Tatsuさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

Arc アーク(2021年製作の映画)

3.9

原作未読。とりあえず安っぽい映画になってなくて安心。前半は身体性の抑圧と抵抗、解放についての話で、ここまでそれが前面に出てるのは視覚表現だからかなとも思い、原作ではどのように描かれてたのか気になる。後>>続きを読む

ボー・バーナムの明けても暮れても巣ごもり(2021年製作の映画)

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これ映画なのか。パフォーマンスとしては最高。まあこんなに笑いの罪に向き合ったり、自己批評ばかりしていれば、『エイスグレード』もトッド・ソロンズぽくなるわな。ネガティブハッピーな感性に今ならコミットでき>>続きを読む

モード家の一夜(1968年製作の映画)

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頭でっかちのくせに矛盾だらけで、積極的であることは一切なく、中々1人の時間が待つ部屋には帰りたくない。あまり映画の登場人物を自分だというのは好きじゃないし、言いたくないが、『緑の光線』にしろこれにしろ>>続きを読む

ヴェロニクと怠慢な生徒(1958年製作の映画)

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とても良い。生徒と教師の間に対話がしっかり成立しているし、そのテンポもいいのが素晴らしい。たった2回の家庭授業を切り取っただけでここまでの細部に溢れるのほんと凄い。

真昼の決闘(1952年製作の映画)

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久々に見てたけど、やはり列車に向かうグレース・ケリーを見送り1人佇むゲイリー・クーパーの虚しい移動ショットが、最も当時のアメリカ性西部劇への批評性として機能してるあたり、わかりやすくすごい。

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

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ATB映画。祝祭。夢のようなラスト20分は全カットが快楽。舞台裏のジャン・ギャバンはとても切なくも見える。

エマ、愛の罠(2019年製作の映画)

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昨年見逃したやつ。とても面白いし、色彩やカメラワークに誤魔化されてるだけで動線や視線とかめちゃファスビンダーぽい。正直、象徴化しようとしている対象は違うので比較対象にならないが、グァダニーノ『サスペリ>>続きを読む

悪魔のような女(1955年製作の映画)

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人物の部屋の出入りが異様に怖い映画。あと、オチのアレとかに宿る無機質なグロテスクさとか、心霊的なネタよりも、そういうフィジカルな描写の方に惹かれる作品。本筋は胸糞悪い話だったけど、心霊話を主軸とするの>>続きを読む

戦場よさらば(1932年製作の映画)

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ヘレン・ヘイズの顔を写したショットはどれも素晴らしいが、これはそこまでハマらなかった。ヘミングウェイだからか。

あの夏のルカ(2021年製作の映画)

3.9

凄く好き。展開自体は結構定石ではあるけど。様々なイタリア映画からインスパイアされてる感じが全編に出てるし、ここまでストレートなジュブナイルに仕上げてるピクサーも最近あまりなかったのではという感じ。ジェ>>続きを読む

ティングラー/背すじに潜む恐怖(1959年製作の映画)

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大好きなジョー・ダンテ『マチネー』の劇中映画元ネタ。あの映画のジョン・グッドマンはウィリアム・キャッスルがほとんどモデル。興行師としての映画監督。煽り方の手本。終盤は映画館で見ないと意味ないやつ。しか>>続きを読む

ラッキー・ユー(2007年製作の映画)

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カーティス・ハンソンこれも最高だよ。ギャンブル映画の傑作。エリック・バナがラスベガスの街の中をバイクで疾走するオープニングからもう100点。やたら傍にジーン・スマートとかマイケル・シャノンとか出ててビ>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

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キラキラすぎる室内照明(映画撮影所の見辛いほどの煌めき)や、ポップすぎる場面転換。カラーでやられてたら目が痛くなってたかも。

無頼(2020年製作の映画)

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これを見ると井筒和幸って完全に古い人になってしまったんだなと色々突きつけられる。多分今後、いくら日本映画界とはいえ、流石にもっとこの監督の居場所は狭くなっていくんだろうとは思う。あまりそういう人の作品>>続きを読む

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

3.8

キリアン・マーフィー泣き。脚本とか諸々は正直前作の方がよくできてると思う。何重にもカットバックされる煽り演出は最早意味性も何もないが、どうにかショット単位で連動させてこようとする。前作よりもセリフ量を>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.2

前作『サーチ』とは対になるような親子観を提示しているのは、確かに面白いけど、正直この監督、前作でも思ったけどあんまりサスペンスが上手くないよね。まずタイトル前のシークエンスのサラ・ポールソンの表情の見>>続きを読む

天国は待ってくれる(1943年製作の映画)

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最初の地獄の審問部屋の空間を贅沢に映すところから気持ちいい。テンポはかなり早くて見やすいしカラーも美しい。ろくでなし男の一代記がとても楽しく語られる。リッチさと軽薄さ。マジで好き。

バッド・スパイ(2018年製作の映画)

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アクションシーンは結構頑張ってるけど、ちょっとテンポが鈍重。序盤から主人公に状況説明されきっちゃってて、その巻き込まれ方に工夫がない。マクガフィンをぼかすくらいはして欲しい。ミラ・クニスとケイト・マッ>>続きを読む

