雑な編集や弱いプロットで特に強い印象を残すわけではないが、北海道脱獄旅とでもいうべく、寒々とした道内各地の冬の白い風景と高倉健の復讐がリンクする佳作。しかしよく見かける文太と高倉健が二人一緒に銃撃して>>続きを読む
『ハウリング』『狼男アメリカン』などの現代ウェアウルフ映画に先駆けた?本作だけど、千葉ちゃんは狼には変身せず、特殊能力といえば人体実験で開かれた腹の内臓がキュルキュルと自己治癒するくらい(このシーンは>>続きを読む
クソマジメな海洋研究者の拓ボンと原田美枝子のナイスバディを楽しむ、シリーズ中でも地味な一本。あ、イルカと会話する樹木希林もいるよ。ペーソスよりもいやらしさが先立つせんだみつおはトラック野郎には合わない>>続きを読む
『ドカベン』ほど突き抜け感のない則文センセーによる学園マンガ原作映画。「仮面の告白」真田広之の登場が少ないのが残念。パンティーはひたすら見られる。
ツッパッた不良ヘビーメタルも所詮は一瞬で散る花火のようなロック!なので東京のオーディションに落ちたら速攻で髪切ってサラリーマンにでもなるプレゼンスのギタリストに対してぶちキレるレイが最高。バハマのカル>>続きを読む
地底人(テザード)=特権階級の利益を構造的に下支えせざるをえない被抑圧者、社会的弱者、この話はそんな「彼ら」の計画的蜂起、と単純化するには伏線が多すぎて、少なくともあと2回くらい見る必要ありそう。『シ>>続きを読む
真っ赤なロングコートで実家を訪れようとする芹明香の寂しい佇まいは『津軽じょんがら節』の江波杏子を凌ぐ素晴らしさ。ひどいヒモから離れられないのは性というものなのか…。ただこの時代のセックスワークの実態を>>続きを読む
アメリカのプアホワイトの子供のキツさがラストの「夢の国」のコントラストで爆発する、見てて辛すぎるが素晴らしくバランスの取れた映画。現代の貧乏な家族・子供映画なら日本には『万引き家族』があるが、子供に犯>>続きを読む
ラグビー啓蒙映画だったんだろうが、ある意味では東映実録路線に連なる珍品。ピラニア軍団は普通の演技をするには尖りすぎてるので、怖い顔してマジメな演技しててある種異様な雰囲気。山本麟一が執拗にビンタするス>>続きを読む
森崎東を期待すると凡庸なのかもしれないが、春川ますみの登場はこのあとの『女生きてます』前哨戦で嬉しい、キャラは全然違うけど。
『吹けば飛ぶよな男だが』に続く寅さん前夜は、ハチャメチャすぎるハナ肇が収拾つかず、その横で谷啓は自滅して誰も救われず肥溜が3つ遠景で映る救いのない悲恋もの。陸軍海軍とまだ戦争のあとを引きずるような長い>>続きを読む
後の森崎東であればもう少し笑いに転化できたんだろうが、山田洋次には重すぎる話だったのだろうか。ここではもうド底辺チンピラのなべおさみがただただいたたまれなくて、その表情ひとつ見てるだけでこちらまで悲し>>続きを読む
ベビーが産声をあげて雪山野郎タウンの野郎どもが一斉に静止するシーンはまるでアンゲロプロスみたいだ!と言ったら大げさだが、ルチオ・フルチらしからぬ男の人情が入った変わったマカロニウエスタン。ただお産で死>>続きを読む
出てくる全員が話す不慣れな英語による全体的な安っぽさが、時間軸がめちゃくちゃでも成り立つほとんど意味のないストーリーと合ってて軽妙で面白い。母語じゃないとどうしても表現が直接的になりがちだが、それを逆>>続きを読む
身体一つしかない貧乏人たちの背後には警察や君が代によってまとめられる「国家」があるが、そのなかで血のつながらない擬似「家族」がそれらに逆らいながらひたむきに生きる姿にはウルウルさせられる。東映だが後の>>続きを読む
まばたきしない玉城ティナはとてもいいのにあまり登場しないのがもったいない。ビジュアル系の軽薄さはよく描けてる(ああいうものとしてバカにしてるのか、真剣に演出してあれなのかは知らないが)が、純度が低いと>>続きを読む
戦争の影をあっけらかんと吹き飛ばす渋谷実のこの重喜劇の裏テーマは、貧民と虐げられた女性なのかも。女性は医者にかかるようなことをさせられている、という事実の裏返しなのかもしれないが。
そんな中で淡島千景>>続きを読む
夏目雅子が悪いわけないんだけど、やはり梶芽衣子で見たかったな…(梶の自伝を読んで)。
ただスト潰しから労働者の味方に翻身する仲代は最低で最高!
