ばーとんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ばーとん

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立ち去った女(2016年製作の映画)

4.5

スローシネマの怪物ラブ・ディアスの傑作。4時間近い長尺があっという間に思えた。無実の罪で30年も刑務所にブチ込まれてたが冤罪が証明され出所する女。自分を嵌めた男に復讐するための機会を待ち続けるが…。>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

2.5

家族を愛せない作家と、愛されていないことを知っている人々の不毛な家族ゲーム。ハイクラスのインテリが内心、無教養な田舎者を馬鹿にしてる感じが如何にもドランらしい。

グロテスクな厚化粧で少々無神経な母、
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恋する惑星(1994年製作の映画)

4.2

当時好きだった映画。今観るとストーリーなんてあって無いようなもんだし、演出もセリフも現在の感覚で観るとけっこうダサい。しかし返還直前の香港の街並みと、時代の空気感みたいなものは確実に捉えた映画だった。>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

4.4

冒頭、女の子たちがシャワーを浴びる甘美なスローモーション映像が延々と続いたと思ったら、一転して血と悲鳴に包まれた凄惨な場面に変わる。クライマックスのプロムでも、七分間にも及ぶスローモーションで幸福なキ>>続きを読む

死霊のえじき(1985年製作の映画)

2.8

ロメロのゾンビ3部作の3作目。およそ軍人らしからぬチンピラにしか見えない軍人たちが事態を泥沼化させていく。ゾンビは教育によって知性を獲得していくが、人間は理性を忘れて野獣と化していく。どちらがゾンビか>>続きを読む

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生(1968年製作の映画)

3.8

ゾンビ映画の原点にしてマスターピース。ゾンビの造形は今観るとさほど恐ろしくないし、どこか牧歌的な雰囲気すら漂う。死にたてほやほやという設定なのか、ノーメイクゾンビがけっこう多いのが面白い。郊外の一軒家>>続きを読む

悪魔の手毬唄(1977年製作の映画)

2.0

金田一が事件解決にまったく関与せず、犯人にいいように利用されっぱなしな感じが、いかにも横溝ミステリー。昔「八つ墓村」だか「獄門島」だかを読んだ時にもイライラしたこと思い出した。映画の責任じゃないけど、>>続きを読む

犬神家の一族(1976年製作の映画)

4.2

酸鼻な物語でありながら演出のタッチが軽妙なので、暗くなりすぎずコミカルなテイストで楽しめる。石坂浩二の金田一も良い意味で軽い。作家性の主張なんだろうけど、アレコレ実験的な映像表現してるのも、物語を邪魔>>続きを読む

ホラーマニアvs5人のシリアルキラー(2020年製作の映画)

3.0

邦題が素敵。こんなタイトルつけられたら絶対見てしまう。ホラー映画マニアがホラー映画の知識を駆使して、殺人鬼の裏をかいていくような「スクリーム」の進化版みたいなの期待してたら全然違っていて、ニューヒーロ>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

1.5

ソフィア・コッポラ初の大コケ。何故こんなことになったのか。自分語りをやめて、客観的なモノガタリに挑戦しているが、彼女はどうもストーリー・テラーとしての才能には恵まれていない。イタかろうが、傲慢だろうが>>続きを読む

ブリングリング(2013年製作の映画)

3.1

Sコッポラは生粋のセレブで、セレブとしての生き方しか知らない人で、彼女の撮る映画のテーマも「選ばれし者の恍惚と不安」有り体に言えば「セレブはつらいよ」。本作は自分達セレブが大衆の憧れの的であることを大>>続きを読む

ザ・トライブ(2014年製作の映画)

2.3

耳の聞こえない人達の世界を描いているが、無音ではないためD・ジャーマン「Blue」のような疑似体験映画じゃない。字幕はなくロングショットの長回しで、ショッキングなシーンをいくつも用意して琴線を揺さぶっ>>続きを読む

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

1.0

最後まで見切った自分を褒めたい。クライマックスで松嶋菜々子と小日向文世が涎とオシッコ撒き散らしながらセックスするシーンは日本映画史上で屈指の大事故映像。(そのくらい醜悪に見えた)これステマじゃなく本当>>続きを読む

さよならくちびる(2019年製作の映画)

1.5

解散を決意したバンド内の人間関係の行き詰まりを表現しているが、この子たちは感情が昂ぶると怒鳴ったり、泣き出したり、ブチ切れたり、突然キスしたりと、衝動的すぎる。感情の表出が記号的なので、微妙な心の機微>>続きを読む

パラダイス 希望(2012年製作の映画)

3.6

ダイエット合宿にきたティーンエイジャーと、彼女に好意を寄せられる医者のオハナシ。お菓子盗み食いしたり、酒飲んだり、煙草吸ったり、自制心の希薄な、危うい状態の子供たち。医者に対する恋心だって逃避の延長に>>続きを読む

唇からナイフ(1966年製作の映画)

1.6

如何にもな60年代英国映画。スウィングング・ロンドン全盛期に、007シリーズのヒットを受けての、ポップでクールでお洒落な女スパイもの。モニカ・ビッティは美しく、ファッションも眼に楽しい。しかし何故ジョ>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

1.0

食糧難で絶滅寸前の人類がギリ救われて良かったねって話。異常気象→謎のバイナリーコード→地下組織化したNASA→地球を救うために飛び立つお父さん、までの流れからして、リアリティの欠片も感じられないセカイ>>続きを読む

ションベン・ライダー(1983年製作の映画)

