皮膜を
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

5.0

アメリカン・ハイスクール映画の最新形であり革命。息の合った主演2人の圧倒的な素晴らしさ。最高に面白い。

友達やめた。(2020年製作の映画)

4.5

人と向き合うことはとてもとても難しく、本当に勇気のいることだ。でも、ここにはあまりにも率直で、いや、率直でしか生きられない、率直であることがそのまま抵抗であり、存在の証しでもあるような、稀有な関係性と>>続きを読む

チャイルド・プレイ(2019年製作の映画)

4.0

チャッキーが可愛くないのも計算のうえか。不敵で不謹慎な感じ、良い。

15年後のラブソング(2018年製作の映画)

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物語上の主役はアラフォー女性のローズ・バーンなのだが、映画全体を通じて見ると影が薄い感は否めない。なぜなら、真の主役は彼女の脇を固める男性二人、イーサン・ホークとクリス・オダウドであるからだ。

かく
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