扇さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

4.0

綺麗事言うんじゃねえよ、奇形をよく見ろ。てめえも奇形になってみろよ。っていう作り手の強烈な意識が見える。
トッド・ブラウニング確か奇形にすごくシンパシーを感じる人生だったと思う。もうだいぶ忘れてしまっ
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メッセージ(2016年製作の映画)

2.9

原作がそうなんだろうけどカート・ヴォネガッドの強い影響下にあると感じた。時間に対する考え方ね。
これドゥニ・ヴィルヌーヴ版『TENET』と言うと分かりやすい。「HANNAH」の名前は回文になっているか
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2分の1の魔法(2020年製作の映画)

2.9

主人公の話とお兄さんの話がシンクロしてなくて、その上お兄さんの話にかなり重心が寄ってるからいまいちスパーンとハートにこない。
そもそもお兄さんは成長すらしてなくて、単に今まで誰も意見を聞いてくれなかっ
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ぼくたちの家族(2013年製作の映画)

4.9

ずっと家族を描いてきた石井裕也の最高到達地点だと思う。
これ以降彼の作風が変わるのが彼自身もそう感じているからではないのかなと思いを馳せる。

彼の作品全てに通じる環境だけど、とにかく「金がない」これ
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ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

3.4

これさ、イスラム過激派の話じゃなくて右翼ビジネスの話だよね。

首謀者は敬虔なイスラム教徒でないことはテロリストたちのやり取りで明らかになり、末端のテロリストは熱心なイスラム教徒ではあるんだけど、行動
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地獄の黙示録(1979年製作の映画)

4.7

完成された純良品というより、混迷の果てに生み出された魅力的な怪作というのが私の評価。

原作になっているコンラッドの『闇の奥』が霧の中にある巨大なオブジェのようなもので、全体像が分からない異様な雰囲気
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SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)

3.2

オリジナル作品があるからか、大根仁らしい話運びではなかったなと印象。
コギャル映画の締めをオザケンでフィニッシュする違和感。大根さんは分かってやってるとは思うけど、それが正解だったのかな。

切腹(1962年製作の映画)

5.0

初見時あまりの凄みに身動きが取れなくなった。
サスペンスとしてあまりに面白すぎる。そして仲代達矢の何を考えているのか読み取れない瞳がそれを引き立てる。
これが1962年の作品、、信じられない。この域に
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夢売るふたり(2012年製作の映画)

4.6

夫婦で人生やり直すために始めた詐欺。
それが結果的に「この人、自分のことを別に好きじゃないんじゃないか」という確信に繋がり、自分もまた寂しさからこの男と一緒にいたのではないかと考えるきっかけになってし
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

3.7

これ階級差を描いてると思うんですよ。
アデルはトマっていう男の子に口説かれるけど、彼と話して「え?本とか読まないの?」ってドン引きしてる。
アデルはエマに惹かれるけど哲学とか芸術の話にはついていけなく
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ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

2.2

新展開があるとはいえ、あのジャスティスリーグをもう一周するのはキツかった。
全く違う展開が起こるこそのワクワク感はあれど、編集が鈍重でそういうところは本当良くない。
例えばウェドン版のアクアマン登場シ
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るろうに剣心 京都大火編(2014年製作の映画)

1.3

この監督、アクション演出しかできなくて役者に演技させることが全然できないね。

左之助はずっと怒鳴ってて、映画として成立するリアリティからかけ離れてる(アニメなら成立しそうだけど)。こんなに怒鳴ってる
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テルマエ・ロマエ(2012年製作の映画)

1.4

サマンサタバサのバッグ持った女子が手を叩きながら喜んで見てる印象(偏見)

恋の掟(1989年製作の映画)

3.9

ミロス・フォアマンの過去作を見ると例えば『アマデウス』のような全てを備えたモーツァルトに嫉妬するサリエリのような関係を、セシルとメルトゥイユ夫人の間でやろうとしたのではないかと考える。

ただタイトル
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アーミー・オブ・ザ・デッド(2021年製作の映画)

4.1

私はザック・スナイダーの良さはポップな軽薄さだと思ってるので、今回彼の良さが十分に活かされていて非常に満足した。

リチャード・チーズのjazzカバーに血しぶきが似合うのは『ドーン・オブ・ザ・デッド』
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その土曜日、7時58分(2007年製作の映画)

4.7

何度見ても最高でシドニー・ルメット、遺作として申し分ない。

じっとり汗をかきながら追い詰められていく様(これは主人公たちの最初から置かれている境遇含めて)の何とも言えない息苦しさと、ふざけてんのかっ
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フランケンウィニー(2012年製作の映画)

4.3

ティム・バートンは『シザー・ハンズ』が最高傑作だと思うけど、好きなのはこっちなんだな。

これってティム・バートンが駆け出し時代にやりたかったことじゃん。
フランケンシュタインを基盤とした異形への愛。
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

4.0

青春の日差しをエモーシャルに捉えて、純粋故に負う痛みを奏でる。ってこれ岩井俊二系じゃない?

