榎木津さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

榎木津

榎木津

映画(402)
ドラマ(3)
アニメ(0)

FAKE(2016年製作の映画)

3.6

これは映画でなく、ドキュメンタリーなので偏った主観が許される。善悪はそれぞれの立ち位置で見え方が違うというメッセージもあるかもしれないけれど、劇中での外国人ジャーナリストの疑問がすべてだろう。
ラスト
>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

4.5

凄まじい映画だった。サスペンスかと思ってたら、サイコホラーで、ラストは地獄の黙示録を思い出した。外部から入るものを排除しようとする村の集団心理が見せる幻覚。謎の男、祈祷師、謎の女、「お前は誰だ」との問>>続きを読む

チェイサー(2008年製作の映画)

3.7

油断して観たら面白くてびっくりした。猟奇殺人を追ったサスペンスなのに、序盤であっさり犯人が捕まってしまうあたりが新しい。同じ暴力映画でも韓国映画には、圧倒的な痛みがある。ストーリーも深さより、速さ。ハ>>続きを読む

銀魂(2017年製作の映画)

3.5

無駄にオールスターで、コスプレ丸出し、他漫画はもちろん、ガンダム、ジブリまでパロディ満載、なんだっけこれ?と思い出したのは、昭和の新春かくし芸大会だった。るろうに剣心、は狙ってない。そういう視点で眺め>>続きを読む

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.3

蒼井優演じるアズミハルコは最初から最後までちゃんといる。そして、もうひとりの高畑充希演じるヒロインとの別の時間軸、別のストーリーで進行していく。二つの世界をつなげるのは、JKギャングという若さのメタフ>>続きを読む

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

3.0

ブラックスワンをデヴィッドリンチ風にわけわからなくしたB級映画。リンチが好きだった頃なら評価できる映画だったろうけれど、この手の世界は、もうちょっとしんどい。ヒロインが周りを狂わせるほどの絶世の美女に>>続きを読む

パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊(2017年製作の映画)

4.0

エンターテイメントってのはこういう映画、という見本。しかも高品質。IMAXで観たおかげでディズニーのアトラクションを体験した気分になった。冒頭のアクションから、ありえないと呆れてしまうので、もうこの映>>続きを読む

オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)

3.6

ネイチャーものかと思ったら、特別な夜に起こったタイムパラドックスの話だった。SF、ファンタジー、アクション、ミステリー、家族愛、ベースボール、アメリカの好きなもの全部が詰まってる。説明もわかりやすく、>>続きを読む

東京ヴァンパイアホテル(2017年製作の映画)

3.2

エログロ、長すぎ、希望に負ける、園子温の悪いところが存分に詰まってる。でも、こういう人は日本の映画界に必要だ。

アイム・ノット・ゼア(2007年製作の映画)

3.0

6人の役者がボブ・ディランの6つの顔を描く、という私の頭の中のディラン的な設定が面白く、とても期待してたんだけれど、カタルシスもなく舞台を観てるような映画だった。ディランのことをもっと知っていれば素晴>>続きを読む

アデライン、100年目の恋(2015年製作の映画)

3.5

逆ベンジャミンバトン。事故のせいで、永遠に29歳のまま老化しない身体になってしまった不幸な女性の物語。愛しても別れを繰り返し、10年毎に住まいと名前を変えては、100年生きてきた。この映画は一時間経っ>>続きを読む

あと1センチの恋(2014年製作の映画)

3.7

1センチはキスまでの距離。なのに、こんなに長いスパンのラブストーリーだとは思わなかった。それだけ経てば、そりゃお互い綺麗なままじゃいられない。幼なじみが結ばれるまでのラブストーリー、と言うとよくある話>>続きを読む

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

3.7

朝、目覚めると別人になってしまう、というファンタジー設定。入れ替わってるー、でなく、恋人が年齢や性別、国籍、まったく別の人間になってしまう。日本ならきっとアニメでやるところを丁寧に撮ってるし、なにしろ>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.3

あと二回は結婚したい。学びはこれだけ。これ、みんなウディ・アレンだからと許してないか。風刺や深い意図があるとしても、シンプルにもっと映画として面白くないと。1930年代が舞台の誰も踊らないユダヤ系ラ・>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.1

ハリウッドっぽくないテアトル系映画。
単にLBGTの映画だとは思わない。果たして本当にシャロンはゲイだったんだろうか。母親の影響による性的な逃避、弱々しさからオカマと苛められて行き場を失った逃げ場に過
>>続きを読む

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

3.6

スコットランド版ふぞろいの林檎たち、その20年後。ここまで繋がった続編は珍しいくらい完全なる続編。前作は20年前なんで、一度観た方も90分程度だし、もう一度見返してくるのがお薦め。
この映画をリアルタ
>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

3.6

今劇場でやってるもうひとつのライオン。ハリウッドの実話ネタ好きは異常だけれど、そこで泣かせて欲しくない。メインの故郷探しより、前半のストリートチルドレン時代を丁寧に描いてる。そのせいで、個人的にグッと>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

3.7

残念ながら自分には引っかからなかった。でも絶賛するならもっと他の映画が、熱く批判するならもっと他の映画が、と思った程度で、きっと誰にでも楽しめるエンタメ映画。欲を言えば、という感傷はあれど、みんな夢が>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

