主人公の主観映像が多いのは仕方ないとしても、回想や妄想のシーンまで誰かの主観みたいな撮り方してるのが理解できない。メリハリがなく、美しさが皆無。意識混濁を表現するのに早回しとかディゾルヴ使ってんの馬鹿>>続きを読む
これほぼ吸血鬼映画だよね。嵐のなかボートで河を渡るシーンが幻想的で「雨月物語」みたい。
フェリーニなのに面白くないという衝撃。キッチュな映像はいつも通りなんだが、主人公と心理的な距離を保っていて、冷たく鋭利な印象。何よりも映画について語っていない。映画愛を語らないフェリーニはフェリーニな>>続きを読む
10代の頃のフェイバリットでした。美しく詩情に溢れた映画のように記憶していたが、久しぶりにみたら、下品で猥雑なドタバタ群像劇であった。映像も詩的とは言い難く、お世辞にも美しいものではない。年を経ると映>>続きを読む
ルノワールは魔法使いに違いない。陰鬱で醜悪な物語を見事にシンデレラストーリーに改変してしまった。同じ景色も見る人によってこれほど違って見えるんだね。終盤の展開にしても少女強姦惨殺という悲惨な事件を老人>>続きを読む
ブルジョアジーの退廃を主テーマのように見せておいて、脚のフェチズムやら、少女姦やら過激な要素を散りばめる。ブニュエルが本当にやりたいのはそっちだろ。全体を通して他作品に比べてシュールな感覚は少なく、や>>続きを読む
リアリズム指向の演出と海のシーン等の安っぽいセット映像が不釣り合い。ドラマも陳腐なよくある労働もので、1957年にはウケただろうが現代人の鑑賞に堪えるものではない。リアリズムとは名ばかりで「警察権力に>>続きを読む
ケレン味と衒いだけで立派な芸術のように見せかける巨匠の力技。ハッタリの美学もここまでくると凄みがある。「殺しの烙印」より面白い。大谷直子のヌードより、バンカラスタイルでトウモロコシ食ってる原田芳雄の方>>続きを読む
約20年振りに黒澤をみたが面白いね。こんなに現代的な撮影してたんだな。序盤、志村喬が森の中を歩くシーン。溝口だったら水平移動のワンカットで済ませるようなところを、正面から横から背後から、またロングショ>>続きを読む
構図がスタティックで絵画的でいちいち美しい。あまりにも静かな映像なので、誰も何もしていないように見えるし、実際、彼らはほとんどなにもしていない。ドラッグと怠惰と犯罪。本来的な貧困の在り方を見せつけられ>>続きを読む
冒頭、果てしなく続く道路と青い空のカットを見て歓喜。最近のハリウッドじゃここまで深いフォーカスはあまり見られない。自然光の取り入れ方も、照明の当て方も、最高にキマッてる。ティム・バートンは久々に観たが>>続きを読む
冒頭、列車の疾走する映像の素晴らしさ。二度の犯行シーンでは敢えて列車で視界を遮る、見せない演出に徹した、洗練の極み。
相米慎二のデビュー作。日活ロマンポルノ時代の名残りを色濃く感じる。高校生のカップルなのに全然爽やかさがなく、倦怠期の夫婦みたいに見える。そこがいい。ほとんど自然光だけで撮ってんじゃないかってくらい暗い>>続きを読む
前作の原一民のカメラの方が好きだった。西垣六郎に変わってゴシック風味はずいぶん薄くなって、現代ドラマっぽい撮影になってる。三作目の撮影はまた原一民がやってるみたいなのでそのうち見てみる。でもいまんとこ>>続きを読む
これは楽しい。映像と編集が良いなあ。端正な映像だから、突然やってくるショック演出が活きる。小林夕岐子がコマ撮りでバタバタ近づいてきて医者の首を掻っ捌くシーンは悲鳴が出ちゃったよ。この時代は催眠術がまだ>>続きを読む
森繁久彌の映画を初めて見た。話芸の人だとばかり思っていたが、体を張った芸も達者だったんだな。南方の土人に扮してデタラメなハナモゲラ語を喋ったり、歌ったり、踊ったり、まあよく動くこと。ストーリーは他愛な>>続きを読む
徳川の末裔を名乗る詐欺師が、口八丁手八丁で周囲を騙くらかして、うまいこと金と女をゲットする。彼の正体は最後まで分からない。いったいどういう過去があって詐欺師やってんだかまったく説明されないし、結婚した>>続きを読む
