yumikoさんの映画レビュー・感想・評価 - 21ページ目

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TAP THE LAST SHOW(2017年製作の映画)

3.5

怪我によりダンサー人生を断たれた初老の演出家のやさぐれ具合と再生の過程を水谷豊の目力佇まいが見事に表現。問題を抱えた若者達の葛藤も演技経験ゼロとはとても思えないプロタップダンサーの体当たりの演技と、ラ>>続きを読む

人生タクシー(2015年製作の映画)

3.0

国家から映画監督の資格を剥奪されたイランの名匠パナヒ監督自らがタクシー運転手に扮し、乗客との会話をもとに現在のイランの問題を浮き彫りに。初めて見るテヘランの街も雄弁饒舌な女性達も他の国と変わらなく見え>>続きを読む

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)

3.0

全般に流れる不穏な音楽と臨場感溢れるカメラワークが無差別テロの残酷さを浮き彫りに。正義と愛国。立ち位置が変われば向く場所も変わる。ただ変わらないのは人の強さ。失ってなお前を向く人々に不穏な音楽が優しく>>続きを読む

ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声(2014年製作の映画)

3.0

人生のある時期ほんの数年にしか与えられない奇跡の歌声。過酷な生活を強いられていた少年が音楽に出会い、様々な人間関係の中で成長していく。ソロの高音を歌い終えた後、顔つき佇まいまで別人のような主人公に男子>>続きを読む

オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン(2011年製作の映画)

4.0

ロックなファントムの映画版も、劇団四季の舞台版も素晴らしかったけど、2011年に行われた記念公演はこのためだけのセットや特殊効果に彩られ、息をもつかせぬ大迫力。ゲストのサラ・ブライトマンが4人の怪人を>>続きを読む

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

3.5

冒頭の姿に大ショック!これはウルヴァリンでもX-MENでもない一人の男の物話。チャールズとの、ローラとの血の繋がりを超えた親子愛、CG色を抑えた生身のぶつかり合い、戦いだらけの長い人生の中でようやく見>>続きを読む

花戦さ(2017年製作の映画)

3.0

陽の池坊専好に対し隠の千利休。そして運命に翻弄され正気を失っていく豊臣秀吉。ストーリーの継ぎ目の荒さが目につくものの、池坊監修の素晴らしい生け花作品に息を飲む。殺陣や合戦シーンがないにもかかわらず専好>>続きを読む

(2017年製作の映画)

3.5

ストーリーの流れ以上に五感で感じる河瀬作品の真骨頂。風を感じ音を感じ温度を感じ、映画の中にただ佇む。目を閉じて映画を観たのは初体験。雅哉がファインダーを覗く仕草はどこか祈りにも似て、光を失ってもなお誰>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.5

いつ見ても何度見ても、只々凄いって思う。環境や年齢で感想が変わる作品がほとんどの中、この映画だけは初めて観た時の衝撃がそっくりそのまま蘇る。主人公の狂気が澱のように溜まっていく様。可憐さと諦念を兼ね備>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

3.8

異星人襲来もののセオリーに反して、焦点が当てられるのは終始主人公の内面であることに感じる違和感がラストでみごとに回収。二度見必至。言語によって人生が決まるのなら、彼らが使う墨絵のような美しい言語は人類>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.0

抑えた色合い、陰鬱な町、厭世的な主人公。ともすれば地味に沈みがちなストーリーにそっと寄り添う様々な音楽が印象的。傷だらけで未来を見る妻とあまりの罪の大きさに過去に居座るしかない夫、喪失感を抱えながら現>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

3.5

23の人格を持つ男に攫われた3人の女子高生…人格交代が非常に速やかで自然にも拘らず、目の輝きや表情でそれぞれのキャラを演じ分けるJ・マカヴォイの狂気と、抱えた闇を武器に戦うヒロインの最後の決断。ラスト>>続きを読む

