アイガーサンクションさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

アイガーサンクション

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グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇(2019年製作の映画)

3.5

太宰の情けなさと大泉洋のマッチングがハマっている。が、小池栄子のダミ声演技のヒロインがハマってるかどうかというと、ちと微妙ではあった。
物語は、戦後のお話ながら大正高等文学的な味わいもあり、かつ懐かし
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重力ピエロ(2009年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

重いが軽やかな映画だった。

重い家族の話を事件と絡めて、
エンタテインメントに昇華させている。

岡田将生がとかく魅力的。
春がニ階から落ちてきた、の出だしが最高。

飽きさせない展開で、音、映像、
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地獄の花園(2021年製作の映画)

3.6

思いのほかと言ったら失礼だろうか。
面白い!

本編中モチーフとしても使われていたが「クローズ」などのヤンキー物を女性版にして、「帝一の國」的なファンタジックなOL社会設定にした快作。
シスターフッド
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君は月夜に光り輝く(2019年製作の映画)

3.8

死にゆく者が生きゆく者に自分のやりたかった事の”代行”を頼む、という発想が良かった。
北村匠海と永野芽衣の演技が素晴らしいのと、
脚本での台詞の利かし方もまた素晴らしい。
この監督は脚本もひとりでしっ
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危険なプロット(2012年製作の映画)

3.7

面白い。

少年のプロットに引き込まれていく主人公と同じく、
観客も引き寄せられてゆく。

キェシロフスキ の「アマチュア」の8mmカメラに取りつかれて家族をも省みなくなっていく男の話のように、主人公
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サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)

3.8

映像美とその切り取り方が素晴らしく、
突飛な設定にスムーズに入り込ませてくれる。
演者も良いし、公開時、劇場で観ておけば良かってと思わせる映画。

ただ、バンドやっていた者としては、記録媒体をテープに
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悪人伝(2018年製作の映画)

3.7

最後まで飽きさせない展開で、しかも悪しきハリウッド的な悪役と攻守逆転の連続ではなく、捻ったエンディングの仕方でそれが味となっていて良かった。
マ・ドンソクは勿論だが、暴力刑事や連続殺人鬼(和牛のツッコ
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バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

3.8

ようやく観た。
カンニングを容認出来ないだけに、
テクニカルなところに主眼があるのかと思っていたら、そうでは無かった。
構成含めて魅せる映画。

透明人間(2019年製作の映画)

3.6

背景とか説明が殆ど無いのがいい。

荒唐無稽な設定を現代科学で理由づけするも説明過多にならず、サスペンスやSFホラー度を高める事に寄与している。

そしてエリザベス・モス演じる主人公がいわゆる美人とし
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.7

ハルモニが居てくれさえいれば、存在自体が尊いという、慈愛に満ちた作品。

アメリカの広大な大地に韓国移民の家族が越してきたところから、夫は夢を追い、妻は家族を想い反発し合う中で家族生活を助けるために韓
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.2

素晴らしかった。
20世紀初頭のアメリカの、一人の“石油屋”のクロニクルな映画だが、とにかくその映画表現に畏れ入りました。
石油掘削シーンのスペクタルな実現と、その事故シーンにおけるサスペンスフルな音
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太陽は動かない(2020年製作の映画)

3.3

「森は知っている」「太陽は動かない」の原作二作を頑張って一つの映画にした事、日本映画に類を見ないほど大掛かりなアクションを施した事など評価できる部分もある。
が、折角のアクションも過去と現在を交錯させ
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メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)

3.6

オダギリジョーと柴咲コウが最も輝いていた時の映画。
逆に西島秀俊は未だ野暮ったい。
田中泯はいつでもこの役柄でも変わらない存在感がすごい。死にゆく役柄をまさに体現する演じようで、寝たきりで柴咲コウと対
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映画 聲の形(2016年製作の映画)

3.9

孤独と絶望に寄り添い、そんな中でも生きる価値はあるんだと教えてくれる作品。

久々に映画で泣いた。

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.8

良い映画だとしみじみ思う。

兄の死から埋葬、新生活までを過去とともに描く。現代と過去のカットバックで、人物の内面に何が起きていたかを表現。

マンチェスターの海と街の風景が、辛い心情とともに染み入る
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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年製作の映画)

3.7

なかなかに良かった。
まず高畑充希の演技がいい。テレビでよく観るフワッとした役柄でなく、言うこと言うハッキリした娘を小気味良く演じていて、見違えてしまったのと、ちょっとしたニュアンスの演技が上手いと唸
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すーちゃん まいちゃん さわ子さん(2012年製作の映画)

3.5

シスターフッドものとして、今公開したらもっと理解が得られるような気もする。2013年公開当時としては、荻上直子的なスローライフ映画の系譜にある作品として位置づけられ、それが飽きられていたタイミングでも>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.5

