HidekiIshimotoさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.5

オスカー独占エブエブけどまだ観てないエブエブの代わりに前作観た。出たよA24つまり変な映画でそこが面白いはず。変なのに画面やたらきれいなホワイトトラッシュ映画。けどトラッシュの中でも上級感。なのに男ど>>続きを読む

17歳のカルテ(1999年製作の映画)

4.0

エリザベス・モス出てたと知りまた観たらあの子だったか。あの子のせいでか戦争映画でも観た印象。監督は『フォードvsフェラーリ』の人だったか。今まで泣けたことなかったのに泣けた。己の心という戦場で死闘に明>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

4.0

なんかきしょくわるかったしか覚えてなくてまた観たら、ハネケの霊(死んでない)に取り憑かれたシャマランて感じだった。『ノップ』で象徴だらけメタファーだらけの作風と知ったのでそのつもりで観たら、なるほどな>>続きを読む

ザ・ワン・アイ・ラブ(2014年製作の映画)

3.5

死後世界を科学的に実証という変わったSF『ザ・ディスカバリー』が地味面白かったこの監督のデビュー作。これも変わったSF?なのか何なのかで、ちょっとジョーダン・ピールっぽい『アス』な展開。今まではいかつ>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

4.0

何人かのレビュアーがラストの衝撃のセリフみたいに書いてるのに全く思い出せなくてまた観たら、それ以外は大体覚えていたし前観た時より50's邦画にのめり込んでる分、前より楽しめた。ラストのセリフを覚えてな>>続きを読む

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

3.5

昨日観た一作目『ゴジラ』と比べてなんとチャラチャラきらびやかなモンスター映画かとちょっとポカーン。経過もラストも全て都合よく危機感で都合よくめでたしめでたし感。ってエンターテイメントなんだからカタイこ>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

4.5

昭和版『サピエンス全史』みたいな面白さの半藤一利著『昭和史 戦後編』には、当然ながらビキニ環礁水爆実験で被曝した第五福竜丸の記述があり、そこに同年公開のこの映画のことも書いてあった。死の灰を浴び放射能>>続きを読む

妻は告白する(1961年製作の映画)

4.0

三島も大好き若尾文子の色気炸裂映画。その色気にヘタな演技でむしゃぶりついた三島を演出と称していびりまくった増村保造の本領発揮作。この若尾様の恐るべき色気はジェニファー・ローレンスが尻込みレベル。なんと>>続きを読む

からっ風野郎(1960年製作の映画)

3.5

wikiでこれの制作経緯を見ると三島由紀夫主演がどれだけ話題だったかが伺える。撮影裏話もこっち映画化してってぐらい面白い。自ら「限りなく無教養な男」の役を希望し本気で挑んだ文壇のプリンス。公開されてち>>続きを読む

日本列島(1965年製作の映画)

5.0

この春、宮崎駿との対談で知ってた半藤一利さんの『昭和史 戦後編』という本で、マッカーサーによる日本民主化が「共産主義の進出を押し留める防波堤にする」ため、米の基地化へと急転換させられた経緯を読み、改め>>続きを読む

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

4.0

YMOも聴き込みまではせず、相当聴き込んだデビッド・シルビアンまわりと映画まわりで音に触れる程度だった坂本龍一だった。映画音楽家としては武満徹が俺と教授の間に立ちはだかってたので、特に思い入れはないつ>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

-

昨日初めて観た前作。ぴちぴちトムが目に焼き付いたまま一気に36年後で、まだ若々しいのかもうおじいちゃんなのか判らなくなるトムだった。トニスコ風味のカットとスーパー空中アクション満載で、世界中の前作ファ>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.5

マーベリック観たろかと思ってまだこれ観てないことに気付き、観はじめてすぐ、お!マイケル・アイアンサイド出てる!と盛り上がる。この気付きと盛り上がりで、自分がいかに世の本流からズレた人生送ってきたかを痛>>続きを読む

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

4.0

ドラマチックとかクライマックスとかカタルシスみたいなものを、徹底的に避けていく感じの才女ケリー・ライカート。商業映画の節操のない盛り上げが相当嫌いそう。なのについに3大女優そろい踏み。なのにここまでカ>>続きを読む

標的の島 風かたか(2017年製作の映画)

4.5

これの前作の『標的の村』の公開後あたりなのでもうひと昔前の思い出。恒例夏の孤独旅で沖縄本島最北端を目指し、周囲にはヤンバルの山と海しかない海辺に建つとてつもなく素敵な手作り宿に泊まったのです。宿の方々>>続きを読む

スプライス(2008年製作の映画)

3.5

へんなとこでグロくへんなとこでキモいこの映画の監督は、デビューのあれからずっとそんなだから作風というより性癖って感じ。これが一番性癖って感じ。なので同じ性癖の人には悶絶映画。俺は、お、俺は、キモかった>>続きを読む

水の声を聞く(2013年製作の映画)

4.0

新興宗教詐欺をビジネスと信じ切る人々と、何も信じてないのにそれに縋る人々をもうみっちり描いてて、きもちわるくも面白い。きもちわるいのは現実界でも見かける色んなあるあるといるいるの部分で、面白いのは『ザ>>続きを読む

われらの時代(1959年製作の映画)

4.0

大江健三郎追悼で映画検索して見つけたこれ、全く知らなんだ。日活かぁと期待薄で観たら初期大江文学の焼き付くようなを超えた、焦げ付くような虚無の歯車の空回り感を、長門さん他皆さんよく醸し出してた。冒頭の若>>続きを読む

北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ(2016年製作の映画)