カンパイ!世界が恋する日本酒(2015年製作の映画)

3.0

史上初の外国人杜氏、日本酒伝道師として活躍するアメリカ人ジャーナリスト、そして震災に揺れる岩手の老舗酒造を継ぐ5代目蔵元。それぞれの挑戦と葛藤を描いたドキュメンタリー。熱い男たちに乾杯!もれなく呑みた>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.5

全編に流れるジャズが耳に気持ちいいアレン版ラ・ラ・ランドは選んだ人生、あり得たかもしれない未来がほろ苦く余韻を残す。アレン作品にしてはアクが弱めながら、ブラックすぎる兄や、ユダヤ人に関するくだりなどピ>>続きを読む

ミュージアム(2016年製作の映画)

2.0

正視に耐えないグロシーンのオンパレードに思わず身悶え。4分の1ぐらいは目を背けていたかも…カエル男の内面や背景の描き方が浅いせいでかえって不気味さが際立つもののせっかく登場させた原作にはない姉について>>続きを読む

世界の果てまでヒャッハー!(2015年製作の映画)

2.7

ブラジルのリゾート地を舞台に繰り広げられるおバカでお下劣、そして愛すべきコメディ。行方不明者が残したビデオに映っているのは悪霊や魑魅魍魎であることがテッパンだけど、このビデオには人の運命を左右するもっ>>続きを読む

美女と野獣(2017年製作の映画)

4.7

アニメ、舞台、仏映画と様々な形で何度となく公開されてきた古典的作品であるにもかかわらず斬新!冒頭からいきなり持っていかれる疾走感、テンポ感、キャラ立ち感!反面二人が惹かれ合う過程は丁寧に描かれ、新曲も>>続きを読む

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.0

強盗に入った先は盲目の老退役軍人宅。狂気をはらんだ老人の驚異の戦闘能力と、盲人ゆえの長所と短所。短い尺に凝縮された恐怖と焦燥は登場人物の誰にも共感できないにも関わらず、一緒に息を詰め、拳を握り、背筋を>>続きを読む

バイオハザード:ザ・ファイナル(2016年製作の映画)

2.5

15年に渡り繰り広げられたアンブレラとの死闘もようやく…とはいうものの、前作からの繋ぎがわかりにくく伏線回収も甘いような…アリスの真実もまあ想定内だし、ミラジョボの肉体美と一作目からはるかに進化した映>>続きを読む

はじまりへの旅(2016年製作の映画)

2.0

サバイバルを教え教養を与える反面、犯罪も教える父親に嫌悪以外の何物も覚えず。モデルとなる大人が他にない環境で意識を刷り込まれ育つ子供達。まるで独裁国家。母親の埋葬で涙も、遺灰の処理でまた怒りが…普通っ>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

4.0

グーグルアースを駆使した故郷探しはまさに現代版母を訪ねて三千里!インドとオーストラリアの対比と両母の深い愛情。そして子役のサルーの決して泪を見せないいじらしさにもってかれました 。タイトルの意味がラス>>続きを読む

脳内ポイズンベリー(2015年製作の映画)

2.0

インサイド・ヘッドとは一味違う脳内会議。それぞれの担当に性格と人格があるのが斬新。しかし脳内のシュールさに比べリアルの主人公がただの変な人にしか見えず、真木よう子のムダづかい感がハンパなかった。ただ、>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

3.5

黒人、ゲイ、ドラッグ、家庭崩壊。過酷な運命を抱えた主人公が少年から大人になる過程を3部構成で。3人の主人公が秀逸。特に青年から成人への変化は、描かれない苦労が透けて見えるよう。マイノリティの辛い末路に>>続きを読む

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(2016年製作の映画)

2.8

JFKが伝説の大統領と呼ばれる由縁を作った妻ジャッキー。事件当日のフラッシュバックを織り込みながら進むストーリーはあまりに生々しく、撃たれた夫を抱えるシーン、血が染み込んだスーツを着替えるシーンには思>>続きを読む

