KentFさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

3.4

若さと引き換えに魂を。
時の経過した愛。
新たに生まれる愛。

巴里の屋根の下(1930年製作の映画)

3.8

音がする。声が聴こえる。
少しずつ大きくなって。
物語が始まる。
足元のダンス。全身を映す必要はない。
聞こえないという美しさが世界を包む。
哀愁とコミカル。今日も屋根の下で。

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.4

国境の向こう側、メキシコという異国情緒に対する冒険心と憧憬。それに、過去へのノスタルジーと、年老いたが故の達観、次の世代への希望が交じり合う。
おそらく、C. Eastwoodが興行よりも本当に自分の
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mellow(2020年製作の映画)

3.6

とめどなく溢れる想い。秘めておくことは苦しさを伴い、打ち明けたところでその分の幸せが舞い込んでくるとは限らない。
自分勝手、と呼ぶのかもしれない。
でも結局この世はエゴの集まりだ。そこにたまたま居合わ
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女は女である(1961年製作の映画)

3.8

Moi? Je ne suis pas infâme.
Je suis « une femme ».

音と映像で時に繋ぎ合わせ、時にバラバラにし、断絶し再現させ、1人の女の心情と取り巻く世界を映画
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ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.7

クリスマス。目には見えないが超自然的な何かに温かく包まれる日。信じたい気持ちが強くなる日。

ロジックと正論、規律を掲げる父親。
支援に縋り、理不尽の因果を探る娘。

各々が必要としていたものを携えた
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.8

鼻から口にかけて宿る幸せ。
逆に、目元に舞い込む哀しみと戸惑い。
顔を2つのパーツに分けて其々で表現する岸井ゆきのと、それを掬い上げる今泉監督。

この監督は現代日本に生きる若者を本当に良く観察してい
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.3

くそったれ米国。
くそったれニグロ。
くそったれ高鳴る鼓動、止まぬグルーヴ。

くそったれイデオロギー。

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.0

随所に用意された壮絶なアクションシーン。繋ぎのストーリーは多少拙くとも、まさにカーチェイスのように駆け抜ける。
能面に畳、土下座、北方領土。和のテイストがカリブとラテンと響き合う。

追想(1975年製作の映画)

4.0

幸福な時間が、慟哭と共に、突然静止するとき、人はどうするだろうか。
怒りに震え、絶望に立ち尽くし、戻らない日々を追い求める。想い出に彩られた古城にて代わる代わる押し寄せる様々な感情。
解放に向けたかの
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劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班(2021年製作の映画)

3.0

タイトルのとおり、テレビドラマの延長、程良い二時間ドラマ。これまでを一切観ていなくとも、奇怪な設定と現実世界を想起させる事件性、手の込んだアクションシーンに楽しまされる。

コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020年製作の映画)

3.1

ドラマを観たことなく初見だった前作鑑賞時とは異なり、どんな大胆な仕掛けを用意しているのか胸高鳴りながら。
この三人組は主役であって、同時に犯人でもある。謎が明かされる前に見破ってやろうと意気込む高揚感
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コンフィデンスマンJP ロマンス編(2019年製作の映画)

3.3

最初から騙されることは分かっている。どう騙してくるか。どこからが仕掛けか。わざとらしい演技や奇妙な出逢いを疑いの目で観ながら、そもそも傾いていた世界そのものに飲み込まれていく。

モナコは最高の発見。

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

4.0

希望の光と、現実の闇。作品を通じてコントラストが丁寧に配置されており、清き物語を芸術に仕立てている。
呼応し合うのに近づくことを許されない社会。蔑まれた世界からようやくスポットライトを浴びたシンガーと
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今日から俺は!! 劇場版(2020年製作の映画)

3.2

他の福田作品に比べて、おふざけのみに走らず割とストーリーが通っているのは、ドラマ制作という視聴率の洗礼を受けているからか。
清野菜名が作品全体に与える落ち着きと華にも救われている。

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)

-

この作品の主題が「“悪の正体”とは、“悪”とは何なのか」、「人間の本当の恐ろしさとは」であるならば、その答えは“彼らではなく、私たちだ。

日本車の広告が見下ろす街で、ギャング映画や西部劇に育てられた
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

2.9

天才に潜む陰。華の都パリに潜むテロの脅威のように。

これは陽に溢れた福山雅治でなければもっと良くなっていた。一貫して嘘っぽい。

桜井ユキに救われた作品。

ROMA/ローマ 完成までの道(2020年製作の映画)

-

真摯な監督の、自身の幼少期と創作物に対する毅然としたこだわりを知る。

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

3.8

陽の光、火の光。
モノクロの世界に響く音、そして間。汚物、性器、剥製、そして死。忌されるもの含め、ありのまま描かれる若き記憶。

武道と暴力。
悲劇と喜劇。
時代の荒波に飲まれる家族の物語。掃除の水が
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ジャンヌ・モローの思春期(1979年製作の映画)

