くりさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.4

これは正直かなり響いた。
『ノマドランド』が少しぬるく感じるくらい、現実の"甘く無さ"を突き付けられた。

「自分にはこの道しかない。」そう思っていても、その道が絶たれることもある。その道で生きること
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.5

ベスト映画の常連で且つ超難解という評価がついて回っている為、ずっと観るのを躊躇してきたこの映画。勇気を出してようやく鑑賞。

いやー、めちゃくちゃ面白かった!!!

この映画に着想を得て作られた作品が
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エクスペンダブルズ(2010年製作の映画)

3.3

「時の面影」「ミナリ」「ノマドランド」と最近わかりやすいカタルシスとは無縁な映画を立て続けに観た反動でついに鑑賞。

一本の映画として優れているかどうかは置いておいて、とにかくアガる。胸焼けするくらい
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.1

"ホームレス"じゃなく"ハウスレス"。これがこの映画の主題をほとんど表していると言っていい。

ノマドとの交流が多く描かれる前半に比べて、後半はファーンにとっての"ホーム"を巡る物語に終着していくこと
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アウトポスト(2020年製作の映画)

3.9

多くの人が言及しているように、とにかくクライマックスの戦闘シーンが圧巻。
「ブラックホークダウン」「ハートロッカー」「ローンサバイバー」と更新されてきた戦闘シーンの凄みをさらにもう一段階ネクストレベル
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ミナリ(2020年製作の映画)

4.0

とても静かで行間が多い映画。それでいて観た後にはしっかりと余韻が残っている印象深い作品。

日本人にはなかなか理解するのが難しい移民の心情。それでもこの映画の端々でその希望と苦労が垣間見られ、とても興
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.3

チャドウィックボーズマンという人にはスターとしての資質が備わっているように感じる。真ん中にいるだけでその作品に一定の魅力と説得力が生まれるような存在。ウィルスミスとかジェイミーフォックスのように主役を>>続きを読む

サスペリア(1977年製作の映画)

3.9

何とも"癖がスゴい"映画。
この映画がカルト的人気を博したのも頷ける。

人を選ぶ作品だとは思うけど、自分は面白く観ることができた。

独特な色彩表現、印象に残る音楽と音、ケレン味たっぷりな恐怖演出。
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時の面影(2021年製作の映画)

4.2

何百年もの時を経て蘇るサットン・フーの遺跡発掘を巡る物語を通して、第二次世界大戦に翻弄された人々の刹那を切り取る群像劇。

構造自体がとてもメタ的な作りになっていて、作品のテーマにより重みをもたらして
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.0

子供に対する母親の愛と責任に関する物語。
いや、セルマの自己実現についての物語とも言える。

どこまでも救いのないストーリーもそうだけど、グラグラ揺れる手持ちカメラでの撮影と画面の薄暗さ、そしてビョー
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ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実(2019年製作の映画)

4.3

ベトナム戦争を題材にした作品や、その闇を揶揄する作品が数多く作られてきた。それらを観ると、どうやらアメリカ人はベトナム戦争というものに相当なトラウマを抱えてきたことが伺える。そしてそれは日本人の想像を>>続きを読む

カポーティ(2005年製作の映画)

4.0

これは素晴らしい。

作家のトルーマン・カポーティが「冷血」を書き上げるまでの物語。

はじめは取材対象である殺人犯ペリーを"金脈"として捉え偽りの友情で関係性を築いていくが、次第に彼に対して特別な何
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激突!(1971年製作の映画)

4.0

スピルバーグの演出の妙。改めてその凄さを堪能できる映画。

「マッドマックス 怒りのデスロード」はシンプルなプロットの中に想像を超えるアクションを詰め込んだ傑作だったけど、本作のプロットはそれよりも遥
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ビバリウム(2019年製作の映画)

3.7

新しい見せ方の侵略モノ。

"ヤツら"の条理は人間にとって極めて不条理。
ある使命を果たす為に生活し、その役目を終えれば待っているのは死。
でも、種としての人間も本来そんな節理のなかで生きてきた生物な
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トランス・ワールド(2011年製作の映画)

3.5

いわゆるグッドアイデアなワンシチュエーションモノ低予算映画の佳作。

「あっ、ホンマに予算無いんやな(笑)」と感じずにはいられないあの爆破シーンを見ると、よくここまで面白く作り上げたなと感心する。
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ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット(1969年製作の映画)

4.3

はじめてのサムペキンパー。

とんでもなく凄いものを見せられた。。

日常的に繰り広げられる暴力。意味もなく巻き込まれて命を落とす多くの人々。
まさに血と暴力の時代における男達の生き様を描いた物語。
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ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)

4.0

観ていてとてもしんどかったし相当疲れた。
そしてそれは凄く貴重な映画体験。

約140分の間で語られる事実をベースにした物語を文字通り''体感"することこそが重要な作品。

ISにより拉致監禁され疲弊
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ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)

3.7

エンタメとして良くできた作品。シンプルに面白かった!

