ラダさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ラダ

ラダ

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(1985年製作の映画)

4.0

根っからよい人間なんていない。悪い人間についても同様だ。喜怒哀楽と言っても、その感情は縦割りされたものでない。笑いながら怒ったってイイ。感情は複雑だ。そして、誰かの正義は誰かの迷惑だったりもする。>>続きを読む

吉原炎上(1987年製作の映画)

4.7

遊郭を舞台にしている以上、どう転んだって幸せな話ではない。物語は数多くの不幸に塗れている。身請けすらハッピーエンドではない。当たり前だ、そういう話なのだから。

だからこそ、五社英雄監督は吉原で生きる
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スーパーの女(1996年製作の映画)

4.0

こういうのでイイんだよなぁ。

ここ最近伊丹作品を観ているけれど、1984年のお葬式から12年。スーパーの女ではエロがないのが特筆すべき点。つまり家族で安心して観られる。これは大事件。

おっぱい無し
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マルサの女(1987年製作の映画)

4.2

ミンボーの女と言い、伊丹作品には強いエンタメの力を感じる。脱税の話を報道番組やドキュメンタリーに乗せたとしてもだ、それは興味ある人にしか訴えられない。なるべく多くの人に伝えたいからこそのエンターテイメ>>続きを読む

ミンボーの女(1992年製作の映画)

4.1

暴力団排除系痛快エンターテイメント。

と言いたいところだけど、冷静に内容を考えるとかなりエグい。このエグ味をあくまでもエンタメとして昇華できるのが、伊丹十三監督の凄味のひとつなのだろう。

暴対法が
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肉体の門(1988年製作の映画)

3.4

これが五社英雄のキャットファイトか!!

戦後の日本で、パラダイスを夢見て蠢く街娼たち。演技やセリフや設定など、どうにも解像度が低いため、少々理解が難しい箇所があるのだけれど、一トン神社の本尊がそんな
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お葬式(1984年製作の映画)

3.9

家族の死に立ち会い、悲しむ間もなく進む事務的な作業。親が逝く歳ごろならば、そこそこみな大人なはず。恥ずかしながら何も知らない、でも実は皆があまり知らないのがお葬式。

父の死を舞台に、故人への悲しみと
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鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)

4.5

五社英雄の画の美しさがものすごい。

令和に観る昭和初期の仁侠の世界は、倫理や理性とは真逆にあり、今観ると最早ファンタジー。理不尽で傍若無人な振る舞いが続くも、眉をひそめる度に画の美しさにハッと息を呑
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タンポポ(1985年製作の映画)

4.3

「ダメだ!ダメだ!!」

そう言って父親はチャンネルを回してしまった。おそらく乳房に生クリームを塗り、嬉々として弄ぶシーンだったかと記憶している。今考えれば、このシーンを地上波で流す時代の大らかさにも
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メメント(2000年製作の映画)

4.0

2001年、旧・渋谷シネクイントで映画デートをした。2023年の映画鑑賞をテネットで幕開けしたこともあり、22年ぶりに再び観てみようかとなった次第。

あの頃から既に「難解だ」という感想が囁かれていた
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.2

2023年の一本目はテネット。スタートに本作を選んだのは、最初にこれ観ときゃ後は何でも観れるだろう、と少々の毒を入れておくのが狙いです。いわゆるワクチン的なもの。

噂どおり何が起きているかはほとんど
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グレムリン(1984年製作の映画)

3.8

小学校3年生の時に、はじめて映画館で観た洋画がグレムリン。白い戸棚からグレムリンが出てくるシーンだけやたら覚えてる。そして映画館を出て「怖くなかった!」って言い張って、家族に笑われた記憶が蘇った。>>続きを読む

カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

3.3

80年代。イギリスにおけるパキスタン移民へのヘイトだったりサッチャリズムの影響だったりを描く社会派といえば社会派映画。音楽に魅せられた若者が成功へ向かって邁進する青春映画でもある。まあいわゆるイイ話。>>続きを読む

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇(2019年製作の映画)

3.3

太宰治、未完の遺作「グッド・バイ」をケラさんがサンプリングしたりリミックスして原作とした本作。

とは言え太宰治を読んでないので、偉そうなことは何も言えないのです。なんかカッコいいから「ダザイ」とか言
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ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

4.2

嘘が下手で頭の悪い妻子持ちのジークが、目の前で起きた友人の死の事実から急場凌ぎで逃げ続ける。しかし、あまりにもその死因が特殊。でも本人たちは頭が悪い故に、大真面目に悩むからタチが悪い。一体今、何を見せ>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

3.1

他人の青春なんて、振り返ってもさほど面白くない。内輪が盛り上がれば盛り上がるほど、笑えば笑うほどに、理解についていけない外野は困惑する。真顔になる。酒を飲めない宴会で、烏龍茶を飲みながら酔っ払いに愛想>>続きを読む

DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

-

特撮とは創意工夫であり、ウルトラマンとは愛である。※スコアは無し

前科者(2022年製作の映画)