オールド・ボーイ(2013年製作の映画)

2.5

数年前、あまりの衝撃に韓国映画全てを受け付けなくなるほどトラウマになった作品のハリウッドリメイク版を怖いもの見たさで…全般通じて「アクの強さ」は薄まっているが、それ故なんだか普通の映画っぽく。主人公の>>続きを読む

SING/シング(2016年製作の映画)

4.0

字幕版で。
音楽はもとよりストーリー、映像共に予想をはるかに超える素晴らしい作品でした。少し負け組な登場人物たちが、それぞれの世界を引きずりつつ爆発させる劇場のシーンに、アニメであることを忘れるぐらい
>>続きを読む

AMY エイミー(2015年製作の映画)

3.0

27歳の若さでこの世を去ったエイミー・ワインハウスの生涯を綴ったドキュメンタリー。プライベート映像と関係者へのインタビューで綴られる内容は痛く刹那的。力強くソウルフルな歌声とは裏腹に、繊細で傷つきやす>>続きを読む

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

4.0

海の碧、空の青、表情豊かな登場人物。他作品を彷彿させるストーリーも含めこれぞディズニーの集大成!
アナ雪をも凌ぐ情景の豊かさに心鷲掴み!夏木さんを始め素晴らしい声優陣と新人らしからぬ演技と歌でモアナに
>>続きを読む

さざなみ(2015年製作の映画)

3.5

結婚45周年を迎える夫婦。夫の元恋人の遺体が亡くなった当時のまま見つかった事から2人の間に押し寄せるさざなみ。夫に寄り添う前半部分から真実を知り次第に心が凍っていくラストにかけて、ほぼ表情だけで表現さ>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

3.0

アリシア演ずるAIエヴァの異形の美しさにある種の恐怖と狂気を感じながら鑑賞。人工知能の人知を超える予測不可能な可能性にゾクリとした。ラストのヘリのシーンを含めストーリーが?な部分も否めないものの、少な>>続きを読む

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.0

荻上監督らしい美しい映像と穏やかな空気感の中に描かれるトランスジェンダーや育児放棄を取り巻く厳しい現実。最初は異質な存在に見えていたリンコが見せる圧倒的な母性は時に神々しく「煩悩」を昇華させるシーンそ>>続きを読む

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ(2015年製作の映画)

2.5

チープなセットに無理矢理感満載の設定はまさにクドカンワールド炸裂!細かいことは気にせずゆるゆる鑑賞するのが吉。くだらなさに油断してると、いきなりほろっとさせられます。特殊メイクが半端なく誰が誰かわから>>続きを読む

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)

3.0

Xmasのニューヨークにこのタイトルと来るとあの名画を思い出すけどどちらかといえば「クリスマスキャロル」かな。コンパクトにテンポよく纏められ、それでいてきっちり伏線回収の上泣かせてもらえました。欲を言>>続きを読む

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅(2016年製作の映画)

2.5

前作も大人っぽかったアリス。今作では立派な大人の女性に…この時点でもう原作は全く無視?随所にオマージュと思われるシーンがちりばめられているものの、原作のヘンテコ世界観は前作より薄めで、別にアリスじゃな>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

5.0

往年の名画を幾重にも重ねたような夢のような映像と身につまされる現実的ストーリーの融合具合が心地よく、映画を好きになった原点を思い出す。色彩、音楽、そして女優の美しさ。リプライされる主題曲が心を揺さぶり>>続きを読む

王様のためのホログラム(2016年製作の映画)

2.5

エリート人生から転落した主人公が、サウジの国王に3Dホログラム会議システムをプレゼンすべく奮闘。文化や宗教感の違いに戸惑う主人公をトム・ハンクスが好演するも、後半の展開は最早主題には関係ないような…ト>>続きを読む