中盤の多少の中弛み感は否めないけど、冒頭30分くらいは「今年のベスト更新するんじゃないか!?」と思うくらい相当楽しかったなあ。

ありそうで無か
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13日の金曜日(1980年製作の映画)

3.5

一作目には皆さんご存知のあの風貌の"殺人鬼ジェイソン"は登場しないんやね(笑)
思ってたのと違ったけど良い意味で裏切られたし、ジェイソンのバックボーンには意外と悲しいドラマがあったと知ってびっくり。
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カポネ(2020年製作の映画)

2.9

何もかも失った晩年のアルカポネが、最後に残ったひとつの小さな愛の存在に気付くまでの物語。
こう書くと聞こえはいいが、少なくとも自分には退屈な2時間だった。

この映画が構築したフォンス(アルカポネ)の
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この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

3.8

いかにもNetflix映画って感じのテーマ。
こういう"分断"を扱う映画最近多いなあ。まあでもテイストは嫌いじゃないので、この手の映画が多く作られることは自分にとっては好ましい。

「過去を記憶から消
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レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.1

現実と幻想。理性と欲望。
なりたい自分になれない自分。
願望、挫折、救済、依存、破滅。

観ていて怖いし、何より辛い。。

薬物中毒の恐ろしさを表現するには、これ以上ないと思う程の見事な映像的アプロー
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.2

すべてのマイノリティに向けた賛歌のような映画。

「美女と野獣」はいい話だけど、多くの人が目をつぶっていた"都合の良い部分"にもしっかりとアプローチしていて、だからこそこの時代に高く評価されたんだと思
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(1963年製作の映画)

3.9

恐怖心って一口に言っても色んな種類があるけど、本作が描いているそれは不気味さや嫌悪感に近いものだと感じた。

襲われる理由がわからないから怖い。
普段から慣れ親しんでいるものが襲ってくるから怖い。
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2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

4.0

考えは正反対の新旧ローマ教皇。双方が辞めたいと思っているし、辞めて欲しく無いと思っている。そんな2人がお互いに罪を告白し合いそして赦しを与え合いながら、対話を通して個人の関係を深めていく物語。
このプ
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.0

間接的に恐怖と残酷さを駆立てる描写の連続。

それに対して、幼稚で滑稽な犯人グループの描かれ方。それがこの映画内で起こる出来事の不条理さを際立てていると思う。

でも何だろう、この笑ってしまいそうにな
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オデッセイ(2015年製作の映画)

4.2

そもそも、「限られたリソースのなか、知恵を駆使して困難な目標を達成する物語」は面白い。
この映画はそんなプロットを軸に作られているが、更に科学とユーモアを加えて、到底叶いそうにないミッションに各分野の
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

4.5

久々に観た気がするなあ、こんなストレートに良い話を描いた映画。

一度全てを失った男が、親子の絆も、仕事の楽しさも、家族の愛も、友情も、プライドも、地位も名誉も、そのすべてを取り戻すひと夏のロードムー
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

4.0

あー、笑った!そしてどことなく切ない。

字幕を使ったある演出とか、幽体離脱とか、カメラに向けての語りかけとか、反則技のオンパレードだけど、気が利いてて強烈な皮肉に満ちた会話劇にやみつきになりそう。メ
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私は確信する(2018年製作の映画)

3.7

この映画が作られた意義やそのメッセージは、弁護士の最終弁論のセリフに集約されている。
個人的にセリフでそれを言わせる映画はあまり好みではないけれど、裁判を扱っている映画である以上、構造的にはまあそうな
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秘密への招待状(2019年製作の映画)

3.3

この物語に感動できるかどうかは観客側の価値観によって違ってくると思うけど、少なくとも自分には少しの気持ち悪さが残った。
作品の作りとしては、イザベルの最後の選択も含めて美談として描いているような感じが
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

4.5

特筆すべきはラストのナレーション。
このナレーションで自分は本作を完全に肯定できた。

この映画は、ジョズエから見た"僕の物語"であるということ。
反戦争を謳う社会派映画ではなく、ホロコーストの酷さを
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ミザリー(1990年製作の映画)

3.7

(脱出スリラー+逆「めまい」)×キャシーベイツという名のサイコホラー=「ミザリー」

"ミザリー"とタイプライターが脱出のキーになるのが気が利いてて良い。

今まで聞いた中で一番絶望感に満ちた"愛して
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裏窓(1954年製作の映画)

4.4

今まで完全に安全圏だった場所が脅かされる感覚は物凄くスリリング。
だからクライマックスは緊張感が半端じゃなかった。

そしてラスト。グレイスケリーを映すあのショットに、見事にそして痛快に突き放されたな
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めまい(1958年製作の映画)

4.7

50年以上も前に撮られた映画を観て、現代社会を生きている自分の在り方や他者との接し方について、問われているような気持ちになるとは思わなかった。

この映画を観る前の自分の感覚には、色んな意味でもう戻れ
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