3.9

テレビ全六話をしっかり観てから臨むのが吉。主人公・佳代と謎の女・みどりの関係性がわかるので最後まで振り落とされることなく観終えることができるはず。

保護司という仕事を通して、人に寄り添うことの大切さ
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フラッシュダンス(1983年製作の映画)

3.4

イタロディスコの父こと、ジョルジオ・モロダー。愛すべきモロダー先生の楽曲をスクリーンで観られるなんて!といつもの映画館に向かう。上映期間は一週間。

そのせいか、館内は80年代に青春を謳歌したのであろ
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.5

養殖マグロのように、ただひたすらに同じ場所を回遊する人々。このシチュエーションが同じ広告業界にいると笑うに笑えない。いや、実際は相当笑ったのだけれども。

同じ月曜日が繰り返される濃紺ブルーマンデー。
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.7

映し出される1960年代のロンドンは、音も空気もファッションもエラいカッコいい。その分を裏返すように、古き悪しきエンタメ業界の裏側を舞台にした事件を、鏡越しに掘り返すサスペンスホラー。とは言え、ホラー>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.9

やっと観た。絶対に眠くならない時間帯に、お腹いっぱいになってない状態で。もちろん今日はまだ、お酒も飲んでない。

同日同時間を切り取り、過去に遡るストーリー。繋がっていないようで繋がっていて、長く付き
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劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

3.4

原作というか、どちらかと言うとドラマ版を観ずに臨むと大変なんだろうな。という印象。色んな事情を知っているものとして2時間が進みます。既存のファンへのおもてなしを感じつつ、それにしても内野聖陽と山本耕史>>続きを読む

クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男(2021年製作の映画)

4.7

クリエイション・レコーズは誰が何と言おうと未だに最高なレーベルのひとつだし、当然アラン・マッギーは恐らくクールに違いない。

ロッキンオンで3万文字のインタビューがあれば、やはり新作の話題やギャラガー
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

糞詰まらなそうなラブコメディのようなタイトルの映画を気取りながら、青臭い少年が人の受け売りのような知識でパンクを語る。そんなこんなしてると宇宙人とがっつり恋愛しちゃう話。って、どんなこんななんだよ…。>>続きを読む

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

4.9

監督も認める二部構成。3時間弱の大長編だが、読後感は連続ドラマを一気観した印象に近い。決して悪口じゃなくて、それぐらいそれぞれのキャラクターに感情移入できたってこと。観終えてすでにロス。

色々とベタ
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.6

滅多に観ないアクション映画。何も考えずに頭空っぽでワクワク手に汗を握る痛快エンターテイメント。たまにはこんなのも良い。

ルシアンマフィアが気の毒になってしまうほど頭のおかしい主人公。とパパ(ともう一
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凪待ち(2019年製作の映画)

3.7

宮城県石巻市で撮影された本作。エキストラ募集のニュースに飛びついたものの、見事外れた記念作品でもあります。

今まで「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE(観てない)」「こちら葛飾区亀
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残酷で異常(2014年製作の映画)

4.0

エドガーが生理的に受け付けない。

これがこの映画の最大のミステリー。なぜこのキャスティングなのか。この嫌な感じが彼の演技や演出からくるものならば、天才としか言いようがない。気持ち悪さの天才。

この
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.8

水の音と大瀧詠一の音は相性がいい。

この事実を世に知らしめてくれただけで十分。なかなかおじさんへの共感が難しいラブコメディだけど、麗しのカバーガールの笑顔があればどうにでもなるものです。

物語の当
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.1

劇場で観そびれた「イエスタデイ」を観る週末。

あの小屋のあの彼の姿で信じられない量の涙が溢れてきたおじさんです。もうあのシーンだけで星4つです。

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.5

原作が伊坂幸太郎となると、2時間ちょっとに収めるのは至難の業なんだろう。どうしても人の描写が難しくなってしまう印象がある。

そんな中でも今泉監督は頑張ったと思う。

でも監督という仕事をしている人間
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千年女優(2001年製作の映画)

4.3

朝からライブ音響で「千年女優」を観る。音がイイのは正義です。素晴らしい。

当時も観たのだが20年前ですって。怖い。そして今敏監督が亡くなった年齢と同い年になってしまったのか。怖すぎる。

歳を重ねて
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リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ(2019年製作の映画)

3.3

oasisもBeady Eyeもリアムのソロもライブに行ってるぐらいには好きだし、学生時代にはファッションも髪形もリアムに引っ張られる程度に影響受けた。

映画の感想とかどうでもイイよ。もう兄弟ケンカ
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LETO -レト-(2018年製作の映画)

2.9

なかなか知ることができない、旧ソビエトのロックシーン。冷戦時代の西側諸国への憧れ。実在したレジェンドを描かく。

レントゲン写真に溝を刻んだボーン・レコード。モノクロで描かれ、アニメーションを取り入れ
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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

3.0

スティービー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、マーヴィン・ゲイ。

モータウンの音楽は本当に最高だ。でもやはり、幾ら好きなコンテンツでも、ドキュメンタリーは眠くなる。