たむさんの映画レビュー・感想・評価 - 73ページ目

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.4

この狂気の作品を前にして、一体何が言えるのか、自分自身の感情と圧巻の映画館体験として振り返ってみたいです。
上映時間7時間18分となると、ルーク・スカイウォーカーが辺境の星の青年からジェダイになって帝
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炎上(1958年製作の映画)

4.6

日本映画史上に残る傑作、市川雷蔵さん、市川崑監督の代表作です。
今の邦画の全てのタブーを撃ち抜く作品が、日本映画黄金期には製作されていたようです。
差別、宗教、狂気。
何によって人は狂っていくのか、圧
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お嬢吉三(1959年製作の映画)

4.0

日本映画黄金期のプログラムピクチャーの究極系の面白さに圧倒される一本です。
この時代の作品は今観ると男尊女卑が凄まじかったりしますが、心優しい渡世人の世直し映画で、そんな描写もなく、とことん楽しんで観
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記憶にございません!(2019年製作の映画)

1.8

『翔んで埼玉』もそうだったのですが、映画の始まりに「フィクション」であることを強調して、この題材の何を笑えば良いというのでしょうか?
フィクションであることを示すことがギャグにもなっているのでしょう。
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劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~(2019年製作の映画)

2.2

テレビドラマを観ていないですが、回想シーンもあり、問題なく鑑賞しました。
なので、繋がりなどは一旦おいておいて、キャラクター達の極端な感情と行動の数々に笑える作品です。
が、しかし、『引越し大名』でも
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ガルシアの首(1974年製作の映画)

4.3

オリジナルな作品であり、狂気に向かってアクセルを踏み込んでいく映画です。
すでに死んでいる男の首をめぐる奇々怪々な世界を生きていく主人公。
クセだらけの映画で突き抜ける作品です。

アス(2019年製作の映画)

3.8

ジョーダン・ピール監督の本質はやはり喜劇的な物語にありそうです。
ぶっ飛びつつも分かりやすい『ゲット・アウト』と違い、本作に仕掛けられた罠の数々は、複雑かつ、巧妙です。
ゆえにジョークやギャグが連続し
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ほぼ300 <スリーハンドレッド>(2008年製作の映画)

2.1

アメリカのパロディ映画はここまでやるか、といつも思いますが、『300
』をもとネタにしている本作もそうです。
オリジナルも突っ込める映画でしたが、パロディも容赦なし。
まさかのブッシュ、トランプの共演
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フリーソロ(2018年製作の映画)

4.2

なんという迫力と臨場感、胸に迫る葛藤、圧巻です。
もし、映画館を出て、振り返って、そのビルを見て、自分も登れるかも、と思ったら、家族の顔を思い出して、もう一回映画を観た方が良いですね。

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)

3.5

原色、真っ赤っかな映像からモノクロ的な世界観に移行した、これもまたチャン・イーモウ監督らしい武狭映画です。
アクションや色彩の世界観の醸成、謀と政が支配する恐ろしい時代、そして黒澤明監督の影響。
本作
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陸軍中野学校(1966年製作の映画)

4.0

増村保造監督の興味はスパイ映画のスリルやサスペンスを飛び越えて、二人に男女の性的欲求と禁欲の葛藤に向かいます。
大スター市川雷蔵のスパイ映画というより、スパイとしてスターの輝きを消し去る雷蔵さんのすご
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ONE PIECE STAMPEDE(2019年製作の映画)

2.5

東映アニメーションということで、昨年の『ドラゴンボール超ブロリー』とどうしても比較してしまいます。
ワンピースのオールスター映画としての面白さがあり、最初から最後までのテンションの高さは圧倒されます。
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クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的(2016年製作の映画)

3.1

密室のサスペンス、と見せかけて、最初から最後まで恐るべきテンションで上がりまくる作品です。
よく言えば先が読めないほど展開も早くサクサク進んでいき、悪く言えば騒々しいだけの映画とも見られてしまうかもし
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ディレクターズカット ブレードランナー 最終版(1992年製作の映画)

4.2

ナレーションとハッピーエンディングがなくなり、ユニコーンの夢が増え、より深い映画となっています。
多くの解釈を生み出すたったワンシーンが追加され、語りよりも映像の雄弁さを実感するバージョンです。
20
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アートのお値段(2018年製作の映画)

3.1

アートの価値が値段で決まる、そんなドライな世界の映画かと思いきや、富裕層の深淵やアーティストの思いもかいま見える、広い世界の映画でした。
芸術は見られることで始めて価値が生まれる、もっと言えば、存在が
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やっぱり契約破棄していいですか!?(2018年製作の映画)

3.3

ある意味不謹慎きわまりない発想と展開が魅力的なイギリスコメディです。
本作は笑わせながらも、皮肉でアンビバレンスな感情を観客に抱かせる作品で、笑わせるだけの映画ではないです。
喜劇について考えると、テ
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濡れ髪牡丹(1961年製作の映画)

4.0

娯楽時代劇喜劇の面白さ、ここにあり。
現代的な物言いがつくとすれば、ラストだけでしょうが、映画の楽しさがつまってます。
邦画の黄金時代末期の作品ですが、面白さ、楽しさがまだあって、撮影、美術の技術、ス
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ガーンジー島の読書会の秘密(2018年製作の映画)

