けんざさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)

3.0

人間の価値が、自己研鑽のフィードバックとして得られるものなのか、それとも他者からの評価によって保証されるものなのか、と考えさせられる。

傲慢なミソジニストのヒギンズは、女性の価値観を自分の人生に持ち
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.9

本当に、本当に、心を掴まれた。
ブラックコメディという枠に押し込めてしまうにはあまりに惜しいエンタメ。
物語の始まりから終わりまで、目の前の出来事に笑い、怒り、悲しみ、最後には息を呑んで見守っていた。
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.7

試写会@六本木ヒルズ

デザイナーの夢を叶えるべく上京した田舎娘エリーと、歌姫を目指して夜の世界に足を踏み入れた美女サンディ。赤と青のネオンに照らされたロンドンは、美しく妖しい街へ変貌する。しかし2人
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.5

期待値がデカすぎたせいか物足りなさはあるけど、主人公2人のキャラがめっちゃ好き。殺し屋の日常描写に説得力を持たせる『ファブル』系のシナリオ、JKが殺し屋っていう意外性も下手したらクサくなりそうなのに、>>続きを読む

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

2.8

あんまハマらなかった。『ショーン•オブ•ザ•デッド』を観た時は凡なストーリーに落胆したけど、こうしてみるとエドガー•ライト&サイモン•ペッグのコンビは話の存在感薄い方が楽しめるのかなと思うし、コメディ>>続きを読む

3年目のデビュー(2020年製作の映画)

3.3

あれだけ不人気だったひらがなけやきが今や押しも押されぬ勢いになり、逆にシリアス路線で新規層からの人気を集めてた欅が消滅するなんて、人生どうなるか分からんもんだなぁ…

『3年目のデビュー』ってのがスト
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アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.8

名作と呼ばれる映画の共通点は、シンプルかつ洗練されていることだと再確認した。「マフィアと汚職に立ち向かう正義のヒーロー」って別に意外性はないけど、無駄なコマがないし印象的なシーンも盛り沢山で後味すっき>>続きを読む

アンテベラム(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『Get Out』『Us』のプロデューサーが手がけたということもあり、しっかり黒人差別ホラーの系譜を継いでいた。最近見た『ザ•ハント』にも設定似てたけど、風刺としてもホラーとしてもこっちの方が満足度高>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.4

既存ホラーで見たような展開ばかり、何となく『インシディアス』に被ってるしおもんねーなーとガッカリしてたら、後半怒涛の展開で一気に盛り返してきた。ジェームズ•ワンの大味な演出が良い方向に働いてた気がする>>続きを読む

ザ・ハント(2020年製作の映画)

3.1

上流階級のリベラルによる保守層の貧民狩り。漫画アプリの広告に載ってそうな安いストーリー。ポスターの煽り文句もセンスなし。

風刺としては、人種差別•階級差別•性差別の側面から何となく対立煽りしてるんだ
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.8

人々の営み、歴史、思想、行動様式のすべてに嫌気が差した。人間そのものへのアンチテーゼ。

胸糞悪さをカタルシスで打ち消せない、どんな結末を迎えても胸に残る重苦しさ。劇場が明るくなっても席を立つのがしん
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天使のくれた時間(2000年製作の映画)

4.3

うわ、全部想像通りの展開だったのに、思ったよりも食らったしジーンときてしまった。「人生で大切なのは金ではなく愛」ってこのくだり何回やんのよと斜に構えてたら、いつのまにか引き込まれてた感じ。名作だけが放>>続きを読む

恋する寄生虫(2021年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

2021年10月28日 試写会@神楽座 

トークイベントで監督も言及してたけど、美しい映像と音楽に彩られたプレイリストムービーとしての印象が強い。世界の終わりを連想させる破滅的な始まり、ダウナーで落
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.9

「物語はまだ始まったばかりよ…」

SF史に残るスペースオペラの古典が遂に最新映像でお披露目。今になってみれば、SWは本作の設定をキャッチーな形で流用してたんだなぁと分かる(皇帝vs王族→帝国vs反乱
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

3.5

期待しすぎたせいか、そこまでだった。戦闘シーンはグラフィックもアングルの動かし方も最先端って感じで興奮したし、CG技術の枠を結集したような映像に目が離せなかったけど、尺としては中盤と終盤に少し挟まれる>>続きを読む

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年製作の映画)

3.7

普通に面白いな。ガンダムは00かじった程度で全然シリーズの基礎押さえてなかったから、ある程度予習しといて良かった。初見でも概容は掴めるようになってると思うけど、ニュータイプの理解は難しい…

てか知っ
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良いビジネス(2017年製作の映画)

2.3

武器商人にとっての良いビジネスは、win-winではなくzero-sum

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.7

世界幸福度ランキング2位のデンマーク。充実した福利厚生や先進的な教育行政があり、私生活では16歳から飲酒が解禁される。浴びるように酒を煽り、毎日を謳歌する国民たち。その姿を見れば、苦労とは程遠い世界が>>続きを読む

