架空のヨーロッパを舞台に、美少女スパイが東奔西走するスチームパンク。キャラクターデザイン・黒星紅白氏の丸っこく優しい絵柄もあいまって、一見いかにも萌えアニメ風な装いだ。しかしスパイものの醍醐味たるスニ>>続きを読む
「ガルパンはいいぞ」──その言葉に潜む無邪気な饒舌。
日々、稚拙ながらレビューというものに興じていると、作品を解体・解釈することが目的化し、「脚本」「テーマ」「撮影技法」「演技」等々の要素に言及する>>続きを読む
エンターテイメントの臨界点、あるいは陳腐な表現が捨て去ってしまったもの。
お花畑版『北斗の拳』とでもいうべき、核戦争後の過剰なまでに健康で文化的な「最低」の平和社会が本作の舞台。そこにほのかな窮屈さ>>続きを読む
ネオンきらめく、極彩色の欲望がたむろする街並み。その煙たいほどに薄汚い絵面と、プロットに操られるがごとく駆動して噛み合う登場人物たちの様は、意図された非現実の表出。すべての境遇は行動原理として以上の意>>続きを読む
鑑賞中、拭えない疑問がひたすら脳裏にこびりついていた。「この映画は誰に向けてつくられたのだろう?」と。
ファミリー向けにしては過剰にグロテスクで、大人向けにしてはあまりに起伏がなく粗雑な脚本。ゲームを>>続きを読む
1話・2話と新機軸で「ガルパン」の可能性を披露しながらも、折り返し地点で展開を想定の範囲内に「置き」にきたという印象。そのためこれまでに比してカタルシスは希薄。
しかしながら、"音"で魅せるアニメ映画>>続きを読む
数え切れないほど存在するB級アクションそれ以上でも以下でもないのだが、吹き替えの妙によってそのなかでも唯一無二の地位を確立してしまった奇妙な作品。
ぶっちゃけスルーしても映画人生になんら差し障りないが>>続きを読む
まず私は、エヴァについては新劇場版を序からリアルタイムで追っていること、TVシリーズおよび旧劇場版についてはその顛末を聞き及んでいる程度であり、そうした人間の感想だということを前置きしておく。
まず>>続きを読む
「ありふれた日々に潜むかけがえのなさ」を描き続けてきた『ARIA』シリーズは、例えば「優しい世界」などの言葉で広くカテゴライズされているアニメーションのひとつだ。15年という時の積み重ねによってついに>>続きを読む
ちょいとそこのお兄さんお姉さん、アイドルはお好き?ならよかった、「ナナスタ」知ってる?聞いたことない?そりゃぁアナタ、人生を半分ぐらい損してるよ!だからさ、ちょっと話だけでも聞いてってよ。ね?
まず>>続きを読む
今日もまたわれわれは、いくばくかの労力と金銭を犠牲にしてまで映画館に赴き、どうかくだらない作品でないようにと心の片隅で祈りながら席に着く。仮に恋人とのデートの場として、あるいは仕事をサボるための隠れ蓑>>続きを読む
"映画は「救い」ではない。救いとなる映画はあるかもしれませんが、救いが目的では絶対になくて、映画とは現在という時点をどのように生きるかということを見せたり考えさせたりしてくれるものです。"
前書きにそ>>続きを読む
本作が封切りされた2015年当時、TVアニメやアプリゲームの影響もあり、μ’sの人気はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いであった。
かくいう私もファンのひとり……というより、私が足繁くライブイベントに通うように>>続きを読む
実質、テレビアニメシリーズ2話分の構成。主人公・夏目のこれまでの境遇や周囲との関係もことさら語られることなく、ほぼほぼ既存ファン向けに割り切った内容だ。
加えて今回は、キーアイテムたる友人帳の出番さえ>>続きを読む
これまでの劇場版に比べてギャグもそこそこに、真の、一応の、おそらくの、ようやくの完結が描かれる。最終決戦まっただ中からストーリーが展開されるため、ここまでのあらすじを紹介する親切設計が施されているもの>>続きを読む
奇しくも先日、9年半ぶりの新刊が発売された『涼宮ハルヒ』シリーズ。その影響で書店に既刊が平積みされるほどには、本作のライトノベル業界とゼロ年代アニメ史における存在感たるや凄まじい。
そんな『涼宮ハルヒ>>続きを読む
「"さん"を付けろよデコ助野郎!!」
"中止だ中止!"
