Cumaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.1

「すりガラスのように曇った過去」を眺めているような時間。

時制が明確ではなく、目眩く、或いはぼんやりと、物語の中で時が過ぎていく。

美術が圧倒的なのは言うまでもなく、物語のモチーフも文学的で印象に
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.3

「世界で最初に上映されたのは、黒人が馬に乗って走る映画である」

有名な「動く馬」の映像の黒人と馬を先祖にもつ兄妹が経営する、ハリウッドの牧場が舞台の映画。

冒頭では、空から降ってきた謎の落下物によ
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呪詛(2022年製作の映画)

3.9

想像以上にロジカルなホラー映画。
マインドコントロールを巧みに埋め込んでいるし、映像表現もトリッキーで、怖すぎて見たくないのに目を離せなくなった。

質の良いお化け屋敷をそろそろと歩きながら進んでいく
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.4

映像や表現の端々は好きだが、内容には全く共感できなかった。

冒頭の色と、アパートメントの窓がつながったシーンはとても好き。あとは主人公の恋人の、芸術と自分を切り離す発言が好きだった。

主人公のやっ
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.0

胸糞の悪い地獄のごった煮。

「100年後まで残らないもの」に全力になって消化されていく人たちが描かれ、登場人物にまともな人間がいない。

ちょっと出てくるエキストラや通行人までが、現実に居そうな塩梅
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.7

ただひたすらに苦しく救いのない映画。

映画というものは、映画のなかだからこそできる「ひとつまみの希望、もしくは絶望」のようなものが入っているべきだと思うが、この映画は、ただただ現実のような息苦しさが
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顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

4.1

旅と人生が交差していく。

炭鉱に残る人
先祖の写真
鐘を鳴らす男
街で暮らすカフェ店員
流れていくフランスの街並み
純白の塩の山
果物を貰う郵便配達員
焼き切られる山羊の角
落とされたトーチカ
過去
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

壮大な物語の序章。

脚本もアクションも衣装も美術も素晴らしく、ティモシーシャラメと砂の細かい描写もずっと見ていたいほど美しい。

監督の未来と過去、母親の描き方も「メッセージ」の頃から好きで、その要
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オールド(2021年製作の映画)

3.3

シャマラン、設定は魅力的なのにテンポが驚くほどに悪くてびっくり。

面白そうと感じさせる興味を引く展開が続くのに、なかなか核心まで辿り着かずだらだらと進んでいくため集中力が途切れてしまう。

それだけ
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創造的進化(2019年製作の映画)

3.9

音の不気味さと奥深さに引き込まれる。渦のように全てを引き込んでいく絵画による映像作品。

細胞の集合体のような、岡本太郎のような生命的エネルギーを感じさせられた。

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.1

ふたりが別れてしまった後から、一年ずつ遡ってその一日が描かれる映画。想像していたよりもずっと映画らしく、良い映画だった。

タクシー運転手の彼女と、照明技師の彼氏。

場面の転換や時間の移り変わりがす
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.8

小さな舞台かつiPhone撮影のなかで面白く綺麗に纏めていたのが素晴らしい。

ドロステ効果と時間の歪みを「2分」という小さな縛りが面白く演出している。

短い時間で楽しく観られた。自分が制作側だった
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犬王(2021年製作の映画)

3.8

平家の物語が語り継がれていくこと、またそこに物語がある。

歴史に名を残すこと、未来の人間たちはその名に自由な考察をして物語を作り、語られることによって存在があり続ける。

歴史に対する未来の人間の関
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ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)

3.6

汚い血まみれハリーポッター。

ちゃんとダンブルドア(白髭ヤク中ホームレス)とヴォルデモート(顔面タトゥーラスボスハゲ)も居た。

何一つ期待せずに見はじめたけど、普通に映像のクオリティが高くて銃撃シ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.4

人間の存在の間で発生する関係性、そして未来の話。

先へ先へと流れ続ける時間の中で生きている自分たちが、何と向き合ってどう過ごすのか。

過去を描いていたマイクミルズ監督が、描く未来についての話は、自
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.1

息苦しさに満ち溢れている映画。

もし自分が幸福ではなかったり、普通の生活ができる才能のない人間だったり、周りに理解者がいなかったりした場合、自分もあのような結末になっていたのではないかと思わせられる
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

3.9

ひとり深い森の中に立って、正体のわからない物音に耳を澄ませて探るような映画。

自分が死ぬときや、全てを手放したときに観たい一作。

記憶の中の音を探していく。音の記憶は持続しないらしいが、失ってしま
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恐竜が教えてくれたこと(2019年製作の映画)

