たむさんの映画レビュー・感想・評価 - 79ページ目

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.0

ある家族を家政婦の視点から追う中で、家政婦の物語も掘り下げられていきます。
ジャ・ジャンクー監督作品などに近く、社会的なリアリズムの中で、現実から飛躍するような瞬間があり、想像力を刺激します。
淡々と
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運び屋(2018年製作の映画)

4.7

誰にも媚びず、かといって高らかと宣言するわけでもなく、これこそが映画である、とクリント・イーストウッド最新作は観客に静かに語りかけます。
例えば、90歳の運び屋がカーカラオケをしているなか、監視役も一
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ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)

3.4

映像と音の迫力と恐さは、尋常ではない緊張感です。
ポール・グリーングラス監督やキャスリン・ビグロー監督の系譜に連なる作品です。
ただ、字幕での説明も多く、若干解説的で政治的な印象も残ります。

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

1.3

オープニングでこの映画は実際の地名とは関係がないこと宣言しますが、実際の地名だからこそ面白いと思うのですが。
最初に映画の構造を破壊しなくても良いのでは?と思ってしまいました。

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

3.5

映画の映像表現も、物語も、ここまで来たか、という圧倒される二時間です。
多次元世界の物語は流行っていますが、オリジナルのピーター・パーカーに対して、様々なスパイダーマンが一同に介して、整合性を保ってい
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絵文字の国のジーン(2017年製作の映画)

1.9

ラジー賞受賞作品ということで、意味なしの騒々しい映画です。
自分に与えられた感情以外の感情を表現してしまう主人公。
その珍道中ですが、『シュガー・ラッシュ』や『インサイド・ヘッド』のデジャブのような映
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移動都市/モータル・エンジン(2018年製作の映画)

2.1

途中から一体何が起こっているのか、分からない状況になるほど、色々詰め込まれています。
クライマックスは、ハウルの動く城vs紅の豚になっております。
駿・宮崎の影響が色濃く、同時に駿・宮崎の偉大さを再認
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天国でまた会おう(2017年製作の映画)

3.3

帰還兵を主人公に、豊かなイマジネーションで友情を描きます。
敵兵より最悪な戦争を愛する上官、という悪役が衝撃的です。
トラウマと想像力をテーマに、二転三転する物語の展開が面白い一本です。

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.2

新しいクリスマス映画のクラシックが誕生です。
歴史や周りの人びと、環境が偏見を作り上げますが、個人のレベルでは、それを超えることができる。
その鍵となるのは、ユーモアのセンスなのかもしれないな、と感じ
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黒蜥蜴(1962年製作の映画)

3.5

江古川乱歩の世界観を妖しい演出と脚本で描き、京マチ子さんの強烈な個性を炸裂させる作品です。
邦画にも自由な作風の時代があり、現実と幻想の真ん中を綱渡りしていくような映像は素晴らしいです。

婚期(1961年製作の映画)

4.0

名監督、名脚本家、名女優で映画はこんなに面白くなります。
徐々に斜陽化していくとは思えない、日本映画黄金期の末期の傑作です。
台詞は酷いことばかり言っているのに、笑ってしまう、どこか温かい作品です。

肉弾(1968年製作の映画)

4.0

戦争の恐ろしさと人間の狂気の可笑しさが同居する作品です。
反戦映画となるには、悲劇だけではなく、ユーモアが人間をおかしくさせるからこそ、戦争はなくさないといけない、そんなメッセージも感じられる映画です
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サムライマラソン(2019年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

いい題材が台無しになる東京オリンピック宣伝映画です。
『忍びの国』と似たり寄ったりのラストです。
時代劇に新風を、というのは分かりますが、『キャンディマン』の監督による人の首を斬り飛ばすシーンだけが印
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

4.2

デンマーク映画は新しい映画表現の爆心地となることが多々ありますが、本作もそんな一本です。
コミュニケーションの問題から、観客の想像力を刺激し続けて、それが裏切られるカタルシスの凄まじいこと。

アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

3.0

ロバート・ロドリゲス監督が、1億7千万ドルの予算でもぶれない事に安心しました。
サイボーグが人間以上に人間らしいというテーマやジェイソン・ボーンばりに記憶がないけど最強なアリータ、ロボットが人間になる
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ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

3.7

二人のラブストーリーを黒人差別の歴史とリンクしていく構成に、監督の想いがあふれでてきます。
ここからは好みの問題ですが、ちょっと話が広がりすぎな印象もあります。
独特な物語構成は巧みですが、焦点を絞る
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半世界(2018年製作の映画)

1.9

皆それぞれの生きている場所が世界になってしまい、色々学んで成長しているはずなのに、視野は狭くなり…。
独特なユーモアが漂っていて、緩やかに人生を歩んでいく…と思ったら、「え‼」
クライマックスが唖然茫
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ゾンビーズ(2018年製作の映画)

3.3

ゾンビがディズニーミュージカルになるとは、なんという時代か、と思いますが、メッセージもポジティブに、しっかりとディズニー映画になっています。
ゾンビ映画としては異色ですが、ゾンビ映画の多様性も広がって
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スノーマン 雪闇の殺人鬼(2017年製作の映画)