予告の映像が粗く見えてしまって、全く期待しておらず、シスターフッドな作品とインタビュー記事かなんかで目にして、それならと初日に鑑賞した。

失礼ながら、期待度低かった分、思いのほか良質な作品だった。ス
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かくれんぼ(2013年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

他人の家に潜んで、その家を乗っ取るという発想自体は、「パラサイト」の前だし面白いと思う。

ただ、この映画の脚本は面白くない。
主人公にはとにかくイライラさせられるし、お話が都合よすぎで、
奥さんは何
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イコライザー(2014年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

静のアクションというか、
抑制されたサスペンスアクション映画。

スーパーで働く初老の男が実はCIA上がりの凄い男で、ロシアンマフィアに手籠にされている若い女性を救おうとする話。

最後まで目が離せな
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

2.9

シンデレラをモチーフにブラックに描くのは良いが、最終的な主人公の持って行き方が面白いとは到底思えない。

その為、無駄に長く感じた。
主人公が踏切に行ってからが長い。

演者は良かった。特に石橋凌と山
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

本映画はお尻を観る映画である。
三上が出所する時の着替え、福岡でのソープ嬢と三上がバスタブに座ってるシーン、津乃田と三上の温泉でのシーン。2ケツが並ぶ二つのシーンが良くて、特に、津乃田の言葉に三上が背
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

名大前から調布多摩川あたりの京王線沿線の風景は、学生時代から30代前半までいたのでとても懐かしく感じた。
そして、カルチャー好きな大学生が社会人になって、それらを忘れるようになって、自己啓発本や「責任
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樹海村(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

このジャンルで117分は、一言で言って長い。
ホラーに徹するなら、90〜100分以内に纏めないと2時間弱の尺は観る側が辛い。

樹海生配信シーンなど導入の展開は引き込まれたし、伏線の貼り方は上手いと思
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

導入から丹念に、しかし鈍重にならないよう描き、異文化に絡め取られてゆく外国人の様と、伝承してゆく側が彼らにとっての異人を取り込んでゆこうとする、“正気の狂気”の映画。

映像と音楽、編集は素晴らしいし
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.8

苦境に喘ぐ出版業界のなか、大手出版社の裏側とともに文字通り騙し騙されのストーリーが繰り広げられ、魅力的なキャラクター群が跋扈するエンターテインメントと言っていい。良い意味でコマーシャリズムな映像の切り>>続きを読む

繕い裁つ人(2015年製作の映画)

2.7

ひたすらタルい。
104分が140分くらいに感じられた。
マスターベーションにしか思えない。

映像や洋裁の美しさは目を瞠るものがあるが、ただそれだけ。
中谷美紀は職人として適役だが、魅力的には見えな
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チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話(2017年製作の映画)

3.6

演出はベタだけど、脚本がイイ。
起伏のある構成にして、一見読めそうな物語を飽きさせずに観させる。
台詞もイイし、元気になる逸品。

渇き。(2013年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

外側から眺めていた社会派的な質感とは違って、質高くグロテスクな映画を撮った、といえる。が、冒頭の70年代風なイントロをつけるのであれば、エンタメに振り切ったら面白かったのに。なんとも中途半端になってし>>続きを読む

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

前作「新聞記者」より良かった。
前作の個人的評価が高くなかった事もありつつ。
とはいえ、脚本は突っ込みたいところもありつつ、演技、キャメラなど質の高い映画だと思う。

グッとくる箇所が、組長がケン坊を
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空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)

3.8

脚本が素晴らしい。
まず無駄なシーンが無い。
そして、要所要所の台詞はもちろん、何気ない台詞が効いている。
演者も贅沢に使いながら、群像物として一人一人が生きている。

寺脇が演じた刑事は、知っている
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鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.0

兎に角面白かった。二時間、ほとんど中だるみ無しに観られた映画は久しぶり。こんな荒唐無稽なのに、面白いって、リアルとは別にして、感情の面白さだったり、キャラクターが変わっていく、成長していく面白さなのだ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.9

重層的な物語が時系列入り乱れて描かれているが、エンドマークまでしっかり筋が通った運びで、題材的として若草物語に二の足踏む自分でも楽しめた。

とにかくジョーが魅力的で、女性の自立という現代的な視点と、
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

正直、前半のテンポが良くなくてたるかった。
しかし、中盤からの展開とラストの映画的寓話へのもって行き方が凄い。
そう感じると、前半からのシーンカットの積み重ねも時系列をバラして組み直して考えると、非常
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夢売るふたり(2012年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「紙の月」のすぐ後に観た。
同じピカレスクな筋だけでいうとありがちなペシミスティックな展開が読めてしまった嫌いはある。「紙の月」の方が予想外の展開で、より重いのに読後感も悪くなく、そして映画としてのク
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紙の月(2014年製作の映画)

3.8

宮沢りえの代表作になる逸品。
各演者の演技はもとより、映像、音楽、編集が飽きさせず混戦一体となって絡み合ってゆく様は素晴らしい。
エンディングのベルベットアンダーグラウンドの曲使用と、海外ロケはやり過
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