oさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

神様メール(2015年製作の映画)

2.8

神様の一人娘が、神様の身勝手さに嫌気がさして、人間達と共に新・新約聖書を作る話。

一人娘が集めるものがそれぞれ深刻な問題を抱えた人間達の個人的な物語であることが面白い。
夫との関係が冷めて家に招いた
>>続きを読む

勇者の赤いバッヂ(1950年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

南北戦争の最中、演習が連日続いて出撃を待ち望む仲間達のなかでひとり恐怖に怯えている若い北軍兵士の話。

兵士はやがて銃弾の飛び交う前線に突撃して称賛されるけど、その勇敢さは興奮によって我を忘れた状態と
>>続きを読む

太陽の墓場(1960年製作の映画)

3.2

華やかな都会の隣にあるドヤ街で生きる人々と愚連隊の話。

凶暴な男達を啖呵で威圧する炎加世子。
尖った眼差しが印象的。
対照的な性格の佐々木功に出会い、弱さや優しさに惹かれるけど、生き残るために別の道
>>続きを読む

狂った野獣(1976年製作の映画)

3.2

路線バスが逃走中の銀行強盗に乗っ取られて暴走する話。

乗り合わせた乗客の顔触れは多彩だけどストーリーはほとんど無くて、派手なカーアクションが続く。
川谷拓三の最期が良かった。

春原さんのうた(2021年製作の映画)

1.1

パートナーを失った主人公の日々の暮らしの話。

もう存在しないはずの人は生きているかのように目の前に現れて、生きている人を撮った映像は死者を偲ぶかのように投影される。
塩を使ったある儀式が行われて、塩
>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

イーストウッド演じる老いだカウボーイが、恩人の依頼でメキシコからその息子を連れ戻す話。

強さに憧れる息子は大切にしている闘鶏用のニワトリに「マッチョ」という名を付けているが、イーストウッドは頑なに「
>>続きを読む

ダーティハリー4(1983年製作の映画)

3.8

処罰されないまま平然と暮らす加害者たちへの復讐を開始した被害者の女(ソンドラ・ロック)と、その復讐事件を捜査する刑事(クリント・イーストウッド)の話。

罪が法律によって裁かれないことに憤るソンドラ・
>>続きを読む

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

3.3

ボストンの市長・市職員と市民の多様な議論を撮ったドキュメンタリー。

この映画のチラシに、監督の「ボストン市庁舎はトランプが体現するものの対極にあります。」という言葉が掲載。
でも、たとえば差別意識の
>>続きを読む

忠魂義烈 実録忠臣蔵(1928年製作の映画)

3.2

忠臣蔵の話。

主君も家臣も耐えに耐えた後に弾ける。
パッと咲いてパッと散る展開はやはり爽快。
大石主税役のマキノ正博が美形。

腑抜けた様子の内蔵之助は遊女の人形を拝み、真意を察して離縁を選んだ妻は
>>続きを読む

文化生活一週間/キートンのマイホーム(1920年製作の映画)

3.8

住宅の組み立てキットをプレゼントされた新婚夫婦の一週間の話。

組み立て方を間違えたまま完成してしまった家のいびつさも面白いし家全体を使ったアクションも凄くて最後まで楽しい。

不知火海(1975年製作の映画)

3.5

水俣病患者への1973年の補償協定の後の地域の人々を撮ったドキュメンタリー。

認定や補償は重要ではあるけれど、それらが実現した後も解決しない問題。
同世代の当たり前の経験から取り残されることを悲しみ
>>続きを読む

キートンの探偵学入門/忍術キートン(1924年製作の映画)

3.5

映写技師キートンは恋する娘に誤解を受けて落胆するが、映写している映画の中に入り込んで探偵となり、現実世界で自分が巻き込まれた事件によく似た事件を捜査する話。

冒頭では探偵に憧れて『探偵学入門』という
>>続きを読む

サンライズ(1927年製作の映画)

3.9

都会から来た女の誘惑に落ちた男が改心して妻への愛を再認識していく話。

粗筋だけ見れば伝統的な価値観に沿ったありきたりの展開だし、夫の2度の殺人未遂が結局は不問にされることも現在では違和感。
でも、そ
>>続きを読む

迷惑帽子/これらのいやな帽子(1909年製作の映画)

3.3

映画館の観客席、女性客のかぶった大きな装飾付きの帽子が他の客の鑑賞の妨げになり顰蹙を買う話。

シルクハットのような帽子の男性客もいる。

鑑賞マナー啓発映画。

リトル・ガール(2020年製作の映画)

3.0

出生時に割り当てられた性は男だけど自分を女の子だと感じている7歳の子どもサシャとその母を中心にしたドキュメンタリー。

当人が成人であれば自由な権利として容認されるはずのことも、子どもであるために認め
>>続きを読む

日曜日の人々(1930年製作の映画)

3.3

ベルリンの若者達が日曜日にピクニックに行く話。
素人俳優が主要な役を演じて、街頭ロケで撮影された作品。

中盤、ストーリーと関係のない人々を1人ずつクローズアップで撮っていて、それぞれの表情がとても良
>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.8

全3話のオムニバス。
この世界があるのは数え切れないほどの偶然の結果なのだから、この世界以外にも実現されなかった無数の世界がありえたはずだし、人の現実とはいま属しているこの世界だけではなく、想像の力だ
>>続きを読む

グレイ・ガーデンズ(1975年製作の映画)

2.5

ケネディ大統領に繋がる名家に属しながら、新聞にゴミ屋敷と書かれるほど荒廃した屋敷に2人で住む母娘のドキュメンタリー。

娘は自分の過去のいくつもの選択に後悔を持ち続けていてその原因を母に押し付けるが、
>>続きを読む

セールスマン(1969年製作の映画)

