ラストの着地はある意味で必然だとは思いつつ、それで本当に終われるのか、天秤ってそんなものなのかと思ってしまった。微妙に引っかかるところがとにかく多い。
今のところ侯孝賢で一番好きかもしれない。こんなショットが撮れたらなあというところがたくさん。
隙がない見事な映画だと思いつつ、全編通して見た時に一番効いてるのが寺島しのぶなことに関してはそれでいいのかという気持ちもある。
90年代からゼロ年代前半ってこんな映画ばかりな気がするけど『ファイト・クラブ』とかよりは全然楽しめた。
この並びで見ると、いかにスライが革新的な存在だったかがよく分かる。
もう15分切れたら最高だったとは思うが、ちゃんと面白い娯楽映画だった。
ただ、車まわりは自動車保険のCMのようで何ともダサい。
ロケーションも良いけど、アルメンドロスと組んだ諸作には他とは違った艶めかしさがあると思う。
脇にいても十分気持ち悪いロメール的男にフォーカスしたら、そりゃ言わずもがなって話。
純粋に幸せな時間が映っているという感触がある。とても良かった。
色々あるけど、肝心なところでことごとく手持ちでごまかされるのが一番不快だった。
前作には見られた笠原イズムが完全に消失していて悲しい。これを換骨奪胎と捉えることは到底できないし、それを置いておいたとしてもシナリオが荒すぎるんじゃないか。
退屈を感じた自分自身までもが作品の一部になってしまう、かなりメタな話だった。
凄い。被写体である佐藤さんの魅力はもちろんだけど、その連鎖から物語がおのずと立ち上がってしまうひとつひとつのショットの素晴らしさ。樹齢を推測するところなんかその喜びに溢れてるし、ラストはもはや奇跡と言>>続きを読む
NHKのディレクターに対して、阿部さんが劇中で唯一の「怒り」を見せる場面と、そこにインサートされる凧のショットがあまりにも良かった。
メインの3人はもちろん良いのだけど、個人的にはこの年代の気持ち悪さというかグロテスク具合を体現している奸原が好き。
やはりめちゃくちゃ変な映画ではあるのだけど、不思議と受け入れられてしまう。
素晴らしすぎる汽車のインサート。川に入っていく宮下順子、屋上の首吊り。
ロメールのようで全く違う切り口。少なくともこの映画のブノワ・マジメルみたいなまともな大人の男はいなかった。
ラストの大貫妙子は反則。なんだかとても良い映画だったように錯覚してしまったよ。
題材に対する真摯さゆえか、物語に還元されない映画的な豊かさに溢れていたように思う。