終始ちぐはぐで言うなれば珍作の類だと思うが、映画的な遊びの数々は嫌いになれない。
「アニメ業界の話」が「彼らの話」へと移り変わっていく後半の方が圧倒的に面白く、とても勉強になった。
それまでが圧倒的なだけに終盤締まらない印象だったが、今回見返してあれ以降こそが本質であり発見だったのだと合点がいった。そして人生はつづく、ではないけれど。
対象のあまりの身近さに、純粋に映画として見ることは正直いって難しいが、少なくとも誠実で意義あるものだったように思う。クルドの友だちとネブロスに行ったときのことを思い出した。
勝手にタルベーラ的なものを想像していたので、普通に面白くて驚いた。
念願叶った。言葉の出てこなさによるサスペンスはもちろんだけど、(おそらく)間を埋めようと言葉を紡いでるところの薄気味悪さもまた忘れがたい。
映画で見たいもの、やりたいことが詰まってる。フィクションやドキュメンタリーといった次元ではない、純粋な運動の記録。
ささやかな瞬間の幸せと生真面目すぎる発言への興ざめの繰り返しだったという印象。ある意味で映画を信じてないんだと思う。
出会ってしまった時点で結末は見えるわけで、そんな予定調和で2時間半引っ張れる演出に感服。
繋がりがゆるすぎてすべてが唐突に見える。そもそも、世界の片側(あるいはもっと小さな部分)しか見えないことなど当たり前であって、その上で残りの部分を推し量ろうというのがカメラであり映画ではなかったか。
見せすぎ語りすぎだとは思うけど、それによって誰もが楽しめるところでとどまっているのも確か。
やっと見られた。映画的な楽しさの連続と現実の残酷さにえも言われぬ感情に。何度でも見たい。
脚本家自らが映像化していたらやらなそうな遊びをたくさんやっていて面白い。角を曲がる河合優実→花束を持って待っている男→振られるをワンカットでとらえたところが特に好き。