愛すべき小品。物語を広げず、観客に寄り添ってワンシーンワンシーンを丁寧に作り込んでいる。奇をてらわず愚直につみあげ、心のひだにじんわりと沁みてくる。
ビートルズでいうところのラバーソウルやな。
黒人パ>>続きを読む
タランティーノの最高傑作。
今更ながらトラボルタの使い方が素晴らしい。薬師丸ひろ子を再発掘したのはクドカンだが(ホンマ?)、タラちゃんのトラちゃんリブートは凄い。顔の大きさ、首の太さに反比例する可愛い>>続きを読む
これは凄い!
キューブリック に多分に影響されたのであろう広角での舐めるような廊下のショットが凄い。壁の絢爛たる装飾を流れるように魅せる。こういう型を持っている作家は強い。
トマトをぶつけられるオッサ>>続きを読む
笑いと涙と叙情感に溢れた絵が堪能できる豊かな作品で、まさに阪本監督の真骨頂!けれど観客はまばらだった。この作品、みんなに観てほしいなー。
墨のキーンという澄んだ深い音にいざなわれ、森に佇むシーンには泣>>続きを読む
傑作!
狭い視覚、狭い空間の行き詰まる中にギシギシ金属の軋む音が不気味に響く。地球に帰れない⁉︎悪夢のような巻頭のシーケンス。
ジェミニ計画に移っても悪夢が晴れることはない。え?このビスで支えられてる>>続きを読む
面白かった! グラントホテルものというと同時進行で複数の宿泊者の人間模様が交錯するのだけれど、今作、交錯することなく、順繰りに登場しちょっと良いエピソードを紡ぎ、消えていく。そういう意味ではグランドホ>>続きを読む
この時間感覚の甘さが命の軽さにつながってしまった。
朝集まって昼過ぎには解決していないか?
シドニールメットと比べちゃいかんけど、密室で煮詰まり苛立ち疲労し、そうして迎えるどんでん返し、共に戦い尽くし>>続きを読む
今年初のシネマイーラ。今年もお世話になります。
塚本の隠れた傑作「パレット・バレエ」のモチーフが反復される。「野火」という映画史上に残る普遍的な傑作を撮り上げた彼の原点回帰といってよいと思う。
キリ>>続きを読む
ビーストは壁にへばりつく以上のわざは見せず、おっさん二人が取っ組み合って、車のドアが凹むくらいの格闘で、むかーし幼少期に見たウルトラファイトを思い出した。
一方のミスターグラスも、彼が凄いというよりセ>>続きを読む
渋い。凍てつく空気に閉じ込められたかのようにエネルギーがうちにこもる。
フィンチャーの前作より絵は動いているのに静謐だ。幼児体系のリスベットが等身大で、ミレニアム紙もミカエルも沈殿している。なんと主役>>続きを読む
北大の木立、窓からの風が作品に心地よい空気を吹き込む。大泉のキャラによく合う。
特筆すべきは美英のペンションの朝靄の絵だ。大泉と、高畑&三浦カップルの切り返しなんだけど、大泉の背景が平板なペンションの>>続きを読む
今年最初は息子と嫁さんと。
冒頭、ブラッドリークーパーの奏でるギターのピッキングのビビットなタッチ、ベースがゴリゴリ鳴り止まぬまま車に乗り込む冒頭でこれはロックの映画であることが分かる。
酔い潰れて>>続きを読む
阪神ファンでアンチ巨人ながら大好きな作品を小屋にて。
不動産モノというジャンルがアメリカ映画にはある。風とともに去りぬを筆頭に、嵐が丘、デミルの十戒は究極の土地を求める終わりなき旅である。風来坊の映>>続きを読む
松たか子が登場してから一気にギアが入った。警視庁のお偉いさんがお伺いにきたりして凄みが増す。明日の仕事がすでに入ってる=その日のうちに解決する見込み、とか、神も仏も利用するみたいなビジネスライクに一人>>続きを読む
今年は稀にみる邦画の当たり年だ。
是枝(以下敬称略)、大森、白石、大九ら中堅どころが自身の最高傑作をものして、豊田、岳龍が復帰して、濱口、三宅、松永、湯浅ら新進が新しい波を起こす。
そうしてここで我ら>>続きを読む
映画の日が故のシステムの不調なのかチケットの予約の仕方がおかしくなっていたようで映画館のスタッフにちょっと待ってください、された。そこからのスタッフの対応があんまりで、全てがふっとんでしまった。映画の>>続きを読む
今年一番泣いたかもしれない。
拗れた映画ファンの僕は、それは映画的感動によるものなのか自分に問うてしまう。そんなことどっちだって良いのに。
答えはすぐに帰ってきた、Yesに決まってるやろ。
大観衆の頭>>続きを読む
映画と自転車は相性が良い。映画人の愛した鎌倉の坂を縫うように登りそして降る自転車を漕ぐ野村周平の疾走感と清潔感。
古書堂の色合い、味わいも良かった。
最後のカーチェイス、緩すぎという批判があるとおもう>>続きを読む
#シネマイーラ
ハッピーアワーというインディーズですでに映画の極北に到達した作品をものした濱口さん待望の新作。
唐田えりかのまるでハッピーアワーから迷い込んだかのような浮き具合が秀逸で、これはもう計>>続きを読む
映画監督は時として自らに枷をはめて、その中で表現したくなるものなのかもしれない。
映画自体が、あらゆる制限の中で、時にはカメラの位置、フォーカス速度、フィルムの感度など技術的制約、時には天候、俳優のバ>>続きを読む
この監督も初めてみたけど良いなー。好編だ。
自身の感情となぜか一定の距離を置く吉田羊を遠景でフィックスで捉える前半。
村上虹郎の等身大さが失った息子との橋渡しになり、片脚のサーファーの逸話から一転、手>>続きを読む
若者の感性で剛球を投げ込んできた。こりゃすごい。どのシーンも重量級だけど、取り分けクラブのシーンが凄い。
オトンの顔の大きさを悲劇的に受け継いでしまったハンディをオカンから受け継いだ可憐さで華麗にカバ>>続きを読む
音楽をテーマに据えている作品なのにどうも録音が良くない。
先生が独演する場面が二度ほどあるが、肝心要の音がもう一つなのだ。松ヤニの生々しい擦れまでこだわって録ってほしい。
子供達が、両親が本物に触れ心>>続きを読む
超傑作!