3.9

戦争が忍び寄るある年のバカンス。持て余すこの身体を通じて世界と繋がる。

思春期のみならず、周りの異なる女性の姿を通じて、壮年期、老年期と、人生の流れを描き出す。彩りと光が美しい。

ブレイブ 群青戦記(2021年製作の映画)

3.2

真剣佑の殺陣、山崎紘菜の凛とした眼力、敵役が多い鈴木伸之の好青年役のハマり感を機上で堪能。

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.7

覗き見る。
現実と妄想の曖昧な境界線上で。

周りの空気の流れとはまったく異なる動き。ボクシング試合中の愛撫にも似た。

サスペンスとロマンスを散りばめた純粋な空間美。

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.1

“オオカミ”を追い求め続けるも、
すり抜けて逃げて行く。
この3年間築き上げてきたものの意味を問う。

巧みな間の作り方。魔が入り込む。
スリルと呼応して高まる期待。裏切らない第二作。

無慈悲な世界
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夕方のおともだち(2022年製作の映画)

3.4

いたって真面目。性癖とか異常とかの言葉で片付けられる異端ではなく。追い求めるものがそこに。

二十四の瞳(1954年製作の映画)

4.2

十二人、ひとりひとりを、歌い継がれる民謡と共に、真正面から。大人の目線で子どもたちを見ているうちに、自身の幼少期の記憶を呼び起こされる。

18年、思えばいと疾しこの年月。高峰秀子が見せる変化に息を呑
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

4.1

“フランス語はシャンソンそのものよ”、パリの先生がそう教えてくれた。歌うように話し、話すように歌う。
色とりどりの雨傘。
すれ違う人々の心をも覆う。雪に変わり、手から離れるまで。

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.0

とある北欧の小さな村。ルターの啓きを拠り所にする敬虔な人々が招かれる、”魔女の饗宴“。何を食べさせられるかわからないと村人は恐れ慄く(実際、ベジタリアンとっては悍ましい食材の数々だが。)
本物のフラン
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とうもろこしの島(2014年製作の映画)

3.8

寡黙な季節の流れ。心情を、言葉に頼らず、描き出す。
大地の恵み。春が来たら耕し、育てて収穫する。分断は関係ない長年の営み。
やがては押し流される天然の築地。
希望を載せて孫を河の流れに送り出す。

みかんの丘(2013年製作の映画)

4.3

全面的にこの作品を肯定する。
たとえ理想的すぎる、現実は甘くないと言われても。

憎しみを抱え歪み合う異なる正義。まずは傷を癒そう、席に着き空腹を満たそう。
“和平の仲介”、そんなおこがましさを感じさ
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真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)

3.3

高尚な絵画に対する畏敬の念を表すように、余計なナレーションや説明を省き、沈黙の間と視線で物語る。
成熟したScarlett Johanssonの今を知るからこそ、改めてこの作品で醸し出す瑞々しさに心奪
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冬の旅(1985年製作の映画)

3.7

寒空の下ひとりの女性の謎の死。徐々に描かれていく、と思ったらぼやけていく輪郭。
この世界に間違いなく存在した生命の軌跡を辿る旅。と同時にこの社会やそこに生きる人々の表情も浮かび上がっていく。ある個人の
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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.2

アルジェの街に響く鼓動とレクイエム。ぶつかり合う大義と義憤すら見事に再現され、渦巻く混沌に呑み込まれていく感覚を味わう。

侵略されたある国の末路。…に終わらせなかったのは人々の渇望。
1962年3月
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The Hand of God(2021年製作の映画)

3.2

変わり映えのない港町。
他愛のない話に盛り上がり、苛立ち、性の衝動に駆られ、過ぎて行く日々。時折り霊的な空気を帯びるこの街に、ある日彼が降臨する。
幸福と悲劇はいつの時代も突然やって来る。それに翻弄さ
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(1954年製作の映画)

4.0

私は何?
周りの言葉が形づくる。あの子はね、君はね、と。
この世の中にあるものは“何か”の役に立つ…らしい。ジェルソミーナは、そんなLa Stradaを追い求める世界とは対を成す。
定められた道のない
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女が階段を上る時(1960年製作の映画)

3.5

“女の幸せ”に投じる一石。簡単に許したらだめ。銀座で商売女の矜持が光る。
時折、化粧をしない女の素顔がちらつく。一度崩したら止め処がなくなってしまう、と。それでも「女の終着駅は結婚」に抗うようなラスト
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浮雲(1955年製作の映画)

3.4

終戦とともに消えた異国でのロマンス。身勝手なあの人のずるい優しさは、“ひと月に35日雨が降る島”に差し込む陽の光のよう。
縋らずにはいられない心情は新興宗教にも通じ、歩く背中は、もの寂しくも温かく、時
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