貞操観念の欠如した天性の娼婦、頭のネジの緩んだ白痴のような女ユカ。こいつは典型的ファム・ファタールで、この手のキャラクターは最後には非業の死を遂げるものと相場が決まってるんだけど、ユカの場合は死ぬどこ>>続きを読む
クソ面白え。増村の映像は独特だね。パンやズーム等のいわゆるカメラワークを全くしない。複数のカメラの切り返しのみで変化をつける。
また、伝統的な日本映画の構図を嫌って、対象の人物を片側、または中央に纏>>続きを読む
トロツキー暗殺の物語なので結末は分かっているんだが、政治的なノイズを極力排除して革命家と暗殺者の二人の人間ドラマに焦点を絞った。クライム・サスペンス調の洗練された演出が見事。特にラスト20分間の緊迫感>>続きを読む
虐待被害者のドキュメンタリーを撮ったフィルムメイカーが、自身も数十年前に性的虐待の被害を受けていたことを急に思い出す。監督の実話だそうだが何とも都合よくできた話だな。米国保守のマッチョはカルトじみた悪>>続きを読む
ピンク映画のパートカラーを逆手に取ったショック演出に仰け反った。なるほどこの手があったか。社会から阻害された人間たちの出会いと心の機微を独自の映像で見せる、みたいな、よくあるアート系クソ映画に見せかけ>>続きを読む
商売には口出しできないが、家内のことは一切合切取り仕切る、現代版大奥のような趣。毛利菊枝と山田五十鈴のコンビのえげつなさがたまらない。美しく、艶やかで、甲斐甲斐しいが、計算高く、したたかで、時に下劣な>>続きを読む
家族映画の傑作。家族四人と周辺の人々の人生が、食事というモチーフを通じて細やかに描かれる。会話劇の中に視線のカットがいくつもあるのは、成瀬を意識してのことだろうか。終盤の意外な展開にも笑った。アン・リ>>続きを読む
名作。笑えて泣けるエンターテインメント。ゲイ・ムーヴィーはこうでないと。男同士のカップルがこれほど自然に見える映画って中々ないよね。作り手が過剰に深刻ぶったり、逆に美化しすぎたり、そういうのは見てる側>>続きを読む
ジョセフ・ロージーは音のセンスが良いから好き。風に揺れる木立の葉擦れ、階段の軋み、時計の針を刻む音。つねに何か嫌なことが起こりそうな不吉な予感を孕んでいて、全シーンで眼が釘付けに。冒頭の事故以外は男女>>続きを読む
カウリスマキのような飄々としたデッドパンコメディと、北欧神話風の悲劇がマッチした、不思議な味わいの映画。シンメトリックな構図が好き。ラストをああするなら双子の設定が良かったのでは?と思った。映画けっこ>>続きを読む
薄気味悪い映画だな。高度成長の時代って希望でいっぱいだから、子供がまんま明るい未来の象徴だったんだろう。この翌年に「こんにちは赤ちゃん」なんて曲も流行ってるし。その明るさが今見るとなんだか不気味に感じ>>続きを読む
すごいスピードでストーリーが進んでいく、まさにノンストップ・サスペンス。ちょっとでもよそ見してたらすぐ着いていけなくなるほど展開が早い。当時のハリウッドはまさに省略と洗練の時代だった。夜のバザー、空襲>>続きを読む
映像のテイストがいつもとあまりに違うので驚いた。極端なシャロウフォーカスで背景をボカし続ける撮影は、”TOKYOという異郷に馴染めない二人のストレンジャー”というテーマを視覚的に分かりやすく表現するた>>続きを読む
青年が死に際の走馬灯を見るだけの話。面白かった。
主人公が劇場で見る「a holly moment」という映画内で、イランの映画監督が「映画に物語は必要でない、人間がそこにいることが重要」みたいなこ>>続きを読む
これは楽しかった。幻想世界もグロテスクなんだけど、リアルの殺人・拷問描写にも、監督の趣味が色濃く出ていて面白い。過酷な現実から目を背けて妄想に逃避する、という防衛機制はちょっと病的にも見えるけど、考え>>続きを読む
没落貴族の老人と彼に囚われた娘の攻防。脚を切断して自由を失ったトリスターナが精神的に老人を支配する。支配と被支配の逆転。権力の移行と、女性主義の哀しい勝利。
老機関士と若い兵士の、機関車運転の指導を描いた国威発揚映画。しかしこれは明らかな恋愛映画だった。
高価な参考書をプレゼントしたくて若者を待つ老人を、「まるで男を待つ小娘のようだねえ」と揶揄する同僚。>>続きを読む