真魚八重子さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

真魚八重子

真魚八重子

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この心亡き者(2022年製作の映画)

3.9

主人公の女性刑事が自殺を図ろうとするところから始まる、この暗さは好きだ。
彼女が偶然、殺人事件の遺体発見現場に居合わせ、捜査を担当することになる展開と、新人を相棒としてあてがわれるお約束も効いている。
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FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

事故の加害者家族と被害者家族。被害者も道路で突然Uターンし、その後ろを走っていた加害者たちも携帯を取ろうとしていた。双方の過失が合致した不幸な事故だが、加害者は追突したまま逃走。
ひき逃げ運転をしたの
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

カフェインをガンガンにキメて観る。キメシネ。
アイスランドの火山が噴火し、その周囲は青白く氷に覆われている神秘的な土地。山肌に草木が見えない、人が暮らせると思えない不毛な土地。
デンマークから若き牧師
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貴公子(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

パク・フンジョンの監督作って相性が合わないかも。過去作、どれもそこそこの印象しかない。
これも面白くなりそうなのに、ストーリーの根幹が弱い。アクションを撮りたい監督なのかもしれないけれど、中途半端で説
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

本作は海外で評価が高く、それが結構きちんと「厭映画として優秀」という切り口で観られているので、そういう映画であることは間違いないだろう。
ただわたしは主人公の若い女性教師の孤立が気になったので、厭映画
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

3.5

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ああ、厭映画の王道。厭映画を撮りたい人は見本にするといいくらい。普通の人間の「誘われたのに断ったら悪いから」「角の立つ言い方をしたら雰囲気が悪くなるだろう」という常識に付け込んだ、悪魔的な人間たちの行>>続きを読む

ガッデム!!(1991年製作の映画)

4.0

下元史朗さんがヤクザの役で出ているよ!>下元さんファンの皆様へ

内容も石井隆の世界を凝縮したような、劇画のニュアンスに近い作品で拾いものだった。これも名美が強姦ビデオを撮られる話で、村木はいないバー
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No.10(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

途中まであえて退屈に撮っているのかなと思うほど、普通の展開。でも後半で急速に物語は変化を遂げる。唐突にキリスト教を客観的に見ると、ものすごくヤバい文化であるという恐怖感に囚われる。これのせいで人間は戦>>続きを読む

薄氷の告発(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

日本の映画業界での、セクハラ告発と非常に似た内容で暗澹たる気分になってしまった。
本作は韓国の女子アイススケートやカーリングの選手と、コーチの関係を描いている。カーリングを教えているジュヨンは、過去に
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流転の地球 -太陽系脱出計画-(2023年製作の映画)

1.5

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全然話が追えなかった。なんの話をしてるんだろう…とずっと思って観ていた。というか『妖星ゴラス』と同じ設定なのでは。アンディ・ラウが出てくると多少安心するが、彼も人類の危機に娘のAIを作ろうとしている。>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

2.0

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なんだか息子の方とはリズムが合わないなーと思う。のろのろしていて、それが芸術を齧っているようで鬱陶しく感じる。たいした話じゃないのに。
倦怠感や、自尊心が満たされない白人が、スリルを楽しむためだけの映
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季節のはざまで(1992年製作の映画)

3.5

ダニエル・シュミットのエッセイのような映画。幼少時に過ごした、いまは廃墟となったホテルを訪れて、蘇る記憶を眺めていくという設定に特化した作品。思い切りが良いというか、現在に何かが起こるわけではなく、ひ>>続きを読む

デ・ジャ・ヴュ(1987年製作の映画)

3.5

過去と現在を往来するが、えらくわかりやすいタイミングでそれらが起こる。非常に物理的に、衣装などが前面に出てくるので幽玄というのとも違う。冒頭の始まり方、クレジットの出方などの方が、ぬーっと本編に混じっ>>続きを読む

魔性の香り(1985年製作の映画)

5.0

久しぶりに観て、ワンワン泣きそうになってしまった。愛する人に疑われる絶望。でも筋書きはヒロインを疑わずにいられないように、青写真が作られていて仕方がないものだ。これも、『赤い教室』や『赤い眩暈』とは少>>続きを読む

毒娘(2024年製作の映画)

1.2

このレビューはネタバレを含みます

幽霊ではない。でも凶行に走る少女を見かけても登場人物たちはすぐには警察を呼ばず、構成として野放しの状態が続いて再び犯罪が起こる。赤い服を着たとても目立つ少女がいて、近所でも噂も犯罪者なのに、誰も通報し>>続きを読む

死霊の罠(1988年製作の映画)

5.0

日本のスプラッター映画の黎明期で、『ズームイン暴行団地』と並ぶ傑作。女性の首にひもを引っかけて、車の上へ引き釣りあげて反対側に落とすショックシーンは忘れられない。偶然似たシーンとかも観たことがない。眼>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

