なまくらウォッチメンさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

なまくらウォッチメン

なまくらウォッチメン

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

スラムダンク未読だったけど面白かった
試合も迫力ありつつ、非常に見やすいカット割とカメラワークで飽きずに楽しめた
ただ、試合中に度々入る回想でかなりテンポが悪くなってたのは否めない

自分は何とか頭の
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ザ・ビッグ4(2022年製作の映画)

3.7

まあまあ楽しめた
格闘アクションの比重が思ったより少なかったが、ティモ・ジャヤント印のゴア描写は健在
ギャグ描写がクドいのと2時間20分の尺は適切ではないと思うが、気楽に観れる丁度良いアクション映画だ
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害虫(2002年製作の映画)

4.2

断片的な語り口が観る側の集中を欠くのは否めないが、台詞を削ぎ落とし、かつ雄弁すぎないスマートな表現で異質な主人公と周囲の差を表しているのが素晴らしい

環境や生い立ちが原因で物事への関心を失い、非道な
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ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)

3.8

相変わらずハネケとは相性が悪いな…と思いつつも毎度話の主題には惹かれる
今作はサイコパス少年の殺しにすら関心がが無い虚無を描いていたのが面白かった

明らかに家庭環境にも問題があるので少年の希死念慮、
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フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)

4.1

前半の構成が断片的で全貌が分かりづらくはっきり言って難解(と言うよりは体制側の主人公を敢えて体制から切り離している?)

ただ、後半からのえげつない粛清(レイプ)、スターリンの看取り、そして流れるよう
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ノベンバー(2017年製作の映画)

4.4

面白い
悪魔譚×略奪愛×ピカレスクの傑作
主軸は村の青年と彼が想いを寄せる領主の娘、青年を振り向かせたい主人公の悲恋ものでそこまで面白みは無い

個人的には悪魔の力を使役する主人公と村人が得をし、純粋
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

4.2

面白い
失楽園を主なモチーフに、男性優位的な圧と女性の主導権を奪おうとする不条理を「殺さないジャーロ」として描くのが巧妙

ただ、モチーフと伏線を散りばめる前半部分がやや長いのと、聖書の知識が無いとか
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

4.5

面白すぎる!
血、臓物、糞尿、屍…有機的なグチャドロに塗れ、話らしき話もなくただひたすら地獄を観光する最高の見世物映画
ナンセンスなグロテスクの中にもどこか愛嬌や清涼感を感じる不思議な感覚だった

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あのこと(2021年製作の映画)

4.4

大傑作

舞台が60年代フランスなので物理的に不可能だが、おそらく本当は劇映画ではなくドキュメンタリーで撮りたかったのだと思う
極力劇的演出を排したドキュメンタリータッチにしたのは今作のテーマへのアプ
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ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

4.5

超面白い
負傷したボスニア兵とセルビア兵、地雷を仕掛けられた男が無人地帯で身動きがとれなくなる様を描いた戦争コメディ

戦争・政治・メディアの関係を重喜劇的に扱い、結局誰もが戦争という現実を前に傍観者
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ブレスレス(1983年製作の映画)

4.5

超面白い
刹那的な生き方を貫く男と極々平凡な女による逃避行

破滅型主人公が周囲を掻き回す話だが、後の展開を暗喩する示唆的なカットを挿し込んだり、意外にも抑制の効いた教科書のような作品

そして大胆に
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フェイズ IV/戦慄!昆虫パニック(1973年製作の映画)

4.4

超面白い
人並みの知能を獲得した蟻と人類の対決を描いたSFスリラー
利己的な個である人類と利他的な社会集団である蟻、両者が同等の知能を持っているとしたら、人類側は為す術もない

実際の蟻を使った撮影と
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.3

ギャスパー・ノエ自身が作り上げた『エンター・ザ・ボイド』と対極の映画

13人の命(2022年製作の映画)

4.3

面白い!
2018年のタムアルン洞窟遭難事故を描いた実録もの
13人の命を救う為にプロが様々な困難を乗り越えていく様を、リアリズム重視で淡々と描いていくだけで面白い劇になる
救出作業も祈りも、出てくる
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

2.4

つまらん

意図的に終盤までつまらない展開にし、ラストの方でそれを言い訳にする様なシーンがあって最悪だった

加えて、設定や展開のトリッキーさに依拠しすぎて作劇にまとまりが無さすぎる
一応各シーンごと
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.6

個人を悼む追悼映画としては誠実だと思うが、国家間の戦争を描いている割には重さが足りない
もっと政治と戦争の部分でストーリーを掘り下げられたように思う

葬式を2回、両陣営の内情にも時間を割いてしまって
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.9

予想してたよりは全然面白かったが、重い部分と軽い部分のバランスが悪い

そして、ロードムービーと劇的なドラマは相性が良くないなと
核となるストーリーと恋愛描写、どちらも邪魔に感じてしまった

道行く先
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オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)

4.2

面白い
現政権対抗馬の神輿として担ぎ上げられた正直者の男が、やがて勝つためにあらゆる手段で汚職に手を染めていくようになる様を描く、政治と腐敗についての話

集団心理による強迫観念が目を曇らせるのは正に
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テス(1979年製作の映画)

