otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)

5.0

郷愁風に描かれてるけど、過酷な労働者階級の一家の歴史って事で英国あるあるなお話。監督自身が生まれた頃の話っぽいので、伝聞中心にでありつつ、当時の世相を反映しながらまとめ上げられた印象。OP始まった瞬間>>続きを読む

ボス・オブ・イット・オール(2006年製作の映画)

5.0

さすがボス・オブ・イット・オールねの威力。一から十までラース・フォン・トリアーと云うか、ノリがキングダムの続編+イディオッツ的な何を観てる錯覚に陥る。出てくるキャラと動き、会話の流れがそのものって具合>>続きを読む

狼たちの午後(1975年製作の映画)

5.0

15年振りくらい。ゲイでベトナム帰還兵で反権力って云う当時の世相を反映した盛り。見せ物もしくはお茶の間エンタメと化した現場と報道の様子を更に画面のこちら側から観てる図式。シドニー・ルメット特有な繊細に>>続きを読む

ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦(2003年製作の映画)

4.7

敬愛する監督にリスペクトと無茶振りの限りを尽くす鬼畜風ラース・フォン・トリアー。卒なくこなしてくるヨルゲン・レスに対してのセラピーとしつつも、全部自分に跳ね返ってきっちり自虐になってるって云ういつもの>>続きを読む

日本の首領(ドン) 完結篇(1978年製作の映画)

4.4

フィクサー片岡千恵蔵に主役に変更の三船敏郎、老衰死フラグ立ちまくる元主役の佐分利信で年寄り同士が血で血を洗う。天の采配ってな具合で漁夫の利風な感じなんだけど、「俺は人を殺した事はない」の下りの三船敏郎>>続きを読む

グリーンバーグ/ベン・スティラー 人生は最悪だ!(2010年製作の映画)

4.8

十何年振りくらい。今現在の段階で親近感湧きすぎてキツいけど面白い。おまけにオレMIXのギャラクシー500やらカレン・ダルトンほかの趣味趣向も他人とは思えん程。捻くれた子供おじさんに真正面からぶつかる、>>続きを読む

日本の首領 野望篇(1977年製作の映画)

4.4

展開する度に負け戦の予感しかしない2作目。風前の灯みたいになってる佐分利信とシャキッとしてる三船敏郎とで勝負にならないけど、負けへんで〜ENDで3作目はどうなる事か。頭の四角さが際立つ東大卒設定の松方>>続きを読む

我ら山人たち(1974年製作の映画)

4.7

ソラリスの首都高みたいなOPからして好感が持てる。後の『山の焚火』に繋がるドキュメンタリーって事で、ハイジで云うところのおんじが住んでるゾーンの厳しいあれやこれを浮き彫りにする。紀元前3千年頃にやって>>続きを読む

やくざ戦争 日本の首領(ドン)(1977年製作の映画)

4.4

仁義なきオールスターズな東京東映の実録ものって事で結構なボリューム。ニーノ・ロータ風テーマ曲からしてゴッドファーザーに寄せてきてる感じで、ヴィト・コルレオーネ風な佐分利信(結構似てる)と西村晃の序盤の>>続きを読む

愛の狩人(1971年製作の映画)

5.0

俺の遍歴の中に混じる親友の彼女と愛娘...。精神は若いが身体がついて行かない悲惨なやつで、調子こきタイプの男の役がまぁ上手いジャック・ニコルソン。天使の歌声を封印しても赤ちゃんみたいな風貌のアート・ガ>>続きを読む

切腹(1962年製作の映画)

5.0

武士にしてみると生きにくい泰平の世の中。武士に二言はないの揚げ足取り合戦を始めとする武士道なるものの、上辺か否かのあり様を異常な緊迫感の中一つずつ紐解いて行く。腐った上級に物申す図式なんだけども、「い>>続きを読む

エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)

