タイトルで損をしている。ビリー・ホリデイが合衆国政府と法廷闘争をした話かと思ってしまった。ビリー・ホリデイをよく知っているアメリカ人ならそんな誤解はしないのかもしれないが、かなり昔に亡くなったアメリ>>続きを読む
当方は聖書は読むが、クリスチャンではない。だから本作品のようなキリスト教礼賛の映画には若干の抵抗がある。精神の自由を毀損されるように感じてしまうのだ。
予想していなかった終映後の舞台挨拶は、例に>>続きを読む
なんとも切ない作品である。切なさという感情をそのまま物語にしたみたいで、観ていると胃のあたりがだんだん重くなってくる。泣きたいのでもなく叫びたいのでもなく、ただ悲しくて淋しくて苦しい、つまり切ないの>>続きを読む
誰かから問いかけられたら、その問いかけに対して必ず返事をしなくてはならないものだろうか。顔見知りからならまだしも、見知らぬ人間からの問いかけに、返事をする義務があるのか。
「聞こえとんなら返事せえ」>>続きを読む
コロナウイルスの地球規模のパンデミックは世界を変えてしまった。コロナ前と後とでは、我々の生活は明らかに異なっているし、コロナ禍が終息しても、元に戻ることはない。
コロナ禍以上に危惧されるのが戦争>>続きを読む
冒頭のシーンで疑問が浮かんでしまって、最後までその謎の答えを思いつかなかった。無差別の電子機器を通信で制御できるのだが、通信を発するのもまた電子機器である。ということはそのシグナルを飛ばした段階で、>>続きを読む
このシリーズは初めて観た。デンマーク映画を観ること自体も殆どないが、本作品は無条件に面白かった。
推理力と観察力と記憶力は抜群だが、それらが暴走しがちになるカール・マーク警部補と、カール警部補の暴>>続きを読む
ライオンが群れで生きていることはよく知られているが、群れが常に平和な訳ではない。子供のうちは親から面倒を見てもらえるが、雄は成長すると群れを追い出される。そしてサバンナをさまよい、別の群れを見つけて>>続きを読む
本作品の物語は常に現在で、時系列が移動することはほぼない。しかし現在は必ず過去に左右されるから、思い出やフラッシュバックのシーンがないと、登場人物の現在を理解し難い。その点では難解な作品の部類に入る>>続きを読む
途中から、何だかとっ散らかった映画だなと思いはじめた。どうやってまとめるのかなと案じていたら、とうとう収拾がつかないまま終わってしまった。もしかしたら、かなりの駄作かもしれないという思いを禁じえない>>続きを読む
邦画のB級作品である。ハリウッドのB級映画に比べるとかなりチープで、予算の差が歴然としているが、それなりに頑張って作っている。
ただ、無駄に長いシーンが多いのはいただけない。一時間足らずで終わる内>>続きを読む
有村架純が演じた主人公阿川佳代のことを、森田剛の工藤誠が「先生」と呼んだことに、何か違和感があった。北村有起哉が演じた上司みたいな人(保護観察官か?)も、佳代を「阿川先生」と呼んでいた。これにも違和>>続きを読む
レア・セドゥの素晴らしいプロポーションを拝めただけでも十分に満足だが、本作品にはアメリカ人から見たフランス文化への憧れのようなものが垣間見えて、微笑ましさが感じられる。
まずネーミングが面白い。町>>続きを読む
観ていてとても苦しい映画である。判官贔屓でどうしても立場の弱い3人の主人公に感情移入してしまうから、永瀬正敏が演じる畠山刑事が憎き敵に思える。ましてや暴力も不法侵入も脅しもなんでもありの無法刑事であ>>続きを読む
前から思っていたが、人は他人をカテゴリーに分類して、その特性を決めつけてしまう傾向にある。その一方で、自分が分類されて決めつけられるのは断固として拒否する傾向にもある。
カテゴリーの最たるものは国>>続きを読む
ビデオゲームの「バイオハザード」は大変な人気だったから、遊んだことのある人は多いと思う。かくいう当方も「バイオハザード2」の発売当時に、知人のプレイステーションで遊んでハマってしまい、自分でもプレス>>続きを読む
予想と少し違った。サイバー犯罪にサイバー対策のスペシャリストが立ち向かっているところに、ひとり場違いな引退間際のおっさん刑事が参加して、聞き込みと防犯カメラの捜査で成果を上げるのかと思っていた。
>>続きを読む
驚いた。これは現在の話なのか。
序盤を鑑賞した限りでは、50年前のインドと見紛うばかりだ。繰り返される家事の意外なほどのハードワークと男たちの非協力。労働に見合う対価などは当然のように何もなく、自>>続きを読む
