バギオさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

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とても静かで死体を見せないサイコキラー映画。
一線を越えてしまうタイミングは誰しもに訪れるかもしれないことを見せているような。
主人公の家のテレビでは天安門事件のニュースが流れている。

藍より青く(1973年製作の映画)

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銃後の熊本天草で、若い2人が結婚するまでのうまくいかない道のりを描く。
その背景には徴兵による未来の見えなさがある。
主人公と仲間は血気盛んな漁師で、カメラはそんな彼らに呼応するかのように動き大仰にズ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.7

映画的な仕掛けをかっちりと配置しているにも関わらず、役者が演じているシーンはゆったりとした時間が流れる。
12年を区切りとしたストーリーで、「イニョン(縁)」についての思考をとにかく美しい撮影で彩る。
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

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異言語で自然が厳しい土地への宣教がどういうことか。
宣教師は当初の目的から離れ、取り繕うことも出来なくなり全てをさらけ出されてしまう。
人間の営みがどうであれ自然は悠然と在る。
スタンダードのスクリー
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

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ヨーロッパに移民したクルド人男性のサバイブ物語。
移民がいかに犯罪と密接になってしまうかを見せる。

歌え若人達(1963年製作の映画)

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楽しい1本。
松竹の当時の若手オールスター映画で、大学を舞台にした群像劇コメディ。
山田太一の脚本はメタも入れつつ面白いけど、学生寮での固定カメラ、扉を使った反復のアクション、人物を両端において間に人
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デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.6

面白かった!
現代と17世紀を主人公は鈴を合図に行き来するがそのシームレス具合が見事。
視線の交差の見せ方も良い。

坊やの人形(1983年製作の映画)

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60年代の台湾を舞台にした3監督によるオムニバス。
当時の貧困および日本と米国との対等ではない関係が反映されておりどの作品も面白く観た。
侯孝賢作品で、主人公がピエロに扮装する姿が情感たっぷりだった。

ペナルティループ(2024年製作の映画)

4.3

かっちりとした設定でシステマティックではあるのだけど同時に肩の力が抜けていて浮遊感がある。
撮影も音響もしっかり作り込まれていると感じた。

ニックス・ムービー/水上の稲妻(1980年製作の映画)

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作品自体は複雑な構造だが、はっきりと残酷なまでに映されるのはニコラスレイの死期の近さである。
だからこそヴェンダースとニコラスレイは作家としての矜持を求めこのような作風にしたのだろうか。

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.4

多摩ニュータウンを舞台に3人の女性がゆるやかに交差する。
街映画の定型のようだが、より「音」にフォーカスしている。
記憶と過去や未来への目線、踊りのシーンがとても良かった。

GIFT(2023年製作の映画)

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形式としてはサイレント映画の生演奏付き上映だが、石橋英子さんとのパフォーマンスに特化している内容。
トークショーで濱口さんも石橋さんもこの作品を「映画」とは語らず、音楽と映像のセッションと捉えていた。
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

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資本主義社会での持たざる者たちの逆襲譚。
爆音で流れるCardi Bの「WAP」が痛快。
コロナ禍での暮らしが描写されているのが印象的。

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング(2023年製作の映画)

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このドキュメンタリーではリトルリチャードが「クィア」であることに注目しており、社会からのはみ出し者だからこそスターとなったが、常に孤独であったことがわかる。
ずっと矛盾を抱え人生で何度も宗教に接近する
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毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

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法廷の演劇性に着目している。
子供の裁判ごっこと人殺しの裁判を並列に観せる。
人殺しをなんとも思わない不道徳さはあっけらかんとしているが、手放しで笑えない怖さもある。

トア(1949年製作の映画)

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私生活を原案にして作品を作っている戯曲家が主人公。演劇と人生の境目など無く渾然一体なのである、と言っているよう。
メタに次ぐメタ。観ていてとても楽しい。
電報や電話といった小道具、部屋のセットさえも何
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戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

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家父長が亡くなって家が無くなったら未亡人はどうなる?という設定。
日本社会への鋭い観察眼が脚本に反映されている。
小津の後の作品に頻出するテーマが映画の中にいくつもあり、ある意味試金石的な作品なのかな
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

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作家の夫婦に起こった悲劇を重厚な脚本で紐解く。
同業者結婚、国際結婚でのすれ違いが精緻に描かれている。
作劇が生活を飲み込んでしまったようにも見えて悲しかった。
検察官の容赦の無さが笑えた。法廷で小説
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Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

4.7

社会の現在点をベースに面白いスリラーとして成立させている。
不均等はもちろん存在するとして、そこへのアプローチがとにかくスマート。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.7

とても良くできた風刺劇。
設定が面白いだけでなく、主人公の性格や家族の問題などがしっかりと取り上げられていて内容が肉付けされている。
ボストンの美しい海辺が撮られている。

プライベート・ライフ(2018年製作の映画)

4.5

細かい人物設定とそれが反映された主人公夫婦の部屋に代表されるリアリティある美術。
美しいショットとともに映画に奥行きをもたらしている。

恐怖のまわり道(1945年製作の映画)

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これぞプログラムピクチャー。
ほぼセットでの車のシーンと部屋のシーンのみ。
ミニマルさにノワールが詰まっている。

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

話運びとクライマックスのアクションで???となる。あとY2K意識しすぎている気もする。
それでも中盤までは楽しんで観たし、NY映画としてのルックやデザインはとても良かったので、大きいスクリーンで観れて
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.8

面白い!!
ここ近年のガイリッチー作品の手堅さが結実したような内容。
とにかくガンアクションではあるが、人間味を出してほしい部分を外さないし、アメリカ批判もきちんとある。
主人公の妻が家業を仕切る逞し
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村八分(1953年製作の映画)

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戦前の日本を農村の大人たちに反映して戦後の未来を若い世代に託しているように感じた。