オアシス:ネブワース1996(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

代表曲全部やって大団円を迎えた後、
「そういやRock 'n' Roll Starだけやってなくね?」
「ああ、あれは毎回ライブの最後にやるんだ」
ってノエルのナレーションからエンディングで流れ始める
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哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.7

こりゃまたアクの強い話だな。クライムサスペンスでもあり、サイコホラーでもあり、オカルトやゾンビっぽさもあり。本質は、聖書をモチーフにした人間の弱さの描写にあると思う。

〈 山間部の町で続く奇妙な不審
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百円の恋(2014年製作の映画)

4.0

30過ぎてフリーター実家暮らしの女が、引きこもってきた代償として痛い目を見ながら、ボクシングに身を捧げ生まれ変わっていく。

32っていう年齢設定が、何かに挑戦するには遅いようで、でもまだギリギリ間に
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.3

抜群に面白いんだけど長ぇ。屋敷での終盤戦以降もうちょっとスリムにならんかったんか。

と言いつつ、物語には引き込まれたし最後はスカッとした。西部劇はあんま好きではないんだけど、あんなカッコいい早撃ち見
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

想像の数倍良かった!VRとARを駆使して生成されたワールドは遊び心満点、アクションもド派手なビジュアルで盛り上がるし、何よりゲーマーのツボを抑える演出がいっぱいあって最高!『レディプレイヤーワン』を初>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

3.9

何でこんな寂しくならなきゃいけないんだろう。母親が腹を痛めて子を産み、反抗期と向き合いながら育てる意味。子供が幸せになってほしいっていう親の想いは、子供のためじゃなくて自分の人生を肯定したいってことな>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

奇天烈な展開、切ない後味と、シャマラン節全開のスリラー。物語はスッキリとして分かりやすかったし、恐怖演出も陳腐なものはなくて満足。

最後まで分からなかったのは2点。1つ目は、何でセダンは歳取ってない
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野火(2014年製作の映画)

2.7

エンタメでもお涙頂戴でもなく、ナマモノの戦争が淡々と進む。目の前で飛び散る兵士、蛆が湧き出す腐乱死体、人肉食への誘惑。本作にPG12を該当させた人は、子供にトラウマを植え付けようが知ったこっちゃないん>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

5.0

心が打ち震えて、熱い涙でいっぱいになった。
社会人1年目、しょぼくれた毎日を過ごしてる俺を勇気付けてくれて、本当に感謝してる。

スパイダーマン3(2007年製作の映画)

3.1

サム•ライミ3部作終わり。承認欲求とエゴに溺れたピーターの姿は見るに耐えなかった。闇堕ちしたヒーローは、何を考え、どの結末を選択するのか。

アメコミってヒーローよりヴィランの方が魅力的なイメージある
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スパイダーマン2(2004年製作の映画)

3.5

1のレビューでMJ良い子じゃんって書いたけど、やっぱ撤回するわ。嫉妬させたいんだか知らないけど、いろんな男振り回して迷惑かけて、結局「私の彼氏スパイダーマンなの😍」って浮かれてるアホにしか見えない。あ>>続きを読む

スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.9

アメコミは敬遠気味だけど、スパイダーマンは子供の頃から好きで何回も観てる。主人公の成長、ヒーローの葛藤、ヒールの2面性といった点に、どこか日本の少年漫画っぽさを感じてるのかもしれない。

よくブスヒロ
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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

3.6

下ネタ全開のお馬鹿ラブコメ!脳空っぽにしてげらげら笑ってた。アメリカのリーダーがご立派な環境政策を掲げるっていうのがリアル笑

良くも悪くも、というか良い面だけを見てると、アメリカって大らかで生きやす
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.2

戦争は綺麗事じゃない。同胞の分断、憎しみの連鎖、不条理な結末に、戦争の本質がある。だから、どんなにエンタメとして水を差すようなシナリオであったとしても、現実を突きつける幕切れにしか魂が震えないんだと思>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

2.7

『SAW』然り『CUBE』然り、この手のワンシチュエーションスリラーが好きじゃないのは、ゴア描写頼りの展開に「で?」という身も蓋もない反応になってしまうからなのだが、本作は格差社会や富の分配を明快に暗>>続きを読む

ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

4.8

『ハックルベリーフィンの冒険』と『リトルミスサンシャイン』を愛してやまない自分への贈り物。
優しい世界に泣きそうだよ。

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンから、夏の溢れんばかりのエネルギーを感じて眩しかった。共学の青春ラブコメっていう王道ジャンルを揶揄してはいるものの、ラストは直球ど真ん中のアオハルで爽やかな仕上がり。

時代劇オタクの女子高
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

非常に示唆深く、情熱的で、高次元の対話ドキュメンタリー。漫然と見ていると話についていけなくなりそうで、メモを取りつつ鑑賞した。そのメモから感想を書き起こそうと思ったんだけど、あまりにも思考がとっ散らか>>続きを読む