りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 48ページ目

6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

4.3

リンクレイター作品のテーマ「時間」を、同じ俳優の成長という形で肉体の変化で見せる実験作であり、これぞ「アメリカ映画」。

アメリカの現代史やカルチャー史を背景に展開するのと同時に、アメリカの様々な「父
>>続きを読む

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(2015年製作の映画)

4.2

新学期が始まる3日前から始まり、新学期の最初の授業が始まるところで幕を閉じる本作は、その3日間で学生寮と離れた場所で野球部の仲間たちとバカ騒ぎし、可愛い女をナンパしてモノにし、名門野球部の練習も始まり>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

2.5

人間の愚かな行為をずっと見続けてきたヴァンパイア。
だからこそ、厭世的な生活をとり、
だが、生きていく上では、その人間に手助けしてもらわないといけない。

お世話になった人間の死。
ただし彼らはいたっ
>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

3.5

マッチを詩にしてしまうほど詩的感覚の鋭いバス運転手と、音楽を習ったりパンケーキで生計を立てようとする等、生活感がなく夢見心地な彼女との何気ない1週間を切り取った本作は、狭い狭い世界で出会う気心知れた人>>続きを読む

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

4.0

スクールカーストが異なる、現実の学生生活で交わることのない人間たちが、補習授業という目的から図書館に強制的に缶詰にされることで交わらざるを得ない状況を作り上げられ、そこでは組織ではなく一個人も一個人の>>続きを読む

ワインは期待と現実の味(2020年製作の映画)

3.4

将来に対しての父親と息子の確執と、そこに仲介役に入る母親や息子の恋人。息子はソムリエになる夢と家業を継ぐ現実とどのように折り合いをつけ、そんな息子の姿を父親はどのように受け入れるのか。幾多も描かれてき>>続きを読む

ホース・ガール(2020年製作の映画)

3.6

周囲と少しコミュニケーションを取るのが苦手な、でも魅力的な変わり者の女子が、勇気を踏み出してカレと付き合うことになり…という応援型ティーンムービーのような導入の物語は、徐々に歪な方向へと肥大化していく>>続きを読む

さびしんぼう(1985年製作の映画)

4.6

誰かを好きになる想いや記憶に囚われ、世代を経て連鎖していくという意味では、美しき尾道の風景に閉じ込められた不健康な作品であり、それは尾道三部作全てに通ずる。だが、その想いを引きずることは全く悪ではなく>>続きを読む

転校生(1982年製作の映画)

5.0

男女の心と体が入れ替わる。そんな摩訶不思議な現象を理屈にしようとするとSFになるが、大林宣彦はあくまでもファンタジーとして、理屈よりも意識の流れを重要視する映画作家である。本作はそこから他者への慈しみ>>続きを読む

ハロウィン(2018年製作の映画)

4.0

ブギーマンとジェイミーリーカーティスの40年の時を経た一騎討ち。世の中が最も浮かれている日に、狂人の妄言だと思われていた自分の言う通りになる興奮や高揚感と、奴の恐ろしさを知らずにナメている周囲への苛立>>続きを読む

ロスト・リバー(2014年製作の映画)

3.0

米国初の黒人のための公営住宅であるブリュースターダグラスハウジングプロジェクトが解体されると聞いたライアンゴズリングが、取り壊し前に建物を記録し始めたことが制作の発端となった一作。

街の荒廃の秘密が
>>続きを読む

恋の豚(2018年製作の映画)

3.8

ピンク映画のお約束は押さえながら、この世界の片隅に生きるマイノリティへの温かな視線と、コミカルな馬鹿馬鹿しさもありつつ、最後は爽やかな後味さえ残してくれるのは流石の城定クオリティ。

普通であれば、い
>>続きを読む

タイガーテール -ある家族の記憶-(2020年製作の映画)

3.6

台湾語、中国語、英語と3種類の言語が使用される本作は、あるひとりの男の生涯がいくつかのパートに分かれて描かれながらも、そのどこにも居場所がない悲哀と後悔が全編をじんわり包み込む佳作である。

