いち麦さんの映画レビュー・感想・評価 - 37ページ目

いち麦

いち麦

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対話の可能性(1982年製作の映画)

5.0

シュヴァンクマイエル特集 短編集Fプログラム
緻密な造形とユーモラスで独創的な動き…芸術性高い素晴らしいクレイ・アニメの傑作。「永遠の対話」「情熱的な対話」「不毛な対話」の3編構成。エロティックな
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部屋(1968年製作の映画)

2.0

シュヴァンクマイエル特集 短編集Fプログラム

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

5.0

強さこそが正義になる世界に棲む男同士の対決で描き始められながらも、男どもvs真実こそが正義と信じる女性一人の構図へと挿げ替わっていく妙…中世が舞台ではあるが現代的な視座への転回が素晴らしい。ただ、3>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

5.0

電脳を排した遥かな未来。予知夢に導かれるように自分の路を決めていくポールがシャラメの醸し出す繊細さと芯強さに嵌る。重厚な劇伴に支えられた陰鬱な映像質感に息が詰まりそうになるほど。原作が影響を与えた数>>続きを読む

アイスマン 超空の戦士(2014年製作の映画)

2.0

400年もタイムスリップしていながら殆ど幻惑や混乱もなく現代で飛び回るホー…Opの入り処も含め違和感を感じた。アクションもそれなりに魅せるが演出のドタバタ感が集中力を削ぐ。中国史も絡め面白く出来た筈>>続きを読む

沈黙の制裁(2014年製作の映画)

4.0

セガールと何度か共演しているバイロン・マンが細身な体型維持でバディ役。切れの良いエネルギッシュなアクションを披露。対決の構図も今作はそれなりに楽しめた。“沈黙の”シリーズはもう食傷気味なのを押しての>>続きを読む

ゴッド・ギャンブラー レジェンド(2014年製作の映画)

3.0

次第におバカなアクション・コメディ色濃くなる展開が愉快。チョウ・ユンファ演じるケンにはカードを見破る魔術師の手より切れる技がありこれが可笑しい。ニコリともしないニコラス・ツェーもイイ佇まい。

バベルの学校(2013年製作の映画)

4.0

子供たちが異国の地の学校で真の学力を欲する事情は社会の様々な歪みの現れでもある。自国では悲惨な運命がのしかかっていることが多いのには胸が痛む。習熟度に応じた進路が待つ年度末の厳しさと面談の丁寧さに好>>続きを読む

ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官 最後の戦い(2014年製作の映画)

3.0

中国四大名捕が原作のアクション・ファンタジー。いよいよ迎える大団円。思わず仰け反りたくなる纏まり処もあるがご愛嬌。無情の苦悩を軸に展開のためかアクションが物足らぬのが惜しい。

パリよ、永遠に(2014年製作の映画)

5.0

バルコニーから微かに覗く夜明け前のパリの景色が愛おしく胸にくる。刻一刻と敗戦へ転がり始めるドイツ軍の戦況を背景にした、後のない二人の男の会話に漲る緊張感が見事。硬派な対話劇だが最初から最後まで引き込>>続きを読む

妻への家路(2014年製作の映画)

5.0

しっくりくる秀逸な邦題。愛する人に寄り添うだけの喜びと哀しみ。説得力ある描写と引きつける威力ある構図のショット。家族を裂き深い傷痕を残した文革とその後の中国を映す背景も見応えある。独特な脚色の中国バ>>続きを読む

トゥーマスト ギターとカラシニコフの狭間で(2010年製作の映画)

4.0

アラブでもイスラムでもない、ウラン鉱床が災いした欧米傀儡国家に抗う土地奪われしサハラ砂漠民族の物語を知る。女系民族で男性が顔や身体を衣装で隠すトゥアレグ族。
銃器をギターに持ち替えて訴える民族アイ
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マッド・ナース(2013年製作の映画)

3.0

期待していたエロさが全く足りずキレっぷりばかりが圧倒するサイコ・キラーの話だった。ただね…全く綺麗じゃないんだが妙に吸引力のあるお顔と長身、アンマッチングなハスキーボイスのパズ・デ・ラ・ウェルタは忘>>続きを読む

でーれーガールズ(2015年製作の映画)

5.0

懐かしむ事はできてもあの頃の二人には決して戻れない…時間の溝が過去と現在の去来で深まる切なさ。山口百恵のヒット曲と冒頭の自転車の鍵のショットで一気に35年前にタイムスリップ。須賀健太がナイスキャステ>>続きを読む

劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(2010年製作の映画)

3.0

TNLF2014上映のセル画版と違い今作はシドーのナレーション、スカルスガルド父子やスニフの声音作りするマッツの声に注意がいく。ビョークの歌乗るOp&Edアニメが思わぬ収穫。

振り子(2014年製作の映画)

5.0

不幸が襲い幸せが次第に崩れていく。日々自分を支えてくれている人に感謝。鉄拳のパラパラ漫画の表現力や圧縮感も素晴らしいがこちらも淡々としながら100分に見合う補完ぶり。特に科学万博のEpや原作にない終>>続きを読む

君に泳げ!(2013年製作の映画)

5.0

“No Breathing”に込められたもう一つの意味。ウサンもウォニルも競泳を本気で楽しめない訳があり二つのドラマが軽重なくパラレルに展開し夫々の父子の絆に涙。クライマックスの勝負にはドキドキ。笑>>続きを読む

パーフェクト・プラン(2014年製作の映画)

3.0

弱き善良な移民夫婦が、滑り出した闇からの襲撃に決死の覚悟で戦う。終盤入り乱れての格闘アクションが窮鼠猫を噛むような感じで思わず握った手に力が入る。前半が緩い場面での劇伴のせいか気だるかったのが惜しい>>続きを読む

