なまくらウォッチメンさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

なまくらウォッチメン

なまくらウォッチメン

刺青一代(1965年製作の映画)

3.9

正直ありがちな湿っぽい任侠もので割と退屈だったが、それでも最後のカチコミシーンは清順節が炸裂してて良かった

主人公兄弟が彼岸へ向かうラストカットも良かったな
というかラストのカチコミとラストカットが
>>続きを読む

悲愁物語(1977年製作の映画)

4.3

面白い!
鈴木清順らしいアヴァンギャルドでジャンル的統一感のない不思議な映画
前半は女子ゴルフのスポ根、後半からはSM要素も混ざりつつアロノフスキーの『マザー!』のようなホームインベージョンものに
>>続きを読む

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.4

面白い!
浮気男が不倫をするだけの80分だが、ここまで厭な気分になる映画もそうはない
アニエス・ヴァルダらしい死生観を絡めながら、不倫によって幸福になった人間と不幸になった人間の残酷な対比を見せつける
>>続きを読む

ザ・コントラクター(2022年製作の映画)

4.0

面白い
家族と貧困から脱するため裏家業に手を染める退役軍人の主人公を中心に、父子や軍の教義と言ったものをマッチョでホモソーシャルな存在として批判的に描く社会派アクション
器用貧乏な出来は否めないが、ク
>>続きを読む

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

4.2

面白い
安定のトミー・ウィルコラ節が効いたアクションブラックコメディ
しっかりとクリスマスに沿ったアイデアに満ちた豊富なアクションで最後まで飽きさせない
トミー・ウィルコラは毎度最後はタイマン勝負を持
>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

1.8

作り手の見え透いた、いかにも観客が好きそうな共感の押し売りをする作りこそ最悪、という作品だった
この作品の中にあるのは単なる共感しやすい事象しかなく、主人公とそれを取り巻くキャラクターのドラマがペラペ
>>続きを読む

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

4.0

狂王ルートヴィヒ二世の刹那的な生涯とその顛末を、豪華絢爛の美術と衣装による画作りで綴る面白さはあるが、流石に4時間の長尺に耐える脚本ではなかったので退屈に感じてしまった

あと、アフレコ丸わかりの編集
>>続きを読む

袋小路(1965年製作の映画)

4.3

面白い!
古城に住まう夫婦の仲が突如訪れた野蛮な男によって切り裂かれていく様を重喜劇的に描いていく傑作
『水の中のナイフ』と同様のシチュエーションだが、自身の家(安全圏)を脅かされる恐怖を描いたという
>>続きを読む

水の中のナイフ(1962年製作の映画)

4.0

夫婦と若者の関係性の変化を船上というシチュエーションで、かつ美麗な構図で見せるという面白さはあったが、ポランスキーらしい変態性や濃いキャラクターは無くそこは薄味

物語のきっかけとなる亭主が若者を船に
>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.2

面白い
マーティン・マクドナーらしい善人でも悪人でもない人々が己の罪の意識と向き合う話
実は殆ど『スリー・ビルボード』と似たような話だが、全く違うテンポで異なる着地を見せる脚本構成は見事としか言いよう
>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.5

状況説明的な台詞の応酬と早すぎるカット割で観客が情感を持ちにくい作りの割には、ベタな人情噺のヤクザ映画なのがバランスが悪すぎる

台詞も展開も詰め込みすぎで、肝心の岡田准一のアクションも見辛い、見せな
>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.2

面白い
話自体は典型的なノワールらしい転落劇だが、主人公がなす術もなくズルズルと破滅へと静かに向かっていく様は他には見ない感覚で良かった
落ち着きのない主人公があれこれ手を回して平静を保とうとするのは
>>続きを読む

双生児 GEMINI(1999年製作の映画)

4.3

面白い
これは今まで観たことがないタイプのドッペルゲンガー映画で新鮮
それでいて塚本晋也のクセの強い作風が抑え目でかなりわかりやすい娯楽作になってるのも良い
あのラストにはちょっと泣かされてしまったな
>>続きを読む

バス174(2002年製作の映画)

4.3

2000年に起きたバスジャック事件のドキュメンタリー
事件の一部始終だけでなく、犯人の動機となったスラムの実態、法と警察組織の腐敗が招く悪循環までを克明に描いている
ここから『エリート・スクワッド』2
>>続きを読む

処刑!血のしたたり(1988年製作の映画)

3.7

この手のスプラッタ映画に求めてるバリエーション豊かな殺害シーンが観れて満足
一応ブルース・キャンベル目当てで買ったはずだけどモブキャラ扱いで笑った

赤ちゃん泥棒(1987年製作の映画)

4.2

数年ぶりの再見
この辺りのコーエン兄弟初期作は『死霊のはらわた』の影響が強く、後の淡々とした作風がまだないドタバタコメディで面白い
中盤の逃走劇が目玉なのだろうが、序盤の赤ん坊を拐うまでのサスペンス展
>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.3

面白い!
宗教の全体主義的な側面を滑稽に描く『スターシップ・トゥルーパーズ』的であり、腐った男尊女卑社会に意地を見せる『ショーガール』的傑作でもある
キリストの登場シーンに神々しさがなく、悉く間抜けっ
>>続きを読む

