honeyhollowさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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地下道(1974年製作の映画)

3.5

冬のワルシャワ、一夜の地下道の小さな土産物店のショーウインドウという狭小時空間の濃密さ。見たり見られたり養生紙の隙間から外を伺ったり、内と外の近さを感じながら抱き合う危うい官能と男の背中の電話の演出素>>続きを読む

ダブル・サスペクツ/ルーベ、嘆きの光(2019年製作の映画)

3.5

住民の45%が貧困という死につつある街の、警察24時的な前半から、惨めで意味のない老婆殺人の不気味さをセンセーショナルさ皆無でひたすら地味に浮き彫りにしていく後半。ロシュディ・ゼムの際立つ粘り強さと彼>>続きを読む

山の焚火(1985年製作の映画)

4.0

甘えてくる弟を押しのける際に露になる姉の右太もも。発情期の捌け口をシフトさせた積み石を背に広げられる少年の無防備でたくましい細腕。それに比べて通販カタログの女性下着を眺めながら小声で談笑する老夫婦の淫>>続きを読む

三百六十五夜 大阪篇(1948年製作の映画)

2.5

東京篇と合わせた総集篇118分。すぐ恋に落ちたもののもちろん運命に翻弄され、エロ写真撮られたら有名画家のモデルになったり、ノイローゼになってホームレスまで落ちぶれちゃう山根寿子&上原謙より、徹頭徹尾上>>続きを読む

スターマン/愛・宇宙はるかに(1984年製作の映画)

4.0

極音上映。おそらく彼の地でも異端であろうジェフ・ブリッジスと大学にも国家機関にも馴染まないチャールズ・マーティン・スミスの理解されない知的好奇心引き合う邂逅に落涙しちゃうんだけど、やっぱり愛の本質を知>>続きを読む

縮図(1953年製作の映画)

3.0

デキすぎる乙羽信子がちょっと苦手なので、山田五十鈴が登場してからがよかった流れ。情にかられた吝蜀ババァ五十鈴が破り捨てた証書みたいのを芸奴たちの残したご飯粒で張り合わせる場面があったら嬉しすぎて卒倒し>>続きを読む

眠れる美女(1968年製作の映画)

4.0

終始かっちょいい初井言榮のぬかりない尿瓶2つの面構えよ!死後硬直して引きずられて運ばれる北沢彪の腕が欄干に当たる乾いた音からの階段ズザザ。尿瓶使った形跡。ほんと最高。

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

2.5

勇敢さや意義にはもちろん敬意を表するのだけれど、全編ほぼ監督の手持ちカメラやそれに挿入されるたった2~3カットの病院の廊下の定点カメラの臨場感に対して、あ、ドローンあるんだ(後付け?)というやや興醒め>>続きを読む

貴族の階段(1959年製作の映画)

3.5

コテコテ題字の、ふた昔前のプリンセスコミックス的な装飾仕様がなかなか打たれる。新藤脚本で貴族?とは思うものの、(おそらく)士族出身の叶順子が膝になんか巻いて形式正しく死ぬのに対して、下らない形式をまっ>>続きを読む

ダンサー そして私たちは踊った(2019年製作の映画)

2.5

終わりのはじまり的なクライマックスもよいけど、直前の兄の結婚式、披露宴会場である兄嫁の実家(集住)を主人公が一筆書にさまよい戻って出ていって、その窓のひとつから映る抱擁までのシーケンスが、目の前の成就>>続きを読む

性の起原(1967年製作の映画)

2.5

性かもしれないけどエロスではない新藤兼人の理屈臭。赤座美代子の歪みを含んだブラコンは好物だけど、切り抜きだかパターンだかいちいち呼応するものにも、全体的に興味もなく。

スパイクス・ギャング(1974年製作の映画)

4.0

老いぼれの保安官のいる町をせせら笑い老いぼれの犯罪者を見限ったリー・マーヴィンがでかいヤマより守りに入る岐路

我ら山人たち(1974年製作の映画)

-

どんだけ360度パン好きなんだろと思ってたらEDでさらに弾けて引いて、妙な哀切があった

ミッドサマー(2019年製作の映画)

2.0

飛び降りは足先以外からという教訓

ウィル・ポールターのいかにも図々しい歩き方とビョルン・アンドレセンの儚さで+0.5

名もなき生涯(2019年製作の映画)

4.0

もちろんドラマチックなヒロイズムには迎合しないけど、分かりやすかろうが分かりにくかろうが、三時間あろうがなかろうが、自分の哲学に忠実で傲岸なマリック。うるさいドイツ語スルー。たいして集中しなかったけど>>続きを読む

甘い秘密(1971年製作の映画)

3.5

田舎のいいとこの出のわりには定宿の中級ホテルのフロントにだらしなく寄り掛かる姿態とかいろいろ丁寧だし、文壇人だけど(だから)つまらない奈落に落ちて行く小沢栄太郎への執着とか、いかにもな鎌倉とか、女映画>>続きを読む

嫉妬(1949年製作の映画)

-

再見だったけど、うろたえる佐分利どんの前髪ぱらり&逃げて高峰三枝子が眺める風景からの行方不明っぷりは最高

舞妓と暗殺者(1963年製作の映画)