文革の渦中にいる若者と思うと眉をひそめてしまうけど、あれだけ大きなムーブメントになると必ずしも全員が思想に
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.6

『プリンセスと魔法のキス』を連想した。
ファンキーババアが歌う歌詞の一節「欲しいものと必要なものは違うんだよ」そういう話。
失ったものを再び手にしようとしても、それは叶わない。失ったことをどうやって受
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ハルフウェイ(2008年製作の映画)

4.2

プロ界隈だとバカにされがちな作品だけど擁護派です。
ひとえに北乃きいの演技が素晴らしくて、ずっと子どもだった彼女がラスト一筋の涙とともに大人の女性に変容する様を表情のみで表現したこと。
誰もが経験し得
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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年製作の映画)

4.0

すごくいい題材を扱っているなと思いました。
ミサイル発射のスイッチを押す人間に責任は生じるか。これはYES。
「自分は命令されただけ」という弁はニュルンベルク裁判で横行した。命令に従うことで結果に対し
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鋼鉄の雨(2017年製作の映画)

4.3

これは映画館で見たかったな。そういう集中力で臨みたかった。
ヤン・ウソク監督『弁護人』が好印象で鑑賞。正直そこまで期待していなかったけど熱量というか気迫?が随所に感じられる見応えある作品でした。『弁護
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3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

4.9

ジェームズ・マンゴールドの最高傑作だと思う。
人にとって尊厳とは何なのか。説教臭くなく、魅力に溢れたキャラクターたちの行動で雄弁に語る。
人生でこれ一本残せたなら映画監督として本望じゃないだろうか。

星の王子ニューヨークへ行く2(2021年製作の映画)

3.3

クレイグ・ブリュワーはリメイク、リブート上手の手練れでこういう企画を任せたくなるのは分からないじゃないんだけど、これはさすがに嫌だったんじゃないかなあと。
ダンスシーンなんか演者の魅力が伝わるように撮
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機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル(2015年製作の映画)

1.1

ちょっと見続けるのが苦痛なほどキャラクターの言動や振る舞いが安っぽい。原作漫画によるところなんだろうか。
日本アニメの悪い意味での子どもっぽさに溢れている。
富野由悠季が見たらなんて言うだろうな。彼の
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

3.9

やはり衝撃の一部分だけでも体験すること、自分の身に置き換えることが大事な作品なので前情報は一切入れるべきではないと感じた。

ラブ&モンスターズ(2020年製作の映画)

4.1

これは面白いでしょ。ウェルメイドだよ。
構成が気持ちよくメリハリが効いてる。ここは笑うところ、ここは怖いところ、ここは安心するところ。勿論当たり前のことなんだけど、この山と谷のギャップが深いから見てい
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.2

個別では使い古し感のある素材をこの題材に当てるかという驚きがあった。いいよいいよ。発想がいいよ。
発想の良さから作り手の頭の良さが伺える。一発屋じゃない。こちらが思いつく安易な解決法をサラリと否定して
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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年製作の映画)

3.4

ファザコン拗らせた地雷系美少女がマザコンの嘘つき金髪イケオジに体良く利用されて、それを見たティーンの男の子二人が戦争を理由にしたイカ臭い暴走で皆を悲しみの渦に引き込む。

アングスト/不安(1983年製作の映画)

2.5

この作品がどうのっていうより映画表現の進歩を感じてしまった。
現代の方がより凶悪な娯楽作があるので映画はずっと我々を刺激し続けてきたんだなあと(当たり前だ)。

当時はこれが正視に耐えなかったのだから
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ブレア・ウィッチ(2016年製作の映画)

3.8

すごい頑張ったと思う。
前作は一発芸だったので同じことは出来ない。けどテイストは寄せる必要がある。
ということでお化け屋敷+藁人形、閉所恐怖+寄生ものと大サービス。あと時間軸がおかしいっていうのも。
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泳ぐひと(1968年製作の映画)

5.0

マッチョイズムの落とし穴。
段々と不穏な空気が濃厚になってからのラスト。勘弁して欲しい。こちらまで肩を抱いて震えてしまう。

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.5

なんかさ書きたくないんだよ。書いたら自分の中で作品が消化されて、彼らが頭から去ってしまいそうで。
もう少しだけいて欲しいんだ。

インベージョン(2007年製作の映画)

3.4

全体主義の恐怖をモチーフにしてることは明らかなんだけど、これ『air/まごころを、君に』を普通の劇場作品みたいにするとこうなるよね。マジ、いや本当マジで!!

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.9

エヴァンゲリオンはこれまで碇シンジが「嫌だけど乗ることを選択する話」で構成されてきた。
ここで初めて「乗ることを否定されたら?」という問になる。

これまでのキャラや世界観を刷新、前作の予告も裏切る形
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