4.0

挿絵の入った豪華本の聖書を訪問販売するセールスマン達のドキュメンタリー。

訪問先では信仰心につけ込んだ巧妙で悪質とも言える営業トーク。幼児を抱えて薬代の余裕もない家庭にも執拗に購入を迫り、支払いの頭
>>続きを読む

ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)

2.1

周囲からの既成概念の圧力に晒されながら生きる境遇も年代も様々な女性達の話。

「孤独死のほとんどが既婚者なんだよ」

「彼女自身の輝きをずっと失わないでほしい」という言葉が原案エッセイにあって、この映
>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.5

ある男の1979年からの20年間の話。

1999年河川敷のピクニックから始まり、男の人生のいくつかの場面を時系列を遡って、1980年の光州事件、そして幸福だった1979年にたどりつく構成。

深作欣
>>続きを読む

複製された男(2013年製作の映画)

2.5

ある大学講師が観た映画の中に自分と瓜二つの役者を見つける話。

最初は大学講師から連絡を受けた役者が怯えるが、次に役者が大学講師を脅やかすという攻守交代の展開。

実録 私設銀座警察(1973年製作の映画)

4.0

戦争直後、暴力によって銀座を支配した愚連隊の面々とその協力者になった戦争帰りの男(渡瀬恒彦)の話。

暴力描写が強烈。
従来の任侠映画やこの作品と同年公開の『仁義なき戦い』では欲や暴力と同時にそれを抑
>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.1

十数年ぶりに故郷に戻り、忘れられない女を探し求める男の話。

「彼女の姿を見るとすぐに気づく。また夢の中なのだと。」

映画館で眠り込んで目が覚めると、現在の自分が別の場所にいて、あの女によく似た女と
>>続きを読む

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

2.3

1930年代のモスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨークの無関係な4家族の歴史が世代を超えた音楽とダンスへの情熱によって、1980年代ラストシーンの1つの舞台に収斂していく話。

戦争中の慰問先で暗い軍服
>>続きを読む

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

3.3

ニューヨークを舞台にしたポーランド系の移民集団に属する男とプエルトリコ系の移民集団に属する女の間の悲劇。ミュージカル。

『ロミオとジュリエット』の翻案。
『ロミオとジュリエット』の背景にあったのは貴
>>続きを読む

下郎の首(1955年製作の映画)

3.9

仇討ちの旅に出た主人に対する下郎の訥平(田崎潤)の懸命な奉仕、そして旅の途中で出会ったお市(瑳峨三智子)との恋の話。

お市は軍学者須藤の妾として町の一角で静かに暮らしていて、文字さえ読めない下郎の訥
>>続きを読む

御誂次郎吉格子(1931年製作の映画)

3.8

鼠小僧治郎吉の話。
逃亡中の治郎吉はお仙(伏見直江)と関係を持つが、やがて武家出身で清純なお喜乃(伏見信子)に心変わりしていく。

自分の境遇を理由にお喜乃を諦める治郎吉も悲しいけど、心変わりした治郎
>>続きを読む

忠次旅日記 御用篇(1927年製作の映画)

3.5

江戸後期の博徒、国定忠次の話。
それまで英雄として描かれていた忠次の人間臭く破滅していく様を描こうとした作品。

子分への信頼は崩れ、惚れた娘への思いも自分の境遇ゆえに叶わない。
失われることで一層輝
>>続きを読む

サウダーヂ デジタルリマスター版(2011年製作の映画)

3.0

深刻になる一方の不況の中で暮らす日本人、日系ブラジル人、タイ人の話。甲府市が舞台。

妻との関係も仕事も上手くいかない男はタイ人パブに通ううちに「タイに行ったことはないのにタイを懐かしく感じる」と言い
>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

1.3

趣味のよく似た2人のラブストーリー。

イヤホンの左右はそれぞれ違う音が流れてるけど違う2つの音が結びついて1つの完全な音楽になるように、好きな物の一致を確認して意気投合するだけではなく、2人の何が不
>>続きを読む

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

3.4

シンクロの選手のフロリアーヌ(アデル・エネル)、フロリアーヌに一目惚れしたマリー、マリーの友人で太った体にコンプレックスのあるアンヌという3人の少女の話。

セリーヌ・シアマ監督のデビュー作で、原題は
>>続きを読む

カランコエの花(2016年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ある日突然LGBTについての授業が行われた高校のクラスの話。
役者が男も女も瑞々しい。

少数派への理解を啓発するために行われた授業は多数派の持つ好奇心への警戒が欠けていて、
少数派を守るための主人公
>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.5

売れない俳優を続けながら鬱屈した生活を送る27歳の男が、高校時代の自分達の中心にいた佐々木という破天荒な親友を思い出す話。
佐々木 in my mind

高校時代、家庭環境に縛られて、子供と大人の
>>続きを読む

デイ・アフター・トゥモロー(2004年製作の映画)

3.0

突然アメリカに氷河期が訪れてパニックになる話。

主人公の気象学者が予言していた、温暖化が進行しすぎると寒冷な気候になるという可能性は本当にあるらしくて怖い。
(極地の冷たい海水は深層に沈みながら熱帯
>>続きを読む

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)

3.3

全3話のオムニバス。
3話すべて素晴らしい。
各話とも日常の中に非日常的な何かが現れてそれに遭遇した人間が正常さを失っていく話。

「恐怖と宿命はいつの世にもある。それゆえ私の語る物語に日付は必要ない
>>続きを読む