4.9

フロッピーが消えるって云うしょーもないとこから始まってダラダラしてる風なんだけど、きっちりした起承転結の上にかなり攻めてる若かりしラース・フォン・トリアー。湧き出る脚本のアイデアに、挿入される色んな種>>続きを読む

現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.8

やれやれだぜって雰囲気を醸し出しながら仲間のケツをふきまくる、どこまでも渋メンなジャン・ギャバン。最後に残ったのは哀愁のみって事でなんとも言えぬあの表情に、ピチピチなジャンヌ・モローほかに結構本気な連>>続きを読む

破戒(1948年製作の映画)

4.6

部落問題どころかあらゆる差別があり、臭いものには蓋をしてしまう国民性なのは今も変わってない気がする。それどころか弱者の声が大きくなって何やらおかしくなってると云った方が正しいか。日本のみならずカースト>>続きを読む

苦い涙(2022年製作の映画)

4.4

性別や職業設定なんかの変更はあるものの、筋と構成はほぼそのまんま。オリジナルで若さと奔放さを発揮するファスビンダー作品常連のハンナ・シグラを母親役に迎え、ついでに若作りして妙な事になってるアジャーニ様>>続きを読む

エレメント・オブ・クライム(1984年製作の映画)

5.0

四半世紀ぶりくらい。タルコフスキー的びしょ濡れ感に影響受けまくり且つ、攻めてる映像は初期衝動で尖りまくってる風。そんなネオナチ(カメオで登場)みたいな若きラース・フォン・トリアーではあるけれど、改めて>>続きを読む

大恋愛(1969年製作の映画)

5.0

妄想の完全なる具現化の連続に次ぐ連続ってな具合。OPの歌入れの絶妙なタイミングから始まり、バキバキのシンメトリー構図に色彩を含む映像自体の美しさなんかは当たり前って感じで展開する。で、あらゆるifを表>>続きを読む

グランド・ホテル(1932年製作の映画)

4.8

美しく青きドナウでドイツ圏っぽい雰囲気は出てる。グランド・ホテル形式の元って事で密室群像劇として完成度が流石に高い。ちょっとしたきっかけで人間同士の物語が展開され、お金がなきゃ駄目なんだけど、お金があ>>続きを読む

続・飢える魂(1956年製作の映画)

4.6

泥沼度は増してるものの、いささか助長な気もしなくはない続編。なんだけど、シーンの繋ぎやら各所の構図に障子ほかの照明の上手さを含めて全体的になかなか緊張感はある。男優位な前編から女の主体性が明確になって>>続きを読む

飢える魂(1956年製作の映画)

4.8

南田洋子×三橋達也と轟夕紀子×大坂志郎のそれぞれの不倫劇で、若年のストレートなそれと中年のしたたかなやり取り(時にそれぞれ逆になったりする)とで展開する。微妙な接点のとこから始まり、関連ない風に進みな>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

5.0

行楽地の都会化=収容所って事でチクリとやる登山仕様のピエール・エテックス。頭に花で絶好調ってな具合で、『大脱走』のオマージュみたいなラスト最高。

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

5.0

OPのピント合わせ→コマずれ修正の映写演出からひたすら細かい。4つのどれも出来が良い上に抜群に面白いんだけど、カモの二度見のとこがヤバい。画面上下反転→逆さ読みのとこほか映像表現でできるものをひたすら>>続きを読む

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

5.0

小綺麗にまとめたお皿演出のOPからギリギリ駐車のフランスあるある等々で、寄せて停めるから発生し増幅するズレと細かいとこまでホント良く出来てる。走る車から飛び出るひまわりが可愛い過ぎ。

破局(1961年製作の映画)

5.0

今日はなんかツイてないなってレベルじゃない。上手く行かない細かなあれやこれから落ち!まで流れる様に展開して一切無駄がない。デビューのエテックス+カリエールで密度の濃さが既に職人の域。

酔っぱらい天国(1962年製作の映画)

