太田康裕さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

太田康裕

太田康裕

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グリーンブック(2018年製作の映画)

3.5

うーむ…。
悪くはない。悪くはないけど良いかと言われるとなぁ…。

例えば、黒人差別してる主人公がプールサイドの事件で見せる言動で(あら?この人実は凄くまっとうな心根なのかも)と改心する理由を垣間見せ
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狼たちの午後(1975年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。
アル・パチーノのイメージとタイトルからクライムサスペンスとかノワールを想像してたらむしろコメディ…。
ただ、実際の事件を元にしてるので振り切れなかったのはあるんだろうが、セクシャ
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

4.5

大傑作。
予告も公式サイトも他人のレビューも一切見ずに劇場へ行くべき。今すぐ。

…という訳で、初めてレビューをコメント欄に別記する事にします。

もう一度いう。
映画、舞台、ラジオドラマ好きは勿論、
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.5

すごく好きな映画だった。
死との距離の取り方の物語。

ニール・アームストロングの視点に徹底的に入り込むカメラワークはけれどその心の一番奥に隠した扉を開け放つ所を見せてはくれなくて、
なるほど、気難し
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。

251分のディレクターズカット版。
(監督本人の再編集でないそれをディレクターズカット版と呼んで良いのかという疑問はあるのだけど)

青年から壮年まで演じたデ・ニーロの魅力。
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.5

午前十時の映画祭で。
初見は高校時代にパルムドール受賞を知ってWOWOWで。
時間軸バラして、複数の話を同一シーン含めて描くとどっかで読んで、全くイメージ出来なかったのだけど見たらその凄さにぶっ飛んだ
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チャンス(1979年製作の映画)

3.5

午前十時の映画祭で。
いやはや、これまた変な映画だった(褒めてる)
始まってしばらく、というか大半は、(はいはい知的障害者を主人公にお涙頂戴モノなのね。しかしこの時代にそんなもの名作リバイバル上映って
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ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~(2018年製作の映画)

4.5

僕には「ボディガード」の印象しかなかったホイットニー・ヒューストンの人生が、あまりにも壮絶過ぎて涙も言葉も出ないという初めての体験する事になった。
こうした転落人生のドキュメンタリーやドラマは観ている
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彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)

4.0

不思議な映画だったなぁ。
ケーキ職人の行動原理もカフェのオーナーの「思い」も、どっちに向いてる矢印なんだか分からなくなる三角関係も。つかもうとするとスルスルと抜けてっちゃう。
じゃあ、つまらないのかっ
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日の名残り(1993年製作の映画)

4.5

午前十時の映画祭で。
去年見た「モーリス」の監督であり「君の名前で僕を呼んで」の脚本、ジェームズ・アイボリー監督でHBO版「エンジェルス・イン・アメリカ」のマイク・ニコルズが共同プロデュース、同作出演
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アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.0

ブラッドリー・クーパーとレディ・ガガがそれぞれの経験を台本に反映させて、しかも舞台袖なんかのシーンでは手持ちカメラとか多用してて、何度もドキュメンタリーを観ているような錯覚を起こした。
もちろん、それ
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パリの恋人(1957年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。
途中、フレッド・アステアが闘牛なダンス披露するんだけど、それまでのシーンでほとんどコートの裏地を見せてなくて踊りながら脱ぐと赤い裏地っていう演出の上手さ。
オードリー・ヘプバーン
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パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

4.0

インドでの「生理」に対する偏見解消と女性の社会参加を図らずも後押しする事になった男の物語。
信念を貫く大変さに涙が出る。
ただ、これインドではどう見られているのか分からないのだけど…5億人は救えたかも
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旅するダンボール(2018年製作の映画)

4.5

有史以来、もっともダンボールが流通する現代なのにダンボールは保護材としてだけ見られてて用が済めばゴミになる。
なのに、この映画の主役:島津冬樹さんにかかると財布なんかに生まれ変わっちゃう。
「価値」と
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裸の島(1960年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭。
セリフを廃したモノクロ映画って退屈するんじゃ…と行ったら杞憂。
1組の家族が孤島で貧しくもひたむきに生きている。
飼ってる動物の食事と人間の食事のカットバックや弟クンとタコの泳ぐ姿
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.0

うーむ…期待しすぎちゃったかなぁ。

前半がとにかく長い。不吉な感じも余りなく(実際は大事起こってるんだけど)延々と起承転結の起承パート見せられているようで、終いには眠くなってしまった。
中盤の「ある
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判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.0

小さな行き違いだったはずの言い争いが、次第に分断を広げ取り返しがつかなくなる感じは現実の「今」と「未来」を見せられているよう。
互いに譲れない「正義」とその裏にあるものが見えたときにたどり着く判決。
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夢のまにまに(2008年製作の映画)

