榎木津さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

榎木津

榎木津

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タンジェリン(2015年製作の映画)

3.7

フロリダプロジェクトに通じるLAのテアトル新宿系群像劇。前情報なしに観たので途中までヒロインたちがトランスジェンダーなんだと気がつかなかった。変な邦題が付かなかったおかげ。それでもマイノリティがテーマ>>続きを読む

チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

3.7

フロリダプロジェクトが最高だったので、この監督の作品を追いたくなった一作目。ラストシーンでえっ?と混乱した。どういうこと?って考えたものの、どういう風にも受け取れるという演出なんだろう。人物を切り取る>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.7

大人たちのエゴによって造られたメルヘンチックな安モーテルでおこる群像劇。
とんでもなく切なく愛しい映画で驚いた。真夏の魔法?邦題が悪すぎる。アメリカの貧困層が住む公団住宅をプロジェクトと呼ぶことがあっ
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.4

脳に損傷を受けたせいで笑いが止まらなくなるという障害の設定が秀逸。単なる貧困だけでなく、障害の元になった幼児虐待、その50年後の老老介護、上級市民との格差社会、香港を連想するピエロの仮面をつけた暴動、>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.6

絶賛してる人はタランティーノ作品が好きな人だけだと思った方がいい。これまで培ってきたタランティーノの悪いところが存分に詰まった作品。でも、最後の15分が最高なんでそれをチャラにできる。それくらい痛快で>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

3.7

最初、バードマンかと思った。“ボヘミアンラプソディの監督が贈る”みたいな宣伝文句でイメージしてるとミュージカルで驚く。違うのエルトン・ジョンの歌唱でなくアクターが唄う。それもハリウッドのレベルの高さに>>続きを読む

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)

3.0

楽しめるんだけれど、何故かスッキリしない。もうひとつくらいドンデン返しがあると期待してたらそのまま終わった。今作は笑いがある映画じゃないせいも大きい。何が足りないのか勝手に考えると、前作にあった映画愛>>続きを読む

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(2019年製作の映画)

2.0

ネットでざわざわしてるので確かめに観に行った。そういうものを作りたい気持ちもわかるけれど、ドラクエでやることじゃないだろう。レディプレイヤー1を見習え。
人のイノセンスを踏みにじるのが狙いだというのな
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天気の子(2019年製作の映画)

4.0

新海版『ライ麦畑でつかまえて』傷だらけの天使だ、と誰もツイートしてないくらいに年齢層を下げてきた。おそらく前作のご褒美で好きに作らせてもらえたんだろう。スポンサーの露出の多さが気になったけれど、楽しん>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

3.6

現実の事件を思わせる話題を盛り込むことで世に問う問題作。何もカタルシスはない。問題提起。自殺者も出たモリカケ問題、伊藤詩織さん事件、そう言った問題を鎮火させるために組織されている政府機関と新聞記者との>>続きを読む

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

3.5

女主人公だと思いきや、あれ?こういう話だったのか、と裏切られたくらい前作からのまさかの続編。とにかくメキシコおっかない、という残忍なシーンの連続なのにカメラのフレーム、トーンが無駄に美しい。いったい誰>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

3.8

90歳の運び屋。これを演じられるのは彼以外に思いつかない。老いに対する解答。自ら有罪だと告げたのは、家族に対しての罪。どん詰まりのようでもハッピーエンドの心地良いカタルシスがある。クリント・イーストウ>>続きを読む

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.5

アベンジャー化が始まったハリウッドゴジラ。できるだけ大きなスクリーンで観た方がいい。そうすれば人間ドラマやストーリーへの突っ込みは野暮だとわかる。とにかく技術的な意味での造形美が素晴らしいゴージャスな>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.4

平成ガメラシリーズの金子監督作品。ゴジラ、モスラ、キングギドラの三役揃い踏みシリーズは何作もあるが、この作品だけは異質。神話の守り神がキングギドラとして復活という設定。つまりゴジラが悪でキングギドラが>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.8

年齢を重ねるほど、男女の関係は告白から始まらない。そのせいで世の中はひとことでは言い表わせない関係ばかりになった。だから誰もがみんな心の拠り所と落とし所を探してる。

小説でなく個人ブログのような映画
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キングダム(2019年製作の映画)

4.4

三国志にははまれなかったのに、どっぷりはまった秦の始皇帝の物語。『るろうに剣心』並みによくできた映画化だけれど、原作を知らない人でも存分に楽しめる。これまでの日本アクション映画としては一世代若いキャス>>続きを読む

アンブレイカブル(2000年製作の映画)

3.4

ミスター・ガラスを観るための準備。好きな世界なんだけれど、残念ながらもっとうまく表現したウォッチマンや、さらにエンタメを加えた完成形ダークナイトを観てしまっているので少し物足りなかった。ただ、歴史的に>>続きを読む

女と男の観覧車(2017年製作の映画)

