榎木津さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

榎木津

榎木津

映画(402)
ドラマ(3)
アニメ(0)

ヴァンパイア(2011年製作の映画)

3.8

タイトルで損してる。SFでもホラーでなく、むしろ切ない映画。自殺者志願者の女の子たちに寄り添う孤独な主人公の憂鬱と矛盾。ロケーションもキャストも欧米人なのに、洋画とはまったく違うカメラワークは完全に岩>>続きを読む

ルーム(2015年製作の映画)

3.6

脱出の物語だと思ってたら再生の物語だった。確かに助かったからといって元には戻れない。これからも何度も苦しむだろうし、父さんの心の納めどころも見つかってない。絶賛する方には申し訳ないけれど、個人的には後>>続きを読む

リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

3.7

『リリイ・シュシュのすべて』の子供たちの15年後、という捉え方もできる長尺3時間。SNS頼りで何においても迂闊過ぎるヒロインが落ちて行きながら、リアルで出会った夢のような人たちと生きていく。
オチもカ
>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

3.7

ニューヨークのタラレバ娘のトレインスポッティング。男友達から「非モテ」認定されてる(そうは見えないけれど)愛すべき駄目女の疾走感。20代後半という絶妙な年齢のリアルさもいい。タイトルが最高で何が「ハ」>>続きを読む

四月物語(1998年製作の映画)

3.9

余白と余韻が気持ちいい秀作。短いのもいい。一度は遠慮した傘を、加藤和彦に出会ったおかげで、もう一度借りにいくとき走る、あの疾走感が彼女の全てだろう。あの後二人がどうなろうと、あの雨の日は忘れない。

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

3.9

「この映画はダメ男を判断する踏絵です」という評判の映画。こういう映画の評価が人によってまるで違うのは、その人がどんな恋愛を経てきたかのせい。自分でもきっとそうしただろう、という男のずるさを認めざるを得>>続きを読む

わたしに会うまでの1600キロ(2014年製作の映画)

3.6

『イントゥ・ザ・ワイルド』が好きだった方は是非、と紹介に惹かれたものの、まずPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)というものに馴染みがなくて思わずググった。1600キロと言えば、札幌-広島くらいあ>>続きを読む

TOKYO TRIBE(2014年製作の映画)

3.0

ラーメン共和国みたいなところで、ひたすらラップで暴れる糞映画。決して人には薦められない。でも愛すべき糞だった。ずっと昔に『爆裂都市』という糞映画があった。その系譜だとしたら愛せる。ブクロのキング健在だ>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

3.6

『ゼロ・グラビティ』を進化させ、『インターステラ―』よりユーモアに溢れる。誰も死なない、誰も悪い人がいない、綿密に計算された質の高いエンターテイメントで、きっとスターウォーズより楽しめる。
個人的には
>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

3.7

アメリカンな想像と違って戸惑ったけれど、ハッピーエンドでおもしろかった。最後に踊り出してまた戸惑ったけれど。

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(2014年製作の映画)

3.4

トレインスポッティングの子供たち、みたいなイメージで観たんだけれど、映画というより、ミュージックビデオだった。なので評価は野暮だろう、好きか嫌いかでしかない。ポップでカラフルで、服も全部可愛い。しかも>>続きを読む

6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

4.6

北の国から、という映像体験があるせいで、同じキャストで12年撮り続けたというのには驚きが少ない。その代わり、TVドラマと違って毎回事件が起きるわけでなく、ホームビデオみたいなもんでしかない。それでも映>>続きを読む

マダム・マロリーと魔法のスパイス(2014年製作の映画)

3.7

インド映画かと舐めてたらフランスを舞台にした真っ当な映画で反省した。また、見終わると確かにそうなんだけれど、このファンタジー映画っぽい邦題が良くない。マダムというより若いインド人シェフが主人公で、ほの>>続きを読む

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.6

タイトルで損してるかもしれない。夏の意味でなく、サマーという名の恋人との出会いから別れまでの500日を、時系列バラバラに並べた映画。恋愛においての運命とは、結局タイミングでしかない。でも、妙に心地いい>>続きを読む

天才スピヴェット(2013年製作の映画)

4.4

想像力豊かな幼い天才少年が、想像力豊かなゆえに苦しみ、家族の失ったもののせいでアメリカの田舎町からワシントンを目指す。天才の孤独と家族の再生。アメリの監督だけあって、映像も綺麗だし、ユーモアや毒も効い>>続きを読む

恋人たち(2015年製作の映画)

3.7

信頼してる人たちが薦めるので、ろくな事前情報もなしに観た。ひょっとするとタイトルで損してるかも知れない。愛すべき人たちを描いた人間賛歌。今まで眼を背けてたものを見せつけられる。この映画を重たいと感じる>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.4

Blue Sex、同性愛を描いた映画なんかで済ませたくないくらい、育ちや住んでる世界の違いが儚くて切ない映画。特徴的な顔のクローズアップを多用する撮り方も、わりと受け入れられやすいのは、心の弱さを至近>>続きを読む

花とアリス殺人事件(2015年製作の映画)

3.6

『花とアリス』のエピソードゼロにあたる中学時代での二人の出会いを描く。前作の世界が好きだった人には是非観て欲しい。タイトルが大袈裟で損してるけれど、中学生ならではの心の成長を描いた、ある意味ロードムー>>続きを読む