4.0

むかーしデビュー当時のキワモノ的話題を覚えてるライバッハ。そして格差社会の行き着く先のような、もしかして人類の行き着く先のようにも見える北朝鮮。どの北朝鮮ドキュメンタリーもうわああと思うけど、そう思う>>続きを読む

善魔(1951年製作の映画)

4.0

これも木下節炸裂映画だけどこれはやっぱり三國連太郎映画。俺的には名優というより怪優の三國連太郎。『飼育』や『マルサの女2』の怪演とスーさんが同じ人格から生まれたとはどうも思えん。芸名元のこのデビュー作>>続きを読む

遠い雲(1955年製作の映画)

4.0

超絶名作『二十四の瞳』の次作は、オールスター四角関係+夭折の旦那+芸者の超絶もやもや大人の恋愛ドラマ。吸った揉んだ全くなしの終盤すったもんだはほぼスペクタクル。ここぞで木下演出爆発。俺らを悩ます永遠の>>続きを読む

大曽根家の朝(1946年製作の映画)

4.0

戦争とは?を一家庭の室内だけを舞台にここまで描ける、の見本みたいな映画。戦時に反戦名画撮るという超絶アクロバットやった木下恵介が、ようやく何でも言える終戦翌年にこの設定でこの考察。盲信と薄っぺらい熱狂>>続きを読む

カルメン純情す(1952年製作の映画)

4.0

『二十四の瞳』ではほんとによく泣いてたデコちゃん大石先生。は自分の為になどただの一度も泣かず、全涙が子ども達の為の涙だった。配信終了しそうでついまた観たら沸騰した熱い涙で我が眼はつぶれ、涙の濁流で我が>>続きを読む

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

5.0

観るほどに良くなってもはや懐かしい風景に見えてきたこのプラネット…は俺の故郷なのか?だとしたら俺、ドラーグ人なのか人類なのか?チビだから人類か?あんな瞑想の夢いつかみた気がするからドラーグ人な気もする>>続きを読む

宇宙戦争(2005年製作の映画)

4.0

何度目か鑑賞で気付くド派手CGシーンの合間の、どうやって撮ったの?と唸るいくつものシーン。CGと実写の組み合わせ方の巧みさに唸る。確かにスピルバーグ怪獣映画の、怪獣じゃないけど最高峰。ディザスター描写>>続きを読む

アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~(2022年製作の映画)

4.0

ドキュメンタリー『真珠のボタン』で描かれた地獄話の映画化かと思ってたら、あっちはチリでこっちはアルゼンチンだった。隣接国とはいえ違う国、なのにまるで同じ軍事政権下の地獄話。政府から国民への万単位の拉致>>続きを読む

ザ・クロッシング(2021年製作の映画)

5.0

アートアニメーションの洗礼を受けたのはチェコのシュバンクマイエルと、カナダのNBFというスタジオの作品群でだった。特にイシュ・パテルとキャロライン・リーフの二人からは言葉にならない感動を受けたもんだ。>>続きを読む

愛の嵐 ノーカット完全版(1994年製作の映画)

4.5

かっこいい退廃映画の金字塔。元祖ジェレミー・アイアンズみたいなダーク・ボガードは知性派変態のたぶん元祖。「何が正常か異常かなど誰が決める?」のへなへなせせら嗤いさえかっこいい。が、かの有名な退廃パーテ>>続きを読む

ミニー・ゲッツの秘密(2015年製作の映画)

4.0

「今日セックスした」で始まり「全ての元少女たちに捧ぐ」で終わる女子成長譚。けど部屋にイギー・ポップのポスター貼ってサンフランシスコ在住のミニーなので、受け取るのはリベラル系元少女だけって気もする。共和>>続きを読む

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

4.5

世間では巨匠で間違いないマーティン・スコセッシだけど、俺的には巨匠よりは奇才と呼びたい気分。けど映画史に残る作品何本もあるし、映画史そのものへの貢献度も抜群に高いことを思えばやっぱり奇才じゃ足りない感>>続きを読む

肖像(1948年製作の映画)

4.0

黒澤明が『野良犬』『酔いどれ天使』と同じテーマを木下恵介のための脚本にすればばこうなる。なんだか主要成分は優しさですのカウリスマキ映画観てる気分。いや無人島に一本だけ持っていくなら『東京物語』と断言の>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

3.0

『流行りのアニメを「どっかで見た感じの詰め合わせ」とディスる場面がありますが、この映画自体が手書きひらがなタイトルからしてまさにそれ。それでもこの映画により慰められる方々が相当数おられることはネトフリ>>続きを読む

アップタウン・ガールズ(2003年製作の映画)

3.0

ブリタニー・マーフィーとダコタ・ファニング。と子ブタ。名前に濁点ある女子さいこー。それだけのさいこー映画だけどそれだけでさいこー。最高じゃなくてさいこー。

レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ(1976年製作の映画)

5.0

たぶんじゃなく間違いなく一番聴いたライブアルバムはやっぱりこれのあれ。映画版のこれも何べん観たやら。なのにうっかりポチったら最後までやめられずで、イヤホンで爆音鑑賞だったから耳鳴りしんどい就寝前。アホ>>続きを読む

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

4.5

シュバンクマイエルにしちゃ普通の実写で始まったぁ、と油断した途端にぶっちぎりのブラックジョーク。こんなにブラックだったっけ?と楽しく苦笑。以後もきれいごと大国の現日本じゃつくるの無理ネタ連発。夜七時の>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.5

俺的にはドゥニ・ヴィルヌーブに並ぶ重要監督にして噛む名前のルカ・グァダニーノ。前二作長編の新鮮な衝撃は今回どうなる?と期待して観たらちゃんと衝撃。しかも前二作とはまるで違う衝撃にして同じ衝撃。けど何が>>続きを読む