邦題から、聴覚に優れた音声分析官が能力を発揮して原因特定の難しい事故を暴いてみせるヒーロー物かと思っていたが、流石にフランス映画である。主人公だからといって運がよかったり思わぬ助けがあったりせず、し>>続きを読む
不条理というより、これほどヒロインに対して容赦のない作品も珍しい。常に緊迫した状況で疲労と苦痛に苛まれる中、残った体力を振り絞って脱出を図るリサ。子供の年齢から察するに30代後半くらいと思われる年齢>>続きを読む
フランス映画「エール!」は当時上映中だった映画館で鑑賞した。歌の才能のある女子高生が家族の困難を乗り越える成功物語だったと記憶している。若い恋も盛り込んだ王道の作品である。
本作品はその「エール>>続きを読む
映画の冒頭から、夜の東京タワーに続く逆さの東京の夜景など、意味不明のシーンが多かった。廃校の通路の光景を回転させたり、意味なく匍匐前進させたり、無駄に長く池田エライザの歌を聞かせたりと、観るのが苦痛>>続きを読む
ここ数年だが、同性愛をテーマにした映画が多い気がする。LGBTに対する無理解を少しでも減らそうとしているのだろうか。
ところで日本ではLGBTは最近になって話題となっているが、LGBTそのものは>>続きを読む
下元史朗さんは、柄本佑が主演した映画「痛くない死に方」で、痛みにのたうち回りながら死んでいく末期の肺癌患者を演じたのが強烈な印象だ。観ているこちらまで苦しくなるような熱演だった。
本作品では、いか>>続きを読む
アダム・ドライバーは背が高くて見栄えのする俳優だが、どこかすっとぼけたところがある。いくつか観た出演作のどの演技にもそう感じられた。それはこの俳優の個性だろうし、いいと思う。
本作品も例外ではなく>>続きを読む
マルセイユの人口は87万人で、東京の世田谷区の91万人よりちょっと少ないくらいだが、面積は世田谷区の4倍もある。水辺は、多摩川に少し接しているだけの世田谷区に比べて、マルセイユは地中海に面していて、>>続きを読む
面白かった。AIの活用が多方面に亘るようになった現在であればこその作品である。ハリソン・フォード主演の映画「ブレードランナー」に登場するレプリカントと呼ばれる人型ロボットも人間そっくりに作られていた>>続きを読む
俳優陣がやや経験不足で演技が熟(こな)れていないように感じたのと、登場人物の見た目の経年変化が一切考慮されていない点で、作品としての評価はあまり高くできない。しかし物語としては面白い。男女がくっつい>>続きを読む
物語は前半と後半に分かれていると思う。前半は主人公が摩天楼の林立するニューヨークと思しき町にやってきて仕事を探し、ホームレスが集う場所を紹介されて寝場所にありつく話だ。盲目の牧師が演説するシーンが後>>続きを読む
クリント・イーストウッド監督のヒューマニズムがよく解る作品だと思う。
人の優しさは強さに担保される。強さとは勇気のことだ。人は人に優しくなければならないが、往々にして臆病風に吹かれ、優しさを捨てて>>続きを読む
平日の13時からの上映だというのに、ポレポレ東中野はかなり混んでいる。舞台挨拶が好きではない当方としては、まさか舞台挨拶付きの上映かと危惧したが、そうではなかった。ということは、作品自体に人気がある>>続きを読む
知り合いのアメリカ人女性は、死ぬまで日本で暮らしたい、アメリカに帰りたくないと言う。アメリカは安全ではないからだ。銃を持っている人が沢山いて、ホールドアップで金を奪われるのは日常茶飯事だ。おまけに自>>続きを読む
当方はロシア語はさっぱりだが、本作品の中でひとつだけ分かる単語があった。「ナロード」である。「民衆」という意味だ。たしか高校の世界史で習った。「ヴ・ナロード」で「民衆の中へ」となり、ロシア革命の勢力>>続きを読む
起承転結のはっきりした作品である。窪田正孝が演じた主人公谷村が勤める静かな議員事務所に、病気で倒れた川島議員の後継者として川島議員の娘が登場するが、宮沢りえ演じる川島有美は、更年期くらいと思しきその>>続きを読む
シチュエーションコメディである。佐藤二朗がカメオ出演している死んだ彼氏は、3年前から3人の女と同時に付き合っていた。しかし曜日を分けて、ひとりと会うのを週一回にして、それを厳格に守っていたから、女同>>続きを読む
警察は時としてカタギよりもヤクザを信用する。カタギは日常的に死ぬことをあまり意識せずに生きているが、ヤクザは常に、いつ死んでもいいと思いながら生きている。勿論カタギにも死の恐怖はあるだろうが、覚悟が>>続きを読む