ばーとんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ばーとん

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不良番長(1968年製作の映画)

3.0

超暴力的で野蛮、衝撃の問題作。観る者の倫理観をがんがん揺さぶってくる、ほぼ「時計じかけのオレンジ」。主役の梅宮辰夫や愚連隊の連中が極悪すぎて、どういう感情を抱けばいいのかも、大原麗子の死のダンスの訴え>>続きを読む

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

3.2

緒形拳の殺人鬼役は見事。しかし殺人者の所業を見せたいのか、殺人者を取り巻く人々のドラマを見せたいのか、殺人鬼のいる時代を語りたいのか、描き方が半端なもんで退屈。碌にサスペンス出来ないからって群像劇に逃>>続きを読む

陸軍(1944年製作の映画)

2.5

戦時映画でも景気の良い奴は面白いんだけども、これは内地の一般人の同調圧力がびりびり感じられて不気味。戦時は軍国主義的なモラル、戦後は反戦平和的なモラル、現在はまた新たな生活様式のモラルに縛られて、常識>>続きを読む

用心棒(1961年製作の映画)

3.0

登場場面とセリフの多さから言ってもこれ東野英治郎が主役じゃん。序列が低すぎておかしい。居酒屋を中心に、目抜き通りの右側の清兵衛一家、左側の丑寅一家。一次元の直線上だけで物語が終始するため、空間に広がり>>続きを読む

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)

4.6

日本初のカラー映画がストリッパーの話ってのが痛快。この映画、木下恵介かなりチカラ入ってる。神経質なまでに計算されたフレーミングと、異常なまでに発色の良い映像。(デジタルリマスター万歳!)風光明媚な山間>>続きを読む

簪(かんざし)(1941年製作の映画)

4.5

温泉場を舞台に繰り広げられる他愛のない人間模様と小さなロマンス。かつての温泉は見知らぬ人々の社交場でもあったことが分かる。現代では失われた豊かな人間関係に憧れない人はいないだろう。「按摩と女」でもそう>>続きを読む

風の中の牝鷄(1948年製作の映画)

4.5

戦後復興もまだ成らない頃の貧困家庭のハナシ。木造家屋を圧迫するような巨大な鉄筋建築からの機械音が終始響いていて不気味。戦時の勲章を見せる水上令子が「こんなもん買う人いないわ、子供にでもやりゃいい」と、>>続きを読む

撃滅の歌(1945年製作の映画)

4.2

戦時映画はこれでいい。国民一丸となり目的達成のため滅私奉公の精神で突き進む感覚が、事の良し悪しは別にして、単純に心が躍るし、楽しいし、ワクワクする。カメラが凄いね、ヒッチコックの影響か知らんけど動きま>>続きを読む

カラヴァッジオ(1986年製作の映画)

3.6

17世紀ルネッサンス期の画家カラバッジョの伝記映画の体裁を取ってはいるが、彼の芸術的功績よりも、バイセクシャルとしての破天荒な生涯に焦点を当てた、妄想まみれの物語。電飾、サックス、電卓、自動車などの現>>続きを読む

雪の轍(2014年製作の映画)

3.8

冷めきった関係ながらも表面的には無謬を装ってきた家族が、子供の投げた一個の石コロをきっかけに徐々に感情が露わになっていく。元舞台役者は物分かりのいい人格者を演じ、女たちは悲劇のヒロインを演じている。生>>続きを読む

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.4

「勝手にしやがれ」や「ラスト・タンゴ・イン・パリ」などもそうだが、女はしばしば利己的に男を裏切ったり利用したりする。そんな自己中な女に生涯消せないトラウマを植え付けたルコントは偉い。サンドリーヌ・ボネ>>続きを読む

鬼火(1963年製作の映画)

3.7

アルジェリア戦争を闘ったアッパーミドルクラスの優男が世界に絶望して死んでいく話。冒頭からセックスに失敗するシーンで始まる。妻とのセックスもうまくいかずアルコールに逃げたと言うこの男、鬱病を患いまるっき>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.2

妄想癖のある無職青年が双眼鏡で女の子を覗き見たことから、陰謀渦巻く奇妙な世界に巻き込まれドライヴしていく。「裏窓」に始まり「裏窓」に終わるんだけども、中身は「インヒアレント・ヴァイス」並みに意味がない>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.7

社会問題をあまり前面に押し出すことなく、ノマドの人々の生活をゆったりと追っていく、ドキュメンタリーチックなロード・ムーヴィー。このロードの目的地はどこにもない。死ぬまで続く。これは他でもない死出の旅を>>続きを読む

パリの灯は遠く(1976年製作の映画)

3.8

正真正銘のフランス男が、同姓同名のユダヤ人に間違われることから、とんでもない事態に発展していく映画。巻き込まれ型&仕組まれ型サスペンスとして面白いし、アラン・ドロンが抑圧される側の理不尽を体験を通じて>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.0

ひょんなことから不条理な事件に巻き込まれた主人公が、陰謀に立ち向かい事件を解決、恋を成就してハッピーエンドという、ヒッチコックオマージュのような掌編。冒頭から登場するピアノがラストまで大した意味を持た>>続きを読む

やわらかい手(2007年製作の映画)

4.2

邦題がいい。この映画で「やわらかい手」は直球の下ネタなのに、ハートフルな印象でミスリードしてる感じが面白い。中盤まではマリアンヌ・フェイスフルのお婆ちゃんっぽさが、いくらなんでもナシだよなーって思って>>続きを読む

世界残酷物語(1962年製作の映画)

