たむさんの映画レビュー・感想・評価 - 77ページ目

僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

3.7

本作が秀逸だと思ったのは、戦争に荷担した親たちのつけを子供たちが取らされることです。
ナチスもソ連の占領も、自分達の選択ではない、求めるものは自由である、そんな叫びが聞こえて来る作品です。

キュア ~禁断の隔離病棟~(2016年製作の映画)

2.7

ゴア・ヴァービンスキー監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン』で誤解されてますが、本当は本作のようなグロテスクな世界観で生きているのでしょう。
ゾッとするほど嫌悪感満載の中で、映像美に近づけるので、しか
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轢き逃げ -最高の最悪な日-(2019年製作の映画)

1.1

水谷豊さんは、映画人ではなく、テレビの二時間ミステリーの人、という実感が観ていて思いました。
加害者から被害者に物語がシフトしても、結末や物語の構成は二時間ミステリーの枠を出ておらず、どうして全て暴露
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ホワイト・クロウ 伝説のダンサー(2018年製作の映画)

3.9

バレエ映画がクライマックスに激変します。
芸術を追求することに政治が絡み、個人と芸術と政治が葛藤します。
米ソ冷戦下で、主人公がパリの町を歩き回るのが、そんなに簡単に出来るのか、不思議に思って観てまし
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RBG 最強の85才(2018年製作の映画)

3.8

映画的な人生とは、とふと考えてしまいながら、映画を楽しみました。
最高齢の女性最高裁判事、現代の性差別撤廃のアイコンでもあるルース・ベイダー・ギンズバーグさんのドキュメンタリーです。
『ビリーブ』も公
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ラ・ヨローナ~泣く女~(2019年製作の映画)

2.6

良くも悪くも直球のホラー映画です。
良い意味では、昨今のホラー映画は物語も技法も、実験的になっており、単純に人を怖がらせる映画ではないことがあります。
本作は如何に観客をビビらせるか、その事を追求して
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ホット・ショット2(1993年製作の映画)

4.0

イラクに潜入するのにジャングルを通過したり、フセインのそっくりさんが独裁者をやっていたり、さらに過激に笑いを追求します。
パロディも分かりやすく、シーン親子の共演は、『地獄の黙示録』と『ウォール街』を
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ホット・ショット(1991年製作の映画)

4.1

パロディコメディとして最高峰。
笑いを取るためには、手段を選ばず、映画理論も超越してきます。
2000年代の笑いが下品一辺倒になるので、この頃の知恵を搾った笑いは最高です。

ヘアー(1979年製作の映画)

3.5

今のミュージカル映画とは若干趣が異なりますが、ミロス・フォアマン監督らしい自由を求める主人公達の姿が感動的です。
スケールの大きなヒッピーミュージカルです。

マックイーン:モードの反逆児(2018年製作の映画)

3.3

命を削って芸術にかける人生というのは、決して美談ではなく、壮絶な葛藤と悲劇を伴っています。
才能を蝕んでいく業界に対する警告となるシーンもありますが、人と人との関係を掘り下げていくドキュメンタリーです
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洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

4.3

男女の関係や腐れ縁といったものを描き出しながら、当時の東京の環境や風俗まで描き出します。
あぁ、1956年の頃はこんな風景だったのか、行き場のなくなった男女の行動とは、たどり着くところとはこういうとこ
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貸間あり(1959年製作の映画)

4.0

「サヨナラだけが人生」はこの映画でも出てきます。その事に感動しつつ、ジャン・ルノワール監督ばりのどたばた艶笑喜劇で楽しめました。

レジェンド/光と闇の伝説(1985年製作の映画)

1.9

『ハワード・ザ・ダック』と並ぶ80年代の狂気のファンタジー映画です。
リドリー・スコット監督、トム・クルーズさん主演、この二人のトラウマにもなっているのではないかと思うのは、二人ともこのジャンルに二度
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ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)

4.0

アルコール依存症で、車椅子、職業は風刺漫画家の伝記映画です。
とにかくキャスティングが完璧、全員が見事にはまった印象です。
物語もアルコール依存症の治療をそのまま物語の構成にしているので、観ているだけ
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名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

2.7

『テッド』『パディントン』『プーと大人になった僕』に続く実写モフモフ映画です。
世界観の作り込みが尋常ではなく、ハリウッド映画の技量の凄さに圧倒されます。
が、問題はその世界観になれてきた後の物語の展
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名探偵コナン 紺青の拳(2019年製作の映画)

2.5

とんでも映画になってきているゴールデンウィーク名物シリーズ最新作です。
いつもコナン達を翻弄する側の怪盗キッドが翻弄される側になる、なるほど、今回の映画の肝はそこか!
と途中までワクワク観てましたが、
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ある少年の告白(2018年製作の映画)