3.4

イギリスの戦後を描くミステリーで、ミステリーが苦手な私も、手堅い演出と謎をめぐる展開に引き込まれます。
戦争を知らない世代が自分の国が戦場になったことを描くには、謎解き要素は重要かもしれません。
また
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引っ越し大名!(2019年製作の映画)

2.6

面白くて、笑えるところはボチボチあるのですが…良い話にまとめてしまっている感じが評価の分かれ目です。
喜劇としては、120分と長めで、引っ越し前後がかなり丁寧に描かれます。
どうしてもクライマックスに
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

タランティーノ監督が観たいもの、変えたいことを映画にしたおとぎ話ではないかと思います。
タランティーノ監督は映画史上主義者で映画のためなら歴史を平気に変えてきます。
なぜレオナルド・ディカプリオさんな
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.5

素晴らしい!傑作です。
新しい映画の潮流はホラーか青春映画から始まると思ってますが、どちらのジャンルもアメリカ映画の好調さがよくわかります。
理解出来ないとしても、共感出来ることが、映画の物語やキャラ
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ブレードランナー 完全版(1982年製作の映画)

4.1

オリジナルにバイオレンスシーンが追加され、リドリー・スコット監督色がより強まったバージョンです。
ナレーションとハッピーエンディングはそのままですが、暴力シーンが強調されることで、退廃感はアップ。
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グリム・アベンジャーズ タイム・ウォーズ(2018年製作の映画)

1.6

アリスって、グリム童話じゃないですよね?というところから、全編突っ込みどころ満載の作品です。
今回も赤ずきんがやたらとかっこいいですね。

MEGALODON ザ・メガロドン(2018年製作の映画)

2.3

ただの『MEGザ・モンスター』のパクリでも、お馬鹿なサメ映画ではない…なぜなら、我らがマイケル・マドセンさんが出演しているからです。
基本的にはお馬鹿なサメ映画は、サメと戦うのがお馬鹿な若者のパターン
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ジュラシック・ユニバース(2018年製作の映画)

2.1

大ヒット映画の要素を全て混ぜたら面白くなる、という妄想にとりつかれたかのようなオリジナリティゼロの映画です。
よくもまぁここまでパクリ倒したものだな…と思いつつ、それなりに面白く観れてしまうのが、パロ
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MAMA(2013年製作の映画)

3.2

このあと、『IT』に抜擢される監督作品で、製作にはギレルモ・デル・トロ監督が関わっている事もあり、色々な才能がかいま見える作品です。
映像のセンスが抜群にあり、映像美の恐怖があります。
恐慌から始まり
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ブレードランナー(1982年製作の映画)

4.0

2019年、全バージョンを見直そうかと思っております。
リドリー・スコット監督の意思に反して作られたナレーションとハッピーエンディング版です。
映像と音楽の美しさは圧巻です。
ナレーションもフィルムノ
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ドッグマン(2018年製作の映画)

4.0

人を犬と同じように接してはいけないという見本のような映画です。
主人公のマルチェッロが、犬のホテルで犬をあやしながら、裏ではコカインを売っています。
マルチェッロはたかられる対象でしかありませんが、犬
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

今年の邦画のベスト、こういう映画を待っていました。
日本映画のある種の歴史を感じさせてくれる映画は石井隆監督か荒井晴彦監督ぐらいになってしまいましたが、まさかの『天気の子』へのアンチテーゼとなっている
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.4

自由というのは、本当にやりはじめると際限がなくなり、狂気の世界に突入します。
本作が出色なのは、主人公は「普通」だと思っていて、変に狂気ばしった芝居も演出もないこと。
狂人を描こうとすると、最近は狂人
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ロケットマン(2019年製作の映画)

3.5

世界的な大スターも『存在のない子供たち』の一人だったんですね。
ミュージカルはなぜ歌うか、踊るかに工夫を持ってくる事が最近増えてますが、本作は依存症のグループセラピーという導入の上手さが素晴らしい。
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帰ってきたMr.ダマー バカMAX!(2014年製作の映画)

3.0

オリジナルから20年、同じバカバカしさをキープしている奇跡的な続編です。
『グリーンブック』の監督が過去にどんな作品を撮っていたかは、知っていましたが、あの作品以後、過去の作品を鑑賞しても、どこかに『
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.5

大好きなジャンル、少年の一夏の物語で、ティモシー・シャラメさんの主演なら、必見です。
かなり危険な綱渡りをする夏ですが、観光地ならではの葛藤は、のちの『君の名前で僕を呼んで』にも繋がっていくようで、シ
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

4.3

語りの面白さでとにかくみせていく、素晴らしい傑作です。
あるぺてん師の回顧録の形をとりながら、回想はナレーションのみの音声で本当か嘘かもわからない面白さがあります。
今観ても斬新です。

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)

3.1

ニコラス・ホルトさんがサリンジャーに続いてトールキンを演じるとのことで、注目です。
『スタンド・バイ・ミー』を時々思い出しながら、現実と空想が描かれます。
この映画にとって重要なことは、ファンタジーが
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イソップの思うツボ(2019年製作の映画)

1.1

上田慎一郎監督は、日本のM・ナイト・シャマラン監督と同じ泥沼にはまりこんでいくような気がします。
『カメラを止めるな!』のどんでん返しを周りも自分自身も意識しすぎているのか、そのどんでん返しへ向けての
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