4.3

子供の頃「素晴らしい世界旅行」「驚異の世界」等の紀行ドキュメンタリー番組が人気で、この手のモンド映画もテレビの洋画劇場で繰り返し放映されていた。幼かった僕は、未知の国々の驚くべき奇習、風俗に眼を丸くし>>続きを読む

恐怖の報酬(1953年製作の映画)

4.0

ファーストカットがゴキブリで、次いでフルチンの子供。この時点で傑作の予感しかしない。白い上等のスーツを着た黒人に、白人の乞食が恵みを乞うという、当時としては衝撃的だったろうシーンが続く。人種など関係な>>続きを読む

ラブホテル(1985年製作の映画)

2.0

もろに曽根中生。曽根もポルノが下手だったけど、相米も下手糞で笑った。で、この人もやっぱりロマンポルノと相性が悪い。逆説的な物言いだけど、ポルノ映画ってあまり身体的じゃないし、記号的なエロスが中心にある>>続きを読む

夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)

4.0

相米映画と子供の相性の良さ。子供だから、塀の上歩いたり、屋根の上に登ったり、落とし穴におちたり、色々なアクションを軽々とこなしてくれる。三人の子供たちの家庭は殆ど出てこない、これも相米お得意の家出映画>>続きを読む

東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.8

死んだと思ったら奇跡が起こって、人生ちょっとだけやり直す女の子のハナシ。本来の居場所を追われ、漂泊民化(家出)する子供たちを何度も撮ってきた相米慎二が、死という究極の家出を描く。しかしその割りに過去の>>続きを読む

内なる傷痕(1970年製作の映画)

2.8

序盤いきなり女が歌い始めたので爆笑した。エル・トポ+シルバーグローブ+処女ゲバゲバってな感じのSF寓話劇。若い時に見ていたら夢中になったかも。別に面白くはないが、才気走った70年代の連中の熱気と倦怠を>>続きを読む

放浪記(1962年製作の映画)

3.0

林芙美子という人の、世を拗ねたアナーキストの変人っぷりを、高峰秀子が渾身の演技で魅せる。顔芸が凄い。カフェでトレイを片手にアホみたいに踊るシーンにはのけぞった。腋を固める役者陣もいい、ことに伊藤雄之助>>続きを読む

松ヶ根乱射事件(2006年製作の映画)

3.7

ラストの乱射が本当に鮮烈。謂わばこのシーンを見せるための映画だし目論見は成功している。でも正直、生首はいらんかった。刃傷沙汰もいらんかった。乱射に至るまでの事件は冒頭の当て逃げだけだった方が、鮮烈な幕>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

3.4

あれこれ語るほどにはエヴァシリーズに思い入れがないので気楽に観ることができた。そして意外に楽しめた。155分間、庵野秀明の私映画にひたすら付き合わされたという印象。このひとそもそも物語を抽象化するのが>>続きを読む

この庭に死す(1956年製作の映画)

3.8

極めてシンプルでサスペンス要素もきっちり押さえた、ブニュエルらしからぬエンターテインメント。ルイス・ブニュエル監督作と言われなきゃ分からない。AJクルーゾーでも観てるかのよう。(シャルル・ヴァネル出て>>続きを読む

地獄(1999年製作の映画)

3.4

中川信夫版よりちゃんと因果応報の世界観に則っていて、若干のカタルシスがある。アホらしさは五十歩百歩。頭のネジ2~3本外してから見ると楽しめることウケアイ。オウムのくだりがちゃんと事実に即していて面白い>>続きを読む

黒い眼のオペラ(2006年製作の映画)

4.4

介護を扱った映画はだいたい好きになれないんだけど、これは面白い。全身麻痺の寝たきり障害者すらセクシャルな存在として描くんだから、蔡明亮ホントどうかしてる。心の繋がりなんて綺麗ごとより、肌の触れ合いで癒>>続きを読む

お引越し(1993年製作の映画)

4.0

相米慎二って資質的に反家族の人だから、家族映画撮っても上手くいくわけがない。むしろ家族の縛りから脱出して漂泊民化した子供ばかり撮ってきたハズ。薬師丸ひろ子すら小道具扱いしてきた癖に、なにをいまさらまと>>続きを読む

雪の断章 情熱(1985年製作の映画)

3.8

冒頭の14分に及ぶ長回しで物語の前段をダイジェストで見せるという無茶をやってる。ワンカット内に異なる時代の事象を入れ込むって、やってることが初期アンゲロプロス。斉藤由貴が歌いだすと場の空気がサっと変わ>>続きを読む

リトルトウキョー殺人課/リトルトーキョー殺人課(1991年製作の映画)

3.6

死ぬほど笑った。かつて日本がバブル絶頂だった時代、アメリカ人が日本に興味を持ちつつも、漠然と恐れを抱いていたことが分かる。ここに登場する日本文化はメチャクチャだが、外国に対する認識なんて大体こんなもん>>続きを読む

軽蔑(1963年製作の映画)

4.2

夫婦の痴話喧嘩を延々と見せられるだけの映画。ゴダールは女に幻想を抱ぎすぎてるところあるね。女の不機嫌に大した理由なんかないのに。観ていて心がじりじりした。私的なストーリーだが極めて普遍的なテーマで面白>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

2.5

三島の思想には共感しかない。日本の左翼活動など昔からお遊びでしかなく、それは今も変わらない。学生らの思想のあまりに実のない空虚さにあらためて驚く。主催者だった木村氏が「学生運動は敗北ではなく一般的な社>>続きを読む

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

2.0

連合国側のプロパガンダ色の強い戦時サスペンス。「恐怖省」ではさほど色濃くなかった反ナチ思想がこれでもかと描かれていて、ドイツから亡命したユダヤ人ラングの私怨の凄まじさを感じさせる。

それにしても映画
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