3.5

僕は日活芸術学院の出身だ、ということを割り引いてこのレビューを読まれた方が良いと思います。

国立映画アーカイブ開館記念「生誕100年映画美術監督木村威夫」特集上映で。

映画としては少し分かりづらい
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ジャイアンツ(1956年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。
長い。
のだけど、必然性のある長さ。
大牧場主の一代記ではあるのだけど、人種差別や戦争への作り手たちの抗議が説教臭くならずに差し挟まれる上手さ。
ラスト近くに映る2人の孫とその向
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.5

クイーンの楽曲は数曲知ってる程度だし、さてどこまで楽しめるかなぁ…と観に行った。
ある種の喪失感や劣等感を抱えて、でもエンターテイナーであろうとするその苦しみで壊れていくようなフレディの生き様とそこに
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近松物語(1954年製作の映画)

4.5

午前十時の映画祭で。
長谷川一夫の色気と香川京子の可愛らしくも美しい佇まい。
そして貫く想いを受け止める終わり方。
あぁ溝口もやはり素晴らしいなぁ…と実感する名作。

しかし、小津、黒澤、溝口…と考え
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search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

いやー、面白かった。
ドラマ「フラッシュフォワード」で知って好きになった俳優ジョン・チョー主演ってだけで嬉しいのに、全編「画面」上だけで展開するってどういう事よ?と期待大で行ったのに、それを上回る作品
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ソフィーの選択(1982年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。
これほど重い「選択」だとは…。
生きる事は確かに選択の連続で、そこにどのような結果があろうとそれを受け入れて進むしかない。
今ならDVだとか共依存だとか見立てて介在すべき1組のカ
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マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭にて。
なるほど「ギルバート・グレイプ」の監督だと言われると納得する抑揚を抑えた演出は、これ日本人の好きなリズムなんだろうと思う。小津安二郎はもちろん近年ならば河瀬直美なんかもその系譜
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.0

国立フィルムアーカイブによる70mmフィルム版で。

小説版は既読だし、町山智浩氏の解説も見聞して臨んだ。
が、そうまでして観ると明らかにキューブリックが「分からない」様にしている事に気付く。ならば、
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クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)

4.0

ラブコメとしてはベタなのだけど、だからこそゲラゲラ笑えるし泣ける。

「007トゥモロー・ネバー・ダイ」での強い女性の印象が強かったミシェル・ヨーのイビリっぷりは、こんな姑とは戦えない!と思ったし、だ
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ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

4.5

映画や映画館に対するノスタルジーを描いた作品って紹介される事も多いが、これむしろ故郷を捨てるという覚悟と愛の映画なのだろうし、いやぁ良い。
マリア像から映写の光が与えられてるようなショットの宗教観や当
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あん(2015年製作の映画)

4.0

希林さんの訃報を受けた追悼上映で。
樹木希林が演じた徳江さんはとてもとても難しい役だと思う。
徳江の人生が背負わされたモノが明らかになるまでは、どこかお茶目なお婆ちゃんなのだけど後半明かされるハンセン
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.5

音を出したら殺されるという「映画館」で見る事に価値が出る設定はなかなか上手く、客席全体が音に敏感になっていて上演前にポップコーン買わなくて良かったと安堵した(笑)

作劇上の穴に気付かせない内に駆け抜
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灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。
いやぁ…自分の不明を恥じる結果となった。あらすじは拾えてるし、様々なメタファーが仕込まれてるのも拾えたが、それが意味付く所までたどり着けなかった。
さすがにポーランドの歴史に須賀
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トップガン(1986年製作の映画)

3.5

午前十時の映画祭で。
近年のストイックさが滲み出る(というよりストイックさが服着てるような)トム・クルーズがどーしても好きではなくて、その印象だけで見始めたらトム・クルーズかっこカワイイ。
脚本は大雑
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検察側の罪人(2018年製作の映画)

3.5

木村拓哉と二宮和也のダブル主演でジャニーズと東宝が製作って聞いた時点でよだれでベタベタになるくらい嘗めてたのだけど、悪くはなかった。
近年、諸般の事情でダークな印象がついた木村クンのそのイメージを利用
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プラトーン(1986年製作の映画)

4.5

午前十時の映画祭で。
オリヴァー・ストーンが撮った戦争映画ってどう考えたって難しそうで、そっと敬遠してたので初鑑賞。
開巻からベトナム戦争の真っ只中に主人公たちとともにドサッと降ろされて、ひたすら戦争
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.5

ネイティブアメリカン居留地に纏わるエアーポケットで起こる事件。
サスペンスとしては事件が弱い気もするのだけど、それを凌駕しちゃうような現実。
「覚悟」を決めてただ生き延びている地域とそこに届かない手。
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グリース(1978年製作の映画)

4.0

午前十時の映画祭で。
時代が変わったせいもあろうが変な映画だなぁ…(誉めてる)
美人ヒロインとチンピラ男って青春映画の王道ではあるけれど、他の味付けが。
そもそも「ミュージカル」というほど歌わない割に
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

デジタルシネマ世代の一つの到達点が来たなぁ…と言うのがまず抱いた感想。
僕は最後のフィルム世代で映画やテレビドラマの制作現場に居たこともあるのだけど、そんな視点で見ちゃうと冒頭37分の長回しにまず度肝
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