霊長類最強の映画作家である溝口の残した子供達の中でも屈指の名作。よくぞ選んでくださいました、午前十時シリーズ企画担当の皆様!
序盤から冗舌で絢爛たる作り込まれた奥行きのある絵のオンパレードで>>続きを読む
嫁さんと臨月の娘と。シネマイーラにて。
娘が子育ての大変さに産む前にビビらないか、嫁さんがダメな旦那に僕を重ねないか、嫁さんがお腹の出っ張ったシャーリーズセロンに自身を重ねないか、色々気になって何故か>>続きを読む
シネマイーラにてボッチ鑑賞。
映画作りに情熱をかける人達を描く作品を今年はよく見る。カメラを止めるな、ブリグズビーベア、そして今作。いずれも面白かった。ノリに乗ってる白石監督がクオリティの高い作品を連>>続きを読む
チェジルビーチが海を左右にみながらすーっと伸びる。巻頭の音楽の話をしながら歩くさらさらした砂浜は優しい。
逃げ出すとそこに殺伐とした砂利があって、投げつけられる石ころがある。
二人のスーツの色が霞んだ>>続きを読む
天才の描く絵は時代を越える。
巻頭の暗殺シーンから凄い。ひとりは眼窩に穴が空き、一人は背中に空いた穴から炎が上がる。容赦が無い。
ぼやけたカウンターの向こうからウォッカのグラスをスライドさせ、順に火>>続きを読む
なんとも愛おしい。
茶室から見える景色と聴こえる音に絞り、あとはバッサリ切ることで、浮き彫りになる。
蝉の声や雨音に柄杓の湯を汲む音が重なる。冬の雨、夏の雨、父親が逝ってそうして降る雨。季節の空気感と>>続きを読む
図らずも絵の美しさと作品の出来とは必ずしも一致しないことを実感してしまった。
これはテレンスマリックの近作にも感じることなんだけど。
山、竹林、椿など美しい風景描写が挿入されるけれど、物語から切り離さ>>続きを読む
僕はこの作品が大好きだ。海がいつも寄り添うような画面設計、特にバス停で一夜明かすシーンが素晴らしい。闇に紛れていた海が、ようやく白んできた背景に広がる。始発のバスがやってきて、二人を乗せずに去っていく>>続きを読む
ホラーは見ている側の姿勢が問われる。
驚きに来ているんだけど、3回ほど10センチくらい飛び上がったんだけど、その度にこら卑怯やろと突っ込んでしまう。
素直に驚くべきだと思う。
エイリアンに連なる異生>>続きを読む
ドキュメンタリーは観ている側の姿勢が問われる。
容赦なくカメラに晒されて、フジコさんの素顔の奥に凄みが垣間見えるんだけど、ずーっと撮って撮って撮り続けてようやく辿り着いたものではないように感じた。こん>>続きを読む
豊田さんの待望の復帰作は、一点の曇りもない伸びやかなものだった。
繰り返される川の向こうから二人を捉えるショットに真骨頂をみる。ときにはみずみずしく、ときにはちからづよい。
駒を打つ音と互いにタイマー>>続きを読む
原田作品は抜群に録音が良い。彼の作風は骨太と言われることが多いけれど、ぼくにとってのそれは矢野さんのお仕事のソリッドな低音だ。あのポン!という音、キムタクとニノの発音の違いに耳を澄ませる。駆け込み女の>>続きを読む
映画の素晴らしさは完成度なんかじゃ測れない。作家が語りたいこと、描きたいことが絵の中から溢れこぼれ出す。いびつでも良い。形の良い箱に収まりきらないから溢れるわけで、そんな愛すべきいびつさが心を打つのだ>>続きを読む