4.1

面白い
約3時間の大作だが、省略演出と綺麗な構図、それぞれオチのついた3幕構成で十分に飽きさせない
ラストの絞首刑の件は直接描写せずテロップで流す、と言う徹底的なドライさで良かった

ポランスキーはど
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赤い航路(1992年製作の映画)

4.4

別れたくても別れられない、別れようとするのを別れさせない
暗黒夫婦映画の究極系

子供たちは見ている(1942年製作の映画)

4.5

前半で母親の不貞から始まる家庭不和を、後半で二度目の不貞による家庭崩壊を息子の視点で描いていく

終盤で息子にとって地獄のような展開を迎えるが、それまで大人たちを傍観していた無垢な少年が遂には大人たち
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.1

大筋の話は特に面白いとは思わなかったが、稲垣吾郎演じる主人公の程よく周囲に関心が無い様が好みだった

劇中にも出る「理解・不理解」についての話でもあり、「理解できないものは理解できないし無理に理解しよ
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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

3.8

後の『5時から7時までのクレオ』と同じ「実存主義に基づいた死生観」をアニエス・ヴァルダがデビュー作の頃から描きたかったのは分かるが、話が平坦で面白くない
全カット絵画的で移動ショットも素晴らしかったが
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.6

1930年版と話の大筋は同じだが、こちらは全体を通して冗長な湿っぽい人情ドラマが展開されて退屈
『シン・レッド・ライン』のような詩的な情景描写が戦場の惨状に勝ってるのも好きじゃない
アクション映画みた
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ポゼッション(1981年製作の映画)

4.6

キチガイの見世物市

めちゃくちゃ良かった
ここまで丁寧に作り込まれた荒唐無稽さは味わったことがない

暗黒夫婦もの、信仰と偶然、クトゥルフ神話等々…
色々なディテールで語れる作品なのだろうが、私はこ
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J005311(2022年製作の映画)

3.7

話は面白かったが、いかんせん寄りの画ばかりで飽きるのと全編通した冗長性が合わなかった
この話なら90分もかけなくていい
ひったくり犯役の方とラストのロケーションは良かった

効果的な長回しは勿論いくつ
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

4.3

面白い
癌検査の結果を待つ若きシャンソン歌手のクレオの、5時から7時までの逡巡を描いた話
前半部の死や孤独、喪失を恐れ狼狽える様から、人々との交流を通して「人はいつか死ぬ」「物はいつか壊れる」と言った
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アスファルト・ジャングル(1950年製作の映画)

4.4

超面白い
ケイパー映画の走りにしてお手本のようなクオリティと面白さ
丹念に緻密な計画を練っていく様を前半1時間でじっくり見せ、犯行シーンはタイトに派手さを抑えつつ同時に転換点も設けるスマートな作り
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12人の怒れる男 評決の行方(1997年製作の映画)

4.0

演劇的なオリジナルに比べ、ドキュメンタリータッチな撮影にしたことで実録もの的なリアリズムを出して巧く差別化できている
ただ『クルージング』なんかもそうだが、フリードキンはサスペンス演出とテンポが良くな
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.2

再見

正義・不正義ではなくあくまで「疑わしきは罰せず」を地で行く会話劇なのがやはり面白い
ほぼワンシチュエーションの密室を舞台に11vs1の圧倒的な不利な状況から始まるアクションとしても見応えがある
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

前半でゴリゴリのブロマンスと友情の崩壊、後半が『ランボー 怒りのアフガン』だった

敵対する宿命の2人が割と最初の方からベタベタしてるのは気になったけど、ヒロインとのロマンスを完全に添え物にした濃厚な
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オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

3.7

オーソン・ウェルズの圧倒的な画作りと90分に収めるテンポ感は良いが、いかんせん演劇そのまますぎる芝居と構成が没入感を削いでキツい

ラストの明らかに観客に語りかけるこのカットの力強さは良かったが、全体
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ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

4.4

『サタンタンゴ』も素晴らしかったが好みとしては完全にこっち

別れた妻に延々と付き纏い、クズエピソードを武勇伝として語る破滅的な主人公が更なる破滅を迎えていく厭世的な雰囲気が堪らない

野良犬にすらな
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.2

面白いのかつまらないのかよく分からないが、7時間の尺でありながら不思議と観てられた、というより観ることを強いられたような感覚

画は全部神がかり的に良い
話も終盤にかけて共産圏への誘いを感じさせて興味
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アルプス(2011年製作の映画)

4.1

面白い

人間の業とそれを繕うナンセンスさを描く作家がランティモスだと思ってる私にとって、今作はある意味そのナンセンス部分を突き詰めた作品に感じた

役者・演技・感情の解体も他作品同様、多分なメッセー
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マンディブル 2人の男と巨大なハエ(2020年製作の映画)

4.0

「Mandibles(下顎骨の複数形)」が示すように、「噛み合わない」寓話コメディの秀作

登場人物が悉くアホばかりで1番賢いのが巨大なハエという、皮肉とも取れる珍妙なバランスが面白い

ただ障碍者い
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