ゴーストアビス(2003年製作の映画)

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リチャード・フランクリンによるダークファンタジーだったな。ホラーではない。実質『食べて祈って恋をして』と同じ話。猫との切り返しとモノローグ会話のリズムが異様。ラダ・ミッチェルのアザにズームから、タバコ>>続きを読む

悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス(1995年製作の映画)

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あまりにも早い映画。正直セルフパロディ的な部分は鼻につく。後半は『悪魔のいけにえ』っていうかフリードキン『キラージョー』みたいになってて最高。当時のレネー・ゼルウィガーとマシュー・マコノヒーは『バッド>>続きを読む

風と共に散る(1956年製作の映画)

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どうしてこうも一から十まで面白い映画が撮れるのか。冒頭の悲劇、風によって捲られるカレンダーから、そこに行き着くまでの物語が展開される。この流れの時点ですでに傑作。スポーツカーの疾走、階段落下とダンスの>>続きを読む

愛する時と死する時(1958年製作の映画)

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サークのこれまた傑作。空襲シーンがちゃんと怖かったり、結末が非情だったりして、めちゃくちゃダーク。

ロードゲーム(1981年製作の映画)

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冒頭の部屋の扉に佇む男の逆光が包むシルエットと、静かな時間の掛け方から、今回も無類に面白いリチャード・フランクリン。正直、主人公の不安定さは『サイコ2』よりかはうまくいってないようにも思えるが、やたら>>続きを読む

ピストルオペラ(2001年製作の映画)

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装飾応援に西川美和がいたり、特撮やタイトルバックに樋口真嗣がいるエンドロールが1番面白い。流石にこれを112分も見せられるのはキツい。最初の5分は傑作だと思うが、それ以降はスタイルの拗さが上回る。

教授と美女(1941年製作の映画)

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これやっぱり白雪姫がモチーフなのかな。身体的なリズムと、惚れる瞬間が丁寧に撮られていて本当に面白い。他作品のホークスにある即物的なサプライズは希薄で、そのかわりワイルダーによる丁寧なストーリーテリング>>続きを読む

摩天楼(1949年製作の映画)

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ゲイリー・クーパーとパトリシア・ニールの最初の感動的な上下の切り返しを、ラストでもう一度反復するところで泣くわけだけど、その直前の、エレベーターで上がっていくニールとたち現れてくる摩天楼のショットが本>>続きを読む

カポネ大いに泣く(1985年製作の映画)

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今見ると政治的にやばいところたくさんあるけど(KKKやミンストレルショーの描き方と、それを日本人が描くという倒錯)、行き当たりばったりな筋や様式化された人物の動きは紛うことなき鈴木清順で、心の底から楽>>続きを読む

真人間(1938年製作の映画)

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ラストが幸福すぎて泣ける。あまりにも有名なエスカレーター越しの手の触れ合いだけでも超感動的だが、所々、大胆な回想や、強盗に向かうギャングたちのシルエットのかっこよさなど、ノワール神のラングが顔を出す感>>続きを読む

クッキー・フォーチュン(1999年製作の映画)

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パトリシア・ニールの家の階段に差し込む光があまりに美しく、この映画のプロットホール的にも見える彼女の行為を肯定する。90年代以降のアルトマンの中でも鮮やかな傑作。

山猫(1963年製作の映画)

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その繁栄と衰退まで見据えているという点でも、素晴らしきパーティー映画。ニーノ・ロータの音楽ずっと聴ける。『地獄に落ちた勇者ども』のクライマックスの凄惨さと、今作のごちゃごちゃと集まる貴族階級の集いは、>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.7

テンポがバカみたいに良くて面白かった。でも、あまりに良過ぎて、ちょっと薄味な気もしないでもない。オデンカークの肉体に見合った切れ味よすぎない泥臭いアクションもとても良かったけど、ギミック満載のクライマ>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

3.4

前半の菅田将暉パートだけだったら充分な出来だが、警察周りのパートの落差が激しい。説明台詞が多くなってしまうのはわからなくもないけど、そこは上手くやって欲しい。日本映画の説明台詞って、説明しているからダ>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

3.7

普通に面白かったけど、それ以上でも以下でもない。覗き見るように、それ以外のものを排除するズーム、インターホン越しの切り返し、映画と、様々な見る/見られるの映画。数パターンほどの会話シーンがそれらの演出>>続きを読む

異教徒の旗印(1954年製作の映画)

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モブシーンは凄いし、カラーは相変わらず冴えてるけど、サークの中では相当落ちる。

サイレント・パートナー(1978年製作の映画)

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カーティス・ハンソン脚本。エリオット・グールドとクリストファー・プラマーの上下の位置関係と視線劇。素晴らしきエスカレーター演出。

すべてが狂ってる(1960年製作の映画)

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ラスト10分くらい神懸かり過ぎてて昇天。母親への嫉妬によってミソジニー全開に暴走する主人公。戦争の記憶、その上に立ち並んでいる都市。この時代特有のハイティーン暴走ピカレスクの傑作。