有酸素

ゴースト・ドッグの有酸素のレビュー・感想・評価

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)
4.0
サムライスピリットを重んじる凄腕殺し屋のゴーストドッグと彼を雇うマフィアと彼が住む街の人々との話。
ヘンテコなオリエンタリズムかと思ったらそんなことではなく、ゴーストドッグの暮らしぶりや挙動を丁寧に追っていく。
街の片隅でひっそりと暮らしている様はonly lovers left aliveで素性を潜めて暮らしているヴァンパイアのカップルのようだしフランケンシュタインとサムライは確かに主人への忠誠心という点で似ているところがある。似ているようだけどそれぞれ反対の面に居る。フランス語を話すアイスクリーム屋の彼とコーストドッグの、お互いに言葉は解らないのに通じ合うコミュニケーション。本というアイテムを介して奇妙につながりあうゴーストドッグと公園で出会う少女とマフィアボスの娘の奇妙な関係性。それから道ですれ違うホーミーたち?それぞれ適度な距離感で、だけども尊重しあっているような。
ゴーストドッグへの連絡手段は伝書鳩で、森の中に潜む大事な場面では野鳥に邪魔をされ、ひとり家路に着こうとすると野良犬に熱烈な視線を浴びせられる。動物たちとの関わりも彼の心の純粋さを感じさせる。