otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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天国で殺しましょう(2001年製作の映画)

4.8

サシャ・ギトリの元のやつより先に観ちゃった。普通に面白いんだけども、表面的な筋とオチだけ見ると、全然綺麗に話がまとまってない感じで余計に面白い。物事の表面だけで判断する危うさと人々の盲目具合によって成>>続きを読む

雪夫人絵図(1950年製作の映画)

5.0

相手の心を計りきれないが故の人生のままならなさ。やりたい放題の柳永ニ郎にいぢめられ、能面の下で悦ぶ旧華族役の木暮実千代。を、どうにもできない現代イ⚪︎ポ系男子役な旧華族の本物ボンスケ上原謙(美男過ぎ)>>続きを読む

ティコ・ムーン(1997年製作の映画)

4.7

懐かしい感じの'90年代渋谷的雰囲気SF感。雑コラみたいな背景やらでも人間は脳内補完できるんだってレベル(当時は最先端)で、CGでクオリティ上げてく現在とは全く違った趣きがある。『バンカー・パレス・ホ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.8

一歩間違えば恵まれた他所ん家のホームムービーを見せられてる気分なりかねないけど、キッチリしっかり面白く作る流石なスピルバーグ。カメラ越しに暴かれる良い事と悪い事の洗礼を受けて、それでも尚その道を行く割>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

バース・ジャンプに必要な男子小学生レベルネタに、超シンプルな優しい世界は『スイス・アーミー・マン』と共通していると思われる。ズッポリほかしょうもないネタで笑いを取りに来る卑怯さにまんまと爆笑する。別宇>>続きを読む

けものの眠り(1960年製作の映画)

4.6

いわゆる清順っぽさなトリッキーなところを期待すると少し物足りないんだけども、映画としてはかなり良く出来てる。正直者は馬鹿を見るか見ないかって事で、けもの部分と人間の間をフラフラする芦田伸介の基本筋のと>>続きを読む

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録(1991年製作の映画)

5.0

四半世紀くらい前に借り物のLDで観たのが最後でようやくの再鑑賞。無茶をしている映画はメイキングも面白い。劇中よろしくどんどんディープな領域へ進む一方通行の川下りな具合で、各人が追い込まれまくってて地獄>>続きを読む

黄金時代(2014年製作の映画)

4.6

戦前戦中の中国の文壇と蕭紅を知らなくても楽しめる様になってる。ノリ的には『放浪記』のそれって感じで、貧乏と恋愛とで波乱満ちてる具合で、林芙美子感はある。字面だけでときめく(飯的に)黒竜江省スタートであ>>続きを読む

望郷(1982年製作の映画)

4.0

本筋ではないところにツッコミ入れるのは何なんだけども、日本語が崩壊っぷりがあまりにあんまりでヤバい。ベトナム戦争終結後の現地を描いているものの、完全なる香港映画仕様。なんだけど、華僑って訳じゃないから>>続きを読む

鯨神(くじらがみ)(1962年製作の映画)

4.7

切支丹の島でありながら、狂信的なまでの鯨神への執着でジーザスが霞むレベル。で、老若男女各人の自尊心が色んな方向向いてて結構カオス。伴天連の教えも虚しく命を粗末にする事が、イコールこの地に住む者の使命で>>続きを読む

LETO -レト-(2018年製作の映画)

4.5

事実をもとに着想を得ているが、色々脚色してる(ドンッ!)とエンドロールで宣言されてしまった以上、時折サウンドが'90~'00な感じになってるのは良しとする。ソ連的伝説のヴィクトル・ツォイ(キノ)を中心>>続きを読む

セルピコ(1973年製作の映画)

5.0

忘れた頃にやってくるシドニー・ルメットの波って事で15年振りくらい。実話な社会問題って事で、なかなかの腐れっぷりなUSA。賢い王様スタイルで正義を追求するとスターリン主義かと突っ込まれるって云うやつ。>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.8