2.5

監督、キャストが完璧に揃って、雰囲気もあるのですが…北欧ミステリーの難しさを痛感します。
やはりミステリーの映画は難しいです。

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.3

過剰な筋書きやドラマを描く映画ばかりを観ていると、果たして映画になるか、という題材ではあります。
しかしこれほどサスペンスとアクションが描かれる映画も他にはないでしょう。
映画は分かりやすい、単純な筋
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悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)

4.6

名作とは古くならない事が重要ですが、製作から60年たっても、今日的な問題を扱う本作は、本当に素晴らしい映画です。
公民権運動や女性解放運動が当時の背景にあったでしょうが、今も変わらない問題として、映画
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フォルトゥナの瞳(2019年製作の映画)

1.1

このレビューはネタバレを含みます

お願いですから、回想でクライマックスを構成するのだけは、やめて欲しかったです。
一番重要なシーンも回想ではサスペンスもなく、全て説明となってしまう分かりやすい例が本作です。

ピラニアシャーク(2014年製作の映画)

1.9

ピラニアシャークが出てくるまでが長く、出てきたらあっという間に終わってしまいます。
この手の映画には珍しく、環境問題についての言及がなく、オタクと博士と市長の群像劇です。

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)

3.1

ナチスドイツの実話ですが、これもまた衝撃です。
将校の軍服を盗んだ脱走兵が、驚くほど機転をきかせて、状況を乗り越えていきます。
軍服が人格を変貌させていく事と、人間生き残るためには手段を選ばない事とが
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.5

デイミアン・チャゼル監督が今回も描くのは、夢見る狂人の物語です。
『スポットライト』でオスカー受賞のジョシュ・シンガーさんの脚本は、ニール・アームストロング船長と宇宙開発をめぐるドキュメンタリードラマ
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劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ(2018年製作の映画)

2.4

懐かしさが込み上げてくる世界観です。
今の新宿を舞台に、オープニングがテンポよく駆け抜けます。
ただ、復活のお祭り感は強かったからか、原作やテレビアニメの頃のスイーパーとしての切なさは本作にはなく、ま
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アクアマン(2018年製作の映画)

3.0

ジェームズ・ワン監督らしさが敵の登場シーンに凝縮されています。
いきなり爆発で悪役がでてくるショックホラー的なシーンが連続します。
物語は世界を舞台に宝探しの壮大なものなので、超大作ですが、ちょっと上
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七つの会議(2018年製作の映画)

2.0

狂言、歌舞伎、舞台、落語家、お笑い芸人からミュージシャンまで日本の芸能を総動員した超過剰な世界観に、自分が一体何を観ているのか、わからなくなります。
邦画らしいミステリーの構成が相変わらず残念で、20
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ジュリアン(2017年製作の映画)

4.0

省略の迫力、肝心な暴力が見えないからこその怖さを描きます。
虐待やドメスティックバイオレンスをテーマにしながら、直接的な暴力シーンを省略して、暴力衝動を抑えられない、本能のどうしようもない恐ろしさが全
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フロントランナー(2018年製作の映画)

3.0

80年代の大統領候補の不倫スキャンダルが映画になる、そういう時代なのか、う~んと唸り続ける映画です。
倫理的には、常に揺さぶられるのですが、視点が引きすぎていて、ゲイリー・ハートなのか、記者なのか、奥
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テール しっぽのある美女(2012年製作の映画)

2.0

北欧映画は、他の国には発想すら出来ないような映画が多く、楽しめます。
が、本作は発想だけの映画で、面白くできそうな要素がたくさんあるなか、不発に終わる寂しい映画です…。

天才作家の妻 -40年目の真実-(2017年製作の映画)

3.5

グレン・クローズさんのアカデミー賞受賞はほぼ確定ではないか、と思える素晴らしい演技でした。
創作についての物語に夫婦の葛藤が描かれます。
若干展開に違和感がある部分もありましたが、復讐とは違うものがテ
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.0

イ・チャンドン監督は傑作か超傑作しか作りませんが、本作も圧倒的な傑作です。
観客の想像に委ねる部分が大きいため、観客も積極的に作品に参加する必要がありました。
現代韓国を舞台にした『タクシー・ドライバ
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メリー・ポピンズ リターンズ(2018年製作の映画)

3.6

こういう映画を作れる文化は本当に豊かで羨ましくなります。
ミュージカル映画として、子供映画として、昔子供だった大人を描く映画として、完璧な構成の物語です。
メリー・ポピンズが使う魔法の数々も、人間の良
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ナチス第三の男(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

暗殺されたナチス高官をどのように描き出すのか、選びとられたのは、『ヒトラー最後の12日間』と同じで、話を後半切り替えることでした。
近年盛んに製作されているナチス映画ですが、知られざる物語が多く、ナチ
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サスペリア(2018年製作の映画)

4.0

美と芸術には、崇高な恐怖がありますが、本作はそんな感情を喚起する映画です。
真のホラーとはこのような感情を観客に起こさせる事でしょう。
確かによくわからない、オリジナルの単純な分かりやすさはないです。
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