わが拳に復讐を(2022年製作の映画)

3.2

観ててすっかり忘れてたやつ

そもそも本編の『五行の刺客』が訳分からなかったのでこれも変な話だった

各キャラのアクションの見せ場をいちいちクロスカッティングで見せるのでテンポが悪かった記憶

娼婦ケティ(1976年製作の映画)

4.2

他のヴァーホーヴェン作品と比べるとちょっと物足りない気もするが、『危険な愛』『ショーガール』要素を含んだメロドラマとして面白い
ケティが影絵遊びしてるところにチンポのシルエットが入ってくる演出とか、相
>>続きを読む

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.2

ヴァイキング版『ハムレット』というアプローチと女性視点を入れ家父長制が招く復讐劇を批判的に描いた点は面白い

ただ、ロバート・エガースは超自然的描写も全てリアリズムで描くので全体的に平坦な印象が拭えな
>>続きを読む

戦争の犬たち(1980年製作の映画)

3.6

『エクスペンダブルズ』の元ネタということで観たがイマイチ
話はまんま同じなのだが、前半の潜入サスペンスからリアリティラインが緩く、シリアスにもアクションにも振り切れない作りで判然としない
ならず者傭兵
>>続きを読む

私はゾンビと歩いた!(1943年製作の映画)

3.8

ロメロ以降のモダンなゾンビ像ではなく本来のブードゥー教に於けるゾンビを絡め、白人と黒人の支配・非支配的文化背景を描く面白さはあったが、全体としては粗のある悲劇的なメロドラマで乗れなかった

一つ一つの
>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

4.2

面白い
暴漢に襲われ記憶を失った男が無職のホームレスになり、リクルート活動や救世軍の女性との恋愛を経て己の過去と向き合う話
思ったよりも人情噺だったが、社会的弱者のシビアさをしっかり描きつつ大仰にドラ
>>続きを読む

逃走迷路(1942年製作の映画)

3.9

プロパガンダ的な要素を除いたら殆ど『三十九夜』のセルフリメイクと言っていい作品

終盤のアクション展開、特にスクリーン前での銃撃シーンが良い

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.2

MeToo運動のきっかけを描く実録もの、というかほぼ半ドキュメンタリーなため基本的には起きた事柄を淡々となぞっていくだけ

ただ、その分数少ない劇的な演出、特に時間経過の表し方が本当に巧み
傷つけられ
>>続きを読む

疑惑の影(1942年製作の映画)

4.2

面白い
ヒッチコックらしいサスペンス展開で引っ張る作品だが、序盤〜終盤までの流れに於ける人物の配置の入れ替えが巧妙で、人物間で起こる緊張感が全く別物なおかげで飽きない構成になっているのが素晴らしい
>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.2

面白い
トランスジェンダー女性である主人公の最期の5日間を地獄巡り的に描いていく

話が進むごとに徐々に女性性とアイデンティティを削がれていく様を見ると、物語の開始時点で壊れたレコードのように既に主人
>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

4.2

面白い
西ドイツ版『サンセット大通り』という感じで、戦前ドイツに取り残されたかつての映画スターの破滅を、『サンセット大通り』的悲喜劇でなくあくまで冷たいタッチで描いていく

照明に彩られた過去の栄華と
>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

3.7

ドイツ赤軍、テロリズムをモチーフに、映画が嘘でできているように資本主義も嘘っぱちで成り立っている、という興味深いテーマだったが特に娯楽性もないので私には刺さらなかった

テーマ的にはゴダールっぽいが、
>>続きを読む

脱出(1972年製作の映画)

4.3

面白い
『悪魔のいけにえ』に並ぶ田舎ホラーの傑作
言葉が通じても会話が通じない、一方的なディスコミュニケーション的恐怖を描いているのが良い

ホワイト・トラッシュの現地人だけでなく、主人公たちも犯罪者
>>続きを読む

カンフースタントマン 龍虎武師(2021年製作の映画)

4.2

京劇〜ブルース・リーの出現〜サモ・ハン、ラウ・カーリョンによるアクション全盛期〜香港アクションの凋落、と資料的価値もあり香港映画で育ってきた私は非常に楽しめた

隆盛を極めた頃のスタントマンの矜持と滅
>>続きを読む

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

4.1

再鑑賞

作品のアイコンである主人公(『ネオン・デーモン』という作品自体)を、監督の分身であるカメラ青年(ファインダー)を通して見る
女の世界を男が引いた視点で覗き見るという構図
という象徴的なオープ
>>続きを読む

プッシャー3(2005年製作の映画)

4.3

再鑑賞

麻薬依存症に陥り、以前以上にあくせくした日々を過ごす麻薬王ミロの多忙すぎる一日を描くシリーズ3作目

麻薬王の中年期の哀愁を描いていくのが面白く、部下には舐められ娘からも舐められるミロを見て
>>続きを読む

プッシャー2(2004年製作の映画)

4.3

再鑑賞

『プッシャー』シリーズでは一番好きな作品
頭は冴えず、絶えず父親から貶される続けるチンピラのトミー(マッツ・ミケルセン)が父親になってしまう話

いわゆるエディプス・コンプレックス的な話であ
>>続きを読む