あまりにわかりやすい映画すぎる気がして、ちょっと醒めてしまう。物分かりの良い上官が多くて、上との対立といったよくあるドラマはない。クライマックスもそういう援護が来るかと思ってしまったし……。
アフガニ
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主婦マリーがしたこと(1988年製作の映画)

5.0

『コール・ジェーン』との分岐点はなにか?またのちほど。

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

妊娠中絶には様々な理由がある。
時は1960年代後半、主人公のジョイは妊娠によって心臓病を起こし、中絶しないと命の危険があると言われてしまう。中絶が法に触れるため、彼女は色々な方法を探して、闇で中絶を
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サイコ4(1990年製作の映画)

2.5

いつでも観られると思って、全然観ていなかった作品。ミック・ギャリスのフィルモグラフィーを眺めていて、「マスターズ・オブ・ホラー」しか観てないのにビックリ。器用に避けてきていた。
ノーマンが「息子による
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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

カットがひとつひとつ無駄に長すぎる。意味があるならまだしも、全然意味のない長さ。
実行に移す小児性愛者は犯罪なので、主人公に同情の余地なし。生まれつき子どもにしか欲情できない人は、一生涯、性経験を果た
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あんのこと(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

実話に発想を得ているといっても、小さな記事の断片から物語を生み出していったらしく、ある特定の女性がモデルなわけではない。コロナ禍で生活苦に悩む女性の告白などを、つなげて”あん”という象徴的な女性像を作>>続きを読む

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。実在のラッパーで音楽プロデューサーでもあるカターの半生。
クルド人で、生まれたのはざっくり言うとアラブ問題で国が戦争下にある時。幼少時は刑務所で育てられ、ヨーロッパに移住すると貧困を余儀な
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

エドが教会のイエス像の、掌や足のくさびを引き抜くと、イエスがゆっくり歩きだす。みずから茨冠も外して。夢とはわかりつつ、そのシーンが異様に印象に残った。
細かいローマ史を知らないので、教会と庶民が対立し
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

樹々を仰角で捉えたカットが長々と続き、静かに流れていた音楽がビタッと止まるとともに少女のカットに変わる。ああ、やってますなという露骨さは避け難いが、心地良さはある。
俗な話も意外に長く続き、全編引っ掛
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無名(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

なんというモダンで不思議な編集。それとなく登場したものや出来事が、伏線を回収するというより、元の時間軸に収まってまた流れるような。それがとても印象的なカットで、意味がわかるというより二度確認させるよう>>続きを読む

BULLY ブリー(2002年製作の映画)

3.0

ブラッド・レンフロの名前を書く機会があって、不意に思い出したので。幼馴染でありつつ、ボビーの持つ狂暴性と、もう一人のマーティの気弱さによって、主従関係が生まれている男の友人同士。
ボビーはアリ、マーテ
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アンディ・ウォーホールのヒート(1972年製作の映画)

3.5

この映画の赤ん坊は間違えて産まれたもの。誰でも産んでいいわけではなく、育児は責任能力のある人しか難しい。それを言葉で言うと顰蹙を買うので、映像で見せていると思えばわかりやすい。
ジョー・ダレッサンドロ
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トラッシュ(原題)(1970年製作の映画)

3.5

ヤク中で勃起できないジョー・ダレッサンドロの、本当にダルそうな感じ。
現実に生活が乱れているから、顔にも吹き出物が出来ている。カメラが回り始めるとしばらくしてピントが合う。最初からピントが合っている映
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ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

3.8

周りの評判が悪かったので見落としていたけど、観てみたら良かった。明るい美容師の女の子たちが、溌溂としていて楽しい。恋愛はねー、こんなものだよね。他の女性に取られても、そっちがうまくいかなくなって戻って>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

全編歌いっぱなし。疲れた。ミュージカルが好きな人にオススメ。

性格も、仲も良い年頃の姉妹。姉は少々察しが悪く、冒頭から父親に張り飛ばされ、下女のように扱われている。美貌で頭の良い妹は通学していて、女
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

これはつらい。9歳のベニーはもっと幼い頃に虐待を受け、感情のコントロールが効かない子どもに成長してしまう。特に顔を触られるとトラウマが発動して逆上し、意識がない状態で暴力を振るいだす。
ベニーは母親と
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ナン・ゴールドウィンの伝記映画であり、彼女が鎮痛剤オキシコンチンの有害性を訴え、それで儲けている富豪のサックラー一家の責任を追及する映画。
やはりカメラを手にした頃からの話が面白い。トランスジェンダー
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

良い。とても薄気味悪くて、韓国ミステリー映画のらしさが十分に発揮されている。
老夫婦の介護をする女性。男性は失明しており、女性は怒りっぽいタイプの認知症だ。しかしある日、入浴中に事故で女性の方が亡くな
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アンディ・ウォーホルのBAD(1977年製作の映画)

4.0

キャロル・ベイカーが元締めで、殺人や嫌がらせの請負作業をしている女たち。でもなかなか実行せずに、その間も男漁りで映画館に行って、発作的に放火をしたり、セックスしたりだらだら過ごしている。切羽詰まった依>>続きを読む