いち麦さんの映画レビュー・感想・評価 - 41ページ目

いち麦

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みんなのアムステルダム国立美術館へ(2014年製作の映画)

3.0

自転車道と歩行者道を通す変わった美術館。エントランスのデザインを象徴とした合意形成にかける手間暇に驚く。100万点以上の所蔵物の保管方法や修復作業、レンブラントの“夜警”の設置も見もの。

ヴェラの祈り(2007年製作の映画)

4.0

夫婦間の心のすれ違いをテーマにした深い人間ドラマ。多くを語らぬ台詞へと収束する静かなショットの積み重ねなのに重くのしかかる緊張感は最後まで持続する。伏線を敷く重厚なOpシーケンスや鮮やかな時間軸の切>>続きを読む

エレナの惑い(2011年製作の映画)

4.0

経済事情が種を蒔いた高齢者再婚の無情感ひとしお。人間描写が丁寧、唯一胸のすく人物もいて物語に十分な奥行きを感じた。青色系が引き立つ美しい配色と計算された構図、手持ちカメラの演出やOpとEdショットの>>続きを読む

天空からの招待状(2013年製作の映画)

3.0

吹替版。山地住宅開発を含む環境破壊、エネルギー問題、消費とゴミ問題等、人間と自然との関わりを軸にした様々な問題啓発に人の営み諸共俯瞰する無音の空撮の威力。終盤のみカメラに反応する人々を入れる等、演出>>続きを読む

海月姫(2014年製作の映画)

4.0

原作に出てくる月海の細部は知らないが対人関係で極度に不器用なオタク女子の個性を充分漂わす能年玲奈の演技が見事。下半身はさておき菅田将暉の女装もまた一見の価値アリ。様々なクラゲをモチーフにしたドレスも>>続きを読む

サンバ(2014年製作の映画)

4.0

職場で受けた心の疲労を癒やしたい女性と不法就労を続けなければならぬ男性の物語なのでベースは暗く苦い。だがオマール・シーの優しく人懐っこい言葉やタハール・ラヒムの陽気な行動力が作品を明るくする部分も。>>続きを読む

真夜中の五分前(2014年製作の映画)

2.0

双子姉妹の対照的な性格を強調する前半からルオランの心の翳りがテーマと窺わすがミステリー仕立てのためか思わせぶりなショットが多い割に決定的に納得いかぬ点があり次第に輪郭がぼける。アンティークな色彩美が>>続きを読む

王の涙 イ・サンの決断(2014年製作の映画)

5.0

李氏朝鮮王室内の血生臭い権力争いの真相に、王の命を狙って送り込まれた刺客たちの悲しい生い立ちを織り込みながら暗殺未遂事件当日までの経緯を綴る。終盤に矢を射るアクションや人間模様の見せ場が多く胸熱に。

暮れ逢い(2013年製作の映画)

3.0

押し殺している感情が思わず溢れ出してしまう若妻ロットの絡みつく様な視線。熟女の魅力十分なレベッカ・ホールの美しさに心奪われた。だが性描写は控えめ過ぎで物足りぬ。東屋で重なる二人のシルエットを収めたシ>>続きを読む

私の恋活ダイアリー(2010年製作の映画)

3.0

監督&撮影の主演&ナレーションでドキュメンタリーの感じがしない。中高年の婚活事情を自らが餌となって取材するノリが潔い。微妙な相性やすれ違いも何気ない会話の一言が大きく左右してしまうのがこのお年頃の事>>続きを読む

イロイロ ぬくもりの記憶(2013年製作の映画)

5.0

親子三人+外国人メイドの生活に密着した映像が雄弁に語る。何がこの子をダメにしていたか何が変えていったかが実に良く分かる。憎らしいクソガキに思えた少年ジャールーの顔が利発で優しく見えて堪らなくなった。

マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年製作の映画)

