DONさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ライオン・キング(2019年製作の映画)

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あまりにも脚本が粗雑すぎる。映像表現のリアルさは、時折挟まれる「真顔」ギャグでのみ生かされている。

断絶(1971年製作の映画)

5.0

60年代の夢と幻想の残骸でできたアメリカ映画のひとつの極北を示す金字塔。

群集のなかを当て所なく彷徨う捨て猫のようなローリー・バード。目の前で人が死んでも眉ひとつ動かさないように思えるジェームズ・テ
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DARK STAR/H・R・ギーガーの世界(2014年製作の映画)

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「見るべきものは見て、やるべきことはやった」。こんな言葉を言えるのは天才だけ。ギーガー美術館とバーに行きたい。

ビリー・リンの永遠の一日(2016年製作の映画)

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傑作『アイス・ストーム』と同じく、アン・リーが敬愛するベルイマン的透徹した眼差しと、それを描く最新の映像技術を用いた方法論が見事に冴え渡った一本。ただ、リアリズムと戯画のバランスがややいびつな気もする>>続きを読む

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)

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上っ面だけを撫でたような皮相感。だがしかし、良くも悪くもそれこそが白石和彌という映画監督の本質であるように思う。
それはつまり、この時代と師である若松孝二に対する「憧れ」が映画づくりの原動力であるとい
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アラジン(2019年製作の映画)

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成り上がりと欲得、民衆とクイーン、自由と隷属というテーマが、階級社会英国出身のイケイケ成り上がり者ガイ・リッチーによって水を得た魚のように生き生きと描かれていて見事。
ハリウッドではまだ名の知られてい
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

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アメリカの歴史=西部劇を外部から批評的に見つめようとする作劇は評価するが、物語の骨子が粗雑なため、結果的に曖昧で中途半端な作品になってしまっている。
ゆえに魅力の半分も生かしきれていない豪華キャストの
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

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すべてが嘘ならば、その嘘を真実として生きるだけだ。嘘も真実も超えたところにある人生の受容と肯定。あっぱれ。

玉城ティナは夢想する(2017年製作の映画)

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私vs.私。相変わらず他者がいない。しかし、自閉したその独善性こそが支持されているのだとすれば、もはや何も言うことはない。

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

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EMIのレイ・フォスターに『オペラ座の夜』の構想を語る場面がそのまま本作のすべてを物語っている。つまり、観た人間の誰もが自分の物だと思える「体験する音楽=映画」であるということ。

しかし、皮肉なのは
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グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)

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ゴダールを知らない人には誤解させ、知っている人には嫌悪される最低最悪の映画。

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

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引きこもりの中年ボンボン男の結婚騒動。見る=見えない、聴く=聴こえない、コミュニケーションの不全といった映画話術のすべてをぶち込んだアイデアとカリエールの身体小技芸が光る一作。

よこがお(2019年製作の映画)

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現時点での深田晃司監督の集大成的作品であり、ゴッホでもモンドリアンでもないゼロの眼差しが露わになった作品。
空き家のようなその虚空の外に汚穢と悪意は澱み流れ、内ではただ風が吹き荒び、声ならぬ声が響き渡
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恋とさよならとハワイ(2017年製作の映画)

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ふたりの「好きかもしれない」。その「かも」のあいだにある恋愛の機微とゆるやかな減速を捉えた視点が秀逸。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

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「fall out」
《自動詞+ 副詞》
(1)外へ落ちる
(2)〔…と〕仲たがいする, けんかする 〔with〕
(3)起こる
(4)[well などの様態の副詞を伴って] 結局…となる
(5)【陸
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フライト(2012年製作の映画)

5.0

乱気流を切り抜けて一安心したのもつかの間、昇降舵の操作不能により、機体は「回復不能の危機的状態となり、安定飛行は不能」となる。もはやこれまでと、地上に別れを告げたかに見えた次の瞬間、機長デンゼルは本能>>続きを読む

獣人(1938年製作の映画)

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愛する女のために愛人を殺した男がいて、愛する女のために当の女を殺した男がいる。「私たちはもうこれ以上先へは進めない」というシモーヌ・シモンの台詞が予言するとおり、猛進する機関車から飛び降りるジャン・ギ>>続きを読む

汚れた血(1986年製作の映画)

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後のデジタル世代の映画作家と決定的に異なるのは、映画とは画と音の分断と結合によって構成された芸術であるという認識ではないか。まず画があり、そのあとに音がきた。

だから画と音が同期しているのが当たり前
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イン&アウト(1997年製作の映画)

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差別や偏見という固定観念の上に成立したコメディ。22年後の今ではもう成立し得ないだろう。「笑い」の持つ性質について考えずにはいられない。
デビー・レイノルズの天真爛漫な明るさと、ケヴィン・クラインの品
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オンリー・ザ・ブレイブ(2017年製作の映画)

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変わるものと変わらないもの。

動き焼き尽くす炎と、二千年前から静かに佇む不動の巨木の象徴性。
「火に包まれた熊」というイメージが持つ生=動と死=不動、その美しさに魅せられ、畏怖する人間の心。

人の
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万引き家族(2018年製作の映画)

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どれほど俳優の演技=身体表現が素晴らしかろうが、やはりすべてが監督のコンセプトと段取りだけ。噛んで含めるような説明台詞のオンパレードにはとりわけ辟易した。例えば、一家が捕まった後のテレビニュースのアナ>>続きを読む