3.6

安定の二塁打を放つウディ・アレン節。誰だって、いつかは誰かが自分をこの場所から連れて行ってくれる、と夢を見る。それでも結局元の場所に戻るのが観覧車。50年代の設定だけれど、構図も映像も美しい。放火癖の>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.1

タイトルで損してる。ウインドリバーとは、今でも根深い差別は残るアメリカのネイティブインディアンが追いやられた土地。極寒のサスペンス。痛かったけれど面白かった。観て良かった。

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

3.6

HDR規格は4Kのためのものだと思ってたけれど、この映画はHDでHDR。白飛びせず、黒つぶれしない、一見古そうで最先端モノクロの圧倒的映像美。監督の自伝的映画で物語は淡々と進むけれど、ラストシーン、モ>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

3.7

ダンケルクを観たとき、歴史的背景を知ってればもっと楽しめたのにと後悔したけれど、解はこれか。タイトル&サブタイトルで損してるだけで、相当おもしろい。ただエンディングにカタルシスが足りないので、これでダ>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

3.7

仁義なき戦いの系譜、日本の伝統芸能のよくできたヤクザ映画。菅原文太みたいな役者がもういなくなったと思いきや、役所広司はじめ、もっと優秀な役者が育ってる。何故今この時代に当時のトーンを真似て撮るのかはさ>>続きを読む

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)

3.6

22年後の世代より、高校生世代に評判が良かったのはキャスティングのせいかもしれない。今の技術ならもう全員特殊メイクで老けさせて良かったかも。
モテキ以降の大根監督作品はずっと観てるんだけれど、この映画
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.5

貧しくアメリカの根深い差別意識が残った田舎町で、怒りが怒りを生む。その怒りの矛先の間違った連鎖。ろくな登場人物が出てこないと思っていても、それぞれの正義がある。痛みを伴う映画だけれど、ちゃんとカタルシ>>続きを読む

蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)

3.8

監督キャスト総入れ替えは残念だけれど、前作と比較しなければ相当おもしろかった。リスベットのハッカー度だけでなく、フィジカル的にパワーアップしていて、女版007的なエンターテイメント。ただこういう映画な>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

3.3

前作が残念だったのは原作と比べたせいかと思って今回は原作未読。しかし尻すぼみで未消化な印象だった。八つ墓村シリーズのような古典にもなれず、貞子のようなエンタメにも届かず、すでに韓国映画の『哭声/コクソ>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.6

音楽好きなら最高のカタルシスを感じるはず。ブライアンメイが、これは伝記映画ではないと公言したように、クイーンを知らない世代にも分かりやすく、上手に史実を演出している。とにかく、あのライブエイドの再現し>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.6

スピルバーグは名前貸しだけだろうとなめてたら、結構面白かった。あれだけの権利関係をクリアできたのは、スピルバーグの名前のおかげだろう。ターゲットの年齢層は実は意外と高いのかも知れないけれど、あれでシャ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

4.0

毎回期待を裏切らない面白さで感心する。今回は珍しく前作の純然たる続編。アクションばかりが話題になるけれど、ストーリーもよく練られていて、まんまと騙されたシーンがあった。もはやハリウッドのジャッキーチェ>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.5

信頼できる人たちの評判がいいので前情報なしで観た。テーマやメッセージなんて必要ない。ひたすら笑える上質なコメディー。冒頭30分くらいは、これインディーズ映画にしてはよくできてる、って意味なのかと不安に>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.6

実話だとは知ってだけれど他の予備知識なしに観たので、エンドロールでまたいつもの実写真とかが出るんだろうなと思ってたら、本編と同じ人がパレードしてたので相当驚いた。実際の銃乱射事件に巻き込まれた3人を本>>続きを読む

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.9

本当に単純な日本語タイトルで損してる。『ニキータ』を意識してるなんて言うけれど、一見よくあるストーリーも結構複雑だし、アクションは段違いに凄い。ラストのカーチェイスではきっと、この発想はなかったと驚く>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.8

高速鉄道の中でゾンビから逃げまくるというわかりやすいストーリーから馬鹿ゾンビ映画だと舐めてたけれど、相当面白かった。まず開始15分程度で走り出すので、これで2時間持つのかと心配になったけれど、最後まで>>続きを読む

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

3.7

土曜日の「おはようございます、スティーヴン先生」が最高。天才子役演じる天才数字者の話かと思ってたらそうじゃなかった。いっそどこにでもいる普通の娘で描いた方がもっとぐっと来たかもしれない。母性に対しての>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

3.9

万引き家族、ってそのまんま過ぎてタイトルで損してるのでは?と思ってたけれど、深刻で複雑なのは万引きでも家族の話でもなく、別のところにあった。
昭和何年くらいの設定なんだろう?と思ってたらスマホ出てきて
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.6

メキシコ怖すぎ。それぞれの立場が見えてくるまでとっつきにくい映画だったけれど、最後はちゃんと腑に落ちるよく出来た脚本の映画。たまたまアウトレイジを観た後だったので、ハリウッドのスケールのでかさが羨まし>>続きを読む