5.0

個性派キャスト勢を散りばめハリウッド・セレブのえげつない素の姿を曝す。一家の封印されたとんでもない秘密が露わになる道程がファンタジーの様で妖麗だ。ネタの目新しさはないがこのテイストが不思議な魅力。

おやすみなさいを言いたくて(2013年製作の映画)

5.0

彼女が重大な選択に向き合っていくうちに娘が大きな成長を遂げ母自身もまた大きく変容する深い人間ドラマが素晴らしい。特に一面的に陥らぬ人間描写が見事。彼女の仕事が世界に果たす確かな効果、その説得力。
>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

5.0

言葉少ないながらも一子の台詞はストレートで胸にジンジン響いてくる。新井浩文の腐れ感も自然だし一子の心を映し出す根岸季衣の役処も面白い。安藤サクラの自然体演技はいつもながらだがクライマックスの熱演には>>続きを読む

ベイマックス(2014年製作の映画)

4.0

2D字幕。心の傷を癒やすのも心の過ちを諌めるのも実はリアルな友だち。日本のポップ・カルチャーへの好意に溢れる。コミカルな仕草に笑ったが敵キャラ登場後は単調。見せ場となるネタの殆どが既視感アリアリのも>>続きを読む

愛犬とごちそう(2014年製作の映画)

3.0

ジャンク・フードへの過剰なまでの執着はいただけない気もするが愛らしいWinstonの心の機微を映像から読み取り味わうのが楽しい。こういうアニメこそ観賞後に親子で語り合うのにはもってこいでは。

バンクーバーの朝日(2014年製作の映画)

1.0

頭を使う独特の戦い方で移民日本人たちの卑屈な心に風穴を開ける日本人野球チームの話だとは思うが…高揚感が全く得られない。意図の見えぬ無駄な場面や駄目な箇所がいっぱい、切り上げ場所も悪い。退屈極まりない>>続きを読む

ガガーリン 世界を変えた108分(2013年製作の映画)

5.0

少年時代から最初の搭乗員に選抜されるまで家族も交えた盛り沢山のエピソードがジグソーパズルのピースの様にきっちり組み合わされ飽きない展開。地球帰還のクライマックスはスリリングなショットで興奮。

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)

4.0

二人だけで演じられる対話劇だけに台詞に秘められた扇情的魔力が大きい魅力。女優の目論見よりも演出家が自分の急所を掴まれて精神的にどんどん裸にされていく過程が刺激的。M.アマルリックの演技は見事で憐憫誘>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

5.0

DC版《新宿ミラノ座LastShow》35mmフィルム上映での劇場鑑賞は初めて。悪魔が憑依した少女リーガンの斬新な様相は今見ても身震いするほどに衝撃的で素晴らしい。若き日のE.バースティンやシドー爺>>続きを読む

男たちの挽歌(1986年製作の映画)

4.0

《新宿ミラノ座LastShow》香港ノワール先駆作。今見直してみると鳴りっぱなしの劇伴や寄りのショットへの繋ぎ方など演出がどうにも格好良くない。だが丸顔のチョウ・ユンファ演じる優しいマークのキャラの>>続きを読む

さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅-(1981年製作の映画)

4.0

《新宿ミラノ座LastShow》ミステリアスなまま再び出発する列車。江守徹パートは公開当時、SW“帝国の逆襲”の公開後だったため非常に残念だった記憶あり。今見るとそれほど酷くない。このマイナスポイン>>続きを読む

銀河鉄道999(1979年製作の映画)

5.0

《新宿ミラノ座LastShow》公開当時まだ原作でもTV版でも全容明らかでないうちに劇場で一挙に結末まで見た興奮と平行作品のハーロックやエメラルダスの交差で歓喜した懐かしさ。“さらば、少年の日”で涙>>続きを読む

時をかける少女(1983年製作の映画)

4.0

《新宿ミラノ座LastShow》件のコマ撮りタイム・スリップのシーケンス、弦の煽りとも相まって今回も涙腺決壊…素晴らしい。それにしても原田知世がこんなにブリッ子く(死語?)やっていたなんて記憶は完全>>続きを読む