スコことジョージ・マッケイ以下、ブリテン面を揃えるだけ揃えたキャスティングからして成功してるんじゃないか。イベント盛り沢山な一本道のRPGみたいな長回し風って事で、あちこち何となく繋ぎ目を感じつつも良>>続きを読む

レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ(1976年製作の映画)

5.0

基礎部分に影響受けまくってるのを再確認。20分の『幻惑されて』(のボウイングのとこ)だけ観るつもりが、久々に通しての鑑賞。14、15歳の頃から聴き続け、事あるごとに音の太さを求めてツェッペリンに戻って>>続きを読む

大曽根家の朝(1946年製作の映画)

4.8

GHQ指導による反戦映画って事であるも、ここぞとばかりな具合で鬱憤を晴らしまくってる感がある。戦時下陸軍省プレゼンツの前作『陸軍』では田中絹代の名演技と共に検閲ギリギリのとこを突いてたのが、今作はかな>>続きを読む

インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

5.0

こっちまで具合が悪くなりそうな朦朧映画。70年代の頃の記憶と、どうしてこうなったって云う現代のどよーんとした感じの行ったり来たりで、東側の懐古主義って云う珍しいものが伺える。更には記憶の裏側(モノクロ>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

4.0

やってる事はアレックス三部作の頃からそんな変わってない気もするんだけど、うーん。カラックスと好きでも嫌いでもなかったスパークスののっけの若干すべり気味なのから、そのまま最後まで行った感じ。ミュージカル>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

4.6

画面を支配する色彩感覚と脇にロッシ・デ・パルマがいれば、紛れもなくアルモドバル作品って感じ。2人のシングルマザーの分かりやすい話とフランコ政権の犠牲者の声なき声を発掘するってやつが同時に進行。葬られた>>続きを読む

ウィロー(1988年製作の映画)

4.5

小学生の時に観に連れてって貰って凄い好きだったやつ。VFX半端ないってなった記憶があるも、それに増して劇伴がキャッチーで良い。レンタル屋でCD借りてテープにダビングして聴きまくっていた思い出。大人にな>>続きを読む

青空娘(1957年製作の映画)

4.7

量産型とは縁遠い、天然物な美しさの説得力。クサイ台詞もガラスの靴ばりなご都合展開も、三ツ矢サイダーのCMいけるレベルで溌剌とした若尾文子って事で全てが許される具合。陰険な継母たちは置いといて、ミヤコ蝶>>続きを読む

(1975年製作の映画)

4.0

インド映画の金字塔なんだそうな。先週のビートルズ然りこのところ長尺気味。なんとなく『七人の侍』、または『荒野の七人』っぽいノリにインド的な歌と踊りがくっついてる印象。教科書的な演出の数々でなかなか手堅>>続きを読む

ボーイズ・ドント・クライ(1999年製作の映画)

4.8

心と身体がズッシリと痛くなる。アメリカ様の歴史の一部って事で差別の入れ込み具合に関しちゃ敵う気がしない。長時間露光で目まぐるしい外の景色と時間の止まった片田舎の世界でかなり上手い事出来てる。身体張って>>続きを読む

ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)

5.0

良い最終回(アビイ・ロードがまだある)だった。全編約8時間って事で、『ロード・オブ・ザ・リング』3本分、または『サタンタンゴ』1本分な山盛り感。映画『レット・イット・ビー』を余す所なくって具合で、大昔>>続きを読む

エビータ(1996年製作の映画)

5.0

そして伝説へ...って事で妾の娘から国葬まで登り詰め、この世の必要悪全肯定のエビータ。超乱世って感じで面白い。大体『ザ・ウォール』や監督違うけど『トミー』なんかの雰囲気を踏襲しつつ、ロック・オペラ的な>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

