小嶋貴之さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

小嶋貴之

小嶋貴之

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お葬式(1984年製作の映画)

3.8

面白かったが,それ以上に伊丹十三の映像センスが凄い。
全てのシーンで楽しませようと、いろいろ練られている。
映像的にも覗き込む所を広角で捉えたり、要所で長玉アップなど、人間の業を上手く感じさせるショッ
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.7

刑事ドラマをサスペンスではなく、人間的,社会的な面から見せてくれる映画。
刑事ドラマ部分が単調なのだけど、刑事が事件をミソジニー的に扱ったり、そこから来る?刑事のプライベートな部分を浮き彫りにすること
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海辺のリア(2017年製作の映画)

3.0

設定は良かったけど、場面変わらない単調さの上に観念的な展開で、掴みきれなかった。
役者が豪華。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.8

思ったより家族の話だった。
けど、そこを掘り進めずに、ブラックコメディな方向に持っていってしまったのは物足りなかった。
ブラックコメディにするならもっと無茶苦茶だと良いのに。
ただ現代に対する批判の姿
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彼女はなぜ、猿を逃したか?(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

こちらは「雨〜」とは違ったアナモフィックレンズを使って、映像で深度の浅い画で見せて、キャラクターの精神性を伝えて行く演出が、脚本に合ってて面白かった。
少し話は観念的で雑な部分もあるけど、終わり方が清
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シンプル・プラン(1998年製作の映画)

4.0

面白い!!
今だと多少聞き飽きた話だけど、心理が二転三転するサスペンスな脚本が見事。

芝居や演出が丁寧なので、人の心変わりが手に取るように伝わるし、その伝え方も驚きを持って伝えてて、ずっと面白い。
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Bico(2004年製作の映画)

3.3

写真集の様な作り。
映画同様無駄な動きをさせない事で、その人を丁寧に炙り出す。
この季節を選んで撮影したカウリスマキのセンスに脱帽。

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白い!
「落下の解剖学」とモチーフは同じだった。
男の気持ちはもちろんわかるし、最後自分を守る女の気持ちもわからないではない。
しかし結局情より自分の事なんだな。

モチーフがそのままテーマになって
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.7

脚本はサスペンスとして凝ってて面白い。
テーマも現代に通づるところもあって、感心した。
ただ少し雑かなと。

あと舞台が夜なのだけど、それだけにずっと暗くて、あの時代の夜というのはあのくらいだったと思
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告白小説、その結末(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

雰囲気は好きなんだけど、もう少し要素を足して複雑にするか、カメラのワークとかでサスペンスフルに振ったらよかったのかな。

結局エルが、主人公の妄想だった、二重人格だった?というオチなのはどちらでも良い
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.9

切なくも、とても完成度が高い。
誰も悪くないんだけど、持たざる者は辛い思いをする。
当たり前がなんと辛いのか…。

NN4444(2024年製作の映画)

2.9

全体的に時間かけずに作った印象。
なので作家の力量、趣向がわかりやすく出ている。
短編であろうともちゃんとした準備は必要だと思います。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

冒頭からずっと楽しんでみられた。

役者が上手いのか(スヌープは上手すぎる)、登場人物の感情が伝わって来て、いろいろ思考を巡らす事ができて楽しかったんだと思う。

本当に殺したのか,という事は結局明か
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娘・妻・母(1960年製作の映画)

4.0

頭の方でサラッと人が死に、お金の話が飛び交って、金を持ってる人に貸してと群がり…ドライだ,乾いてる,と思ったのも束の間、とても切ない話に。

とてもテンポ良くて見やすい上に,セリフが秀逸で笑ってしまう
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.8

予想通りの面白さ。
ひたすらコントが連なってる感じ。
とても好きな類なので、十分楽しめた。

けど、見終わってから残るものがなくて。。。
そこが物足りなかった。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.2

ちょっと、傑作過ぎて慄いてる。
二人の芝居が良過ぎて,ずっと見てられる。
あと編集も良いなあ。ここって所だけを見せてくれて、必要ないところはちゃんと距離取って。
演出も脚本も芝居も撮影も、なんか全部し
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散歩時間~その日を待ちながら~(2022年製作の映画)

3.8

それぞれの時をずっと楽しく見られた。

それぞれの事情があり,それぞれを支え合う。見捨てられない世界。



その時海の向こうでは戦争が…、と思ってしまった…。
確かに関係ないんだけどな。

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

個人的にケリー・ライカートは当たり外れあるけど、これは良かった。

とてもリアルに大きな事件も起こさないけど、それぞれ何かを抱えてて、それがずっとじわーっと存在してる感じがとても面白かった。
それに加
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.6