かつてはアニメファンなら知っているといった程度の作品だったが、あまりに出来すぎた偶然により、いまや最新技術を導入したシアターで上映されるまでに>>続きを読む
あの日あの時、魔法の存在を信じて疑わなかった。何者にもなれると根拠なき自信に満ち溢れていた──。時は過ぎ、世間の荒波に揉まれるうちに夢や希望を置き去りにしてしまい、「現実なんてこんなもんさ」と慰めるよ>>続きを読む
この世に分かちがたく存在する「持つ者」と「持たざる者」。自分こそ誰よりも恵まれていると断言できる人は、そういまい。さりとてわれわれは概ねそんな境遇をことさら嘆くでもなく、あるいはつとめて目を逸らしなが>>続きを読む
愛すべき凡人賛歌であり、ジャンルオマージュのお手本のような映画。
とはいえ当方、ゾンビものという映画史に君臨する一大カテゴリーに知悉しているわけではない。ただそんな私でも観て感じるぐらいには、単なるコ>>続きを読む
邦題のダサさと、いかにもなビジュアルからカルト的人気で支持されているB級映画──かと思いきや、その横溢するB級感がもはや甘美なまでの風味を醸成している、極上のB級グルメであった。
スタイリッシュな演出>>続きを読む
私は、映像技法についてさして詳しいわけではない。だから本作の評価で語られるようなカメラアングルやカット割りを饒舌に語ることはできないが、それでもいくつかの場面が脳裏に焼きついて離れないあたり、そうした>>続きを読む
われわれの生活は「音」に包まれている。特に都市部に住んでいると毎日が騒がしい。
大通りをひた走る車両、公園で遊ぶ子供たちに旦那への不満をわかちあうすママ友一行。グローバリゼーションが進んだ現代では、外>>続きを読む
小さくて決して高価ではないけれど、見るものの心を癒してくれる宝石──そんな眩い輝きの数々に彩られた作品とでも表せば、『ARIA』の魅力が少しでも伝わるだろうか。
ゆっくりと、ゴンドラが揺らす水面に生じ>>続きを読む
怒れる一人のジョン・ランボー。それは、貞子よりもペニーワイズよりもなお恐ろしい亡霊であり、自身もまた逃れられぬ悪夢にとり憑かれた哀しき生き霊でもある。そんな、意思を持つキリング・マシーンは放浪の末、前>>続きを読む
いわゆる「日常系」の偉大なる嚆矢であり、またそんな「甘ったれた理想郷」としての日常系世界の系譜をうみ出してしまった罪びととも言えるアニメ、『けいおん!』。TV版の放送当時、この作品の影響で楽器屋に足を>>続きを読む
──美しいもの。残酷なもの。
吹奏楽部を舞台にしたアニメーション『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品……といっても、ユーフォ本編が"剛"とすればこちらは"柔"、というぐらい作風が異なっている。ま>>続きを読む
レイシズムをテーマにいとも容易くふるわれる暴力を、20分という枠で劇的かつスマートに描いた短編──その構成力の点で唸らされるものこそあれど、人種差別のみならず様々な分断の裏にある現実を語るには、やはり>>続きを読む
なんとパワフルな映画だろう。
「息子の無実を信じて奔走する母」という単純明快なストーリーラインは、一見して本作が感動巨編であるかのような錯覚を人々に惹起させるであろう。いや、それもあながち間違いではな>>続きを読む
陳腐な"正義"が産んだもの。
実在の事件、「華城連続殺人事件」を描いた作品。正確には、本件をもとにした戯曲から作られた三次創作といえる。かの連続殺人は2006年に公訴時効を迎え法の下に裁くことが不可>>続きを読む
未見の人に問題。本作中に流れる下記のセリフ、○印の中に入る文字を予想せよ。
「でも○○○を守って死ねてよかった」
映画にしろ小説あるいは漫画にしろ、感想とは主観的なものだ。たとえば私は最近あまり単純>>続きを読む
どこへ続くとも知れぬ巨大な縦穴、「アビス」を巡るダークファンタジー。そのTVアニメシリーズの続編にして、本作でも屈指の話題性を誇る御仁"黎明卿"ボンドルドとの死闘が繰り広げられる。
すでにTV版を視聴>>続きを読む
「わがままでバカだな。わがままでバカだろ?」
「あたしって、ほんとバカ」
無垢なる少女の願いと、蠱惑的な人妻の魔性。一見、正反対のように思える両者が誘う場所はどちらも、引いて戻れぬ荊の道だ。つまり>>続きを読む
世界一ツイてない不死身の男ジョン・マクレーンが、カイル・リースよろしく人類救済のために孤軍奮闘する。
が、こちらのハゲはかの刑事ほど強靭ではなくむしろ狂人といったところ。産まれたままの姿で過去に現れる>>続きを読む
上手いなぁ。
多くは語るまい。
こうした才能や、映画館、映画文化そのものが消えてしまわぬようこの国が動いてくれることを、いち映画ファンとして願わんばかり。
日本人にも馴染のある海外アクション俳優数あれど、ジャッキー・チェンほど「愛されている」と評するに値する人物はいまい。その理由がこれ一本でわかる。
「法の下の平等」という建前と、それが時に巨悪すら庇護し>>続きを読む