密度の高い脚本なのに詩情がある。ジョンフォードの作品はいつもそうなのだけれど、テンプレートに収まりそうな物語を画面がゆうゆうと越えていく。
弟の十字架を巡るワイアットアープの復讐、免許証の前で酒を煽る酔いどれドクホリデイ、人物を成り立たせているものはそれくらいなのに、酒場の喧騒やピタッと止む瞬間や隅っこへの収束がそこに加わって作品の隅々まで行き渡る。弟の死を嘆く雨が敵とすれ違うことで憤怒の雨に変わるとかシークエンスのつなぎもスマート。
役者が唄うハムレットの「to do or not to do」を引き継いでそのまま咳き込むやつも良かった。