小さくて可愛い映画だった。
ただそれが物足りなくもあった。
もう少し長くひつこく描いて欲しかった。

画作り、演出、芝居は素晴らしかった。

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

良い!!
さすが群青色。期待裏切らない。
予算無いからか、世界が小さすぎるのが残念なんだけど、デビュー一年目だった古川琴音がもう天才だという事がわかる。
相手の廣末哲万も達者なので,二人見てるだけで,
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Here(2023年製作の映画)

3.8

淡々と柔らかい視線で世界を見つめる優しさが話題だけど、よく見ていくと,思ったよりテクニカルな映画だと思った。
5:4の画角の画作りも丹精かつ厳格だし、オチに結びつける様な、二人の距離感の使い方も見事。
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放流人間(2007年製作の映画)

3.3

カサベデスばりの役者のドアップで繋ぐ映画。顔に全ては書いてあるとばかり。
この監督は男と女の接近が上手い。

しかし設定がやや雑なのが、乗り切れなかった。精子バンクとかでなく,もっとやりやすい普通の設
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50/50 フィフティ・フィフティ(2011年製作の映画)

3.7

難病ものだけど、乾いたタッチで描いてて良かった。
主人公を利用してナンパしたり、看病がしんどいとか、無自覚な悪どさやネガティヴさもあり、リアリティを感じた。
あとカウンセラーの服装が見事。

罪と悪(2024年製作の映画)

3.6

デビュー作がオリジナル脚本という事で、期待。
結果、退屈はしなかったけど、観たことある作りなのと、主役達の少年時代を描き足りなかったからなのか、今一つ入りきれなかったのは残念。
現代パートもヤクザの扱
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サイド バイ サイド 隣にいる人(2023年製作の映画)

3.5

評価が低いのはよくわかるが、嫌いになれない映画だった。

理解するということが、全てを把握できるのではなく、ただ辻褄も忘れて感じる事で知れる世界もあるのかもしれななと。

世界観を理解する前半は退屈だ
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アリス・クリードの失踪(2009年製作の映画)

3.7

たった三人だけでの心理戦。
見事な展開で飽きない。
惜しいのは、本当に三人なので、外部が無く追い詰められて行く感じが無くて、緊張感がもう少しあると傑作になったかも。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

まずはビジュアルが圧倒的に美しい。
長いファッションフィルムの様(褒めてます)。
フィルムとオールドレンズの質感も色合いもアナログの感じが美しかった。
ぐるぐるボケもあった!
少しピントが甘い感じとか
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ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

3.7

家族の会話劇。
6割くらいまで、あまり会話の内容がよくわからない所も多く、動きもなくどうなるのか楽しめるのかと思ったが、途中からの告白と展開で、急にピントがハッキリして、結果退屈したのに好きな作品だっ
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現実を受け入れるべく夢を見る(2020年製作の映画)

3.5

いやー,すごい。
センス迸っている。
全カット意味あって撮ってる。
違和感をどうやって感じさせるか,と言うテーマがよく伝わってくる。
説明を無視したテーマ全振りする度胸とそれをまとめるセンス。
確かに
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.3

コンセプト、発想は面白い。
ただ構成、脚本が弱すぎる。

この構造だと、主人公が襲われることはないので、主人公に目的を持たせられないし、行動原理もあやふや過ぎて。逃げては家戻るの繰り返しで、しかも戻る
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アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

短い中に、いろんな要素を詰め込んだがばかりに、カタとアンナの出会い、その連帯感など流れが雑なのが気になった。
ただ、義父とダメ母とうまく行ってない友達や、家庭に閉じ込められてる浮気相手の奥さん、結婚式
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.1

最初は少女漫画かと思ったけど、凝った物語に流れる人生を感じさせるドラマでした。

役者も上手くて、特に安生、振れ幅ある役なのに,全てしっくり来て飽きさせない。関心しかない。

まあ男はどこまで行っても
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.7

とてもマイクミルズらしい美しい映画。
9歳の子の複雑な心情がよく伝わってくる。

ガツンとは来なかったが,何度も見たくなる映画かもしれないなぁ。

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

3.7

設定が良い。
内容もとてもシンプルで分かりやすい。
何気ない日々を優しい視線で見守るスタンスが逆にドライに感じて刺さってくる。

子役がいい。