有酸素さんの映画レビュー・感想・評価

有酸素

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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.0

O-EASTでのオールナイト試写会にて観せていただきました!

多幸感という言葉がとてもよく似合う。
シンプルにものすごいことをやっている。
でもそのもの凄さを置いといてもとにかく楽しい。
アルバムご
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

たとえ創作でも誰かが傷つくのを観たくなくて映画鑑賞から遠ざかってたけど
そんなわたしのメラメラする情念を取り除いてくれるような作品だった。

ヨルゴスランティモス監督の作品では『聖なる鹿殺し』がとにか
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.8

結構な中盤まで全然肌に合わなくて
ギャグセンスもいちいち冷めてしまって
え、ほんとにこんな感じ?大丈夫?
となってたんだけど
最後には涙ズビズビでした。
主人公を取り巻く人々があまりに装置とされている
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マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

4.1

明日はハングルの日なので
『マルモイ ことばあつめ』を観た。
우리(私たちの)と表現するように「共同体としての意識」を重んじる朝鮮語の精神が登場人物の個性に反映されているようで
それを奪っていく皇民化
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

突拍子もないカメラの動きが楽しくて幻想的で面白かった。

※物語の特性上、性別二言論で書きます。
行き場のない愛モノなので基本的には好きでしたが
やっぱり女ばかりが身を滅ぼすのはつまらない。
でも本作
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.4

サーカス映画蒐集家はこの作品をリストに加えてください。

そこにあり続ける富豪の邸宅と
あちこちへ駆け回るサーカス団のワゴンカーが示すように
ふたつの環境を行き来するヨーヨー。
ブルジョワジーなパーテ
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ウィークエンズ(2016年製作の映画)

3.9

「マイノリティの人権は命」本当にそう。K-POPや韓ドラ、映画好きな人にもまたいつか機会があれば観てほしいな。「自分が声をあげるんだ」という精神が根付いている。ドキュメンタリーとしても編集が面白くて素>>続きを読む

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.6

リンコさん、トモちゃん、マキオが並んでもくもくと「煩悩」を編んでいる光景が可愛くてちょっとおかしくて良かった。
一向に愛されなくても求めるものが与えられなくても親からこそ愛されたいのよ子供は。だけどだ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.9

目的地までの長い距離に伴う時間と、喫煙に伴う深呼吸が傷を癒す。

まずオープニングカットの美しさと、見たこともない村上春樹著「ドライブマイカー」の装丁か扉絵でも見ているかのようなすこし現代らしくない古
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

4.0

サムライスピリットを重んじる凄腕殺し屋のゴーストドッグと彼を雇うマフィアと彼が住む街の人々との話。
ヘンテコなオリエンタリズムかと思ったらそんなことではなく、ゴーストドッグの暮らしぶりや挙動を丁寧に追
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トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして(2020年製作の映画)

4.0

あたりまえなのだけど当事者の人たちが語ることにしか意味がないなと思った。
映画に影響を受け、カルチャーの只中にいる俳優や関係者なのに何故なんだろう。
何故とか考えても仕方ないほどに蔓延してる。

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)

3.7

90年代産まれにとって90年代カルチャーって妙な憧れと奇異な眼差しがある。
80年代のものよりも心から強く羨望するわけではなく、突然変異的なヘアメイクやファッションが不思議。
90年後半のヒットソング
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ベルリン・アレクサンダープラッツ(2020年製作の映画)

3.9

3時間あっという間。現代でも主題の鮮度が落ちてないことには憤りを感じる。
「何を持っているかではなくどう振る舞うかということ」。その言葉は心に刺さり切らずに跳ね返り、むずむずとする。なぜならそんなこと
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ある少年の告白(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ある夜、父親が呼び寄せた2人の重鎮に心から変わりたいと思うかと問い詰められて矯正施設への入所を誓わされるシーンは
リビングの外からブラインド越しにその光景を映し出す。
それがブラウン管テレビの画面のよ
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.5

映画館で初めて観た映画だったみたい。
それをリバイバル上映で数十年越しに映画館で観たときは言い表せないものがあった。
派閥の間で板挟みになること、自然と文明の対立、誰かの正義は誰かの脅威になること。
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呪詛(2022年製作の映画)

-

あーこわかったーーー
ホラー耐性がなくてつらかった

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.8

"何者にもなれない”じゃなく
“まだ来ない何かを待っている"という
視点がよかった。

そして“選び取ってきたつもりで流れ着いた場所"について
慰めもしないし惨めにもさせないドライな描き方は自分にとっ
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