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

4.0

《新宿ミラノ座LastShow》今見るとモッサリ感は否めぬが当時はこれで“カイ・カン”だったんだよね。あまちゃん出演で上書きされてた薬師丸ひろ子の印象…高校生時代の丸ぽちゃ姿がスクリーンですっかり蘇>>続きを読む

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.0

《新宿ミラノ座LastShow》戦況を薄々知っていた西洋人捕虜達にとって狂気の大和魂、両者に生まれる不思議な友愛。公開時見た時には受け入れ難かった場面の数々も30年以上年取った分、すんなり入ってきた>>続きを読む

あと1センチの恋(2014年製作の映画)

4.0

残酷なハプニングの連続…すれ違いを幾度となく繰り返す幼馴染みの二人。ロージーの視点が強いがアレックス側でずっと気になってた謎は最後で氷解。滲むべき渋み苦みを殺した超軽快なテンポが独特。お馴染み音源に>>続きを読む

クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

5.0

国家が対立していても個人は人間として繋がりあえることが丁寧に描かれていた。カンバーバッチの英国セールスマンらしい振る舞いも一寸コミカルで趣きがあるが、終盤にかけて見応えある場面が目白押し。グレヴィル>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

5.0

J.デップが演じる当初のユージンには、社会の不正に立ち向かいたい写真家の正義と、場違いな所へ来てしまって気遅れする小心が去来し妙にリアリティーを感じた。暴いてもなおシラを切られる現代社会の無力感に一>>続きを読む

自由が丘で(2014年製作の映画)

3.0

細かく揺さぶられた時間軸、何度も繰り返し畳み掛けられる語学番組のスキットのような会話、軽過ぎるくらいのピアノの劇伴等々…日本人男性と韓国人女性との恋物語がまるでわざと個性を希薄化した逸話のようにはぐ>>続きを読む

パパロッティ(2012年製作の映画)

4.0

声楽家を目指す決意を固める高校生ヤクザと音楽教師のストイックな話と思いきや韓流コメディならではの下品な笑いの要素がかなり浸食して崩す…オ・ダルスのお陰。師弟関係に父息子間に通う情にも似たものも混じり>>続きを読む

ホビット 決戦のゆくえ(2014年製作の映画)

4.0

HFR3D字幕。5種族+α入り乱れての戦闘が主で単調…トーリンの変容も粗く雑。LOTRへの繋がりや迫力満点の鳥瞰ショット等々、映像は見事。特にレゴラスの宙を舞い跳ぶアクションは3Dに映えドキドキした>>続きを読む

アオハライド(2014年製作の映画)

5.0

有り得ぬほど自分の気持ちに正直になれる双葉がどこまでも眩しい。彼女が友人の助けを借り大人顔負けのハイレベルなミッションに向かっていく姿が胸を打つ。本田翼の女子高生演技が作品の屈折した翳り部分をも拭い>>続きを読む

偶然(1982年製作の映画)

4.0

《ポーランド映画祭》ワルシャワ行きの列車に飛び乗れるか否かが岐路となる、青年ヴィテクの3パターンの運命。際立つ対照性。人の信条、信仰や行動規範が、生まれながらの気質よりも環境・周囲との関わりに翻弄さ>>続きを読む

手を挙げろ!(1967年製作の映画)

2.0

《ポーランド映画祭》導入部現代パートが結構長い。検閲で14年間も封印されたことへの揶揄、レバノンの廃虚のシーケンスが印象的。オリジナル部分の列車内石膏遊び、乱痴気騒ぎは映像表現も前衛的で正直ついてい>>続きを読む

イマジン(2012年製作の映画)

5.0

《ポーランド映画祭》研ぎ澄まされた聴覚や嗅覚などを駆使して外界をあたかも見ているかのように認知できる視覚障害者イアン。彼が周囲に与えた背反する教訓と波紋に心穏やかでなくなる。繊細な音響表現が引き立た>>続きを読む