野村秋介がどの程度関わってたのか気になるが、これみよがしな湿っぽさで悲しくなる映画。ラストの若山富三郎の老体も見てて辛いが(義の右翼ならあそこは身を隠して表に出てこない気がする)、226の描写もあまり>>続きを読む
原作はどうなのか知らないが(未完か)、机龍之介に救いを与えようとしてあの血のような笛吹川氾濫のラストはこの暗黒映画に合ってる。林の階段での萬屋錦之介との対決はもう少し見たかったけど、燃える屋敷をバック>>続きを読む
腕なし、怪力腕、女を襲う腕、女を抱きしめる腕、馬を止める腕と引き裂かれそうになる腕、腕腕腕。腕への執着サイレント映画。弁士&ギター伴奏付きで見たが、劇中のサーカス(これぞ見世物)内にもティンパニーが映>>続きを読む
「本土復帰」前の沖縄が舞台の和製『ワイルドバンチ』。植民地主義の継続はヤマトによる経済的支配という形で行われたことがここからもわかるが、それにしてもラストのやられたらやりかえせ感はかっこいいし安藤昇の>>続きを読む
原作未読だが、大正時代のハイカルチャーまとめてみました、みたいなある種の文芸ファンタジー。吉永小百合は何やっても吉永小百合なのでここに映るのはもちろん与謝野晶子ではなく吉永小百合。
実際の与謝野鉄幹は>>続きを読む
炭鉱労働は常に危険と隣り合わせだが、古い設備をそのままにした経営者が「どたんば」まで自分の保身しか考えず、また救援本部も「どたんば」まで真剣に救出を行わなず、90時間が経って突然現れた元同僚によって助>>続きを読む
前作より机竜之助の暗黒さは減ったものの(目が見えなくなったから仕方ないか)、それでもやはり血に誘われて女を泣かせる片岡千恵蔵のロウボイスは痺れる。それに翻弄されるまわりの人物も増える中で、東海道をつい>>続きを読む
こんなに動的で眠くならないストローブ=ユイレの映画があったとは! いけにえシーンの正面ショットはそのまま絵にして飾りたいくらいに造形も配置も完璧。
(こんな映画にも出てた)シャーロット・ランプリングが全部悪い。優しいカナダ先住民の殺され方がひどい。オルカの舞いが重宝。そしてモリコーネはもったいない。
終盤に進むにつれて二人の関係がまるで近親姦のような、「共依存」ごときでは説明できない密度になっていくのは圧巻。実際にこの親子の関係はいびつすぎて説明できないのだが。あんな母から息子はなぜ逃げない、なぜ>>続きを読む
貧民と研究に命を捧げた腕利き闇医者シガニー・ウィーバーということであればまったく別の顔にも「手直し」できるのだろうに(技術的にそんなこと可能か知らんが)、ミシェル・ロドリゲスにむりやり男装させる必要は>>続きを読む
後にリチャード・カーペンターに訴訟を起こされた、拒食症に苦しむカレン・カーペンターをバービー人形で描いたアバンギャルド伝記映画。描かれるリチャードは悪者なので、訴訟は当然といえば当然か。挿入される死体>>続きを読む
赤死病がサタニック・カルトの放蕩屋敷にやってくる! ニコラス・ローグの撮影も光るコーマンらしからぬ豪華重厚なゴシック映画。ラストのカラフルな死も素敵。石井輝男はこれ見てたんかな、地下牢のシーンはどこか>>続きを読む
脚本のアダム・サイモンは英国インクリングズの隠れ名作家、『万霊節の夜』のチャールズ・ウィリアムズの各小説を映像化しようとしていると10年くらい前に読んだが(本当に実現するの?)、この映画においてはウィ>>続きを読む
屋上からコンテナ?が落ちてきて同僚刑事の車がペッシャンコになるのと(同僚可哀想)、○○の○に入れた新型爆弾ドカンがどちらもスムースできれいなワンカットで素敵。小ネタはクスっと笑えるが、話の大筋はわりと>>続きを読む
映画館で見た映画はここには書かないんだけど、これだけは書かせてちょうだい。
青山真治はこんなクソ映画撮る監督だったっけ?こんなあからさまな「愛」や「家族」とかいう陳腐な言葉とイメージに頼るような監督だ>>続きを読む
変な映画を撮っては、いつもいまいち乗り切れないベン・ウィートリーもついにネトフリ製作で、おまけにあの『レベッカ』のリメイク……、と不安要素だらけなのであまり期待せずに見たが、彼流の思い切ったダイレクシ>>続きを読む
ラストの赤羽の廃劇場でボロクソに銃殺されるシーンのスクリーンの白さ。その後ひとりラーメンすする渚まゆみ…。