3.6

明るいトーンで描かれているものの
女として産まれただけで与えられる抑圧が
次々と映し出されていく。
やっぱり世間が無自覚であることは地獄だ。
それによって生きにくい社会を助長しているのなら知るだけで革
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.9

昭和のどしよもない結婚への価値観の中でも強く生きている女性たちがかっこよくて美しかった。
家族という集団の不思議な儚さが描かれていた。娘に頼りきりで何もできない高齢男性の侘しさは現代だったらその愚かさ
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.9

これまでのウェスアンダーソン作品には
ドールハウスのように可愛らしくそこに収まっている物語の中にも小さな切り傷を残していくようなぴりっとした寂しさを感じることがあった。
観てるだけで幸福な美術も確かに
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シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳(1980年製作の映画)

3.7

ポルノ映画館のもぎりで同僚と駄弁る→恋人が働くバーへ行く→ナンパおじさんの車を運転する。
シモーネのあるひと晩。
夜ってモヤモヤと無下に過ごすには長すぎると思わされるし
一つの場所でダラダラと手持ち無
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.7

アメリカが間違うと世界中みんながたいへんなんだからしっかりしてよね!
騒がれてるほど面白くてけっさくだとは思わなかった。社会問題や政治思想の偏りをエンタメに織り交ぜることは意義があるしより多くの気にし
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ソン・ランの響き(2018年製作の映画)

3.8

サイゴンの街を蘇らせるようなザラザラの画質に古典芸能カイルオンの独特な節回し。
性別がどうこうとかわざわざ言わない、恋愛だろうと友情だろうと心が繋がることに種別なんてないよね?と言うような、自然に惹か
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.8

欺きあう視線のおぞましさ。
モチーフとしての牛が示す制御できない男性性の象徴。日常の中に差し込まれる不穏な描写と音楽。
近代以降の価値観を西部劇に落とし込んでいるだけでなく宗教的な、神話的な人ならざる
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永い言い訳(2016年製作の映画)

3.9

サチオ君が自分を守るために他人を傷つける言動がいちいち確信に迫ってきてハラハラした。
観ている観客でさえ序盤の出来事を忘れてしまうような慌ただしくも穏やかな時間の描き方がとても好きだった。
透けてしま
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ワザリング・ハイツ ~嵐が丘~/嵐が丘(2011年製作の映画)

4.0

まず序盤の風が吹き荒れる丘へキャシーがヒースクリフを連れ出すシーンの完璧さ。ぶれっぶれの手持ち映像なのにぱちっときまった構図にもっていく撮り方が絶妙な心地をつくりだしている。

ヒースクリフのどこから
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.9

ひたすらに荒野を歩く西部劇ロードムービー。
すべてのカットがばっちり決まっており、うっとりしっぱなしだった。

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.9

森の中の温泉を目指す2人の男と犬のルーシーの1泊2日の旅路。
ただ会って同じ時を過ごす友人の尊さ。
ただし、それは心を救うけれど状況から助けてはくれない。

旅の帰り道の切なさを映画で感じたことってな
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.8

ラストシーンの爽快さにやられた…
逃避行には障壁がつきものだけれどまさか有料道路がそれを阻むなんて。
痛いところを突きながらもぬるま湯のような温度感で描く監督の目線はとても心地の良いものだった。
どこ
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.9

映画の作品としての質も大事だけれど
最近のあるジャンルに於いてはこの時代だからこその問題提起とか報道する意識こそ評価すべきなのではと思うようになった。
「ブラッククランズマン」でのノイズ的な演出とか「
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まったく同じ3人の他人/同じ遺伝子の3人の他人(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

3つ子がなぜ生き別れたか?のドキュメンタリー。
人命実験ともいえる信じ難い秘密裏の研究が露わになるんだけど最後まで結果も目的もハッキリ開示されないことが恐ろしかった。
作中インタビューでも発言されてい
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.9

腰を上げるのが重くなってしまっている昨今、評判が良いという理由でやっと劇場へ向かった。
Talking Headsの断片と、映画「きっとここが帰る場所」の劇中パフォーマンスでDavid Bernを知る
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ゆれる人魚(2015年製作の映画)

3.8

劇中の音楽がどれも素敵すぎる。
シルバーとゴールデンの人魚姉妹が
陸に上がっていろいろあって。
人魚といえば大海に住んでいて大きなヒレにキラキラ鱗をイメージしていたけど彼女たちは沼?湖?から上がってき
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