5.0

ハの字眉毛で困惑の表情がハマり過ぎなコリン・ファレル。俺の成すべき事の時間泥棒野郎を煙たがる気持ちと、人に優しさを求める気持ちの両方が分かるから人間はややこしい。そんなモンよりは神も心ある人間も純粋無>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

5.0

労働者3部作の続きって事で、製造ラインと人間の単調な作業、東側体制をチクリとやる安定のところから。スタートの時点で救いがないんだけども、マッチ売りの少女ならぬマッチ工場の少女は泣き寝入りしないって云う>>続きを読む

兵隊やくざ(1965年製作の映画)

5.0

同じ大映で『悪名』の田宮二郎とのバディよりもこっちが好き。猛獣使いが猛獣(勝新)に影響を受ける田村高廣って事で熱々度が高めな2人。女子率が徹底的に低い方の増村作品にも関わらず、そこら辺の色な部分がなん>>続きを読む

狼は天使の匂い(1972年製作の映画)

5.0

冒頭のルイス・キャロルの引用『友よ、我々は皆眠りにつくことを嫌がってむずかる年老いた子供にすぎない』が終わってみれば納得。俺らの団に入るにはって云う子供社会の通過儀礼みたいなとこから、まだ遊び足りない>>続きを読む

ドリラー・キラー(1979年製作の映画)

5.0

トチ狂ってて最高。やっぱりアベル・フェラーラに求めるものはどん底とフラストレーションの増幅×増幅なこんなタイプのやつ。触れたらヤバい感じがまんま『バッド・ルーテナント』なんかに活かされている具合。序盤>>続きを読む

最後の誘惑(1988年製作の映画)

4.3

タイトルの如しな具合。最後の最後まで人間くさい弱さが付きまとう筋は結構新鮮。性と聖に悩んだかと思えば神がかりで目が据わり、そうかと思えば豆腐の様に瓦解するジーザス・デフォーがかなり頑張ってる。豪華出演>>続きを読む

ハレルヤ レナード・コーエン 人生の旅路と歌(2021年製作の映画)

5.0

歌詞を考える時にまず歌詞と家宝の詩集から参考させて貰いまくってるレナード・コーエン大先生のドキュメンタリー。最初の3枚が最も馴染みがあるけれども、'80年代のものから晩年までどれも素晴らしい。名曲中の>>続きを読む

夕なぎ(1972年製作の映画)

5.0

所謂『冒険者たち』的な三角関係で、情熱と冷静の間なロミー・シュナイダーな具合。嫉妬に癇癪にと感情剥き出しでありつつも、どこか大人を感じさせる自由度と妙な寛容性は日本ではあまり見られない光景な気がする。>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

4.2

同じベルイマン好きでも好きなとこは全然違う上にディスる奴まで配置するってのはなかなか上手い。『ある結婚の風景』的な夫婦の話で進むかと思いきや、ミア・ハンセン=ラブ自らの体験から始まるメタ構造からのカウ>>続きを読む

ルキノ・ヴィスコンティの世界(2008年製作の映画)

4.2

ミラノの実家が社交界の中心で、トスカニーニが音楽監督をしていたって云う出だしからしてボン助レベルが違う。で、本格的に監督業やる前の交友のビッグネームな面々がまた半端ない。『郵便配達~』以外の未見初期も>>続きを読む

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)

4.0

カルツォーネと中華饅頭の戦いって事で、『ウエスト・サイド物語』がやりたかったのは良く分かる。『バッド・ルーテナント』が好き過ぎてアベル・フェラーラってだけで期待値が上がってしまうものの、これに関しては>>続きを読む

宋家の三姉妹(1997年製作の映画)

4.0

題材的には文句なしに壮大な中国近代史を壮大風にした感じ。宋家の姉妹と革命に殉じた男達で分割されまくっている為か、全体的にはいまいち焦点が定まっていない印象。で、党内部的にも時代的にも最後の最後で掻っ攫>>続きを読む