幼き頃に
>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.5

馬という生き物は最も映画と相性のいい動物だと思う。そんな馬を映すのなら、おそらく夕陽を浴びてたてがみが黄金色に輝く頃合いがいい。だが、本作はそんな西部劇の光景を安易に踏襲することなく、早朝のまだ満月が>>続きを読む

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

5.0

スキンヘッドで強面の主人公が拉致された愛する妻とお腹の子を救うために、どんどん刑務所のヤバい奥地へと拳だけで殴り込んでいくという一直線の物語は、敵キャラの立ち具合含めてストリートファイター的なアクショ>>続きを読む

俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-(2008年製作の映画)

2.8

チリ毛のウィルフェレルとジョンCライリーが同じ画面で義兄弟として並び立つビジュアルがもう反則。ふたりが互いに向き合ったシンメトリーな構図の真ん中にタイトルが出てくる冒頭から期待値は上がるが、そこで頂点>>続きを読む

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)

3.9

冒頭とラストのモンシロチョウの使い方が、かの有名なひらひらと舞う白い羽に見える。若い頃の歴史上の人物との出会い含め相当「フォレスト・ガンプ」を意識した作り。

ここで泣いてくださいと言わんばかりの音楽
>>続きを読む

ベテラン(2015年製作の映画)

4.1

エンタメ作品でもイイ顔の俳優が志を持って演じる韓国映画界の厚みが羨ましい。

スリリングな話運び、キレまくりのギャグ、ド外道な悪役造形、まっとうな勧善懲悪など、「観に来た人を意地でも楽しませて帰す」と
>>続きを読む

哀しき獣(2010年製作の映画)

4.3

グナムは「諦めの悪い」男だ。
金も妻も追い求めようとし、その理想は現実を目の前にして粉々に打ち砕かれる。
罠に嵌められ、完全に追い詰められ、もはや死から逃れることができない状況においても、彼は何か「爪
>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

4.5

ナ・ホンジン監督の新作は「チェイサー」「哀しき獣」に比べれば分かりやすいエンターテイメント性は減じているものの、ミステリー仕立ての物語から観客も含めた人間の心の「不確かさ」を鋭く抉った傑作である。>>続きを読む

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.2

民主化運動で軍事政権を転覆された熱を帯びた時代。その熱が圧倒的強度となって観るものの心に 迫ってくる。運動家や学生だけでなく、検事、刑務官、神父、僧侶などなど、それぞれの勇気や正義の積み重ねがラストの>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.5

世界的名優ソンガンホの演技に心を鷲掴みにされる傑作。光州事件というデモを起こす学生への弾圧から一般市民へ無差別に暴力を振るった軍部の許されまじ暴走を描くものの、あくまでもソンガンホ演じるタクシー運転手>>続きを読む

ゲーム・ナイト(2018年製作の映画)

3.6

デヴィッドフィンチャー作品をはじめ、犯人が警察を試すように謎を散りばめた猟奇的殺人を繰り返すミステリーというジャンルがある。常軌を逸した主催者が、現実をゲームに変え、血祭りにあげていく。

一方でこち
>>続きを読む

無ケーカクの命中男/ノックトアップ(2007年製作の映画)

4.0

親になる覚悟どころか、大人にもなれていないセス・ローゲン。
そんな彼が、不意に赤ん坊ができたことで、父親にも大人にも成長せざるを得ない状況になる。
くっついたり離れたりのすったもんだはあるが、彼がだん
>>続きを読む

ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.5

ローラーゲームというマイナーなスポーツの魅力も伝えつつ、ひとりひとりのキャラクターとその中心に力強く立つエレンペイジの魅力、そして物語的な起承転結と締めくくりの爽快感。ドリューバリモアが初監督とは思え>>続きを読む

マダガスカル3(2012年製作の映画)

4.0

『マダガスカル』というシリーズは動物たちが、野生よりも文明で生きることを望む物語である。
だからこそ、1作目のマダガスカルよりも、2作目のアフリカよりも、本作の舞台となる世界中の大都市の方が、彼らは生
>>続きを読む