4.8

キチガイ水でほんわかご機嫌な話と思いきや、時間の経過と共にどんどん話が重くなって行く。酒の席での過ちに寛容な天国の如き国家での地獄の様相って具合で、責任能力なしの無罪の話とも通づるものがある。そんな社>>続きを読む

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

5.0

天体から推し活に目覚める子供部屋おじさんで情熱が空回りしてて最高。パリらしいパリを舞台にやっぱりユロ氏チックでありながらも、こっちの方は結構アクティブで別の良さがある。擬似サイレント含む絶妙な音使いと>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

5.0

オープニングから最後までガッチリ掴まれっぱなし。隅から隅まで完璧に設計された映像でサイレントからTV時代を駆け抜ける。師匠ユロ氏チックなのはご愛嬌で、8 1/2にザンパノとジェルソミーナのフェリーニネ>>続きを読む

無力の王(1981年製作の映画)

5.0

1980年代初頭のYOKOHAMAでナウい。投げやりと繊細の間を行ったり来たりな若者達のグダグダな実態と酩酊具合とは裏腹に、バッチリ決まった構図でゆっくりと展開する長回しが素晴らしく流石写真家って感じ>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

5.0

新しいドライヤーが届いた日に観たのは単なる偶然偶然。尋問に怯えつつも神への忠誠は絶対に曲げないって云う、勇猛果敢なイメージとは異なるも強固な意志を持つ(ちょっぴり人間的な)ジャンヌ像。涙に濡れ大きく見>>続きを読む

モーリス(1987年製作の映画)

4.6

25年振りくらい。草の上で戯れる絶頂に流れる『悲愴』が悲愴。英国上流階級のあれやこれを描かせたら敵なしな感じのジェームズ・アイヴォリーで安心して観ていられる。理解される事の難しい時代にあって袂を分つ対>>続きを読む

11人のカウボーイ(1971年製作の映画)

4.8

ほのぼのボーイスカウト体験記と思いきや、予想を遥かに超えたハードっぷり。ドッシリと構えて決して誇りを失わないジョン・ウェインから次世代へ大事なモンの継承をきっちりしっかり描く。頼りないカウボーイズから>>続きを読む

デリカテッセン(1991年製作の映画)

5.0

四半世紀ぶりくらい。長編デビューにしてほぼ完成形のジュネ+キャロで、90年代の青春の匂いが蘇る様。映像は勿論の事、音符からノイズまでの音使いが細かいとこまで徹底されていて飽きるシーンがないから見事。肉>>続きを読む

武蔵野夫人(1951年製作の映画)

4.5

戦後の時点で既に失われまくってる武蔵野の風景に道徳観念。今じゃ家だらけでモラルも底な具合な我が国。オトすの無理な感じな貞操の塊みたいな田中絹代が死を持って前に進めと手向けの言葉を送るも、誇りまで失っち>>続きを読む

チェンジリング(1979年製作の映画)

4.4

激しいタイプのポルターガイストな具合で駄々っ子の如き全自動ハウスっぷり。妻娘を亡くした主人公が上手い事使われてるも、大体怨念自身で解決出来るんじゃないかとも思われる勢い。OPに随所のカットバックに後の>>続きを読む

花咲く港(1943年製作の映画)

4.8

木下恵介デビュー作って事で、戦時下の半ば無理矢理な国策映画っぷりが激しいものの、実に良く出来たコメディ作品。小沢栄太郎といつでもイケメンな上原謙のペテン師2人組に常に神風が吹きまくってるのもイケイケな>>続きを読む

アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学(1988年製作の映画)

5.0

アメリカへ再びって事で、『家からの手紙』のラストから逆転する様なオープニングからして良い。故郷なきポーランド系ユダヤ移民のアメリカでの結構壮絶な生活体験のあれやこれでありつつ、ウディ・アレンばりの自虐>>続きを読む