バギオさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

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台北のシーンがとにかく室内で遮光されている。
日本に行くとやっと景色が開けて固定ショットが出てくる。
台北での主人公の密閉感を出すための狙い?

西鶴一代女(1952年製作の映画)

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酷い境遇と男に囲まれる中で何とか生きようとする主人公。
カメラワークや構図が素晴らしい。特に人物移動の長回し撮影が見事。

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.6

終電を乗り過ごした女性が、帰路で出会う名前を知らない人たちとの少しの間だけの親密な関係が美しく撮られている。
しかし、家に着く直前に偶然見かける、夜遊びしている娘との距離は1番近いはずなのに遠い。
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.9

劇中劇の「映画」と現代パートの撮り方の違いが終盤にかけて重なり合う。
映画の歴史もエリセの歴史も重なる。
多くの仕掛けを受け止めきれていないが、その佇まいに圧倒された!

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

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重力とか物理法則に逆らうアニメーションだからこそのアクション。

秋刀魚の味 デジタル修復版(1962年製作の映画)

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初めて小津のカラー作品を観た。
娘を嫁がせたいどことなく嫌な感じがする父(この嫌さが絶妙)と家族や同級生、恩師にまつわるあれこれ。
過去作と同じモチーフではあるが、時代の変化と共に微妙に違いがある。
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背くらべ(1962年製作の映画)

4.8

脚本が上手すぎる。
シネスコで映される富士吉田の富士山と3人家族の気丈な姿。

カラーパープル(2023年製作の映画)

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歌や踊りのパフォーマンスが良かった。
地獄のような状況での歌と祈り。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.9

苦しみの闇やそこに差す光をフィルムカメラで映す。
人生が前へと進む様を自転車の移動で表す。
主演2人の距離間の絶妙さを物語るトンネルや玄関前でのシーン。
故人の声が残されたカセットテープと、中学生のド
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イカとクジラ(2005年製作の映画)

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人物造形がしっかりとした脚本。
親が子に与える影響の残酷さ。
ニューヨークに住む知識人の悲哀というか、からかいというか。。

Here(2023年製作の映画)

4.7

ロマンティックな出会いを、苔と森と陽光とスープで語る豊かな時間。

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.8

全編を通して、内戦を経て独裁政権下となったスペインの状況を表すような不穏さと虚無。
蜂の巣に模されたアナの家。
固定したカメラでの鮮やかなロングショットと闇に浮かぶ顔のクローズアップ。
閉塞した状況と
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エグザイル/絆(2006年製作の映画)

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最初のシーンから時間の使い方や構図など素晴らしい。
ロードムービー的な中盤から最後のアクションまでずっと諦念のようなものが漂う。
劇伴の曲にハーモニカがあるからかカウボーイビバップに似た雰囲気を感じる
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僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

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左派家庭での母子のすれ違いへの批評的な視線。
結局親子は似た者同士であるという話ではあるが、小さな車での移動や車内でのシーンがユニーク。
これからのジェシーアイゼンバーグ監督作が楽しみ。

エレクション 死の報復(2006年製作の映画)

4.7

前作から照明や撮影のグレードが格段とアップしているような。。
暗所での照明はマイケルマンみたい。
暴力もヒートアップしている。
しかし今作の1番の見どころは香港裏社会と中国本土との関係に焦点を当ててい
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エレクション 黒社会(2005年製作の映画)

4.4

香港マフィアの会長選挙をきっかけに起こる内部闘争。
2年定年で再選なしというクリーンさ。
しかしそこには誠と嘘が混じり、会長が代々持つ杖の争奪戦含めエキサイティング。

緋牡丹博徒 花札勝負(1969年製作の映画)

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最初のシーンからこれぞ加藤泰という撮り方で興奮。
定型なプロットの中で演出や撮影で作家性をとことん発揮させている。

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

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とにかく歩みが遅く、馬は駆けない。
躍動や着地はない。
旅団一向が画面を横切るロングショットへのたっぷりとした時間。
言葉が通じない者や考えが異なる者との先の見えない旅路がとてもスリリングに感じた。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.6

主人公のベラとともに人間の歴史を辿っているようだった。
CGとセットを組み合わせた美術はもちろん、対話も魅力的。
知的探求を快楽とみなしていること、束縛からの解放が胸をすく。

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

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誰かの犠牲の上に成り立つ幸せを軸に、古い田舎の家の不気味さとか謎のしきたりとかをホラーとして膨らませている。

キャッシュトラック(2021年製作の映画)

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複数の仕掛けによってクライマックスの30分以上のアクションを盛り上げる。
劇伴が重々しすぎる。

恐喝の報酬(1950年製作の映画)

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写真家である主人公はスクープを撮る為に裏切りや恐喝を行い、人の命までをも奪う。
主人公の倫理観はソーシャルメディア時代の現在ではより広まり可視化されており、ここで描かれていることは公開当時よりリアリテ
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オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

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これだけ金がかかって軽口のスパイ映画を作れるのはガイリッチーだからかな〜。

ドミノ(2023年製作の映画)

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映画の仕掛け云々よりも所々のディテールが豊かで楽しめた。

麦秋(1951年製作の映画)

4.8

戦争によって子を失った両親の思う幸せと、子の決断のギャップを撮影や照明で見せる。
原節子演じる紀子の強さ。
今が1番幸せかもしれないと言う両親が眺める風船や雲のショット。その後の家族の離散を予見するみ
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Saltburn(2023年製作の映画)

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あらゆる欲を体現するバリーコーガン。
音楽や衣装、美術、撮影と全方位への徹底した目配せを感じる。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

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降霊術がドラッグ的な描かれ方がされていたり、メンタルヘルスがキーだったりして今っぽい。キリスト教的背景も薄くて見やすい。
オーストラリアのティーンものが個人的には新鮮。
しかしめちゃびびりながら観た。

彼方のうた(2023年製作の映画)

4.5

何を映さないのかを徹底していると感じる。
映画で語られる言葉や所作よりも重きを置いているみたい。

ボディ・アンド・ソウル(1947年製作の映画)

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入り組んだ構造と盛りだくさんの要素をまとめる編集と脚本の見事さ。
最後のボクシングの試合では、臨場感はもちろん登場人物をほとんど出してよりクライマックス感が出る。

お茶漬の味(1952年製作の映画)

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まず会話劇がとても楽しい。
パチンコ、野球、競輪と娯楽の描写もとても楽しい。
最後の展開はベタだが気持ちよく終わらせない。
鶴田浩二がフレッシュ。

ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

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久しぶりに帰ってきた息子と母の艶かしい関係が一転し、それが終焉するまでをアイルランドの閉鎖的なコミュニティに重ね合わせて映す。

ミカエル(1924年製作の映画)

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愛が交わらない巨匠と弟子。
美しさはもちろんだがコミカルさもあった。