花とアリス殺人事件(2015年製作の映画)

5.0

真実も歪曲もリアリティを感じる少女たちの生活空間。実写の感触を残した絵が魅力的ですんなり物語に入れた。特にキャラの自然な動きとそれを生かすコマ落としの様なアニメーション。構図、カメラワークも素晴らし>>続きを読む

プリデスティネーション(2014年製作の映画)

5.0

物語のアウトラインは予想通りで期待を越える程ではなかった。ただ前半の会話や映像に沢山の伏線…しかもそれと分かるよう散りばめられていて丁寧な作りに好感。彼等の宿命が生物学的なものでもある辺りが堪らない>>続きを読む

さいはてにて やさしい香りと待ちながら(2014年製作の映画)

4.0

廃屋と化した船小屋が珈琲豆を売る店へ、待ち人のいるシェルターへと生まれ変わっていく様を見ると温かい気持ちになる。ちょっと都合良過ぎる部分も多いがふしだらな母親の変容に何よりホッとした。

ドライブ・ハード(2014年製作の映画)

3.0

J.キューザックは人を苛々させる奇矯なキャラが似合う。逃亡劇に巻き込まれた元レーサーが次第に犯罪者と不思議な共鳴を響かせ自分を取り戻す。カー・アクション期待外れだったし緩い箇所も多いがドラマ部分は憎>>続きを読む

シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

5.0

どこまでも自分自身を貫き通して蘇る爽快感。息子との関係修復に胸熱。テンポ良いカットと明るいラテン音楽が絶妙で実に気持ちよく乗せてくれた。ツイッターの話題や演出も上手く共感と笑いの渦に。

サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-(2010年製作の映画)

5.0

シュヴァンクマイエル特集。中年男が夢の中で出会う美しい女性の正体は誰なのか。フロイトの夢分析を下地に織り込みつつ、エロ・グロのエッセンスを散りばめ展開していく物語の着地点が切ない。
実写にスティル
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オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

4.0

シュヴァンクマイエル特集。映像のあちこちに仄かなエロ・グロの匂う異色ホラー・コメディ。話の語り部でもある少女アルジュビェトカのませガキっぷりが笑わせ引き込む。オティークはコマ撮りを感じさせぬ滑らかな>>続きを読む

アリス(1988年製作の映画)

3.0

シュヴァンクマイエル特集。『不思議の国のアリス』のモチーフをふんだんに使いつつ大胆に再構築されたシュールな世界。動物たちの作り込みが独創的。実写映像から次第にアニメーション映像へと移り変わっていくO>>続きを読む

キャッシュトラック(2021年製作の映画)

5.0

仏製原版「ブルー・レクイエム」とアウトラインは同じ物語だが、J.ステイサムが演じているため主人公の人物像が真逆。これに伴って容赦なさスケールアップ。細部もよく調整され作り込まれた見事な脚本。原版も違>>続きを読む

ブルー・レクイエム(2004年製作の映画)

5.0

現金輸送を請け負う会社に潜り込んだ謎めく主人公の狙いが次第に明らかになっていく…その過程がとてもスリリング。壮絶アクションのクライマックスとラストの哀しい画に大満足。仕事熱心から程遠い同僚たちの、胡>>続きを読む

娚の一生(2015年製作の映画)

5.0

海江田醇が年相応の熟した思考力と若々しい反射神経を持ち合わせていてなかなか魅力的。少年マコトのEpは醇の過去と性格を投影していて思わず引き込まれた。安藤サクラや向井理らの脇もいい味。艶色は薄いけどか>>続きを読む

愛して飲んで歌って(2014年製作の映画)

3.0

男女6人による会話劇…炙り出されるジョルジュの人物像。セットを使い舞台を再現したような演出だったが仏風のウィットに富む台詞と実力派俳優たちの名演技で飽きない。イラスト画と運転席ショットの繋ぎもセンス>>続きを読む

女神は二度微笑む(2012年製作の映画)

5.0

Opの凄惨な事件から尾を引き摺る物語のトーンに大きなカタルシスが与えられる鮮やかな展開。吸引力強い硬派なミステリー・サスペンスにどっぷり浸かれた。ヒンドゥー教の女神ドゥルガーのシンボリックな使い方も>>続きを読む

ミスト(2007年製作の映画)

5.0

(イオンシネマ・シネパス) SFホラーの恐ろしさ以上に狂信的な人間が巻き起こすパニック・スリラーとしてのプロットに戦く。M.G.ハーディンの熱演、T.ジョーンズの活躍どちらにも拍手。二段構えの衝撃的結>>続きを読む

スペシャルID 特殊身分(2013年製作の映画)

4.0

潜入捜査官のアウェー感を隠さず出すロン。サニーへの微妙な兄弟感情も垣間見せるがこの着地点は韓国映画とは違いどことなく大陸的だな。何といってもD.イェン自ら作る怒涛の連続アクションが最高。

目を見
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死んだ目をした少年(2015年製作の映画)

2.0

本当に鬱屈した少年はこんなに簡単に動機付けられないだろうね。揶揄と虐めの奥にある、弱者が更に弱者を甚振る病んだ構図を見せようとしているかにも見えたが余りにも浅い。コミカルさに一寸だけ笑えたに留まった>>続きを読む

君が生きた証(2014年製作の映画)

5.0

重い心の負傷から滲み出たとしても、親父の隠遁生活から漂う黄昏感が強く心惹きつけるのは何故だろう。息子の残した歌が引き起こす魔法。疎外されていた者たちを引き寄せ与える刹那的温もりにも深い味わい。恐るべ>>続きを読む