4.4

相米慎二の異質さが顕著に現れた映画。キャラクター達の人格や心理的動機など大した意味を成さず、ただ匂い立つような身体性だけが衝動や暴力の動機になる。となると映画はニヒリズムを指向するのかと思いきや、驚い>>続きを読む

隣の家の少女(2007年製作の映画)

3.6

ルース役のブランチ・ベイカーが最高。子供たちにビール飲ませながら、見世物小屋の話をするシーンのイカレっぷりにゾクゾクした。メグ役の子は当時22才でこの物語の「少女」としては無理があるね。原作じゃ主人公>>続きを読む

玉割り人ゆき(1975年製作の映画)

3.2

旦那衆が女の汁を味見する冒頭からしてえげつない。女郎屋の女とアナーキストが出会うというどこかで見たような設定の低予算ポルノなんだが、大下哲矢、潤ますみの存在感や、川谷拓三の怪演もあって、映画が軽くなり>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

2.8

これを家族のドラマと見るのは無理がある。殺人者が家に住み着いて、奥さんに事実を話すも同情され、肉体関係をもち、娘を半殺しにして障害者にしたあげく行方をくらまし、その息子が家で働きはじめて、夫も共犯者だ>>続きを読む

妖僧(1963年製作の映画)

1.0

のっけから妖しげな僧が出てくるからタイトルに偽り無し。序盤のアホらしいようなファンタジー演出に、衣笠の変態的センスが光る。妖僧が朝廷に蔓延る腐敗を法力をもって改革するが、実はこいつが後に道鏡を名乗る人>>続きを読む

雪之丞変化(1963年製作の映画)

4.1

黒一色の舞台装置にぼうと人間が浮び上がる、幽霊じみたライティング表現が、シュールで最高。緩急のある美しい映像に、やたらグルーヴ感のある長台詞が絡む。が、説明臭くなく小粋な落語のよう。市川崑は音のセンス>>続きを読む

青春怪談(1955年製作の映画)

3.0

轟夕起子の顔芸が凄い。サービス精神旺盛にも程がある。男っぽいサバサバ女の北原三枝と、ちょっと中性的な三橋達也の、友情とも愛情ともつかないよくわからない関係だとか、ダメな母としっかり者の息子の異様に距離>>続きを読む

弥次喜多道中記(1938年製作の映画)

3.2

「鴛鴦歌合戦」と比べるとずいぶん大人しい。チャンバラや愁嘆場もあってこちらの方が娯楽要素は多いんだけど、狂気の如きハイテンションには至らず。編集テンポもあまり良くないように思えた。マキノに完璧を求めす>>続きを読む

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.5

演出が神懸かってる。これだけ大勢の役者を登場させながら完璧な構図で配置して、一挙手一投足まで演出をつけたに違いないと思わせる、緻密でダイナミックな映像は感動的。フランキー堺もたいがい達者だが、左幸子と>>続きを読む

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

4.1

言わずと知れた人情コメディ時代劇の傑作。日本映画史上でも最高レベルのエイターテイメント。当時の劇場での観客の哄笑が眼に浮かぶようだ。サイレント風の過剰な劇伴が邪魔くさいところもあるが、反復と省略の話術>>続きを読む

アポロンの地獄(1967年製作の映画)

3.8

ご存じオイディプス王の物語をパゾリーニが現代風に再構築。精神分析学的アプローチを試みるパゾリーニが、エディプス・コンプレックスの原型であるこの寓話を映画化したのは、当然の成り行きだったのかも。寂寥の荒>>続きを読む

大江戸五人男(1951年製作の映画)

2.0

歌舞伎芝居と音楽で綴られる一大絵巻、演出が立派と言えば立派なんだが、1951年にしても随分と時代錯誤で、映画的感興は少ない。群衆を動かす演出は上手かった。これ当時大ヒットしたらしい。リアリズムに疲れた>>続きを読む

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

4.1

暴力と心理的防衛機制というテーマは「マーターズ」と同様。残虐描写では及ばないが、(というかマーターズが凄すぎた)それでもこんな可愛らしい女の子を殴る蹴るして失禁までさせちゃうんだから酷い。前半のトリッ>>続きを読む

カティンの森(2007年製作の映画)

3.7

国民が情報統制されてしまうと民族としての誇りを維持することすら難しいという分かりやすい事例。世界中が恣意的な情報操作に騙されることも歴史上ちっとも珍しくない。戦争が両陣営からのプロパガンダの応酬だって>>続きを読む

スローターハウス・ルールズ(2018年製作の映画)

3.0

編集のリズムが小気味よく流石はミュージシャンといったところ。優等生が狂ってウィラード大尉になってくのは笑った。

坊っちゃん(1977年製作の映画)

3.0

70年代の熱血教師のアイコン中村雅俊が演じる坊ちゃん。監督は前田陽一で「にっぽんぱらだいす」より撮影も演出もずっと良くなってる。子供のころに見たことがあって、岡本信人が鉄道唱歌を唄うシーンだけハッキリ>>続きを読む

(1957年製作の映画)

2.0

出来の良くないサスペンスコメディ。京マチ子はいい演技してるがスクリプトがおかしい。市川崑がスクリューボールを意識するとだいたい失敗してる印象がある。

でんきくらげ(1970年製作の映画)

3.1

渥美マリがかなくなに乳首を隠し続けるのと比例するように、演出のテンションも突き抜けきれてない。増村といえども完璧じゃないことを知れてちょっと安心した。

エスケーピング・マッドハウス(2019年製作の映画)

2.2

昔読んだ日本の精神病棟の潜入取材ルポの方がはるかに強烈だったので、この映画はぬるく感じてしまった。