3.8

アメリカの深刻な社会問題を描いていますが、出演はAustraliaやCanada、というのは、アメリカ人が直視できない何かがあるのでしょうか。
矯正施設の恐ろしい現実と何がバックボーンになっているのか
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バースデー・ワンダーランド(2019年製作の映画)

3.0

個人的には大好きな抒情派の原恵一監督の新作とのことで、期待値も高めてしまいましたが…。
いくら現代の物語とはいえ、主人公はやはり能動的に動いてこそ、映画は加速します。
『千と千尋の神隠し』が見え隠れす
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アガサ・クリスティー ねじれた家(2017年製作の映画)

2.3

『ゴスフォード・パーク』と『ダウントン・アビー』の脚本家が関わっているということで、楽しみでしたが…ミステリーは難しいようです。
ある大富豪の屋敷で起きる殺人事件を探偵が捜査していきますが、この豪華な
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

3.4

激動の中国を舞台にした青春群像劇です。
文化大革命や戦争が、若者達を飲み込んでいきますが、それはどこの国でも同じで、深く共感出来ます。
それでも生き抜いていく姿が、描かれる映画です。

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ハリウッド映画がアメコミを11年という年月をかけて完成させた欠点なしの『君の名は。』あるいは『6才のボクが大人になったら。』です。
本作が凄まじいのは、MCUが始まった2008年の『アイアンマン』をス
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12か月の未来図(2017年製作の映画)

3.5

題材的にはカンヌ国際映画祭パルムドールの『パリ20区、僕たちのクラス』を思い出させる内容でしたが、よりユーモアと物語性に重きをおいた作品です。
そのため、観やすい作品になった一方で、迫真性や緊迫感は若
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私の娘よ(2018年製作の映画)

3.4

映画で力強さを表現するというのは、本作のようなことなんだな、と実感するほど、クライマックスの力強さが圧倒的でした。

月を買った男(2018年製作の映画)

3.0

文化をおちょくることはコメディとして最適の題材であることを、改めて実感しました。

ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事(2013年製作の映画)

3.0

晩年エロール・フリンと若い恋人の関係を描く、スキャンダル系ハリウッド物語。
オープニングが『市民ケーン』的でしたが、最初だけでした。

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(2018年製作の映画)

3.0

案内人トニ・セルヴィロさん、狂気の案内人かと思いきや、渋く解説してくれます。イル・ディーヴォみたいにやっていたら、どうしようかと。
さて、独裁者ヒトラーのユダヤ人絶滅計画は、芸術の世界にも手を伸ばし、
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シャザム!(2019年製作の映画)

3.5

予定調和で進むかと思いきや、驚きの展開が続きます。
コメディからホラー、アクション、ウェルメイドな物語と娯楽映画の王道を作り上げます。

イメージの本(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

前人未到の映画世界を描く続けるゴダール監督の最新作です。
ゴダール監督の描こうとする真意はきっと今の私では到達できないですが、映像と音楽と文学的な思索に圧倒される事が、少しでも映画との距離を縮められる
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僕たちのラストステージ(2018年製作の映画)

3.3

スターの伝記となると、破滅型の物語が多い中、本作のコンビ愛への焦点のあて方が、意外性があり、楽しめました。
この二人が映画史上のデコボココンビの始まりと考えると、その影響の深さも感動的です。

キングダム(2019年製作の映画)

1.4

ワイプでの画面転換や内容的にも中国を舞台にした、『スター・ウォーズ』なのでしょうが、本当はそれの起源である黒澤映画をどうしても意識してしまいました。
中華統一を目標とする王と奴隷の関係を軸に、「民を守
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堂堂たる人生(1961年製作の映画)

3.3

かっこよく、かわいく、面白い企業喜劇です。
ラストだけは、現代では絶対受け入れられないだろうな、と思いつつ、こんな時代もあったのか、と映画は文化であることを思い出しました。

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)

1.6

最初にスクリーンに出てくるクレジット。
それが本作の全てです。
このクレジットのあとに映画を進めるのはハードルが高すぎます。
決定的な往年の名作時代劇との差は、「不条理さ」この一点につきます。
本作の
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スターシップ・トゥルーパーズ3(2008年製作の映画)

2.3

ジョニー・リコ復帰、でもマローダー登場が遅すぎやしないですか?
またもパート1の偉大さを思い知る第3作目です…。

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)

3.0

ハラハラ、ドキドキ、潜水艦アクションですね。
超過剰な迫力で押すことのない、適度な大作感があります。
偉い人を演技派のおじさん(今回はオスカー受賞のゲイリー・オールドマンさん)で固めるのも忘れていませ
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ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)

3.6

本当に恐ろしいのは、本人の意思もまわりのサポートも無視してしまうことである。
ドラッグの恐ろしさをこの視点で描き出していきます。
本作は依存症の話である以上に、父と息子のドラマにしたことで、環境や本人
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