4.5

若さ!脱藩!倒幕!からの運動への幻滅などそれっぽい兼人の時代臭さはあるものの、それ以上に当たり前の映像美が昇華さす三隅力。水揚げを逃げた高田美和への姉さんたちのそりゃそうよねえな振る舞いとか地味だけど>>続きを読む

からたち日記(1959年製作の映画)

3.0

おそらく原作通りの波瀾万丈女半生記にふーんと思ってた途端、峠の高低差の味わい深い別れ&少女時代を回収する裸足具合の〆にギュギュっとさせられるゴショヘーの響き。置き屋の路地の45度の風景。南南信を舐めつ>>続きを読む

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

3.0

ザンクトパウリの場末中の場末のバーの淀みや惰性感と行き当たりばったりの生々しい暴力の並列のさまとかとてもよいのだけど、それ以上がないファティ・アキンの真面目さがいまいち好みじゃない常。そいでもアル中娼>>続きを読む

ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)

3.5

舞台も筋もやたらグローバルなのに後手後手ニコライ・コスター=ワルドー(いい男感ゼロで素晴らしい)&湿っぽいカリス・ファン・ハウテンコンビの異常な身軽感よろしく個人的(で確固たる)な憎しみに収束する歪さ>>続きを読む

地上(1957年製作の映画)

3.5

封建的社会のままならさをまざまざと見せつけながら、階層下からの「幸せになってください」リレーの切なさ。野添ひとみの無邪気な傲慢さ(なんでそんな時間にフラフラしてんのさ)にグギギと思いながら川口浩が去っ>>続きを読む

グリンゴ 最強の悪運男(2018年製作の映画)

3.0

大風呂敷を広げ、且ついかにも大々的に裏切られるデヴィッド・オイェロウォの、ローリングに備えシートベルトを欠かさない細かい生真面目さが巴戦を凌いでゆくのがよい。アホみたいに見えて地に足着いてる。彼だけで>>続きを読む

メディア(1988年製作の映画)

3.0

演者や舞台の距離感をはかるのを許さない魔宮のような映画の中にさまよわされ取り残されるウド・キアの運命への執拗さ。徹底的な復讐にシンクロするような距離を示す飛ぶケープの鮮烈さ、よいなあ

真夜中の顔(1958年製作の映画)

3.0

それぞれの役割を淡々と遂行する悪役そスマートさと、したいことができない善役の屈辱の構図のなかでバーテンダーの反骨心はあれどもバーテンダー的なことやるしかない立ち位置好き。重吉兼人とか正しすぎるんじゃな>>続きを読む

電話は夕方に鳴る(1959年製作の映画)

3.0

白い服に太縁メガネでミステリ小説片手に倉敷をさまよう小野道子の情緒(アヌーク・エーメみたいじゃないか)。何もないようで何かあったかもしれない話の序盤とラストを巻き返す演出よかったけど、ちと長いかな

舞姫(1951年製作の映画)

4.0

朝起きてきっちり着物、その後東京の稽古場に行くときはオーダーに決まってるツーピースにお着替え、観劇には憧れのレースついてる帽子。離れを売るほど斜陽といっても斜陽具合が下々の者の意味が違うんだろうと思わ>>続きを読む

汚れた手をした無実の人々(1975年製作の映画)

4.5

明白な不倫の背徳感より、不能と侮辱を共有した夫婦の共犯の奇妙で奇怪なパーソナルすぎる関係の強烈さ。つくりすぎなのか何筋縄なのかよく分からないけど、ミステリーとしてバディでもない食べるの大好き刑事たちが>>続きを読む

ハスラーズ(2019年製作の映画)

3.0

娼家の卓袱台みたいに女の子たちが本番以外できゃいきゃいわらわらしてる雰囲気が好き。もちろん比べようもなくゴージャスで最良の日々のラストのこの上ない傲慢なきらびやかさ。追い込まれて、高尚でほっこりとは真>>続きを読む

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

チョウ・ユンファの利かん坊っぷりに痺れるものの、いくら脳内巻き戻ししてもジョイス・フォンのパスポートの場面(一回目)のノイズに引っ掛かっちゃうんだけど。あまりに騙す騙すプロットでいくとこういうざらつき>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

4.5

久々にみたらマイラブ東京暮色が色濃くて最高だ。団扇片手に佇む淡島千景の後ろ姿のこの上ない美しさ。杉村センセイの鰹節けずりの下りに痺れつつ、この闊達さと全編の下りゆく暗さのバランスとその冷徹な眼差しに嵌>>続きを読む

デニス・ホッパー/アメリカン・ドリーマー(1971年製作の映画)

3.5

全身イージーライダーみたいなおっさんがゴウゴウ鼾かいて寝ていて、よかった。過ぎ去った永遠、ホッパーとちょっと一杯やりたい(ゴールデン街以外で)

私刑(リンチ)(1949年製作の映画)

4.0

内のヤクザの宴会と外の縁日の華やぎと連動すると共に奸計が蠢くコントラストがある導入から、陸橋や高架下、脇を舐め尽くす追逃走劇の無声映画のようなかっこよさ。ムショの陰影。思い出の写真を見ながら花井蘭子さ>>続きを読む