悪童日記(2013年製作の映画)

3.6

原作未読なので評価は気後れするけれど、好きな映画『ブリキの太鼓』と同じ裏ヨーロッパの独特な空気感がある。オスカルが成長することを決心したように、双子は繋いでいた手を離し、離れ離れになった。成長するとい>>続きを読む

バクマン。(2015年製作の映画)

3.7

同じ漫画原作の実写化でも、演出力・脚本力があれば、これだけ良くできたドラマにできるという好例。話を高校時代に絞ったことでいい映画になった。前後編は甘え。
ストーリーは王道だけれど、グッとくるところある
>>続きを読む

キングスマン(2015年製作の映画)

4.3

パグの命は人より重い。マナーが紳士を作る、とか言いながらめっちゃ人が死ぬ倫理観最低の映画なんだけれど、グロくないのが救い。意外とストーリーもちゃんとしてるし、無双アクションやブラックユーモアが散りばめ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

3.6

ここ夏のエンターテイメントとしては、最高だった。このシリーズは安定して品質が高い。誰にでも薦められる。トム・クルーズにはショーンコネリーみたいなじいさんになるまで演り続けてもらいたい。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN END OF THE WORLD(2015年製作の映画)

2.5

前・後編に分けるのは甘え。前編はわりと進撃の巨人だったのに、後編は平成ガメラの世界で、サンダ対ガイラの構図。しかも、主要な7~8人くらいのメンバーだけで話は進み、狭い世界のままで終わる。

これは原作
>>続きを読む

セッション(2014年製作の映画)

3.6

完璧な演奏を求めたがる時代が確かにあった。フレッチャー言うところのジャズが死ぬ前の時代だ。ここにあるプレイヤーズハイに共感できる人を素直に羨ましいと思う。

弾くことより、弾かないことを覚えなさいと、
>>続きを読む

天空の蜂(2015年製作の映画)

3.7

原作未読、キャストも含め事前情報なしに観たのが良かったのかもしれない。ここ最近の邦画の中では、最高に見ごたえあった。原発と自衛隊というタイムリーなテーマなんだけれど、ちゃんとエンターテイメントしてるし>>続きを読む

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)

2.9

実写化に関しては酷評する人もいるだろうけれど、個人的には悪くない。邦画の限界。それよりストーリーの改変に是非があるだろう。

アニもライナーもヒストリアもいない。キャスティングやストーリーの粗探しする
>>続きを読む

ターミネーター:新起動/ジェニシス(2015年製作の映画)

3.0

シリーズの3と4はなかったことにしたいファンのために、と言われたから期待してしまったけれど、逆に3と4を再評価する機会になってしまった。

シュワルツェネッガーを現役で使う、という課題が第一優先だった
>>続きを読む

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

4.9

近年の映画が忘れかけていた無駄で優雅なものすべてがある。ザコから小道具ひとつに至ってまで全てが濃い。それぞれに説明が足りなくてもストーリーも濃密で、ひとりひとりにドラマがある。

マッドマックスが創っ
>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.9

パークハイアットには二回泊まったことがある。この映画の通り、なんでも起こる得るような、まったくどうかしてる空間だった。外国人が撮るトーキョー。特にストーリーはなくても、いい試聴体験だったなと思える不思>>続きを読む

リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

3.8

壊れかけ家族の再生ロードムービー。大抵のロードムービーがそのように前途は多難だ。それでも、だからどうしたっていうのさ、という爽快感がある。6人それぞれのキャラが立ってるあたりも秀逸。切ないけれど、笑え>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

3.6

年齢を重ねることも悪くないけれど、最悪なのは、そうでなかった頃を忘れられないことだ。自己愛と妄想。アメリカンビューティーやファイトクラブが好きな人なら共感できる、男にとって痛く切ない映画。
「で、この
>>続きを読む

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

4.6

お互いに憤りながら、支配しようとし、傷つけ合うこと、それが結婚。たとえ修復不可能になっても、演じることで自覚が芽生え、見えてくる本質がある。メンがヘラした21世紀のトゥルーロマンス。

カップルで観な
>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

3.6

評価が難しいのは、米国人と違ってイラク戦争に対する意識が違うせい。愛国心より、仲間のために戦った、というのが真実なら、正義はお互いにある。カルマに苦しむのもアメリカの軍人だけじゃないだろう。そもそもイ>>続きを読む

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

3.5

近未来、人工知能OSに恋をしてしまう男のストーリー。究極のインターフェースは声。人形愛とは、逃避と自己愛のすり替わりなんだろう。
どうしても感情移入できなかったのは、果たして、主人公が人工知能の彼女に
>>続きを読む

マレフィセント(2014年製作の映画)

3.6

男の自己中心的な欲望の復讐に、娘に呪いをかける八日目の蝉。男と女に真実の愛はないし、あるとしたら生みの親より、育ての親にあった。こんなストーリーなのに、ちゃんとカタルシスがあるから流石ディズニー。
>>続きを読む

私の男(2013年製作の映画)

3.5

敗北という字に北が含まれているように、何故日本映画が描く極北は絶望的なんだろう。こういう映画は原作と比べては駄目だとはわかっているものの、お互いが求めてたのは母性、という表現が足りてなかった。血のシャ>>続きを読む