4.0

地球最後の恐竜は、自分が最後の恐竜だということを知っていたのか🦕🌎

そんな問いの答えを探しながら、バカンスで訪れた島で、地球最後に一人取り残されても平気なように訓練をする主人公サム。その島でサムより
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.8

1カットごとがあり得ないほど美しいため、静かに蔓延する不安感の映画かと勝手に思っていたら、想像以上にスポ根フィジカルな場面が多かった。

森で見つけた卵を持ち帰り温める主人公の少女ティンヤ。幸福そうに
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.7

内容が悪い意味で完璧すぎるというか、全てのシーンが説明的すぎて入り込めなかった。

感情が予定調和のベルトコンベアに乗せられている気分で、映画に必要な欠けや澱みのようなものが一切ない。

家族とろう者
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エレファント(2003年製作の映画)

4.2

少しずつずれた時系列、無音の緊張感、均一にカメラに追われる生徒たちの背中、エリーゼのためにとその背中に重なるゲーム画面。鳥肌。

銃を持った彼らにとって、逃げ惑う被害者はただの均一な背中でしかないのだ
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

3.8

森の音がどこかで聴こえる。
自分もそこにいるような、遠くから眺めているような、何が存在していて流れているのは時間なのか。

ただただ、不思議な感覚になる映画。

高校生のときに友人に勧められたが、家で
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ANIMA(2019年製作の映画)

3.8

陰影の美しさをなぞるスタイリッシュな悪夢。

イギリスで過ごした青春がフラッシュバックした。

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.2

映像と音楽、この映画の中に詰め込まれた90年代半ばの空気感の全てに浸れて最高だった。

異邦人の自分はサンバーンの視点で、カルチャーの中に溶け込んだような気になる。

なんだか遠い夢を見ているように懐
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ローズ・イン・タイドランド(2005年製作の映画)

4.0

薬物中毒の父と母に育てられる主人公ローズ。そんな幼女が、初っ端からスプーンでヘロインを沸騰させて慣れた手つきで注射器を準備する画面のインパクトが凄まじい。

外界から遮断された彼女は、父と一緒にユトラ
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ランボー(1982年製作の映画)

3.8

ベトナム戦争帰りの哀愁と孤独
闘いは格好良いけど、ランボーが可哀想すぎるし保安官がしょうもなさすぎる……

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.0

熱と敬意と言葉。
現代では失われてしまったもの。

空間としての事物が支配していて解放区が必要だった時代。

三島は今の時代を見てなんというのだろうか、と思ったけれども今の時代で生きられないからあの選
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

3.9

20分のなかで全てを纏めているのが凄い、この短い時間にメッセージを込められるのか。

衝撃とともに、目を離せない一作。

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い(2015年製作の映画)

4.0

残すべき映像。ここまでして親ロシア派の大統領を引き摺り下ろして革命を成したのに、まだ闘いは続くのかと思うと果てがない…… 国の立地は命運を左右すると思った……

ウクライナの市民の心の力強さを感じる
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.7

なにひとつ観ていないはずなのに、情景が目に浮かぶ。鑑賞者の想像力だけで画作りさせる映画。

それはオペレーターのアスガーの心情と重なり、彼もまた見ていないものを想像し行動しているのが面白い。

音声と
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ルームロンダリング(2018年製作の映画)

3.6

出てくる幽霊がみんな割と物分かりが良くて面白い。スタイリングや美術やセットが観てて楽しい世界観だった。

スターリングラード(2000年製作の映画)

3.8

第二次世界大戦で最も死者数を出し熾烈を極めた独ソ戦のなかでも、激戦が行われたスターリングラードの映画。

ソ連軍の狙撃兵ヴァシリを主人公として、ドイツの凄腕の狙撃兵との戦いが描かれる。

ソ連軍は撤退
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永遠の僕たち(2011年製作の映画)

4.0

交通事故で両親を亡くし、自身も臨死状態となったイーノックは以来、特攻隊の幽霊ヒロシが見えるようになる。知らない人の葬式に参列するのが趣味の彼は、ある日葬儀の最中でアナベルと出会う。

作中には死の匂い
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愛の痛み(2020年製作の映画)

3.9

森と海、愛と暴力。
32分という短い時間の中にある、閉塞的な青春の美しさが余韻を残す一作。

各駅停車(1992年製作の映画)

3.8

1992年の8分間のショートフィルム、映像と構図が好き。