4.1

人間と人口知能を持った機械との間のチューリング・テスト(イミテーション・ゲーム)と言えば、ブレードランナーを思い出す。裏切る一線を超えるか否かで人間の感情としての完成度を確認する。好きだという感情も、>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.4

三丁目の夕日、昭和19〜20年の広島版みたいなもの。繰り返し描かれる家族の食卓と迷惑でしかない戦争。日本の戦争が愚かだっただけで、僕らの祖父や祖母たちは決して馬鹿じゃなかったんだよなと元気が出る。ジブ>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.2

予告篇の「死んでから愛した」のコピーとは違った。亡き妻への想いを反芻するような物語でなく、再生という言い訳を探す旅。ある意味、震災映画。ゲスな男なんだけれど、他人の子育てを手伝うことで自分を見つけてい>>続きを読む

何者(2016年製作の映画)

3.6

リアルな新卒就活ストーリーを背景に、モラトリアムからの脱出と承認欲求を描いた映画。Twitter依存の主人公の失敗がある意味オチになっているので、そこで驚くか、あるあると苦笑するかで評価が違うだろう。>>続きを読む

恋の渦(2013年製作の映画)

3.6

総予算何十万?実験的映画かと思うほどとにかくしんどい。それでも我慢して30分観てると、だんだん引き込まれてくるゲスなドキュメンタリー。知ってる役者もいないせいか、すべての演技が自然で演出力に恐れ入った>>続きを読む

おみおくりの作法(2013年製作の映画)

4.0

WOWOWとかで、偶然こういういい映画に出会えると凄く得した気分になれる。ラストシーンは創り過ぎかも知れないけれどおかげで救われる。良いサイズの良い映画。

マジカル・ガール(2014年製作の映画)

3.6

複数のシチュエーション(人間関係)がカットバックされていくような構成って流行りなのかもしれないけれど、正直取っつきにくい。事前インプットなしで観たせいで、こういう映画だったのかと驚いた。最後にマジカル>>続きを読む

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

3.3

函館3部作の完結篇。と言っても孤高の原作者が自殺したせいらしい。この映画の評価は蒼井優のキャラを受け入れられるかどうかに掛かってる。壊れる女と壊す男。個人的には演出が足りなくて残念だった。あまりにも、>>続きを読む

SCOOP!(2016年製作の映画)

3.3

映画館で観られるよく出来たTVドラマ。実質、二階堂ふみが主人公みたいなもん。今ならスチルでなくビデオで撮れるのに、と昭和ぽいのは、1985年公開された映画のリメイクのせいらしい。傷だらけの天使や探偵物>>続きを読む

怒り(2016年製作の映画)

3.6

怒りの矛先は、いつも弱者へ。綾野剛、松山ケンイチ、森山未來という日本三大一重を揃えた時点でも素晴らしいのに、他の役者も濃い。広瀬すずもお飾りではない。さらにこの手の映画の中では抜群に映像と音楽が美しい>>続きを読む

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)

3.7

素晴らしすぎる予告篇に惹かれて観たんだけれど、バットマンやジョーカーも出てくる映画とは知らなかった。どうやら世界観は、バットマンvsスーパーマンの続きらしい。そのせいで敵がなんなのかを含めて、全体の構>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

4.4

新海作品は初。東京がリアルだったので、糸守町も実在する街だと思ってたくらいの事前情報なしで観たせいで、存分にストーリーを楽しめたし、いい余韻で終わった。声優もいいし、バンプっぽい音楽も良かった。アニメ>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.6

もうハリウッドからの権利だけで食っていくのかと思われてたゴジラを庵野に任せようと思いついた判断が素晴らしい。日本の怪獣特撮へのリスペクトと愛が溢れた映画なので、CGが〜なんて指摘するのは野暮だろう。年>>続きを読む

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ(2015年製作の映画)

3.3

そういえばスキーバス転落事故で半年公開遅れたんだよな、と始まった途端、バスが思い切りダイブして完全にアウト。思ったより音楽映画で、クドカンのロッキーホラーショー。グッとくるシーンも笑えるシーンも沢山あ>>続きを読む

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

3.6

濱田岳という押しつけがましくない傍観者の出現は日本映画の可能性をひろげてくれたけれど、恐るべしは映画初主演らしいV6の森田剛。死んだ顔でサイコキラーを演じられるジャニーズは日本映画の未来を期待させる。>>続きを読む

ズートピア(2016年製作の映画)

3.7

ズートピア観に行くなら絶対誘って、と言われてたくらい流石ディズニークオリティ。テーマを深読みする人もいるくらいだけれど、単純に吹き替え版で充分楽しめる。「こうあるべき」でなく「多様性」の祝福。個人的に>>続きを読む

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

3.5

原作ファンだし、辛口映画批評の人が高評価してたので楽しみに観てきたものの、個人的には微妙だった。ゾンビの頭を次々にぶっ飛ばすことに爽快感を感じる人なら楽しめるだろうけれど、食事前に観るにはしんどい。素>>続きを読む

きみはいい子(2014年製作の映画)

3.5

児童虐待のニュースは無責任な親ばかりを責めるけれど、彼らにもまた虐待された過去を持つ不幸があったかも知れない。この監督の前作『そこのみにて光輝く』は、不幸は連鎖する、だとしたら、愛情も連鎖する、ともう>>続きを読む